これからも俺のミスを指摘していって下さい。
あ、オリジナルNPC、でます。
4/15 NPCの『遠征部隊隊長』を削りました。
モモンガといちごパンチーの2人が去った後も、守護者達の姿勢は変わっていなかった。
彼らが動かないーー否、動けないのは偉大なる至高の御方が最後に残していかれた言葉のせいであった。
ー『期待しているぞ』ー
その言葉はこれ以上ない激励の言葉だった。
偉大なるお方に期待してもらえる。その身に余る喜びに、守護者達は誰一人体を動かすどころか口を開くことも出来ずにいた。
「ーー期待二…オ応エセネバナランナ…」
コキュートスがようやく漏らした言葉に全員が沈黙で肯定の意を示す。
どれだけ沈黙が続いたか分からないが、誰からともなく徐に立ち上がり空気は弛緩していった。
「それにしても、モモンガ様すごく怖かったね、お姉ちゃん」
「ほんと。あたし押しつぶされちゃうかと思った」
「マサカ、アレホドトハ…」
「あれが支配者としての器をお見せになったモモンガ様なのね」
「ですね」
彼らが言っているのはモモンガが発していた“絶望のオーラ”で、本来同格の100レベルNPCには効かないはずなのだが、スタッフによって強化されたものだ。
「我々ノ忠義二応エテ下サッタトイウコトカ」
「あたし達と居た時は全然オーラ発して無かったしね。モモンガ様すっごく優しかったんだよーーー」
そんな風に緩まった雰囲気で会話が続けられていたが、セバスがモモンガを追って抜けた所で会話に入って来なかったシャルティアに意識が向けられた。
「どうかしましたか、シャルティア?」
「ドウシタ、シャルティア」
「あ、あの凄い気配を受けてゾクゾクしてしまって……少うし下着がまずいことになってありんすの」
場が静まり返る。
唯一未だ純粋なマーレだけはどういう意味か理解出来ない様子だったが。
全員が口をつぐんで様子を窺う中、アルベドは嫉妬のような感情で口を開く。
「このビッチ」
軽蔑の声にシャルティアは敵意に唇を吊り上げる。
「はぁ?モモンガ様からあれほどの力の波動ーーご褒美をいただけたのよ?それで濡りんせん方が頭おかしいわ、大口ゴリラ!」
「…ヤツメウナギ!」
両者が殺し合いでもするのかと思うほどの眼光で睨み合う。
「わたしの姿は至高の方々によって作っていただけた姿でありんすぇ」
「それはこっちも同じことだと思うけど?」
両者の距離はもはや立ち会いの距離だ。
「あー、アウラ。女性は女性に任せるよ」
「ちょ!デミウルゴス!あたしに押し付ける気?」
「もし何かあったら止めに入るから」
そう言って手をひらひらと振って離れていったデミウルゴスに続いてコキュートスとマーレも離れる。
「ところでマーレ。君はなんで女性の格好をしているのかね?」
「こ、これはぶくぶく茶釜様が選んだんです。えっと
「ふむ………であれば、ナザリックにおいて少年はそういう格好をするものなのかも知れないな」
一つ、御方至上主義によって間違った認識が増えてしまった瞬間であった。
「それと……さっきから気になっていたんだが、アレは?」
そう言ってデミウルゴスが示したのはいちごパンチーによる破壊の跡だ。
「ワタシモ先程カラ気ニナッテハイタ…」
「何か事故でも?」
そう言ってマーレに問いかけると、アルベドとシャルティアも黙ってマーレの言葉を聞こうとしていた。
どうやら彼女達も気になっていたらしい。
「え、えーっと。事故ではあるんですけど、皆さんが来られる前にいちごパンチー様が体の調子を確かめたいとおっしゃって……ああなりました」
「ふむ………いちごパンチー様は魔法は不得手だったと記憶しているが?」
「は、はい……こう、金棒を叩きつけたんですけど……」
そう言うと、あの光景を見ていたアウラ以外は驚きを返す。
「…つまり、魔法ではなく単なる物理攻撃でああなったと?」
「は、はい」
「し、信じられないパワーですね」
「コレガナザリック最強ノ
「……ちょっと怖かったけどね」
そう洩らしたのはアウラだ。
まあ当然ではある。目の前でアレだけの腕力を見せつけられたのだから、彼に対して恐怖心を抱いてしまうのは仕方が無いことだ。
「さて、二人の喧嘩も終わった事だしアルベド、命令をくれないかね?」
「…そうね。シャルティア、この話はまた後日じっくりと」
「異論ありんせん」
事あるごとに喧嘩し合う二人であるが公私の区別はついている。
守護者統括としてのアルベドが口を開く。
「ーーでは、これからの計画を」
_________________________________
「はぁぁぁぁぁ〜〜〜……………」
俺は長ーい溜息を吐いていた。
今いるのは自室の前。
先程まではモモンガさんと情報の交換を行なっていた。
そこでは当面の方針は情報を集める事と、ユグドラシルとの差異などを確認する事を決めて解散した。
色々やる事を終えて後は寝るだけ……となったんだが、俺には当然自室があり、そこで睡眠を取る。
別にそれ自体になにも問題は無い。
問題なのは、俺が造ったNPCが俺の部屋に配置されていることだ。
そのNPCの名はペトラ。種族は
俺が前線で暴れている間の超位魔法なんかに対する牽制を行ったり、俺にバフや回復、敵にデバフをかけたりする役割を持たせて造ったがレベル制限の関係でレベルは87と、カンスト勢相手には少々心許ない感は否めなかった。
しかし実際は思いの外役に立っており、仲間に貸し出しなんかをお願いされたりするぐらいには重宝された。
設定上はプレアデスの延長線のような存在で、彼女らとの仲も良い。
また、まともな性格のNPCがいないナザリックにおいては珍しい善よりの少女という事になっている。
後、俺の付き人って設定があった。仲間に貸し出しすることも沢山あったからその役割には疑問を抱いてしまうが…。
閑話休題。
で、そのペトラが居る部屋を前にしてどうしてこんなに憂鬱なのかと言うと、守護者達の例があるからだ。
彼らの忠誠心は紛れもなく本物だ。彼らの言う至高の御方に向ける尊敬の念は本物で、むしろ異常とも言えなくも無い。
そんなNPC達の中でも
もちろん、彼らNPCはみんなが残した遺産であり、子供達だ。
当然自分の子供ともいえるペトラの動いている姿を見てみたいという気持ちもある。
ある…が……いかんせん自分の思い描いたペトラのイメージなんかが壊れたりするのが怖い。
モモンガさんもおんなじ気持ちなんだろうか……と考えたが、あの人の場合はまさに黒歴史の象徴であるあのNPCは消し去りたい過去でもあるだろう。
「いかがなさいましたか?」
俺についてくれているプレアデスの長女であるユリ・アルファが訝しんで聞いてきた。
「…いいや、何でもない」
ナザリック最強の男を演じると決めた俺が自分の部屋に入る程度でビビってどうするんだ!!
(ええい、ままよ!)
自分を叱責し思い切って扉を開く。
「いちごパンチー様ぁぁぁ!!!」
「………」
壁に穴が空くのでは無いかと思うほどの勢いで突っ込んで来た核弾頭は俺に当たってその速度は0になった。
まあ支援特化だから攻撃力も大した事ないしな。
俺の硬い腹筋に当たりおでこからシューと煙を出しながら忙しなく動き出した。
「お待ちしておりました!ささ!こちらへどうぞ!お茶を入れます!あ、それとももうご就寝なさるのでしょうか?でしたら私が子守唄でもーー」
………やかましい。
だがこれは俺が造った通りになっている。
無邪気で明るくあれと造ったのは俺だ…………さすがにちょっとうるさ過ぎるが。
「ーー…あっ…そ、その!すいません!うるさかったですよね!えと、ええと……どうしたら…」
オロオロしている様子はまさに無邪気で、微笑ましくてついつい頬が緩んでしまう。
……この厳しい顔が緩むのか少々疑問だが。
「いや、大丈夫だ。お茶を頼む」
そう言うと、ひまわりが咲いたようにパァッと笑顔を見せて元気に「ハイ!」と返事をしてお茶を用意し始めた。
微笑ましいものを見るようなユリに下がるよう伝える。
「ユリ、ここまでで良い。後は彼女がいるから大丈夫だ」
「かしこまりました。何かあれば遠慮なくお呼び下さい」
淀みない動作で部屋を出て行くユリ。
あれだけ騒がしいのを見せられると少しぐらいクールでも良かったかなと思ってしまうが、きっとそれならそれでもう少し明るく〜なんて無いものねだりをしていたのだろう。
ふとペトラを見ると、羽で器用にカップにお茶を注いでいる。
………アレはどうやって掴んでいるんだろうか。今度聞いてみよう。
「お待たせしました」
注ぎ終えたらしいペトラがカップを持ってくる。
器用にカップを持っているが、どうにも安心出来なくてハラハラしてしまう。
置かれたカップには、ゲームでは感じられなかった匂いが感じられてとても新鮮だ。
「ん、ありがとう」
紅茶を飲むと、香りが鼻から抜けて行く感覚がある………が、味がイマイチ………いや、味は良いはずだ。香りも立っている。間違い無く美味しい紅茶のはずだ。なのに、俺の味覚がこれを美味しいと判断しない。
「あの………美味しく無かったでしょうか?」
顔を顰めて考えているとペトラが心配そうに聞いてきた。
…普通ならここの正解は「そんな事ないよ」なのだが、コレは“普通”では無い。上司と部下どころか主人と召使いだ。
そんな状況で相手のご機嫌を取りを行う必要は無い……と思う。少なくとも俺は思っている事を素直に伝えるべきだと思う。本心を伝える方が彼女にとっても良いだろう。
「いや、紅茶としては美味しいんだが俺としては微妙だな」
「そう……ですか……。あっ!でしたらお酒なんてどうでしょう?」
落ち込んだように見えたが、それは一瞬だった。次の瞬間には名案が思い付いたとばかりに自慢げな笑みを見せるペトラがそこにいた。
しかし、酒か…。
酒による泥酔などの“酔い”はバッドステータスの対象となるため、状態異常耐性などによって酔うことが出来ないのだ。
もちろん酔えなくとも酒は美味いが、酔えないというのは少しばかり物足りない………とは言え、紅茶を微妙だと言った以上、またペトラの提案を断るのも心苦しい。
「じゃあ、お酒を頼む」
「ハイ!」と言って持ってきたのはビンに入ったお酒だが、俺はこんな物を持っていた記憶が無い。
「これは?」
「バーから貰って来ました!いちごパンチー様がおられると聞いていたので…」
と、照れ臭そうに頭を掻くペトラ。
礼を言って頭を撫でると気持ちよさそうに目を瞑るので、片手で撫でながらもう片方の手でビンごと酒をガブ飲みする。
「…っぷはぁぁ!美味い!」
やはり味が感じられるようになると酒は美味い。
リアルで飲んだ時よりも美味しく感じるのはこのユグドラシルの酒のレベルが高いからなのか、はたまた別の理由があるのか……。
「エヘヘ、良かったです!」
フンスと自慢げに鼻息を吹かすペトラ。
その日は夜遅くまで2人で話し尽くし、気付けば寝ており朝になっていた。
………んん?
それは朝食を食べていた時の事だった。ナザリックがどこかに転移して一夜明けた2日目。
やはり味覚がおかしいのだ。味は良いはずだ。良いはずなのに俺の舌はそれを美味しいと感じていない。
それは昨夜紅茶を飲んだ時と同じような感じで、美味しいと感じていた筈の味を美味しいと思えなくなっているのだ。
しかし、全てにおいてそうなのかと言うとそうゆうわけではない。
例外として挙げられるのは、まず昨夜飲んだお酒。あの後何本か開けたが普通にーーいやむしろリアルで飲むより美味しいと感じた。
そして肉。どの肉でも基本的に美味しく感じるが、一番美味しいと感じるのは加工されていない肉だ。
それぐらいで、残りの野菜だったり炭水化物辺りは美味しいと感じない。
食事も出来ないモモンガさんに比べれば贅沢な悩みかもしれないが……。
そういえば、モモンガさんもアンデッドの体になってから睡眠欲や食欲が無くなったと言っていた。
体がアンデッドになったという事か。
それで言えば俺もアンデッドになるわけだが、食事は好きだ。必要で無くても美味しいものは食べたい。
今のところ鬼になっているのを自覚するようなことは無かったが、食の好みが鬼になっていると考えれば納得も出来る。
が、正直別に大した問題でも無い気がする。
おそらく栄養バランスなんか考えなくても大丈夫だろうし、「ビタミン足りな〜い」と言って野菜を食べる鬼なんて鬼じゃ無い。
そこまで考えて、肉の最後の一切れしか残っていない事に気付いたので、ゆっくり噛み締めて味わった。
美味しい。
はい。
NPCちゃん出ましたね。
強さとしては良いぐらいかな?って思うんですけど、やっぱりプレアデス辺りに揃えた方が良かったりするんですかね?
クール系ドジっ子はナーベラル、天真爛漫系ドジっ子はペトラちゃんでキャラも被らんし。