魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ)   作:八神煌斗

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05.シーモア

 「シーモア!!」

 「ティーダ君知ってるんか!?」

 

ティーダがモニターに叫んだ事により、はやてが問いかける。

 

 「アイツ、倒したはずなのに……」

 「倒した?いや、ほんまに何者なんや!?」

 

もう一度聞くが、取り乱しているティーダは答える様子がない。

 

 「はやて、俺をあの場所に!はやく!」

 

はやての元に駆け寄り、モニターを指差しながら頼む。

 

スピラのグアド族の族長。シーモア・グアド。

老師の地位に立ち、スピラとグアド族繁栄の為に尽力を尽くした人物。

というのが表向きの顔。

実際はユウナを手に居れ、自分がスピラの災悪シンとなって世界を掌握することだった。

そんなスピラを守るため、そしてユウナを守るため。

何度も何度も戦い、最後にシンの体内にてようやく倒すことが出来たのだった。

 

そのシーモアが何故ここに居るのかは分からない。

しかしそんなシーモア相手に初見のなのは達では危険だと思う。

 

 「アカン、今すぐに向こうに連れて行くにしても時間が掛かりすぎる……」

 「危険なんだ、シーモアだけは!」

 

モニター先ではシーモアを囲むようになのはとフェイトが飛んでいる。

二人は様子見だが、突然攻撃してきたこともあり、すぐに行動できるように緊張の糸は切らしていない。それに対してシーモアは余裕の笑みを浮かべており、何を考えているか分からない。

それが逆に不気味だった。

 

その時だった。

なのは、フェイトの頭上に落雷したのは。

 

二人は直ぐにその場から後退し、シーモアを睨みつける。

しかし、直ぐに二人に火球が打ち込まれる。

 

 「変換資質……それも二つやて?!」

 

フェイトが攻撃を仕掛けるが、それすら簡単に防がれてしまう。

それはティーダから見たら見慣れた白魔法なのだが、魔法陣すら出ない、未知の魔法に二人共少なからず動揺している。

それを畳み掛ける様に更にシーモアは黒魔法を畳み掛ける。

職業がらかまず状況確認をしようとしてしまう結果二人共避けることに集中してしまう。

 

 「はやて、どうにかできないのか!?魔法でさ!」

 「そんな魔法持ってないわ!ティーダ君を連れて行く魔法なんて……」

 

はやてとしても未知の敵を知っているティーダをあの場に送り出したい。

しかし、今から現場に連れて行くのはあまりにも時間が掛かりすぎる。

ヘリも無ければ、フェイトの様なスピードも無い。

 

 「ワープとか無いのか!」

 

ティーダがそう叫んだ瞬間、頭に過ぎったことがあった。

そう、コチラから行く必要は無い。

呼んで貰えば良いのだ。

 

 「はやて、キャロと話せるか!?」

 「キャロと?ちょっと待ってや、シャーリ!」

 「はい、つなぎます!!」

 

これは一つの賭けだった。

キャロから聞いた話、そしてスピラで知った自分の事実。

 

 『ど、どうしました?』

 「キャロ、俺を召喚してくれ!!」

 

モニターに写ったキャロにティーダが頼み込む。

その言葉にキャロだけでは無く、周りにいた人間全員が驚いた。

 

 『む、無理ですよ!私人なんか召喚できません!』

 

キャロは竜召喚士だ。そもそも人間の召喚なんて聞いたことが無い。

はやても自分の守護騎士を召喚できるが彼女等は人間ではなく、データだ。

それに召喚術だけでも、優れた者しか出来ない。ついさっき竜魂召喚を身に着けたとはいえ、そんな召喚術を成功させることなど出来るはずがなかった。

 

しかし、ここにいる者は誰も知らない。

ティーダは人間ではないということを。夢の存在だということを。

ティーダが消えるとき、彼からは幻光虫が飛んでいた。

そして、スピラの召喚獣。彼等が最後に消えるときにも幻光虫が飛んでいた。

召喚獣は祈り子の祈りによってその姿を保っていた。それはティーダも似たようなものだった。

つまり自分と召喚獣は似たようなものではないのか、それが彼の考えだった。

 

 「大丈夫!俺なら、俺なら出来る!」

 『で、でも……』

 「キャロ、信じろ!出来るから!」

 

モニター越しでも分かるキャロの動揺。

それでもティーダはキャロを見続ける。

そして、キャロは暫くして、覚悟を決めたような顔になる。

 

 『分かりました。八神部隊長!』

 「緊急事態や、仕方ない……。すぐにキャロにティーダ君のいる座標を送って!」

 

そう緊急事態。

普段なら保護している民間人にこんな危険な事はさせられない。

ここはなのは達に任せるのが普通なのだ。しかし、ティーダのこの言葉をはやては信じていようと思った。

自分でもバカらしいと思う。だが、今は賭けるしかないのだ。

 

 「隊長、送信完了しました!」

 『受信しました、出来ます!』

 

 

 

 

 

 「くっ、アナタは何者ですか!?」

 

迫り来る火球、ファイガを避けながらフェイトは問いかける。

対話は執務官であるフェイトの得意分野だ。その分回避にも若干の遅れが出るが、そこはなのはが防御に回ることで凌いでいる。

 

シーモアは答えること無く魔法を打ち続け、フェイトも次第に口数も減り、回避することに専念し始める。

 

 「(魔法陣が出ない。それに魔法形態も見たことが無い……)」

 「(フェイトちゃん、これ以上避け続けるのがきついよ)」

 「(私もだ。でも私の攻撃は通らないし、なのはの攻撃は)」

 「(ダメ。収束砲なら通ると思うけど時間がないよ)」

 

バサンダにシェル。その二つの白魔法の補助のおかげでシーモアには攻撃が通らなかった。

バサンダは雷系統の属性攻撃無効化、シェルは魔法防御力の上昇。

もしかしたらティーダからスピラの魔法の話を詳しく聞いていればこの結果にならなかったかも知れない。しかし聞いているのは召喚獣のこととシンの事のみ。

動揺は既に無いが、一度ペースを掴まれてしまえば取り返すまでに時間掛かり、今の状況が生まれていた。

 

魔法も避けられ、多少の攻撃を与えたところでケアルで回復されてしまう。

つまりこっちが攻撃しても向こうに決定打を与えることが出来なかったのだ。

 

二人が念話で相談をしていると、突然おかしな方向に体が引っ張られた。

見れば黒い球体が発生しておりそちらに向かって重力が引かれていた。

 

グラビデ。

二人は知らないが重力を操る魔法であり当たれば体力を大きく削られる。

 

効果は知らないが、当たればマズイと言う事を直感で理解した二人はなんとかグラビデから離れようと力を入れるが、初めての魔法で上手くコントロールできない。

 

 「マズイ……っ!」

 

フェイトの目に映ったのは先ほどの火球とは比べ物にならない程の火球を作り出しているシーモアの姿。

 

 「沈め」

 「させるかああぁぁぁ!!!」

 

その時だった。

シーモアに影がかかった。それは雲の影にしては不自然であり、シーモアはそちらに視線を動かす。

 

ティーダだ。

 

 「はあああぁあぁあぁ!!」

 「貴様……」

 

ティーダは自身の武器、フラタニティを振りかぶり、シーモアに切りかかる。

 

火球、ファイガを消し、後ろに跳び避けるシーモアはティーダを見て驚愕の表情を浮かべた。

 

 「シーモア!」

 

二人の間には距離が大きく、開く。

なのはやフェイトたちはなぜティーダがココに居るのか分からず、グラビデが消えた今でもその場に停滞している。

 

みればティーダの体からは光の珠――幻光虫を発生させつつ、シーモアを睨んでいる。

 

 「なのは、フェイト!下がっててくれ!」

 

召喚は成功した。

祈り子から生まれた似て非なる存在、ティーダと召喚獣。

スピラの召喚士とは違う、竜召喚士のキャロ。

違うことばかりだが成功した。

 

難しい事はティーダには分からない。

ただ頭の中にあるのはシーモアを倒す、それだけだった。

 

 「なんでお前が!」

 「さぁ、私にも分かりません。ですが……」

 

シーモアは杖をティーダに向ける。

 

 「アナタもここに居るのです、おかしな事は無いでしょう」

 

ファイガが打ち出される。

ティーダは横に跳ぶことでそれをかわすが、着地地点に更に打ち込まれ、円を描くように走る。

自分が数瞬前に居たところにファイガが打ち込まれ、近づくことが出来ない。

ティーダも魔法を使う事はできるが攻撃魔法は覚えておらず、技を鍛えてきた。近づくことが出来なければ、なにもすることが出来ない。

 

 「フォトンランサー、ファイア!」

 「アクセルシューター、シュート!!」

 「む?」

 

フェイトとなのはの攻撃に一瞬シーモアの意識がそれる。

勿論、攻撃が通らない事は二人とも承知の上であった。ティーダもそこまで遠い距離に居る訳でもなく、大きな攻撃は行えなかったからだ。

だが、二人の目的はダメージを与えることではなく、意識をそらすこと。

そしてソレは成功し、ティーダもその一瞬を見逃すことは無かった。

 

ティーダは足とフラタニティで自身のスピードを緩め、真っ直ぐにシーモアに向けて進路を変える。

 

 「こざかしい」

 

シーモアはファイガではなく雷系魔法、サンダガを辺りに無造作に落とす。

無造作とはいえ密度は高く、なのはやフェイトも避けることに専念する。しかしティーダはそのまま真っ直ぐ走り続ける。

近くに落ちても、細かな石に当たっても構わず。

 

小さく舌打ちをするシーモア。彼自身もティーダとは何度と戦った間柄だ。

この程度で止まるとは思っていなかったが、実際におこなわれると頭にくるものがあった。

 

 「これならどうです!」

 「うわっ」

 

サンダガを止め、今度はティーダの足元を狙いブリザガを地中から発生させる。

ティーダはそれによって宙に打ち上げられる。

だが、それでもティーダは止まらない。

それはシーモアがどれだけ危険か理解しているから、そしてココでヤツを止めなければならないと本能が理解しているから。

 

 「とっておきを見せてやる!」

 

着地は足ではなく手で。全身のバネを使い再び跳ぶ。

そのままハンドスプリングの要領で自身を独楽のように縦に周りシーモアに近づく。

最後に大きく飛び上がり、フラタニティを振りかぶる。

 

――オーバードライブ

 

 「スパイラルカットォ!!」

 

 

 




 この作品のティーダさんはスフィア板を使ってチート強化はされておりません。なのでファイアやケアルは使えません、あしからず。

 と言うかですね。この話を書いていたのは実はHD版が出る前でしてですね。なにが言いたいかって、今の公式ではティーダ、自分が召喚獣というか、そういう認識をした途端消えるんですね。なんという……。この作品ではその部分は無視と言う方向でどうか一つ。

 作中でも言いましたが、当時の私はティーダって祈り子の夢でしょ?幻光虫飛んでたし、召喚獣みたいに召喚されてもいいよね!なんて飛んでも理論で書いていたので……。

 ではまた次回!
 それでわ!
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