ダークサイド・アドベンチャー   作:ゲオザーグ

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意外と進んだような進んでないような、ってか他のもこの調子で進めたい(4/28完成後予約投稿)


第2話

 ギガドラモンが重厚そうな翼に反したスピード特化の性能(スペック)をフルに発動させて向かった先には、広大な砂漠の一角に巨大なピラミッドが、上下逆の状態で頂点部分を地面に突き刺し(そび)え立っていた。

 

(そーいや何だったかのゲームで、逆ピラミッドの上に城が乗ってるって荒唐無稽なのがあったっけな……アンバランスすぎだろと思ったが、地面に刺さってるの見る分にはそこまで不安定ではなさそうかも……)

 

 件の建物――名前は思い出せなかったが、確か『チェルノブイリ』だとかそんなイントネーションだった気がする――のことはさておき、眼下のピラミッドの周囲には、底辺が目隠し兼いい日陰となって上空からは見えないものの、両腕のクローを展開し、中心から発射される生体ミサイルをベースにした光学迷彩(ステルス)探査機(サーチャー)から送られる映像で、赤い2足歩行恐竜型の『ティラノモン』や、鼻先の大きな角が特徴の『モノクロモン』、両者に比べ小さい獣型の『ガジモン』がそれぞれ複数体確認できた。

 

「エテモンは既にピラミッドの中か、タイミングもバッチリだな。それじゃお披露目しましょうかね、『ディメンションギア』!」

 

 彼等の親玉で、今回の企みには邪魔になる『エテモン』や、その標的(ターゲット)の『選ばれし子供達』がこの場にいないうちに終わらせてしまおうと再度両腕を構えると、「どこに収まっていたんだ」と思うほど大量のミサイルが、地上のデジモン達に襲い掛かる。

 

「な、なんだぁ!?ゴワァ!」

 

「て、敵襲ギャア!」

 

「ヒイィ!助けウギュウ!」

 

 慌てて騒ぐガジモン達を始め、突然の襲撃にパニックを起こしたデジモン達は、襲撃者(ギガドラモン)の姿に気づく間もないまま、成す術なく爆発に巻き込まれ姿を消し、逆ピラミッドの周囲に静寂が訪れる。だが決して彼等は抹殺されたわけではない。

 

()()()()、と。それじゃ、バレる前にお(いとま)しましょうかね。カキーンと監禁!ダッシュで脱走!」

 

 おそらくエテモンと『選ばれし子供達』の戦闘が繰り広げられているピラミッド内部以外にデジモンの反応が無くなったのを確認すると、長居は無用と即座に離脱する。

 ギガドラモンの目的は、彼等の回収。本来ならエテモンが倒して以来、一帯の支配に使っているダークネットワークの制御を担わせていた『ナノモン』が、復讐のために間もなく起こすであろうネットワークの暴走に巻き込まれ、消滅する展開になっていた。しかし「どうせ碌な出番も活躍もなく消えるなら」と自軍の戦力補強も兼ねて、転送装置に改造したミサイルの性能調査がてら、こうして犠牲となる前にそっくり頂戴してしまうことにした。

 

「さぁて、次はヴァンデモン編だが、どうやって取り入ろうかねぇ……」

 

 最早遥か後方に、点と見えるかどうかまでに距離の離れたピラミッドでは、暴走したダークネットワークの暗黒の力ごと吸収したエテモンが『選ばれし子供達』を相手に暴れているところだろうが、既にギガドラモンの思考は、獲らぬ狸とばかりに早くも続く敵『ヴァンデモン』の勢力下を食い荒らすことに向いている。

 身も蓋もない言い方をしてしまうと、幾ら戦力を充実させたところで順当に彼等の冒険(ストーリー)が進んでいけば、ご都合主義的な補正なり何なりでこちらの敗北は必須な以上、結局自己の生存が第一となれば現在の手駒たる『メタルエンパイア』共々手放すことになりうる可能性は高い。それでもあるに越したことはないし、うまいこと手懐けて育てれば、何体かは予想外の活躍を見せてくれことも十分有り得るし、そのための準備だってしてある。

 

「単純に傘下に加わるだけならピコデビモンかテイルモンに接触すればスカウトされるだろうからいいとして、その前にどの姿でそうするかだよな。完全体なら現実世界に侵攻する前に足止めで(けしか)けられることはないだろうが、逆に現実世界で『選ばれし子供達』に遭遇した際に取り逃がしでもしたら、容赦なく消してこようとしてくるだろうし……」

 

 ヴァンデモンは、わずかな失敗でも使えないとなれば容易く部下を粛清してしまう程冷酷かつ傲慢な暴君で、作中でも命令を無視して遊び惚けていた『パンプモン』と『ゴツモン』に限らず、長らく仕え、失敗してもお仕置きで済ませてきた参謀格の『ピコデビモン』さえも、最後は他の配下共々、、復活した際の糧にしてしまったが、実際そうした振る舞いをしながら部下に逆らわせないだけの力はあるし、それどころか『選ばれし子供達』が倒したと思ってダークマスターズ(自分達)に挑むべくデジタルワールドに帰還した時もしぶとく生き延び、後年更に力を付けてみせたのだから質が悪い。その分現実世界への侵攻に同行し、獅子身中の虫となれば、得れる物は多く、生き延びて力を付けた手法はそのまま横取りしてしまえばいい参照になる。

 要するにハイリスク・ハイリターンな以上今回のような大雑把に動くわけにはいかず、なるべく慎重にいかなければいけない。

 

「あのタマネギだったらこのまま寝てるとこだろうが……ここは時代とか設定とか考慮して、無難にいてもおかしくない設定の奴で行くか」

 

 しばらく悩んだ末にようやく擬装する姿が決まると、それまで飛行していた高高度から一気に急降下し、砂漠に潜って姿を晦ますとともに退化と進化を済ませ、しばらく進んだ後に砂中から顔を出して近くの杜へと消えて行った。




今回も各種ネタの解説

>ピラミッドの上に城~
某偉人の名を借りた別物キャラのゲームから
ネタにしてから気になったんで試しに調べてみたら思ったよりカオスだった(ちなみに『チェルノブイリ』部分は別の城の名前)

>カキーンと監禁!ダッシュで脱走!
とある怪人の決め台詞
当時は見てなかったが前回語ったトイレにはまった人が出てるってんで途中から見てました

>あのタマネギ
うーむ・・・うーむ・・・ !お、おお!
最近通り名と同じ名前の転生悪役令嬢が出たのは多分ある種の偶然
関係ないけど同じ装備でプレイした実況の最終回でEDを見た際の「タマネギ丸焼けになっちゃった!」ってコメントがツボった

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