まずチームの結成はWindが二番目であり、Birdより先にできています。
またWind結成までマネージャーはいないという設定です。
今回はそのお話。
「まほろは…嫌です」
真咲さんから新たなチーム「Wind」のメンバーとして美晴、絢、莉子の三人と共に活動しろと言われたとき、まほろはこれを拒否した。
さっきまでやっと声優として活動できる―って喜んでた三人も二度目のびっくり顔。
まぁその反応は当然だよね。
声優としてやっていくためにこの事務所にいるのに、その仕事を拒否したんだもん。
でもまほろはチームじゃやっていけない。
「まほろはチームでのデビューなんてしたくありません。まほろは…一人で…誰よりも認められる声優に…」
「そう…あなたの意見は聞いておくわ。でも、これはもうすでに決定事項になったの」
そりゃそうだ。
たかだか一人の声優、ううん、まだデビューもしてない未熟者の意見を尊重して、四人の新人のデビューを遅らせるとかありえない。
そんなの分かりきってた。
だからまほろもこの手を使う。
「……それなら、条件を付けさせてください」
「…何かしら。言ってみて」
「マネージャーはまほろに選ばせてください。現状エールブルーにマネージャーがいない今、その人に他のチームを同時に任せてもいいです。でももし真咲さんが他にマネージャーを用意していたとしてもWindのマネージャーはまほろが連れてきた人に任せてください。」
「…確かにマネージャーは我々の事務所には必要ね。でも仮にあなたが子役時代に所属していた事務所から引き抜くというのは難しいわよ。設立から間もない新人たちの集いにベテランを連れてくるのはあなたみたいに向こうから希望してこない限り現実的ではないわ」
「分かってます。でも当てはあります」
「……いいでしょう。それなら一週間以内に私のもとに連れてきてください。レッスンとの兼ね合いもありますからね。そこで私が審査して合格したらエールブルー専属のマネージャーと認めましょう。けれど期限内に連れてこれなかったり審査不合格の場合は、私や桐香が後々選んだ人にマネージャーをしてもらいます」
「分かりました。ありがとうございます」
まほろとの交渉を終えた真咲さんは桐香先生とレッスンのスケジュール作成をしに出ていった。
まほろは他の三人とちょっとけんか腰みたいになっちゃった。
「それで俺にマネージャーになれと?」
「そう」
夜、お兄ちゃんと夕飯を食べてる最中にその話をした。
「いやいや、正気か?俺、そういうの素人だぞ?」
「素人じゃあないでしょ。昔はまほろの専属マネージャーだったじゃん」
「そんな偉いものじゃなかったろ。俺はあくまで豊川さんの補助というか見習いみたいなやつだから」
「自分でモデルやりながら他人のマネージメントやる時点で相当おかしかったからね、お兄ちゃん?だからそんな言い訳今更って感じなんだけど」
お兄ちゃんとは大学進学のための上京と同時に同居させてもらってる。
家賃節約と防犯のためにってお兄ちゃんから提案してくれた。
まあたとえ何も言われなくてもまほろの方から行くつもりだったけど。
「つーか俺そもそも社会人よ?新卒三年目なんですが?」
「その勤め先だって真っ黒じゃん。定時のギリギリ前に新しい仕事増やすのは当たり前、部下の手柄を上司に譲るのが暗黙のルールみたいな会社なんでしょ?そんなにこだわる理由ある?」
「……世間体?」
「なんで疑問形なのよ。それにそんな理由なら他の企業からのヘッドハンティングって事情があるから何とでもなるでしょ。」
「お前こそそこまで俺にこだわるかね…」
「お兄ちゃん、それ本気で言ってる?まさかまほろにお兄ちゃん以外に頼れる人がいると思ってるの?」
「そこじゃねーよ。お前は買いかぶりすぎなんだって。頼ってくれるのは嬉しいけどさ、適任ってものがあるだろ。それこそその真咲さん?って人が探し出した方が間違いないって」
「だから真咲さんに審査してもらうんだって。お兄ちゃんなら余裕だろうけど」
「……頑固だねぇ、この
「それは
頑固はいったいどっちなんだって。
このハイスペックお兄ちゃんは頑なに自分の才能とか実力を認めようとしない。
どれくらいすごいかって?
さっき定時ギリギリ前に仕事増やされてるって言ったけど、お兄ちゃんはそれを30分以内に終わらせる。
二回くらいやむを得ず仕事を持ち帰ってきたことがあったけど、その時に作業中のファイル見たら尋常じゃないくらいの量があった。
それこそ普通なら二時間以上かかりそうな量が。
でも帰ってきたときには8分の7くらい終わってたんだよね。
つまり帰ってくる前の30分でその量こなしてたってわけ。
あと料理もすごい上手。
仕事上がりで疲れてるはずなのになんでそんな本場顔負けの中華とかフレンチが作れるんだって次ぐ次ぐ思う。
弱点をあげるとすれば自己評価の低さと直感の外れ具合かな。
それさえあればあんなブラック企業に入社することなかったのに……いやでももし今別の会社にいたら引き抜ける可能性がもっと減ってたかも……それだけは感謝しとこう。
「……わーったよ。行きます、行けばいいんでしょ?けど落ちたらお前も潔く諦めろな?」
「うん、よろしい」
先に折れたのはお兄ちゃん。
これもいつものことなんだけどね。
それにまほろは確信してるし、お兄ちゃんなら採用されるって。
3日後、まほろはお兄ちゃんを事務所に連れてきた。
お兄ちゃんはこの日なら休みだからって言うからね。
「じゃあ社長室行くよ」
「ちょい待ち。その前にレッスン室に寄らせてくれ」
「なんで?」
「設備と人材の確認のため。一度見といた方が社長さんとも話しやすいと思うしな」
まほろはお兄ちゃんを連れてレッスン室に行った。
レッスン室では莉子と美晴、それに志穂と柚葉もいる。
教えているのはいつも通り桐香先生みたい。
「それでは10分間休憩とします。各自水分補給をしっかりとね。……それとそこで隠れている方は何の用ですか?」
「別に隠れてたわけじゃないんですけどね……初めまして、宮路優斗と申します。いつも妹がお世話になってます」
「……なるほど、あなたが宮路さんが言った……」
お兄ちゃんの自己紹介に四人は驚いている。
確かに真咲さんと桐香先生とりおさんしか知らなかったはずだからそうなるよね。
「まほろってお兄ちゃんいたんだ!」
「え~、なんで教えてくれなかったのまほろ?」
「別に教える必要ないでしょ」
「そんなことないよ。私まほろとお兄ちゃん談義したかったもん」
「あら、その談義楽しそうね!私も交ぜてほしいわ!」
「いや柚葉にはお兄ちゃんいないでしょ」
「いや、そうとは限らない。柚葉ほどの貴族の家庭なら闇に葬られた義理の兄がいても不思議じゃない」
「例えが重いよ志穂!」
ああダメだ、志穂と柚葉が同時に揃うと途轍もない不思議時空が展開されるから頭が痛くなりそう。
おまけに美晴まで加わるとどうなるか想像もつかない、つきたくない。
よし、莉子に全部投げよう。
「あー、皆さん。お楽しみのところ悪いけど、よかったらこれどうぞ。」
「え、なんですかこれ……っ!?」
「これは……はちみつレモン!」
「2日前に作ったやつです。差し入れということで」
「ありがとうございます、いただきます!」
皆目を輝かせてはちみつレモンを食べる。
疲れた体にお兄ちゃん特製のあれは聞くだろうな。
そんなことを考えてたら桐香先生が話しかけてきた。
「彼が宮路さんの勧めるマネージャー候補で間違いないのね?」
「はい。桐香先生から見てどうですか?」
「悪くないわ。型になってるのはもちろん馴染むのも早い、それに真っ先にレッスン室を見に来るというのは評価が高いわ。観察がしっかりとなってる。私の直感だけど彼、事前準備と咄嗟の対応力のどっちも優れてるんじゃないかしら?」
「はい。あのはちみつレモン以外にもあのハンドバッグにはもしかしたら使うかもしれないって言ってタオルとかスポドリとかテーピング用具とかが入ってます。でもどんな声優がいるかとかはまほろに聞きはしませんでした。前情報なしに自分の目で確かめたいからって」
「やっぱりね。あの若さでこれは優秀すぎるわね。どこ所属なの?」
「……あれ本業じゃないですよ」
「え?」
「ちなみにマネージャーやってたのは中学二年からです」
「……そんなことがありえるの?」
「まあそう思いますよね」
ほんとに冗談かなんかかと思うけど事実なんだよね。
てかなんかお兄ちゃんと美晴たち盛り上がってるんだけど。
……イライラする。
「え!まほろって家ではべったりなんですか!?」
「あーやっぱりそう思うよね。ここでもザ・一匹狼みたいな感じでしょって痛い痛い痛い!首筋つかんで引っ張るなまほろ!」
「余計な事言わなくていいからそろそろ行くよ」
「照れ隠しも外面の切り替えも激しいんだよお前は!あ、すいません失礼しました!そろそろ離せ!」
前回ほどうまく書けてる自信ないわ
ちなみに私の中でのWindメンバー四人を家族で例えるとこんな感じ。
莉子:父親
まほろ:長女
絢:次女
美晴:三女
感想・意見・解釈一致or違いなどありましたらよろしくお願いします。
どのチームが好き?
-
Flower
-
Bird
-
Wind
-
Moon
-
まだやったことないから分からない