魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ) 作:八神煌斗
「スバル、下がって!!」
ティアナの言葉を受け、マッハキャリバーを使い、その場から離れるスバル。
その数瞬遅れてアーロンの太刀が通り過ぎる。
実際のところ、ティアナ達には戦うという行動すら起こすことはできなかった。
出来ている事と言えば、アーロンと呼ばれた男がジェクトと合流しないように、自分たちに引き付ける事だけだった。
「スバル、エリオ! まともに打ち合おうとしないで!打ち合えばやられる!」
「はい! キャロ!!」
「うん!」
エリオの掛け声を受け、キャロがサポート魔法を使用する。
既に魔法をスタンバイさせていた為、支持を受けてからノータイムで発動することができる。
「二人とも避けることに専念して!」
キャロが使用した魔法はスピードを上昇させてサポート魔法。
ここまでの戦いを見る限り、アーロンにはパワーはあってもスピードは無い。
いや、全くないわけでも無いのだが、キャロのサポートを得たスバルとエリオが回避に専念すれば対応出来ない訳ではない。
既になのは達に救難信号は出している。
つまり、ティアナ達の戦いは、勝つ為のモノではなく、隊長たちが来るまで時間を稼ぐためのモノだった。
「……良い判断だ」
「何がよ」
攻撃の手を止め、言葉をかけるアーロン。
目的が時間稼ぎなら、相手の言葉を無視する必要はない。
今ならアーロンを囲む陣形をとることが出来ている。
そう判断したティアナは、アーロンの言葉に対し、返答する。
「倒せないと見ると、今できる最善策を考え行動に移す。まだ粗削りだが、良い判断だ」
「バカにされている様にしか聞こえないわよ」
「そう思うなら思えばいい。それに……来たようだ」
これ以上語ることは無いと、ティアナ達から目を外すアーロン。
それにつられて視線の先を追うティアナ達。その視線の先に居たのは、六課に来た次元漂流者。ティーダだった。
「……アーロン?」
ティーダは信じられないものを見たように、その場に立ち尽くし、肩を震わせている。
「ティーダ?」
普段のティーダからは想像がつかない動揺の仕方に、スバルは心配になり声をかける。
しかし、ティーダに届いていないようでスバルに返答するでもなく、一歩踏み出す。
「なんでこんなところにアーロンがいるんだよ! 何でスバル達と戦ってるんだよ!」
そんなティーダの動揺を鼻で笑い飛ばし、構えていた太刀を肩に乗せるアーロン。
「俺で驚いていてどうする。ここには俺以外にアイツも居る」
「アイツ……?」
ティーダは混乱している頭で『アイツ』と呼ばれた人物は誰かと考える。
アーロンがアイツと呼ぶ仲だ。
ミッドチルダで出会った人物ではないだろう。仮にミッドチルダに以前から居たとして、その様な人物が出来たとしてもワザワザ自分に行ってきているということは知っている相手なのだろう。
しかし、思考を鎮めるティーダに対して、待ってやるほどアーロンは優しくはなかった。
肩に乗せていた太刀をティーダに向けて構える。
「構えろ。俺は話をしに来たわけじゃない」
「構えろって……っ!!」
ティーダが構える前に、距離を一瞬で詰めるアーロン。
太刀が振り下ろされるが、ティーダは受ける訳ではなく、後ろに大きく飛ぶことで、斬撃をかわす。
自身の跳んだ勢いを地面を滑りながら殺しつつ、再度距離をとる。
「くそっ、聞く耳持たずかよ!」
距離を離すまいと、ティーダを追うアーロンに対し、距離を取ることを諦めフラタニティで迎えうつ。
「アーロン!」
「ようやく構えたか。行くぞ」
「……くっそぉ!!」
「ちょ、ティーダ!?」
驚きの声を上げるスバル。
それも無理はなかった。事実、ティアナ達も声は上げなかったものの、今のティーダはらしくない。
以前なのは達に聞いていたがリニアの時もシーモアを目にした途端にティーダは様子が変わったらしい。
その時は激情に身を任せた戦い方をしていたようだったが、今回はどちらかというと混乱しているように見える。
「アーロン! 何で……」
「聞け」
「っ!」
つばぜり合いになり、再度アーロンに呼びかけるティーダだったが、言葉を遮りアーロンが口を開いた。
その口調は有無を言わさない。
それ以上にかつて共に旅をしていたティーダだからこそ分かるその裏の意味。
アーロンは焦っている。
「シーモアとスカリエッティが手を組んだ」
「……はぁっ!?」
ティーダにしか聞こえなかったであろう小さな声は、それでもしっかりと聞き間違えることは無く耳に入って来た。
その一言に狼狽えているとアーロンは大きく太刀を振るいティーダを弾き飛ばす。大きく体をのけぞる形にはなったが、抵抗するのではなくそのまま力を受け入れ、体を捻ることで着地をする。
しかし、アーロンがそのまま体制を立て直すことは許さず追撃に出る。
「うわっと!!」
「軸がぶれている。体の動かし方を忘れたか?」
背中から倒れたティーダに向かって振り下ろされる太刀をフラタニティで受け止める。
受け身を取れなかったせいか巧く力が入らず、それ以上の動きが取れない。
ティーダはそもそも倒れた時に肺から酸素を吐き出してしまったせいか頭も正常に働いていないようだと、どこか冷静に自己分析をしていた。
「そのまま聞け」
ティーダの様子なぞお構いなしに先ほどの話を続けるアーロン。
しかしその手の力は休まることなく、少しでも気を抜けばそのまま切られてしまいそうだった。
「しばらく経たないうちに状況は大きく変わる。変わるだろう。その時までに貴様はもう一度自分の体を知ることだ」
アーロンの言葉に驚き、一瞬力が抜けてしまったが再度力を入れなおし耐え続ける。
自分の体の事についてはザナルカンドに何度も来ていたアーロンだったら知っていてもおかしくはない。
「体のことを知れって……祈り子はこっちに居ないだろ!?」
「その事か。なら何故お前はここに居る。お前は死人とは違うだろう」
「ティーダ!!」
「っ!?」
アーロンの言葉に今度こそ手の力が抜けた時に、ティーダを呼ぶ声がしアーロンが飛びのく。
その瞬間、先ほどまでアーロンが居た場所にオレンジの魔力スフィアが通過する。
「大丈夫?」
「……ティアナ」
ゆっくりと体を動かしながら起き上がるティーダをティアナが支える。
見るとアーロンはスバルとエリオの相手をしていてこちらに向かってくる余裕は無い様だった。
「アイツ、一撃一撃は重そうだったけど、やっぱり素早い相手には流石に手こずるみたいね」
「魔法の重ね掛け作戦、成功です!」
ティアナの後ろに立っていたキャロも胸の前で拳を作り、自信に満ちた笑顔を浮かべている。
「良い!? ダメージは与えなくていいからそのまま足止め最優先よ!」
「了解!」「了解!」
ティアナの声に元気よく反応するスバルとエリオ。
本来だったらティアナも参加するべきなのだろうが、速度上昇の魔法を重ね掛けしている二人のスピードを考えると、それは邪魔にしかならない。
ならば更にアーロンの隙や弱点を見つける為に観察することが自分の仕事だと割り切る。
「良いリーダーだ。指示も的確。しかし時間切れだ」
そう行って大きく距離を取るアーロン。
そのまま自身の体を軸にコマのように回転させる。
「陣風!? みんな、逃げろ!!」
「な、なによ、陣風って!!」
「良いから!見ればわかるから今は逃げろって!!」
言うや否やキャロを抱え、アーロンとは逆方向に走りだす。
その様子を見てティアナ・スバル・エリオも全力で駆け、ティーダを追う。
その時だった。
アーロンの太刀から竜巻が発生し、それを文字通りティーダ達の方へと放ったのだ。
「ティーダアアァァァ!!何アレ!?アレも魔法!?」
「魔法じゃないからとにかく逃げろ!今度はアレに火が付くぞ!!」
「うそおおおぉぉぉ!!??」
余裕があるのか無いのか、スバルはパニックに陥り、それにつられティーダも先ほどのアーロンの言葉が頭からスッポリと抜けてしまっている。
「……どこでも賑やかな奴だ」
ティーダ達の声を聴き口元を緩めるアーロン。
もともと本気で倒すつもりもない。腰についている酒瓶を使うつもりもなければ、もうすぐこの竜巻は収まるだろう。
「よう、終わったかよ?」
後ろから声がかけられ、振り向くとそこにはジェクトがいた。
「随分遅かったな?」
「あの嬢ちゃん、チビッ子いのに強くてよぉ。まぁ、最後はこれで一発よ」
ニッと笑い作った拳を下へと振り下ろすジェクト。
つまり最後は拳骨で気絶でもさせたということだろうか。
相変わらず無茶苦茶な奴だとため息をつく。
「おいアーロン。今ため息つかなかったか?」
「戻るぞ。増援に来られても面倒だ」
「無視すんじゃねぇって。おい。アーロン。おい!」
前半・中盤・終盤で雰囲気が変わっております。
真面目な話も良いですけど、個人的にティーダは悩まず元気に動き回っているイメージなんですよね。
だからこそスバルとかと一緒に居たらシリアスさよなら、こうなるんじゃないかなぁと。
少し口調が不安なので近いうちに動画とかみて勉強しなおします。
後、遅れた理由ですが、『なのはStS』の後追いの予定だったんですよね、最初。
それを話を無理や市りオリジナル路線に持っていこうと試行錯誤したり、挫折したり、また試行錯誤したり、忘れてたりしてこれだけ伸びてしまいました。
今後はある程度頑張って投稿します。
復活できるように頑張ります。
次は1ッか月以内に。