魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ) 作:八神煌斗
「よっ!ども!」
シーモアとの邂逅後、改めて起動六課に協力をすることになったティーダはフォワード陣に挨拶をしていた。
「で、早速なんだけどティーダ君には模擬戦をしてもらいます」
「急過ぎるとは思うんだけどね。冷静なティーダの戦いも見てみたいってことだね」
なのはとフェイトがフォワードたちに説明をする。
ティーダの戦いを見たのはシーモアとの戦いの時だけ。それも頭に血が上って興奮状態だった為にムチャな戦い方をしていた。
その結果ティーダはその動きに体が付いてこなくなり、結果的に助けられる形となった。
元々筋肉質な体をしていたし戦いも経験もあるということだったが、彼自身の本当の実力はまだ測りかねていた。
ハッキリ言えば無茶な戦い方ばかりしていた、という線が出てきたのだ。そんな戦い方ばかりされていたら仲間に危険が及ぶのは想像に出来たし、戦場に出てこられても迷惑なだけ、と言うのがなのは達隊長陣の共通の見解だった。
だからこそ、冷静な状態での戦い方を見る為の場である。
もしここでも先の様な戦い方をするのであればアドバイザーに回ってもらおうと。
「もうあんなムチャはしないって言ったんスけどねぇ」
当然ティーダは不満を口にする。
自分の実力を過信している訳ではないが、今更テストを受けるほど戦いの素人だとも思っていない。
「そう言わずに。ティーダ君も体は動かしたいでしょ?」
「ま、コレに勝てば海にも入れる許可貰えるし、やるよ」
フェイトに息止めを見せた翌日からティーダは海に入ることを禁止されていた。
単純に濡れた状態で六課隊舎に入ってしまいあちこち濡らしてしまい、掃除の係りの人を泣かせた為だ。その中には金髪の白衣の女性も含まれていたが、それはまた別の話。
そして始めはティーダもテストはいらないと拒んでいたのだが、勝てば海に入ってよし、というはやての言葉を聞き、テストを受け入れた。
この時点ではやてはティーダの性格を掴み始めていた。
「で、ダレとやるんだ?シグナムか?」
シグナムが剣士と言う事は本人から聞いていた。それにシグナム自身ティーダと戦いたいと何度か言っている為、そうだろうと予想はしていた。
しかし現実は違い
「ううん。私とやってもらうよティーダ」
「フェイトか」
対戦相手はフェイトだった。
聞くとシグナムは別の仕事で今日六課を離れているらしい。シグナムも始めは自分がやると言っていたのだが、シーモアと言う未知の敵を前にティーダをいつまでも出し惜しみをしてる場合では無いと判断。
協力者という名目であっても、口頭で上に伝えるだけではなくちゃんとした戦闘データも必要なために今回は諦めてもらった。
そしてティーダとフェイトが戦闘シュミレーターに向かい合う形で並び立つ。
フラタニティは今回は使わせてもらえるようになっている。が、今は技術部の隊員達が急ピッチで重みや長さなど完全再現して作っている。
フェイトとしても元がそう言う武器だと知っていればそれほどの脅威にはならない。どれ程の攻撃力があるか分かっているので、魔力を防御に普段より多めに回しておけば事だ。本気の勝負でもないのでソレくらい訳も無い。
「負けられない戦いッスね」
「うん、全力で!」
そう言い、ティーダは慣れた戦闘体制を取る。
フラタニティを持つ手を後ろに半身を取る。剣先は地面に向け、体を揺らしリズムを取る。
対するフェイトはバルディッシュを両手で持ち、正面でティーダを待ち構える。
「行くぜ!」
先に仕掛けたのはティーダ。
一歩でトップスピードにまでギアを上げ、真っ直ぐフェイトの元へと走り出す。
フェイトも手に力を入れ、どのような攻撃がきても良いように対策をとる。
「はああぁぁ!!」
真っ直ぐ小細工無しで切りかかる。だが、執務官でもあるフェイトにそのような攻撃は通じない、簡単にバルディッシュの柄の部分で攻撃を防がれてしまう。
だがティーダはバルディッシュの柄を足場にし、バック宙の要領でフェイトを距離を開ける。が、着地前に今度はフェイトが攻撃を仕掛ける。
まだ足が地に着いていないティーダはフェイトの攻撃に弾かれるように更なる後退を余儀なくさせる。
「いってぇ~。さすがだな」
フラタニティを持っていない手を振りながら、あくまで自然体なティーダ。
フェイトはそれに笑顔で答え再び地を蹴りティーダに襲い掛かる。
「おわっ!?」
フェイトの得意な戦闘スタイル、ヒットアンドアウェイ。
無理な連撃は控え、一撃与えるごとに後退、そして再び攻撃を繰り替えす。その攻撃にティーダは防ぐ事が精一杯で攻撃することも、距離を開けることも出来ない。
フェイトのスピードは今のティーダには目で追えるが、体が付いてこない。
いや、正確にはついてはいく。しかし、逃げ切ることや、攻撃に転じるほど追いつけても居ないというのが現状だ。
「くそ。こうなったら……ヘイスト!!」
「!?」
瞬間、ティーダのスピードが突然向上する。白魔法、ヘイストの力だ。対象者の速度を向上させる魔法である。
勿論、白魔法の存在を知らなかったフェイトは突然攻撃の速度が上がったことに困惑する。
しかし、それも一瞬。先日シーモアとの戦いでティーダの世界の魔法は自分達の常識の外にあると認識していたお陰で混乱は最小限に抑えることが出来た。
フェイトは即座に攻撃を捨て、防御に回る。
攻撃に転じられない速度ではない。しかし、ヘイストにどのような効果があるか分からない以上、下手な事はできない、という判断だ。
逆に攻勢に出ることが出来たティーダは機を逃すつもりは無く、畳み掛けるように攻撃を重ねていく。
そして、この状況は外野でみたいたなのは達も驚かされていた。
「フェイトさんが、防御に回ってる……?」
「ていうかティーダ、急に速くなってない?さっきまでと全然違うけど」
フォワード陣だけでなく、なのはにもその異変はすぐに伝わった。
あのフェイトが防御に回っている。速さが売りのフェイトにとってそれは最大の異変だった。
本来フェイトは防御はあまり取らず、回避を優先する戦闘スタイルである。そのフェイトが回避を取らずに防御に回っている。
「どうしたんスか!守ってるだけじゃ勝てないッスよ!」
スピードが上がったのにも関わらず呼吸に乱れがないことに更にフェイトは混乱する。
が、それでもフェイトはマルチタスクの冷静な部分で現状を改めて分析していた。
「(身体強化の魔法?攻撃魔法だけじゃないとは思ってたけど……)」
それでも魔法陣が出ない、というのは思った以上にやりにくい。
元々ティーダが自分達の確認できない場所から来ているというのははやてに聞いている。
ならば自分の知らない魔法文化もあるだろう、と。
そう自分に言い聞かせた。
そもそも違ったとしても答えが分からない以上考える事は無駄だ。
その瞬間にフェイトはティーダの一瞬の隙を突いて地を滑るように飛んで後退する。
この戦いを始める前に設けられたルールのひとつだ。
飛ぶことの出来ないティーダに合わせて飛行はなるべく控え、使用したとしても超低空のみと。
「油断大敵だよ!」
《――Plasma Lancer――》
フェイトが持つ魔法の一つ、プラズマランサー。
直射型だが、その速さは信頼に足るもので、形成から射出までの速度が速い。
「うわっ、とぉ!!」
体をひねり、プラズマランサーを避けるティーダ。
ティーダとフェイトの距離から目視してから避けるのはヘイストを使っていたからと言って簡単なものでなく、結果としてティーダは耐性を大きく崩すことになった。
そしてその隙を見逃すフェイトではない。元々プラズマランサーは避けられたら再射するつもりであったが、耐性を崩したティーダにその必要は無い。より攻撃力の高い魔力刃で直接攻撃に転じた。
「くそっ、なら……スロウ!!」
耐性を立て直すのが間に合わないと判断したティーダは倒れ続ける体を無視して再度白魔法を使うことを選択する。
その魔法はスロウ。先ほど使ったヘイストとは違い、相手の速度を遅らせることの出来る魔法だ。
「いってっ!」
「っ!?」
ティーダが受け身を取らずに背中から倒れると同時にフェイトは自身の体の異変に気づいた。意識が集中していなかった為かスロウも不完全な状態でかかり、本来の能力とは程遠い効果しか発揮しなかった。
しかし、本来スピードタイプのフェイトにはその誤差がハッキリとわかった。
知らないこと続きで動揺を一瞬出してしまったフェイト。今度はその隙をティーダは見逃さない。背中の鈍痛を無視して起き上がり、フェイトに立ち向かう。
「アセってもいいことないって」
フェイトの首筋にフラタニティの刃が添えられた。
「どうッスか?」
刃を添えたまま、フェイトの目を見つめながら言う。
しかし、そんな状況でフェイトはニヤリと笑みをこぼす。
「そうだね、アセったら良いことないよね」
「え――っ!?」
フェイトの視線が自分より横に逸れ、ティーダもつられてそちらに視線を流した。
そして見つけた。
自分を囲むように滞空しているプラズマランサーを。フェイトの命を今か今かと待ち、その場に不気味に佇んでいる。
「引き分け、かな?」
「……あ~っ!」
そのまま後ろに倒れこむティーダ。その顔には悔しさがにじみ出ていた。
隊長陣≧ティーダ≧フォワード陣という強さの順番で書いてます。
まぁ、空飛べないのと遠距離からの攻撃手段が少ない時点でアレですよね。
個人的にリリなのの誰かとティーダを戦わせたかったので適当に理由をつけて戦わせました。
あと個人的にティーダってタイマンの戦い苦手なイメージ。
ナンバリングの方でタイマンしてる
回数ってリュックと合流前とキマリ戦位だったきがする。