魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ)   作:八神煌斗

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06.ガードのティーダ

 「その程度っ!」

 

シーモアは手に持っていた杖で刃を止める。

その衝撃故に風が起こるが、ダメージまでは通らなかった。

 

しかし、ティーダは諦めず、シーモアの杖を踏み台に大きく飛び上がった。

宙で体性を整え、シーモアに向き合い、フラタニティを掲げる

 

――オーバードライブ

 

 「エナジーレインッ!」

 

剣先から放たれる無数の光弾。

それはシーモア本人ではなく、足元へと文字通り吸い込まれていく。

 

 「これはっ!」

 

その場からバックステップを踏み、移動するシーモア。先ほどまで居た場所は一瞬遅れて小規模な、しかし人一人にはダメージを与えるような爆発が起きる。

 

 「まだまだぁ!!」

 

着地と同時にシーモアに向かって駆け出すティーダ。

 

――オーバードライブ

 

 「チャージ&アサ……ッ!?」

 

しかし、数歩足を踏み出した時に足から力が抜ける感覚を覚え、その瞬間にその場に倒れこんだ。

連続のオーバードライブ。それがティーダの気づかないうちに肉体に疲労を蓄積させていたのだ。ティーダもオーバードライブが自分の体に大きな負担をかけることを知っていた。

なのにオーバードライブを連続で放ったのは倒したはずのシーモアが目の前に現れたこともあるが、それ以上に他の理由があった。

だが、その事さえも今のティーダは気づいていなかった。

 

 「シーモアっ!」

 「情けない、吼えることしか出来ないのですかアナタは」

 

うつ伏せに倒れるティーダを見下すシーモア。

それでもティーダの瞳にはまだ闘志が消えてはいなかった。

その目が気に入らなかったのか、シーモアは視線を少しずらし、杖を高く掲げる。そして、その先から強大な火球、ファイガが作り出される。

 

 「沈みなさい」

 「ぐっ……っ!」

 「ハーケン、セイバー!!」

 「なにっ!?」

 

シーモアに向かって金色の魔力刃が襲い掛かる。しかしシーモアは作り出していたファイガをぶつけ相殺する。

二つが衝突し、爆煙が立ち込める。

 

 「はああぁぁ!!」

 

爆煙から雄たけびを上げつつ、煙の尾を引いてフェイトが飛び出してくる。そのままシーモアに切りかかる。

しかしシーモアもソレを上手く攻撃を交わした。

フェイトは自身のスピードを着地する事で殺しつつ、地面を滑りながらティーダの元まで近づく。

 

 「大丈夫ですか!?」

 「フェイト……」

 

ティーダを守るように、屈み自身の武器――デバイス、バルディッシュを持っていない手でティーダを起こそうとする。

 

 「いい攻撃です。しかし、もう私の後ろは取らせません」

 「それは、どうでしょうね?」

 「強がりですか……っ!」

 

ニヤリと笑うフェイト。シーモアは何かに気づいたように上空を見上げた。

そこに見えたのは眩しく輝く、桃色の光。そして同色に輝く円形の魔法陣。そしてソレを生成している、エースオブエース高町なのは。

 

 「さっきの事件での散布魔力は少なかったけど、これなら――」

 「――なのはのSLBなら、あのシールドを貫ける!!」

 

なのはの持つ魔法、SLB、スターライトブレイカー。

防御魔法の貫通効果を持つこの砲撃なら、シーモアの協力なプロテスを貫く可能性、いや、貫くだろう。

それはこの状況を一撃で打破できる希望の光、そしてシーモアにすれば逆転されてしまう危険な光。

シーモアはその危険性をすぐに察知する。

まずい、と。

 

実力自体はシーモアはスピラに生きていた頃と全く謙遜無く落ちていない。

それは逆を言えば、異体となった時に比べると能力が落ちているということだった。

しかし、シーモアは肉体では無い。それも本人は分かっている。

つまりあの魔法がどのような効果があるのか分からないが、先ほどまで押されていた者が、表情一杯に自信を浮かべているのだ。

つまり、同じように攻撃を防ぐのはいけない。

 

 「ここは、引くことにしましょう」

 「逃がさない……なのはっ!!」

 「スターライト……」

 

フェイトがなのはに呼びかける。

それになのはが答え、掲げていたデバイス、レイジングハートを自信の前に作り出されていた桃色の球体に向ける。

 

 「ブレイカアアァァァァ!!!」

 

放たれる。

それは真っ直ぐにシーモアに向かっていき、着弾と共に大きな爆煙を辺りに起こす。

 

 「どうだっ……!」

 

なのははレイジングハートを向けたまま、フェイトはティーダを庇いながら爆煙が晴れるのをジッとまつ。

そして晴れたとき、その場にシーモアは居なかった。

 

 

 

 

 「ティーダ君、話してもらってもええか?」

 

六課隊舎に戻ったティーダは隊長室にてはやてに話を聞かれていた。

シーモアの事、そしてティーダ自身の事を。

 

 「シーモアは、俺……俺たちがスピラで倒したヤツだ」

 「倒した?それって……」

 

その場に居たフェイトが問いかける。

シーモアと戦ったという事と、情報を共有する為にだ。

なのはもいる。

 

 「そう。殺したんだ……」

 

フェイトを含めた三人がその言葉に驚愕する。

彼女達は今まで人の生死に関わった事が無い。記憶を遡れば初代リインフォースと言う女性が出てくるが、それも殺した殺されたではなく、逝ったという言葉が適当だろう。

 

それが例え短い期間だろうと、常に笑っていたティーダが人殺しをするとは思えなかった。しかし同時に今のような顔をしている所を見たことも無く、それが事実なのだろうと、実感させられた。

 

 「怖い、か?」

 

ティーダがフェイトにそう問いかけた。聞かれて初めてフェイトは自分がどういう表情をしているのか理解した。

何も言わずに視線をそらしたフェイトに、ティーダは口を開く。

 

 「俺だって、自分が怖いよ」

 

スピラではシーモアだけじゃない。エボンの兵だって切ってきた。仕方なかった、で済ますつもりも無い。だがそれは切りたくて切ったのではない事だけは確かだった。

言い訳もしない。ティーダは一度息を大きく吐き、当時の出来事を詳しく話す。

 

ユウナと旅の途中、マカラーニャ寺院で召喚獣を得ようとした時のことだった。

とあるモノがきっかけでシーモアの父親殺し、そしてスピラを壊そうとしていたことを。

最初は成り行きでシーモアと対決したのかも知れない。しかし、結果としてシーモアを殺すこととなった。

 

 「だけど、それだけじゃ終わらなかった」

 「終わらなかった……?」

 

そう。シーモアは異体となり二度、ティーダたちの前に現れた。

最後はシンの体内で、異界送りをして完全に消滅させた。

 

 「させた筈……だった」

 「でも、なんでその、シーモアがミッドにおるんや?ティーダ君と一緒に来たなんて事はありえへんし」

 「そうなんだよな、俺もソレが不思議でさ……」

 

はやてが問いかけた。はやて自身も怖かったがティーダが好んで人を切る様な人間では無いと言う事は理解しているつもりだ。

フェイトやなのはも同様。少し落ち着きを取り戻し、冷静に話しを聞くことが出来ている。

 

それを嬉しく思いながらティーダは思考をめぐらせる。

 

自分がミッドチルダに来たの原因は分からないがその直前の記憶はある。

飛空挺から飛び降り、雲海に潜った時だ。雲海の中でアーロンやクソ親父が居て自分を迎えてくれた。その時に意識に靄が掛かっていき、気づいたらここに居た。

しかし、シーモアはその時既に異界に送られていたはずだ。

ならばこれに原因は無いだろう、と結論付ける。

 

 「……あ」

 「なにか思い出した?」

 「おう。多分コレであってると思う」

 「教えてもらっていいかな?」

 

なのはとフェイトの質問にティーダが答える。

 

 「多分、あの時シンの近くで消えた人間がコッチに来てるんだと思う」

 「消えた……?」

 「こっちに来るとき、アーロン……俺の仲間に会ってるんだ。異界に送られた後なのに。シーモアも最後にシンの体内で異界に送ってる」

 「そういうことやったんか。ならシーモアはシンを通って来たってことか」

 「だと思う」

 

そこではやては考えるように顔を少し俯かせる。

 

 「ねぇティーダ、なんでシーモアをその……」

 「あぁ。あの時はユウナを守る為だった。世界のことなんて頭に無かった。必死だった」

 

フェイトの問いかけにティーダはそちらを見ないで答える。

そう、実際にあの時ティーダの頭の中はユウナが危ない、それだけだった。

世界の事なんて、どうでも良かった。

 

その気持ちを正直に答えた。

 

 「ううん、ティーダだって、望んでやった訳じゃないもんね。それなのに私……」

 「気にすんなって!そう思ってくれるだけで問題なし!」

 

親指を立て笑顔で返す。

深く考えても仕方が無い、ひたすらに前向きなところがティーダの良いところだった。

その笑顔に吊られてフェイトも笑顔になる。

 

 「ティーダ君、一つ提案があるんやけど」

 「ん?なんだ?」

 

はやてが言葉を遮り、ティーダに言葉を投げかける。

 

 「ティーダ君、よかったらシーモアを逮捕するまで協力してくれへんかな?」

 「なんだそんなことか。全然いいッスよ」

 「確かにティーダ君は戻る期間が延びる……って、えぇ!?ええんかいな!?」

 「ん?なに驚いてるんスか?」

 

ティーダからすれば協力することに何を、という感じだ。

シーモアは倒さなければいけない相手。コチラに異界送りできる人間が居ないのが不安の一つだが、そこはどうにかなるだろう。

とにかく今はシーモアに勝手をさせないことが一番だと考える。

 

 「ホンマにええんか?」

 「しつこいッスよ。シーモアは俺が倒す!仲間が居るなら百人力!」

 

グッっと拳を握り再び笑顔を作る。

そしてその拳を開き、手をはやてに差し伸べる。

 

 「ガードのティーダだ。改めてよろしく!」

 

 

 

 




 シーモアさんの来た理由、あと襲った理由は又今度で。
なのは達がおされてた理由として未知との遭遇&整理する前の戦闘だと言う事で。
ティーダが乱入した後若干ながらなんとか体制を立て直しての反撃した、という感じです。

あとこのティーダは人を殺しています。峰打ちなどではなく、まぁサックリと。
シーモアとかエボン兵とか。

しかしシーモアさん、会話難しいよ、あの人敬語で喋らせておけば良いかと思ったけれども、それだと何か違和感。あの人の隠しきれない自尊心が出ないと言う事で。今回は戦闘だけだったけど、会話となれば又一層難しそうだなぁ、というこの頃。

あとはリリカル勢との力関係。このこともまた追々。

ではまた次回もよろしくお願いします。
それでは!

P.S.毎回感想ありがとうございます。
指摘などもしていただきありがたく思っています。皆さんの言葉を少しでも本編に生かし、いい作品をつくれるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします!
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