魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ)   作:八神煌斗

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遅くなりました。
待ってくれていた人、お久しぶりです。
新しい人、初めまして。

定期更新できそうなので、今後はこんなに間をあけないように頑張ります。

ではどうぞ。


13.隻眼の剣士

 

 「戦闘? どこで!?」

 「ちょっと、ティーダ!!」

 

アグスタの外で戦闘が開始した。

そう通信を聞いたティーダを、フェイトが腕を掴んで止める。

 

 「なんで止めるんだよ、フェイト!」

 「外にはシグナム達もいる!それに、万が一外が陽動だった場合、本命はこっちなんだ」

 

そう。フェイトの言うことは間違っていない。

一か所で戦闘が始まったからといって、他の場所で戦闘が行われないという保証はない。

ましてや、現在アグスタでは管理局が危険無し、と認可したとはいえロストロギアが集中している。

どこが狙われるかなど、簡単な問題だった。

 

それにティーダも今では機動六課の一員として数えられている。

勝手な行動は許されない。

 

 「でも……っ」

 「今は、ティアナ達を信じよう」

 

それでも手を振りほどこうとしたティーダだが、フェイトの目を見て動きが止まってしまう。

自分も飛び出したいという感情を殺し、それ以上に仲間を信じている目をしていたからだ。

 

 「それに、この前戦ったシーモアがここに現れないとも限らない。ガジェットが来たってことはレリック、それか似たものが近くにあるってことなんだ。なら、余計にここを離れるわけにはいかない」

 「それは……そうだけど」

 

と、ここまで話してティーダがもう飛び出さないと思ったフェイトは掴んでいた腕を話す。

 

 「危険になったら救援依頼が来るはずだから、ティーダはそれに備えておいて。私たちもまだティーダの世界の魔法を全部理解した訳じゃないから」

 「……分かったッス」

 

しぶしぶ、窓の外に目をやりながら頷くティーダ。

仲間たちの安否を思い、矛盾していると思いながらも、救難依頼を来ることを願う。

 

 

 

 

 

 「うらぁぁぁぁぁぁあっ!!!」

 「ヘヘッ。あめぇよ嬢ちゃん!!」

 

ヴィータの攻撃を悠々とかわすジェクト。

先ほど戦闘が始まったばかりであったが、すでにヴィータとジェクトの差は明らかだった。

 

素人が見れば、優勢なのは攻撃を絶え間なく繰り出しているヴィータに見えただろう。

実際、なのはの実技を受ける前のフォワード達もそう思っていただろう。

 

でも今は違う。

ジェクトはヴィータの全ての攻撃をかわしているのだ。

かわすことは攻撃を受け止めるよりも難しい。相手の攻撃のタイミング、武器の長さ、軌道。それらすべてを把握し、なおかつ体を動かし、次の攻撃に備えなければならないからだ。

 

何度ティアナ達が加勢しようと思ったかわからない。

それでも、加勢すれば自分たちは邪魔者でも何でもない。むしろヴィータは自分たちを守るために、別に思考を割かなければならない。

そんなジレンマがティアナの思考を黒く塗りつぶしていく。

 

 「なんで、この数か月の訓練は、いったい何だったのよ……っ!」

 「ティア……」

 

クロスミラージュを握る力が強くなる。

そんなティアナを見て、辛そうな顔を浮かべるスバル。

右手を見れば母の形見のリボルバーナックルがある。

 

先ほどのクロスシフトAを失敗したのは自分のせいだ。

自分がティアナの攻撃に合わせられなかったから、だから敵なんかに助けてもらう羽目になった。

それは、スバルにとっても屈辱以外の何物でもなく、また、現状加勢もできない自分を戒めたくなる事だった。

 

二人は六課にきて、初めて自分の無力を感じていた。

 

 「ティアナさん! スバルさん!」

 

目の前が暗くなっている二人に、エリオが声をかける。

はっとして、反射的にエリオを見る二人。そのエリオの瞳はまだ、曇ってはいなかった。

 

 「ヴィータ副隊長がひきつけてくれている今、僕たちに出来ることはなんですか!?」

 「私たちには考えてもわからないんです。指示を!」

 

エリオに続いてキャロも声をあげる。

 

 「…………っ!」

 

そうだ。

自分たちが落ち込んでいる間も、この二人はできることを考えていた。

そして、それでも分からなくて、頼っているのではないか。

 

考えろ。落ち込むのは後でもできるじゃないか。

後悔は後でいい。

 

 「スバル!エリオ!キャロ!少しで良い。考えさせて!」

 「ティア……おう!」

 

その場にしゃがみ込むティアナ。

続いてティアナを囲むように三人が動き、構えをとる。

 

情けない。

ちびっ子二人に背中を押されて、ようやく我を取り戻すなんて。

 

未だに胸には黒い何かがつっかえているが、そんなものは後回しだと。

今は自分を信じて守ってくれている三人に答えなければならない。

 

必死に頭を回転させ、思考するティアナ。

 

今の自分達にできることを考えろ。

自分達は全力でなくても、たった一撃だけだとしても、かのエース・オブ・エースに一撃を与えたのだ。

少ない自信を引っ張り上げ、己を保つティアナ。

 

 「なんか元気取り戻してるじゃねぇか、あの嬢ちゃん」

 「あぁ!よそ見してる暇があるのかよ!!」

 「うぉっ!? 確かに余裕はないかも……なぁ!!」

 

戦闘中、ジェクトの隙を見逃さず、攻撃に出るも、簡単に防がれてしまった。

今のは確実に隙だった。それでも、ジェクトはいとも簡単に防いでしまった。

たしかにかわすといった行動に出なかったが、隙をついても防ぐという選択肢一つで、ダメージを与えることができない。

 

ヴィータはいったん距離を取り、体制を立て直す。

 

 「いってぇなぁ。譲ちゃんのそのちっこい体のどこにそんな力があるってんだ……」

 

手に持っていた大剣を地面に突き刺し、手をブラブラと振るジェクト。

 

そんな様子にヴィータは歯をかみしめる。

この口調と行動のせいで、なぜか最初からジェクトを完全な敵とみることができなかった。

今もそうだ。

ジェクトがその気になれば、自分を振り切り、フォワードを人質に取ることも、もっと言えばそのままアグスタへ乗り込むことができるだろう。

 

 「てめぇ、さっきから何考えてやがる」

 「あん?」

 「だから、ここに何しに来たって言ってんだ!!」

 「何って、そりゃぁ……」

 

ヴィータの怒声にも、どこ吹く風で耳掃除をするジェクト。

そんな様子にヴィータも怒りのボルテージが上がっていく。

 

 「時間稼ぎってやつだ」

 「なに!?……っ!!」

 「ヴィータ副隊長!」

 

ジェクトの言葉に一瞬思考が途切れるも、後ろからの殺気に気づき、その場を飛びのく。

そのまま地面を滑空する形でフォワード陣の前まで移動する。

 

 「おいおい。こっちがちゃんと引き付けておいてやったのによ、何やってんだよ」

 「好き勝手していたやつが、その口で言う」

 「間違いねぇな!」

 

乱入してきた男と軽口をたたき、ケラケラと笑うジェクト。

対照的に、ヴィータ達は顔をさらに表情に余裕がなくなる。

 

 「(ティアナ)」

 

ヴィータがティアナに念話を繋ぐ。

 

 「(すぐに隊長陣に救援依頼を飛ばせ。あとここからは自分たちのことは自分で守れ。アタシも、あの二人と闘いながらお前たちを守ってる余裕はねぇぞ)」

 

その念話に、ティアナは改めて自分たちの置かれている状況を再確認した。

 

あのヴィータが、もう余裕はないといっているのだ。

それほどまでに、乱入してきた男の実力も高いと。

 

ティアナはスバルたちに救援依頼を出すように指示をだし、改めて乱入してきた男を見る。

 

赤いコートをベルトで止め、左腕をベルトに置くようにコートの中にしまっている。

口元まで隠れるインナーを着ていて、表情を読み取れないが、白髪の混じった髪を見る限り、見た目以上に年を取っていそうだった。

だが、それら以上に目を引くのが、右手でもっている大きな太刀だった。

みるからに重量がありそうなソレを、片手で悠々を振りかざしていた。

先ほど、年を取っていそうだと予想したが、そんなこと、関係なさそうであった。

 

 「それより、アイツの姿が見えないが……本当にここにいるのか?」

 「さぁな。俺ァいるって言われたから来ただけだからよ」

 「まぁ、居るなら直ぐにでもここに来るだろう。アイツはそういう男だ」

 

アイツ。というのは何となく予想がついた。

 

ティーダ。

 

先ほどヴィータとの戦闘でジェクトは一度も魔法を使わなかった。

元々魔法を使わない戦士なのかもしれないが、今の状況を見るに、魔法を一切使わないのは不自然であった。

それに、目の前の二人が持っているのはどうみてもデバイスではなく、ただの剣だろう。

 

 「んじゃま、あの泣き虫がくるまでもう少し遊ぶとするか、アーロン」

 

そう言って、再びかまえを取るジェクト。

その言葉に続くように、アーロンと呼ばれた男も何も言わずに構えをとる。

 

 「来るぞ!!」

 

ヴィータが叫ぶ。

 

まだ、戦闘は終わらない。

 

 




ティアナだけじゃなくて、スバルも闇落ちしそう。
どうしてこうなった。
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