魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ) 作:八神煌斗
「うわっ!?」
突然腕に付けていたブレスレットが鳴り、驚くティーダ。
このブレスレットはまだデバイスを持っていないティーダの為にはやてが持たせたものだった。
通信機能や簡易シールドなど簡単な機能しか無い為、ティーダにも扱えるものだ。
シールドに関して言えば元々魔力を込めておいて発動させるという、使い捨てのものだが。
ティーダが驚いていのを横目になのはは既に通信を開いている。
「うん……うん。わかった。それじゃあ一応万が一に備えて準備だけはしておくね」
「なんだって?」
「今、シグナムさんやヴィータちゃんが最前線で出現したガジェットを破壊してるって。外にはフォワードの子達もいるし、私たちはこのまま中で待機するようにって」
「いいのか?俺たちは待機でも」
「うん。外にいるガジェットが本当に誤認してきたのかもしれないけど、もし別の目的で現れたんだとしたら一箇所に戦力を固めないで、分散させたほうがいいって、はやてちゃんが」
「ふぅん、了解っス」
なのはの言葉に頭の後ろで腕を組みながら答えるティーダ。
しかし頭ではその内隙を観て援護に行こうと考えているのであった。
「援護に行こう、とか考えてる?」
「えぇ! そ、そんなことないっスよ!」
「嘘が下手だね」
ティーダに聞こえないように、呟くなのはだった。
「すごっ……」
その頃、アグスタの外ではティアナを筆頭としてフォワード陣がモニターでシグナム達の戦闘を見ていた。
もちろん警戒を怠っている訳ではないが、それでも彼女たちの戦いを見ていれば自分たちの防衛戦まではガジェットは来ないのではないかと思うほどの戦いぶりだった。
「これで、リミッター付き……」
その戦いを見ていて、ティアナの中には言い表しようのないものが出てきていた。
「遠隔召喚、きます!!」
しかし、思い通りには行かなかった。
ティアナ達の目の前に召喚陣が現れたのだった。
この広いアグスタ周辺で狙ったかのように自分たちの前に。
「挑発でもしてるって訳……?良いじゃない。警戒!!」
そして彼女たちの前に現れるガジェット達。
数で言えば仮想とは言え訓練で相手をしている数とそう変わらない。
油断をしなければ、負けることはない。
そう踏んだ。
「迎撃、いくわよ!!」
ティアナの掛け声を切っ掛けに、フォワード陣も戦闘を始める。
「クロスミラージュ!!」
自らの愛機、クロスミラージュに呼びかけ、ガジェットに向けて魔力球を打ち込む。
が、それはAMFに拒まれてしまい、届くことはなかった。
「くっ……。訓練よりもAMFが強い!?」
所詮は訓練だったということか。
なのはの教導はとてもうまく、それぞれがギリギリ突破出来るレベルで戦ったいたのだ。
それは教導を受けているものが気づかないうちに自らの限界量を上げる訓練。
そのおかげで、ティアナも実践での想定外の出来事とは言え、慌てずに次の対処法を考える。
「気をつけて! AMFが想定より強い! 魔力量を考えて戦って!」
すぐに指示を飛ばすがそれは抽象的なもの。
明確な対処法ではなかった。
どうする。
一旦後ろに下がってそのことだけを考えて頭を巡らせる。
現時点でガジェットに対抗できているのはスバルとエリオの二人だけ。
今の自分には援護以上のことはできない。
更に自分はキャロのような支援魔法はまだ納めていない。
そうやっているうちに、ガジェットの動きが変わった。
先程までの機械的な動きではなく、統率の取れた動きになっている。
敵が近くにいる?
それなのにこのまま何もせずに指示出しだけに徹するというのか。
「そんな馬鹿なこと、する訳ないでしょ! エリオ、下がって! スバル!」
エリオを一度下げ、入れ替わるようにティアナが前へ出る。
「私とスバルで敵を叩く、エリオはその間キャロの援護!」
「え、あ……はい!」
混乱しながらも交代し、キャロを守るように立つエリオ。
その姿を確認しながら、自身はスバルの近くに走る。
「スバル、行くわよ! クロスシフトA!!」
「……おう!」
一度ティアナを見たスバルだが、すぐに前を向きなおし、空に向かってウイングロードを展開する。
そう。また二人のクロスシフトAは完成してはいない。
せいぜい7割程の成功率。
それでも、今成功させないでどうするというのだろうか。
ティアナの周りに複数の魔力球が浮かび上がる。
敵に「まだ勝てないので、勝てるまで待ってください」とでも言うのか。
そんなこと、出来るはずもないし、できたとしてもやるつもりもない。
こんな時の為に練習してきたんでしょう!!
「はああああぁあぁぁ!!」
既にスバルはティアナを信じてウイングロードでガジェット達を翻弄している。
躊躇うな、自分を信じろ!
「いっけえええぇぇぇ!!!」
それらは全て、ガジェットを打ち砕き、またはスバルの援護をするように退路を作る。
凡人にだって、私にだって、出来る!
一瞬だった。
その一瞬の心の油断が、ティアナの魔力球の操作を誤らせた。
「っ!!」
操作から外れた魔力球は、敵でもなければ、空でもなく。
自らの仲間、親友に向かって飛行する。
「スバル、避けて!!」
「――え?」
気づいたときには遅かった。
いくらローラーブレードを履いているとは言え、咄嗟のことに体が動かない。
当たる。
それは誰もが予想した未来だった。
「うらぁ!!」
ただ一人、乱入者が現れるまでは。
「あぶねぇあぶねぇ。この俺様が居なけりゃ直撃だったぞ」
その乱入者は、信じられないことにティアナの魔力球を裏拳で消し飛ばしたのだった。
その場にいる誰もが信じられないと、立ちすくんでいるが、当の本人は気に留める様子もなく、弾いた左手をブラブラと振っている。
赤いバンダナに、無精髭。
髪の毛もセットをしていないので、ボサボサに伸びきっている。
しかもこの男、あろう事か服を着ていない。
いや、正確にはズボンは履いているのだが、それも年齢にあわないようなひざ下の短パンを履いている。
上着は来ていないが、ショルダーアーマーはしっかりとつけている。
そして右手には、大きな大剣を持っている。
「おい嬢ちゃん。張り切るのは勝手だがよ。仲間撃っちゃだめだろ、あぁん?」
何も持っていないてをで自分の無精髭を触りながら、ティアナに声を掛ける。
「この野郎! 待ちやがれ!!」
「お? もう追いついてきやがったのか」
そんな誰も動けない中、声を上げたのはこの場に居なかった人物。
ヴィータだった。
ヴィータは飛んできた勢いを殺さずにそのまま男に攻撃を仕掛けた。
が、その攻撃もあっさり男の剣によって止められてしまう。
「おいおい。折角テメェの仲間を助けてやったのに、そりゃねぇだろ」
攻撃されているにも関わらず、男はニヤリと口元を歪める。
「ちっ!」
その言葉を聞いてか、それとも体制を立て直す為か。
ヴィータは一度男と距離を取り、フォワード達を守るように立つ。
その様子をみて男は大剣を地面に刺し、再び自分の顎に手を当てる。
「いいねえ。やっぱリーダーってのはチームメイトを守らなきゃいけねぇ」
「お前、何者だ! スカリエッティの仲間か! なんでスバルを助けた!」
そんな男の言葉を無視して、ヴィータは問いかける。
「そんないっぺんに聞くなってんだ。覚えらんねぇだろうが」
そう言いつつも男は腕を組み、頷きながらも答える。
「まぁ、そのスカなんとかは一旦置いていおいてだな……」
男は一度、間を置く。
そして……
「ジェクト様だ。覚えておけ」
オヤジ様ーー!
口調が変だよ、後で治すよ。