ちょっとオリジナル設定?というか適当に考えた設定なんかも登場するんで、「それはアカンのちゃう?」ってのがあったら教えて下さい。出来れば修正します。
さて、今日は何をしようか。
今はとにかく情報を集めることが最優先事項とされ、
俺も外の世界を見に行きたいのは山々なんだが『信用されていないのではないか?』なんて思われたくない。
となると必然的にユグドラシルの時との違いについての情報を集める事になるんだが、まさに『何が分からないのか分からない』という状況だ。
体の感覚なんかについてはすぐに分かったが、それこそ当たり前だった事がこの世界では違うという可能性がある。
シャルティアが〈
今いるのが現実であるということと、NPCが動き出したという事を除けばユグドラシルの時とさほど変わっていないように思える。
(MPの量についても何となく分かるようだし…………あれ?HPってどうなんだ?)
ユグドラシルの時はMPと同じく見ることが出来たが、ここではどうなのだろうか。
また、俺のスキルに“自動回復”があるが、それは傷を回復させるのか、はたまたHPを回復させるのか、そもそもHPという概念があるのか…
(確かめる……しかないか)
とりあえずこれからの予定は決まった。
『HPとダメージ、回復について調べる』これが今日の目標だ。
…とは言ったものの、どうやって確かめるか。
てっとり早いのは自傷する事なのだが、ペトラやメイド達が必死にそれをさせないようにする事は想像に難くない。
彼女らに「攻撃して傷をつけてくれ!」なんて言っても、やってもらえるわけもないだろう。
モモンガさんに協力して貰ってダメージを与えてもらう……というのも考えたが、そちらも守護者達が青い顔になって止めに入る事は目に見えるので却下。
となると一番丸いのは訓練と称して模擬戦を行う事だ。
ならばその相手はと言うと、守護者達に縛られる。
その理由として、まずモモンガさんとする事は出来ない。
一応模擬戦な訳だが、俺が勝ってしまっては支配者としての箔が落ちるし、俺が負けてしまっては名乗ると決めた『最強』の名に泥を塗ることとなってしまう。そもそも守護者達が許してくれるのか疑問だし。
そしてその他の人員はレベルが低いため訓練には向かない。
ルベドは………まあちょっと……ねえ?
そんな訳で、訓練をするとすれば守護者の中から選ぶのだが、誰が良いだろうか。
まずアルベドは絶対に忙しいから無し。同様にデミウルゴスも無し。
コキュートスはアリだろう。何やってるのかイマイチ分からないし、暇な可能性は大いにある。
アウラとマーレは……なんかあの2人と戦うと犯罪臭がするから無し。
シャルティアは…戦闘能力は高いけど、「訓練しようぜー!」ってタイプでも無いしなぁ…
ヴィクティムは言わずもがなだし、ガルガンチュアも傷を作って貰う役割には少々不向きだ。
……ならコキュートスしか無いか。
よし。早速行こう。
「あ、どちらに?」
俺の付き人であるペトラが聞いてくる。
「第5階層に向かうが…来るか?」
「はい!お供します!」
ペトラを連れて第5階層に向かった。
「訓練…デスカ」
「そう。どちらかというと訓練というより体の調子を確かめたいって感じかな?」
コキュートスにその旨について話すと考え始めた。
先に〈
「…ワタクシデヨロシイノデスカ」
「ん?」
「イエ、ワタクシ如キガ至高ノ御方ト戦ッテモ良イノダロウカ…ト」
「もちろん。俺は他ならぬコキュートスだから頼んでいるんだ」
「………カシコマリマシタ。不肖ノ身ナガラ、全力デ戦ワセテイタダキタイト思イマス」
_________________________________
コキュートスは、かつてないほどの高揚感に包まれていた。
偉大なる御方がいらっしゃった時は何事かと思ったが、訓練の相手にこの私めを選んでくれたと言うのだ。と。
偉大なる御方の強さを一片でも体験させて貰えることは、武人であるコキュートスにとってかけがえのない喜びだった。
コキュートスの4本の腕全てには武器が持たれており、2本にはハルバード、残りの2本にはメイスとブロードソードが持たれている。
それらは本気の時は使わない予備の武器だが、本来訓練や稽古で使うようなものでもない。
しかし他ならぬいちごパンチーによりある程度全力で戦う事を命令されたので、訓練用ではない武器を装備しているのだ。
対するいちごパンチーだが、その手には愛武器の鬼金棒ではなく、刀よりも太刀よりも長い大太刀が握られている。
「いちごパンチー様ノ武器ハ金棒ダト聞イテオリマシタガ…」
「……色々な武器を試しておきたいと思ってな」
「…ナルホド。研鑽ヲ怠ラヌソノ御心ニ感服致シマシタ」
「…………おう」
いちごパンチーが金棒ではなく大太刀を使っているのは、そんな大層な理由ある訳ではない。
単純にビビっているのだ。万が一コキュートスを金棒で押し潰してしまったら……と。昨日のあの出来事、跡形もなく消したんだ
加減すれば良いかもしれないが、万が一加減をミスれば取り返しがつかないミンチになる可能性がある。
その点刃物、それも刀であれば一刀両断することさえしなければ死ぬ事はない。
そう考えてついぞ取り出される事のなかった大太刀を使う事になったのだが、コキュートスは上手いこと勘違いしてくれている。
「では、合図は私が!」
いちごパンチーの付き人であるペトラが合図をしてくれるようだ。
「…………始めっ!」
合図と同時に飛びかかったのはいちごパンチー。
迎える形となったコキュートスだが、努めて冷静に攻撃を待っていた。
いちごパンチーの片手持ちでの上段斬り。
金棒を持つ時と同じような力強い踏み込みでコキュートスの頭上へと大太刀を振り下ろす。
それに当然反応出来ているコキュートスは4本の腕を使ってしっかりと大太刀を受け止める。
ギギギ…と金属が擦れる音を鳴らしていたが、コキュートスに止められた大太刀は徐々に逸らされ、地面に切っ先が落とされて大きなヒビを作った。
4本の腕で防御しても完全に止められない圧倒的な膂力にコキュートスが戦慄していると、いちごパンチーは「ふむ……」と言いながら調子を確かめるように大太刀を素振りしている。
「ドウカサレマシタカ?」
実際の戦いであればおしゃべりなど出来ないがこれは訓練。
コキュートスがいちごパンチーに問いかける。
「…いや、金棒とは違うなと思っただけだ。やはり刀は遠心力で振り回す物では無いな」
確かに、金棒と刀は武器としての扱い方が異なる。斬るか叩くかという話ではなく、振るい方としての話だ。
金棒や両手斧、戦鎚などの先端に重心のある武器は遠心力を利用して攻撃することが多い。しかし刀などはそうではない。体の捻りなどを使いながら攻撃を加える。
言い換えれば、外に出ようとするのを内側に抑えるのが金棒で、外に大きく力を加えるのが刀などだ。
つまり、力の入れ方を間違えてあれだけのパワーを感じたということだ。
「……よし。続きだ」
調子を確かめ終えたらしいいちごパンチーが構える。
それに合わせてコキュートスも意識を集中させる。
今回も先手はいちごパンチー。コキュートスから見て右側からの横薙ぎだ。
それをコキュートスは右腕2本と左腕1本を使って受け止める。先程の上段よりも少ない力で受け止められるのは重力に乗せた攻撃では無いからだろう。
コキュートスは3本の腕を使って止めたが、もう1本腕が残っている。
そちらの手のメイスで薙ごうとするが、いちごパンチーは動かない。
一瞬躊躇いの気持ちが浮かんだが、試合の前に言われた一言を思い出し全力でメイスを振るった。
コキュートスが全力で払ったメイスは、いちごパンチーの腹を両断する……かと思われたが、僅か数センチ刃が食い込んだ所で止まってしまった。
「ナ…!?」
驚きを漏らすコキュートスに対して、いちごパンチーは大太刀を手放して前蹴りを叩き込む。
わずかに反応が遅れたコキュートスはそれを咄嗟にブロードソードの刃を立ててガードする。刃を立てたのは、素足の蹴りなら足裏を斬る事ができると考えたからだ。
しかし、足の裏から真っ二つにするかと思われたその刃も両断することは無かった。
前蹴りを腕1本で受け切ることは出来ず、コキュートスは体ごと吹き飛ばされてしまった。
「ヌゥ……」
距離の離れた両者だが、またもやいちごパンチーは体を確かめるような素振りを見せる。
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(うーん…痛い……ことには痛いが……)
いちごパンチーは冷静な分析をしている。
まず、受けたメイスの傷だが、既に再生が始まっている。
これはスキル自動回復によるものなのか判断がつかないが、HPが回復する事と傷が回復する事が同義であるなら問題は無い。
後、俺もビックリしたんだが、おそらくダメージ軽減系のスキルはそのまま体の硬さに現れている。
俺は攻撃無効系のスキルの代わりに軽減系や耐性系をたくさん取得しているんだが、無効系を取らなかったのは『カンスト勢を相手にする気なら、無意味になる無効系よりもダメージを軽減する方が良いに決まってるだろう』という思考のためだ。実際自動回復と合わせれば、低レベルの攻撃ならプラマイゼロどころかプラスに抑えられる。
そんな訳でかなりの軽減系スキルを取っていたんだが、まさかそれが肉体の強靭さとして現れるとは思わなかった。
流石に蹴ろうとした時に刃を立てられた時には「あっ、やべ!」と思ったのだが、まさか少し切り傷が出来るだけとは……。
考えている内に腹の傷も塞がっており痛みも無い。
「…イカガナサイマスカ?」
コキュートスがこのまま続けるのか?という意味で聞いてきた。
「…もう少しやろうか」
「カシコマリマシタ」
『ググゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!』
終了は俺の腹時計が合図だった。
「……スゥ〜……終わろうか」
幕引きは締まらないが、成果としては十分だろう。
結構長いことやっていたがコキュートスに傷が無いのはひとえに“受け”の巧さゆえだ。多少は蹴りや拳による打撃を加えたが、外骨格を破壊するには至らなかった。
その点、俺はかなり斬られてしまった。すぐに塞がるため有効打にはなり得ないが、腕がもう1本攻撃に使えればまた変わってくるだろう。
NPCと言えども100レベルともなると侮れないなと感じた午前であった。
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いちごパンチーとペトラが去った第5階層の、先程までいちごパンチーとコキュートスが戦っていた場所には息を切らし膝をつくライトブルーの巨体が居た。
その荒い息を見ていれば、出ないはずの汗まで出ているように感じられる。
コキュートスは限界だった。もう2、3合打ち込めば倒れてしまう程に。
そんなコキュートスを倒れさせなかったのは己にある武人としての矜恃と、至高の御方に対するささやかな見栄だ。
恐らく、いちごパンチーはコキュートスがもはや限界であることなどとっくに気付いていただろう。
しかし、至高の御方の前で、例え相手が至高の御方であろうとも無様な姿を晒す事など出来ない。
外骨格こそ破壊されていないものの、その内部には体中に響く鈍痛がある。
(全ク…恐ロシイオ方ダ……)
自らが尊敬ーーいや崇拝する男の圧倒的な強さを感じられた事と、それに仕えている喜びを痛みと共にヒシヒシと感じていた。
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いちごパンチーは自室で昼飯を食べながら思う。
(いやー、それにしてもコキュートス頑丈だったな。徒手とはいえ結構攻撃したのに全然余裕そうだったし、冷気を吐き出して「自分、まだいけますけど?」みたいな雰囲気を感じさせてたからなぁ…。今度ゆっくり試合したいところだな)
全然コキュートスの限界を見抜いてなどいないいちごパンチー。
もし腹が鳴っていなければ、コキュートスが倒れるまで続いていただろう。
「今日はもの凄い食べましたね」
言われて、もの凄い勢いでいつもの3倍以上の量のご飯を平らげた事に気付いた。
だってとにかくお腹が空いていたのだ。
仕方が無いだろう。アレだけ動いたのだから腹が減るのは当然だ。
ペトラに言われたいちごパンチーはそう心の中で言い訳を零す。
いくらアンデッドだからってご飯を食べなくたって良いって訳じゃ無いんだよ………………うん?
…………あれ?俺アンデッドだよな?なのに、
昨日はそんな事なかったはずだ。酒が飲みたいのも、肉を食うのもきっと生命維持に関わるものではなく、味を楽しむ娯楽的なもののはず。食事を楽しみたいと思う心はあるのだ。
なのに今日は普通に普通の飯を食った。なぜなら体が欲していたからだ。
ならなぜ今日は腹が減った?
今日はまだコキュートスと戦ったぐらいしかしていないから、活動時間で言えばは今日朝起きてからと昨日は大差ない。
昨日していなかったのに今日した事………と言っても今日は戦闘しかしてないからなぁ……。
戦闘の中で変わった事といえば……武器を変えた事と……戦闘時間と……昨日使ったスキルを使ってなかった事と……それぐらいしか思いつかないか。
…あ、そう言えば昨日は火を浴びたな。ダメージはおろか火傷にすらならなかったから自動回復が使われる事も無かった。あ。
自動回復………もしかしてこれか?
確かに、昨日は無かったが今日あったことには当てはまっている。
それに言われて見れば体が栄養を欲するそれっぽい理由にもなっている。
………確かめる必要があるな。
こうして、今日の午後の予定は決まった。
はい。
回復と再生ってどうなんですかね?ちょっと意味合いが変わってくる気もするんですけど…。