魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ) 作:八神煌斗
凄く間が開きました。
理由につきましてはこの後活動報告に書かせていただきますのでそちらをご覧くださいませ。
一人での戦闘に慣れていない。それが模擬戦を見ていたなのはの感想だった。
先ほどの模擬戦でもティーダは魔法、話によると白魔法と言うらしいが、それを使いフェイトと対等に戦いを進めていた。
もちろんティーダも本気ではなかっただろうが、それはフェイトにも言えることだった。得意の高速戦闘は空中、左右前後だけではなく、上下の動きを加えてこそ真価を発揮する。そもそも魔力のリミッターをかけている状態なのだ。そう見るとティーダの実力はフォワードたちより高く、隊長陣たちよりは低い、そう見るのが妥当だろう。
しかし、それは一対一での話。もしあの戦闘に自分たち隊長陣クラスやティアナが居ればどうだっただろうか。あのプラズマランサーを誰かが知らせるか、または撃墜してくれてさえ居れば、間違いなくティーダの勝ちとして終わっていただろう。
話しを聞くかぎりでも、今までティーダはユウナという人物を守る為にガードとしてチームを組んで戦っていたらしい。
ならば、あの結果も仕方が無いといえるだろう。少なくともティーダの畳み掛けるような攻撃には一目置くものがあった。
目の前の攻撃を交わし方も申し分ない。戦闘経験というものはウソをつかない。幾多の戦いを潜り抜けてきた、というものこれで信憑性が増した。
つまり、ティーダをフォローする者が一人でも居たら、彼の戦闘力は先の戦闘とは比べ物にならない程に上がるはずだ、と。
「って、私は思うな」
時刻は模擬戦が終わって少し後。なのははティーダの管理局への協力の手続きや、シーモアの報告書などを作成していて、見ることが出来なかったはやてに報告をしていた。
その横にはフェイトも居て、なのはの言葉に頷き、さらに言葉をつなぐ。
「陸戦で背中を預けられる仲間がいるって条件なら、ティーダは強い。こっちの戦いに慣れるまでは時間が掛かるだろうけど、それさえクリアしたら並大抵の事では負けないんじゃないかな」
「私は見てないから分からんけど、二人がそうそう言うんやったら大丈夫かな」
そう言って更にフェイトの横に居たティーダに視線を向ける。
「ティーダ君、改めて六課部隊長の立場から言わせて貰います。フォワードとして六課に協力してください」
「まかせとけっ!」
そういって拳を作るティーダ。
ティーダとしてはリニアでの一件の時に拒まれたこともあり、模擬戦が終了した後もどうなるのかと不安ではあったが、はやての言葉を聞き、顔に笑顔を浮かべた。
そしてもう一つ、気になることがあったのでそれを口にする。
「それでさ、海の件だけど、どうなるんだ?」
そうなのだ。元々ティーダを乗せるための条件として提示された海への入水許可。勝てば許可、という条件だったのだか、結果だけを見れば引き分け。どうなるのか気になって仕方が無かった。
「ん~、ちゃんと隊舎に入るときに体を拭いてくれればええよ」
「よっしゃ!」
「あ、あと!ちゃんと訓練にも参加すること!」
「……まじッスか」
「おおまじッス」
海に入れるということで喜んだのも束の間。はやての訓練にも参加、というセリフで肩を大げさに落とすティーダ。
ティーダは戦闘訓練というモノを受けずに今まで自身センスで戦ってきた。そんなセンス頼りで生き残れたというのはスピラでの仲間のフォローがあったからだと言う事はティーダも忘れてはいないし、感謝もしている。
しかし元々戦うと言う事が好きでは無いティーダはあまり訓練には気乗りしない。
仕方の無いことだと言う事も分かってはいるのだが。
そんなティーダを見かねてフェイトが声をかける。
「ほらティーダ、元気だして!あ、そうだ。なんなら私例のボール作るのも頼んであげるから!」
「本当か!」
バッと顔を上げて先ほどとは違う、笑顔のティーダ。
その勢いにフェイトは若干の後ずさりをしながら、はやての方を見る。はやてもその様子に苦笑をし、頷く。
「よっしゃ!訓練でもなんでもこいってんだ!」
スピラではブリッツボールに触れる機会がそう少なかった為に、テンションの上がるティーダ。
「ブリッツボールかぁ、一度試合見てみたいなぁ」
「そうだね。水中格闘球技、なんて聞いたこと無いかも」
「無いかも、じゃなくて聞いたことあらへんわ。どんだけ危険なスポーツやねん」
そんなティーダを見つめ、会話をする三人。
彼らもスポーツに詳しいほうではないが、360度全てを水に覆われ、そこで球技を行う。さらにソコではタックルや肘うち、さては場外にたたき出す事さえOKとされている、ある意味普通の格闘技よりも危険なモノなのだ。
正直に言うと三人は未だにブリッツボール、そしてその人気プロ選手だったという事にまだ半信半疑だった。ティーダの運動神経は確かに常人を越している。だがしかし、そんな野蛮なスポーツをやっているとは到底思えなかったのだ。
「せめてもう一人居てくれたら簡単に見せる事はできたんだけどな」
そういってティーダが思い出すのは仲間の一人、ワッカ。
彼はティーダをビサイドオーラカというチームに引き込んだ人物で、ブリッツボールの選手としてもある意味活躍していた。
旅の途中に何度かワッカの武器にもなっていたブリッツボールを使って簡単なキャッチボールもしていた。
そのキャッチボールも旅が進むにつれて回数は減っていったのだが。
「あぁそや、ティーダ君。一個聞きたいことあるんやけど、ええか?」
「ん? なんスか?」
旅の事を振り返っているとはやてが話しかけてきた。
聞きたいことと言われても、白魔法やオーバードライブの事は既に話しているし、戦闘に関してはやて達が聞きたいことなんてあるのか。
ティーダには分からなかったが、自身がミッドの魔法に驚かされっぱなしなのと同じように、自分にとっては当たり前でもはやてたちには違うのだろう、そう結論付けた。
しかし、はやての質問はそんなティーダの考えとはまた別のものだった。
「キャロに召還してもらったやろ?その時俺なら大丈夫!って言ってたけど、なんでなん?」
「……え?」
「いやな。あの時は色々あって聞きそびれてたけど、よく考えたらコッチの魔法を知らないティーダ君が何で大丈夫!って言い切れたんかな、と」
言葉に詰まった。
ティーダが大丈夫、と言い切れたのは自分が夢の存在だと分かっていたからだ。
それでも出来るかどうかは自信でも半信半疑だったし、結果オーライという形だったのだ。
ただ、はやてが今聞いているのは何故成功したのか、ではなく、なぜ大丈夫だと思える判断材料があったのかと言う事だ。
ティーダにもソレくらいは分かっていた。
だからこそ言葉に詰まった。
ニュアンスの違いになってしまうが、ティーダは自信が夢の存在だと理解はしているが、認めた訳ではなかった。
自分は人間だと思っているし、他の人たちと違うところも無いと考えている。
しかし、今はやてたちに自分が夢の存在だと伝えてしまうと、何かが足元から崩れてしまいそうな気がした。
「あー、うん。あの時は俺も必死だったからさ。つい大丈夫!って言っちゃったんだよな」
「適当いうてたんかい!?」
結局、ティーダは誤魔化す事を選んだ。
今は仲間と成った者たちにウソをつく結果になってしまうのは心が痛んだが、それでもティーダは伝えたくは無かったのだ。
ごめんな
ティーダは心の中でそう呟いた。
こんな感じ。