小鳥たちは大空を目指して   作:鳴海真央

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小鳥たちは夜に啼く・前編

「……涼風(すずか)

「なぁに?」

「無理矢理にでも連れてきて正解だったと思うわ、夕凪(ゆうなぎ)ちゃん」

 

 アタシと同じベッドの中で、アイカツモバイルを片手に言う望海(のぞみ)

 

「『私の目に狂いはなかった』的な?」

「そうね。……けど、あのオーディションの後、涼風がいなくなってたから、なんでかなーって思ってたこともあったのよ。

 後から言わせてもらうけどね。……ピンときたのかしら。可愛さに」

「それもあるかな~」

「フフッ。……もしかして、手篭めにしたかったとかは?」

 

 持っていたモバイルをベッド脇のテーブルにおいて、アタシを見る望海。

 

「あはは、それは流石に……だけど、反論できないかなー」

「したかったのね。それで、美空ちゃんをつけた、ってことは……?」

「多分、ユウちゃんと美空(みそら)っちは絶対仲良くなるって確信があったし、涼風とのぞみんみたいな関係性も出来るんじゃないかなーっていう考えもあった」

「……この同性愛傾向者奴(レズビアンめ)……、とか言ったら、ブーメランなんだけどね。この娘と結ばれたいって気持ちを制御できると思う?」

 

 こんな感じに、とアタシを抱きしめる望海。

 

「理性が鎖をつけてくれるでしょ」

「その理性すらも破壊されてしまうような、だったら」

 

 アタシの髪の毛を撫でながら言う望海。

 

「適当な理由をつけて、呼びつけて唇を奪う。のぞみんにもその経験あるんじゃない?」

 

 軽い気持ちで言ってみたら「ある」と即答だった。

 望海は半端ないね。アタシより、同性愛傾向感あるじゃない。

 

「――そんなことをさらり、と言っちゃう、望海さんにしては、かなり理性が効いたほうじゃないの? ユウちゃんと美空っち見て、踏みとどまれたって」

「……あの後、もう吐きそうになるぐらいにムラムラしてました」

 

 うわっ、と口から漏れるアタシ。

 

「いつかさ、あの二人と、ヤりたいな、って……」

「このレズビッチ。怖いよ、望海」

「あらぁ、心外」

「ごめん、思ったことをつい口走ってしまった」

「……本音、ってわけね」

「その通りだぞ」

「しょうがない子ね、涼風は……」

 

 ……と、またアタシはのぞみんに抱かれる。

 ――この関係は、学園に入るほんの少し前に遡る。

 アタシと望海は、幼馴染のような関係で、昔から仲が良かった。

 可愛くなっていくアタシを見た望海が、じゃれついてきたのが始まりだった。

 そのじゃれつきがいつしか、性的興奮を伴ってきてしまい……。

 ――というところで、思考が途切れる。

 絶妙な加減で、望海はアタシの頭に快楽を流し込んでくる。

 

「の……望海……」

「まだ、イッちゃだめよ。もう少し、……耐えて」

「む、無理……。気持ちよすぎて……飛んじゃいそうだから……ぁ……」

 

 落ちていきそうな意識の中、アタシは夕凪と美空が、こういう行動をされて、どんな声で啼くのか、というのを思っていた。

 こんな穢れも知らなさそうな、あの二人の……。

 ――アタシの意識はそこで途切れた。

 

 -☆-★-☆-

 

 望海とセックスした夜が明けた日のお昼。食堂に行くと、いつものように夕凪と美空が食事をしているところを見かける。

 すごく仲が良さそう。お互いの話で笑っているようにも見える。

 少し距離を置いて、お昼ごはんを食べていると、美空の方から夕凪に近づいた様子が目に入った。

 

(えっ……。ちょっと待って……。この場で、それって不味いんじゃない……!?)

 

 自分たちがするキスは、恥ずかしくもなんともないのに、他人のキスシーン見るのは、少し恥ずかしい……。

 あとで、二人はしまった、って顔をしていたけど、誰も気に留めなかったらしい。

 うーん。あの二人の関係性、アタシが思ってる以上に進んでいる感じがする。

 一応、美空の方にはどうやるのか、っていうのは、言ったけど……。それとなく、あとで二人に聞いてみようかな……。

 ……と、思っていたら、数時間もしない内に、人の気配があまりない食堂で二人と話をすることができた。

 どうやら、どっちかの感情が高ぶると、キスしたりするらしい。

 

「……それで、夕凪は美空をどう思ってるの?」

「私は……、美空に対する感情で振り回されてます」

「振り回されてる……か。じゃあ、美空を『友達として』好きなのか、『女の子として』好きなのか、っていうのはわからないんだね?」

 

 はい、と答えた夕凪の顔は、しょんぼりしているようにも見えた。

 

「なるほどねえ……」

「あの……。私は、どうしたらいいんでしょうか」

「んー……。どうするもこうするも、『心のままに』でいいんじゃないかな」

 

 そう、それでいい。ともう一人のアタシが、アタシに肯定してくれる。

 結局、アタシも望海と関係を続けているのは、望海が優しいからのもある。

 お互いを見合わせる二人。

 

「そっか……」

「心のままに……か」

 

 声を揃えてありがとうございます、と言って、二人はその場を後にした。

 少しは、変わるといいな。アタシが面白いと思う方向に。

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