魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ)   作:八神煌斗

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04.ファーストアラート

 「な、なんだぁ!?」

 

フェイトたちを見送った後、ティーダは一人与えられた部屋にて体を横にしていた。

自分はこれからどうなるのか。また気づいたら消えてしまうのではないのか。

など色々な考えが頭を浮かんでは消えていく。

 

いい加減ウジウジしている自分に嫌気がさしてきた頃、高い音と共に部屋が赤く点滅し始めた。

目の前にウィンドウが現れるが、何が書いてあるのか分からない。

 

居てもたっても居られなくなり部屋を飛び出した。

 

 「なんだよ、これ! まるで……」

 

頭に浮かぶのはアルベド族の本拠地、ホームでの出来事。

あちこちから火の手が上がり、アルベド族が倒れ付す。幻光虫が飛び回る。

壁や崩れおち、モンスターが暴れ狂う。

 

もうあんな事、ゴメンだ!

 

部屋を飛び出したティーダは六課の中を走り回るが、モンスターも居なければ武器を構えている隊員も居ない。

見た限り敵襲では無いようだが、ならば何事だ、と。

 

 「ティーダ君!」

 

立ち止まり考えているティーダに声がかけられた。

なのはだ。後ろにはフォワード陣も付いてきている。

 

 「なのは!これは一体なんなんだよ!」

 

慌て、声を荒げているティーダになのはやフォワード陣は一瞬固まってしまう。

こんなに追い詰められたティーダを見た事が無かったからだ。

なのはからすればティーダはミッドチルダに飛ばされたときでさえも、慌てずマイペースだったという。

それが今はどうだろう。こんなにも慌て説明を懇願している。

いち早く思考が復帰したなのははティーダに説明をする。

 

山岳リニアレールに自分達が追っているロストロギア、レリックが見つかった。しかしそのレリックを乗せているリニアは今現在ガジェットと言う機械に襲われている。しかも車両の制御まで奪われている。

ガジェットにレリックを奪わせないためにも今から緊急出動するのだという。

 

ティーダには分からない単語が多く、根幹までは理解できなかった。が、今が一刻を争っている時だというのは分かった。

 

 「俺にも手伝わせてくれ!」

 

ティーダは気づいたらなのはに頼み込んでいた。

緊急事態、助けたり助けられるものだろ、と。

 

しかしなのはから出た言葉は肯定ではなかった。

 

 「ティーダ君には自室で待機していた貰います」

 「なんで!」

 

否定の言葉にティーダは食い下がる。

 

 「これは管理局……いえ、六課の問題です。部外者、ましてや保護中の人物に手伝って貰う訳にはいきません」

 

今までの柔らかい口調ではなく、堅い職務上の言葉遣い。

その事にティーダはショックを受ける。

 

短い間だったが仲良くなれたと思っていた。仲間だと思っていた。

でもなのははそう思っていなかったのだろう。

ザナルカンドでは気に入らなかったがジェクトの息子と言うことで周りの人から表立って嫌われる事は無かった。

スピラに降りたティーダはリュックと最初に出会い、任務を手伝った。

ビサイドに流れ着いたときはワッカにチームに入れと勧誘された。

キマリには戦って、一先ずの信用を勝ち得た。

 

これはティーダにとって初めて、仲間だと思っていた人物からの否定の言葉だった。

 

フラフラと近くにあったソファーに腰を下ろし、頭を垂れる。

 

その姿にはのはは心苦しくもまずは任務をと割り切り、ティーダの前を走っていく。それに続いてフォワード達も再び走り出した。

 

一人になったティーダの頭によぎっていたのはキーリカ寺院の時の事。

さも当たり前のように召喚士の試練を受けようとして、キマリに追い返された。

ガードでは無い者が試練の間に入ることは許されない、とワッカから言われた。

結局のところ別の召喚士によって試練の間に入ることになったのだがそのことはまた別。

 

 「はぁ……」

 

見た目ほどティーダは落ち込んでいなかった。

深く考えてもしかたない。動かなければ何も始まらない。

次に自分はどう動くべきか、何が出来るか考える。

 

どう頑張っても現場にはいけない、なのは達が行ってから時間も経っている。

 

 「はやてに何か頼んでみるかな」

 「呼んだか、ティーダ君?」

 「はやて?」

 

振り向けばそこに居たのははやてだった。

少し息を乱しているところを見ると、走ってきたようだ。

 

 「よかった。はやて、俺に手伝わせてくれ」

 「はい?」

 

突然手伝いたいと言われてなんの事か考える。すると直ぐになんの事か分かった。

 

 「アカンよ。ティーダ君を保護してる身として、危険なところには連れて行けません」

 「でも仲間が頑張ってんのに、俺だけこんな所に居られるかよ!」

 「それでもや。大人しく自分の部屋に戻っていてください」

 「はやて!」

 

ティーダの横を通ろうとしたやはての肩をつかんで、止める。

 

 「頼むって!迷惑はかけないから!」

 

どうしたものか、とはやては悩む。

この調子だと何を言っても言う事を聞かないだろう。こんな所にいたと言う事は多分、なのは辺りにでも最初に頼んで断られていたのだろうと考える。

一度断られてその後偶然とは言え自分に頼んでいるのだ。直ぐには折れないだろう。

 

 「迷惑かけない、って言ったやんな?」

 「! おう!」

 

自分の知らないところで行動を起こされては困る。

スピラという所で戦っていたとは言え、ティーダにそこまで戦えるとははやてには思えなかった。実際の戦闘を見せればティーダもこれから手伝いたいなんて思わないだろう。

そう考えたはやてはティーダを司令室に連れて行くことを決めた。

 

 「ごめんな、おまたせ」

 「八神部隊長と……ティーダさん?」

 

司令室に入るとみんなの視線がティーダに集まった。

ここに来るはずの無い人物をつれてきたのだから当然の反応だった。

しかしはやては気にせんといて、と言い状況の確認に入る。

 

ティーダは入り口の近くに待機して、目の前に映し出されているモニターを見る。

 

映像ではエリオが自分の体の倍はあろう球体の機械と戦っていた。

はやて達の言葉を聞いているとどうやら新型らしい。

そしてその新型と戦っているエリオは魔法は使わずに、自力で戦っているように見える。

 

 「なんで魔法を使わないんだよ……」

 

誰にも聞き取れないような声でティーダは漏らし、そして思い出す。

 

 「AMF……」

 

AMF

アンチ・マギリング・フィールド

魔法を無効化にするシステム、だったか、とティーダは思い出していた。

 

考えているうちにも戦闘は続く。

 

 「まずい!」

 

ティーダが叫んだ。

モニターではエリオが新型に投げ飛ばされて、それを追いかけるようにキャロまでもがリニアから飛び降りたからだ。

 

 「あの二人、あんな高高度からのリカバリーなんて……!」

 「どうにかできないのかよ、はやて!」

 「大丈夫や!」

 

ティーダの問いかけにはやては冷静に返す。

 

 「あれでええ」

 『そう。発生源から離れれば、AMFも弱くなる』

 

通信でなのはが続ける。

一応、エリオたちの方に向かって飛んではいるが、その顔に憂いの表情は見えない。

見えるのは自信に満ちた表情のみ。

 

 『使えるよ、フルパフォーマンスの魔法が!』

 

モニターではキャロがエリオを抱えたところだった。

そして……

 

 「召喚獣!?」

 「ちゃうよ、あれがフリードの本当の姿……キャロの竜召喚」

 

純白の竜がエリオ、そしてキャロを背に乗せ飛び立つ。

あれがキャロの召喚……

 

 「フリード……」

 

ティーダが思い出しているのはユウナの召喚獣ヴァルファーレ。

ベベルでユウナがとある人物から逃げるときに助けた召喚獣。

あの時も落下するユウナを守ったのが召喚獣。

召喚獣は召喚士が信じれば、それに答えてくれる。

この世界に来て、また召喚獣と召喚士の繋がりの強さを見れたことがティーダが嬉しかった。

 

その後、エリオ達キャロの補助魔法を受け、新型を倒し、レリックも無事に確保することができた。

 

 「よっしゃ!!」

 

拳をつくり、自分の事のように喜ぶティーダ。

 

 「車両上空、および車両内にて敵ガジェットの反応消失しました」

 『車両のコントロールも無事に取り替えしたですよ、今止めまーす!』

 

通信越しに元気な声が返ってくる。

これで任務は終わった。初めは見ているだけだったティーダも、歯がゆさなど忘れて喜んでいた。

 

その時だった。

 

リニアレールに落雷が落ちたのは。

 

 「なんだ!?」

 「シャーリー!!」

 

再び指令室内に緊張した空気が流れる。

幸い、現場の全員は落雷地点、リニアから離れていたために被害を受けなかったが、今もリニアは炎を上げ、いつ爆発してもおかしくない状況だった。

 

 「分かりません、魔法の反応はキャッチできません!どこから!!」

 「サンダガ……なんで!」

 「分かるんか、ティーダ君」

 

唯一、ティーダだけはあの魔法が何なのか分かった。

サンダガ。

スピラで使われていた黒魔法の上級雷魔法。

 

すでにティーダはミッドチルダで黒魔法が存在しないのは確認済みだった。

属性魔法はあったが、それも炎と雷が主流で、氷でさえ、滅多に見たいものだと聞いた。

それでもティーダには分かった。あの魔法はミッドの属性魔法ではなく、黒魔法だと。

 

 「八神部隊長!! 見つけました!」

 「中央モニターに出して!」

 

モニターをいくつも開き、術者を探していた一人の隊員が叫ぶ。

そしてモニターに一人の男性が映し出された。

 

奇抜な青い髪に、胸元の大きく開いた服。

手には杖の様なものを持っている。

 

男は見られているのに気づいているのかモニター越しにコチラを見て、ニヤリと笑った。

 

 「シーモア!!」

 

 

 




 今のはやてさん同様、なのはも現時点でティーダに前面的に信頼は置いていません。
本能で信頼して理性で疑っている、と言ったらいいんでしょうかね。まぁかといって全く信用していない訳でもないのでこうやって司令室には入れてもらえる、という感じでどうでしょう。
 そりゃ信用してない人に命を預けるなんて難しいですよね。

 さて、次回からようやく物語が動きます。まず一つ目の大きな変更点としてリニア作戦の後、もう一度戦闘がおきます。ある意味ココからが「夢のつづき」の始まりです。ティーダがどのように物語に関わっていき、正史からどのように外れていくのか。よければ次回もよろしくお願いします。

 次の更新も一週間以内に出来たらいいなぁ
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