お兄ちゃんがいれば、そこがまほろの理想郷   作:楓/雪那

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ホ ン ト に 出 た

一昨日(1話を書いた後) 4月まほろが出る
昨日          理恵限凸
今日          千紗が出る

やっぱ書けば出るんだなぁ

感謝の第二話投稿です。


2話

「おはよう、お兄ちゃん」

 

 

「おう、おはようまほろ」

 

 

宮路優斗、24歳。

 

まほろ達のマネージャーで、まほろの最愛のお兄ちゃん。

 

 

「今日はまほろの為にお休み使ってくれてありがとね。」

 

「別に構わないさ。むしろまほろこそいいのか?折角の休日に俺なんかと一緒で」

 

「…お兄ちゃん、それ本気で言ってる?」

 

「ハハ、冗談だよ。まほろは昔っからお兄ちゃんっ子で、社長にわざわざ自分のマネージャーとして推薦するくらいだしな~」

 

「ム~…えいっ」

 

「いった!おま、照れ隠しでヒールで人の足踏むやつがあるか!?」

 

「踵じゃないだけ優しいでしょ?」

 

「そういう問題じゃなくてな~…」

 

「ほら、早く行こ。時間がもったいないよ?」

 

「はいはい…」

 

 

まったく、公共の場でそんな恥ずかしい思い出話しなくてもいいのに…

 

…でもこんなしょうもないやり取りをするだけでもすごい楽しい。

 

ずーっとこの時間が続けばいいのになぁ。

 

 

 


 

 

 

午前11時00分

 

 

電車に乗って30分揺らされて到着したショッピングモール。

 

目当てのラーメン店はここの中にはないけど歩いて10分くらいの距離にある。

 

お昼には流石にまだ早いしここで時間をつぶすって話になった。

 

 

「どこから回る?」

 

「まほろは服からがいいな」

 

「OK、行こうか」

 

「折角なんだしさ、お兄ちゃんがまほろのコーデ決めてよ」

 

「俺が?うーん…」

 

「いいじゃん、久しぶりだしさ、ね?」

 

「…わかった。でもあまり期待するなよ?」

 

「ふふっ、どーだか」

 

 

あんな渋った感じしてるけどお兄ちゃんはまほろより服とかアクセサリーのセンスがいい。

 

まほろが子役だった時にたまに選んでもらったけど、当時のコーディネーターの人が驚いてたっけ。

 

『彼ほどあの子の真の魅力を引き出せる人間はいないだろう』って。

 

今思い出してもすっごい大袈裟っぽいけど、間違ってはないんだよね。

 

当時は着せられるまま着ててこっちのほうが似合うどうこうは分からなかったけど、今だとまほろが自分で選んだものより似合ってるって贔屓なしに思っちゃうもん。

 

時にはまほろが着たいと思ったものをよりまほろっぽさを出して、時にはまほろがまったく思ってもみなかったものを取り出してきて。

 

ちょっとのアクセサリーをお兄ちゃんが付け足してくれるだけで、良さが段違いなんだ。

 

でも本人は一度だって自分のセンスが優れてるって思ったことはないみたい。

 

そっちの道からスカウトされたことだってあるのに、変なの。

 

 

「ほらまほろ、これとかどうだ?」

 

「うん、一度試着してくるね」

 

 

お兄ちゃんが渡したのはワンピース。

 

リネン生地でパーカーのついたタイトデザインのやつ。

 

色もまほろ好みなんだけど…

 

 

 

「お兄ちゃん、着てみたんだけど…」

 

「ん?どっか気に食わないところがあったか?」

 

「気に食わないっていうか気になったんだけど、丈間違ってない?」

 

 

 

お兄ちゃんが渡してきたのはワンピースの中でも特に丈の長いマキシ丈のやつ。

 

 

 

「まほろは背が小さいから膝上丈のほうが合うと思うんだけど。」

 

「ん~、俺もそう思わないことはないんだけどな。けどさ膝上丈ってどっちかっていうと可愛く見せる服なんだよね。でマキシ丈は美しく見せる方。それでエールブルーの中で大人っぽさを感じさせるWindにまほろは所属しているからさ、可愛いよりは美しいに寄せて大人っぽさを出した方がいいんじゃないかなって。」

 

「ふーん…」

 

 

やっぱり流石だなぁ。

 

まほろが好きそうなものをベースにして、かつ新たな面を引き出そうとするちょっとしたアクセント。

 

ホントそのセンスいい加減に自覚して欲しいんだけど。

 

 

「…まぁそれは理由の半分くらいで、残りは単純に俺が見てみたいってだけなんだけどね。」

 

「…!そうなの?」

 

「ああ、まほろってさあんまりワンピース、というより長袖のボトムスを履かないだろ?だからちょっと見てみたくてな。」

 

「…じゃあこれにする」

 

「え?もっと試さなくていいのか?」

 

「いいの。ラーメン食べに行く時とき荷物多いと迷惑だし、それにたくさんより一着のほうが価値が高そうじゃん?」

 

「うーん…そういうものなのか?」

 

「そういうものなの。ほら会計行くよ」

 

 

ずるいなぁお兄ちゃん。

 

好きな人からそういうこと言われたら買わないわけにはいかないじゃん。

 

選ぶセンスはよくても、気付くセンスは悪いんだから。

 

女の子ばっかの職場で働いてるんだから、もっと敏感にならないと。

 

…どうせまほろの好意も家族愛としか受け取れてないんでしょ?

 

 

 


 

 

 

午前11時50分

 

お目当てのラーメン店へ。

 

まほろが注文したのは背油ごってごての味噌ラーメン。

 

お兄ちゃんは血かなんかと見間違うくらいなんというか…毒々しい?担々麺。

 

 

「「いただきます」」

 

 

うん、やっぱりラーメンには背油がないと。

 

よく「背油は苦手」っていう人がいるけど、まほろからしたら背油がないラーメンのほうが考えられない。

 

この前なんかお兄ちゃんと舞花と千紗の四人で自家製の美味しい背油の作り方を実践したくらいだもん。

 

 

「お兄ちゃん、それ美味しい?」

 

「んー?普通に美味しいけど、いる?」

 

「いやいい…それ前に昼のバラエティで紹介されてた悶絶必死のメニューなんだけど、なんで普通に食べれてるの?」

 

「なんでって…美味いから?」

 

 

お兄ちゃんの味覚はよくわからない。

 

今みたいに見てるだけどもおかしくなりそうな辛い物を普通に食べるのに、甘いものが苦手ってわけでもない。

 

妹のまほろにもお兄ちゃんの苦手な食べ物については知らない。

 

 

「…お兄ちゃんって食べれないものとかあるの?」

 

「どうした、藪から棒に」

 

「お兄ちゃんって辛党なのに甘党じゃん。苦手なものがないのか、それとも味覚音痴なのかなーって」

 

「いや、一応苦手なものはあるけど」

 

「あ、あるんだ。何々?」

 

「イナゴの佃煮とか蜂の子とか」

 

「あぁ…なるほど」

 

 

ビジュアル的にきついのが無理なんだ。

 

……あれ、結局味覚に関してはどうなんだろ?

 

 

「俺からしたらまほろの食欲も相当謎なんだけど」

 

「え、そう?」

 

「そのほっそい体にそんあ背油ギットギトのラーメンがよく入るなって。前に絢から聞いたけどWindの皆とアイス食べた後に一人だけカップ麺二杯食べたんだって?しかも手作りの背油ぶっかけて」

 

「美味しいからいいじゃん。」

 

「まあお前は自己管理がしっかりしてるからとやかく言わないけどさ。けど子役時代からそういうラーメン食べて太ることもなかったから不思議だな。」

 

「もう一回その話したらぶつよ?」

 

「悪かった。」

 

「ったく…」

 

 

女性に体重聞くなんてほんとにダメなんだから。

 

そういえば、昔高校の友達を背油ちゃっちゃ系のお店に誘ったら怒られたっけ。

 

「私がダイエットに頑張ってるのにアンタはそんないかにも重そうなもの食べてずるい」とか言われたな。

 

でもそんなこと言ったら何にも食べられなくなるじゃん。

 

まほろは食べたいものを食べてるだけなのになんでそんなこと言われなきゃならないんだか。

 

でもお母さんには「まほろは女優なんだから食事も気にしないと」って怒られて、

 

そしたらお兄ちゃんがまほろが女優をしながらラーメン食べれるように無理のない日々のトレーニングメニューを立ててくれたり、ヘルシーな背油ラーメンを手作りしてくれたり…

 

 

「…?どしたまほろ、箸止まってるぞ。」

 

「え?ああ、ごめん。ちょっと考え事してて。……ねぇお兄ちゃん、今度時間があったらさ、またラーメン手作りしてよ。」

 

「お?構わないけど…今日はなんかいろいろ唐突だな。」

 

 

 


 

 

 

午後7時00分

 

その後はまたモールに戻って本屋とか雑貨店に回ったり、モール外の小物店とかお菓子屋とかを回った。

 

それで電車でもといた駅に戻って、今はお兄ちゃんの家。

 

今日のお出かけの約束をした二週間前からお泊りはお願いしてたんだ。

 

お兄ちゃんは渋ってたけど昨日のWindの皆でやった収録の成果次第って言われた。

 

そんな事情を知らない真咲さんや桐香先生、監督から高評価をいただいて、まほろはお泊りの権利を勝ち取ったってわけ。

 

先生からも指摘されたけど、いつもより熱がこもってたみたい。

 

別にいつもが適当ってわけじゃないよ?

 

ただ普段のまほろはそつなくこなす感じだからさ。

 

そんなまほろだけど、今はちょっぴり不機嫌。

 

なんでかっていうと、お出かけ中にほかの女の子のことを考えてたから。

 

本屋では声優の雑誌にインタビューとして載ってたBirdの皆のことを、

 

雑貨店や小物店では「これは鳴に似合いそう」「ほのかとかこういうの好きそうだよな」とか、

 

お菓子屋では「これ志穂が前絶賛してたっけ」「そういえば絢が前雑誌で見てた時気になってたな」とか、

 

終いには夜ご飯の買い出しにスーパーに行ったとき日本酒のコーナーで結構悩んでた。

 

この流れだと絶対美晴とか凛音のことでも考えてたに違いない。

 

お菓子屋の時に「今はまほろとのお出かけなんだから他の子の話しないでよ」って注意したから口にはしてなかったけど、絶対考えてた。

 

 

「…まほろ、もしかして機嫌悪かったりする?」

 

「そーですよ、機嫌悪いですよ。」

 

「あれか?ほかの子の話したからか?」

 

「分かっててやってるなら最低だと思わない?マナー違反だと思わない?」

 

「…いや、すまなかった。つい癖で…」

 

「そうだよね。()()()()()()はいつも皆のこと考えてるもんね。それがお仕事だもんね。だからまほろとのお出かけ中でも他の子のこと考えちゃうんだ」

 

「う…」

 

「でもさ、仕事外に二人きりって久しぶりじゃん。だから今日は『マネージャー』じゃなくて『お兄ちゃん』でいてほしかったんだけど」

 

「…ごめん、まほろ。俺の配慮不足だったな。詫びってわけじゃないけど、なんでも言ってくれ。兄としてお前の要望に応えたい」

 

「へぇ…なんでもって言ったね?それじゃあまほろと一緒にお風呂「それはダメ!」…えー、なんでもじゃないじゃん」

 

「流石に常識の範囲で考えてくれ」

 

「ちぇっ…それじゃあ一緒のベッドで寝て」

 

「えぇ…いやでも風呂に比べたらマシか…」

 

 

ふふっ、作戦通り。

 

最初に大きなお願いをして、それよりかは小さめな本命のお願いをするっていう交渉の定石。

 

まぁまほろにしてみたらどっちも本命なんだけど。

 

 

「ああそうだ、まほろ。はいこれ」

 

「ん?何これ?」

 

「開けてみれば分かるよ」

 

 

お兄ちゃんがくれた箱の中にはネックレスが入っていた。

 

しかもダイヤモンドがあしらわれたやつ。

 

 

「嘘…これダイヤモンドでしょ?高かったんじゃ…」

 

「はは、決して安くはなかったけどまほろに送るならこれだなって。ダイヤモンドは四月の誕生石、石言葉は『純潔』『変わらぬ愛』『永遠の絆』。…誕生日おめでとう、まほろ。大好きだぞ」

 

「っ!…やっぱりお兄ちゃんはずるい。焦らしすぎて忘れるんじゃないかなとか思っちゃったじゃん…」

 

「俺がお前の誕生日を忘れるわけないだろ?」

 

「だったらもっと早く言葉かなんかにしてよ…不安になったじゃん…ばかぁ…」

 

 

今までの不安が嬉しさに変わって泣いちゃった。

 

やっぱりお兄ちゃんは卑怯だ。

 

…でもそんなところが大好き。

 

 

……欲を言えば、石より花のほうがよかったな。

 

知ってる?4月9日の誕生花。

 

ミモザの花言葉は『秘密の恋』、

 

オキナグサの花言葉は『告げられぬ恋』や『裏切りの恋』

 

ダイヤモンドの石言葉も嬉しいけど、それだと今の仲のいい兄妹のまま。

 

花言葉のほうがまほろの求めてるような関係だから。

 

だから……いつかお兄ちゃんのほうでこの気持ちに気付いてまほろの誕生花を送ってね。

 

 

 

 

 

 




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