救世日記~世界を救うだけの簡単なお仕事です~   作:カペリン

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 俺の名前は田中太郎。名前も平凡なら、今まで生きてきた人生も平凡。高校じゃミスター平均点なんてありがたくない渾名をつけられていたし、大学でも評価は良か可。そんな俺が20歳になったとき、なぜか平凡じゃない出会いが訪れたんだ。



プロローグ    突然手伝いを頼まれたらどうしますか?

 

 

 

 

 

 

 遥か彼方まで続く地平。地平線という言葉があるけれどそれすら存在しない。

 

 無限とはこういうことを言うんだろうなと、そう思った。その無限に続く白い地平になぜか俺は居た。

 

 

「我が子よ、現実から目を背けてはならない。こちらの話を聞いてほしい」

 

 

 そう声を掛けてきたのは、神様(仮)だ。自分がなぜかここに居たときに、目の前に突然現れた。

 

そのときなんとなく神様っぽいなと思ったから勝手にそう呼んでいる。名前がないと不便だから。

 

 

「えーっと、ひょっとしてですが、あなたは神様ですか? もしよろしければ名前とか教えていただきたいのですけれど」

 

 

 とりあえず単刀直入に尋ねてみた。見た感じ神様っぽいけど、テンプレなら肯定されて転生云々と続くはずだ。

 

 

(われ)は神ではない。我は全知全能にして無知無能、全であり零たる存在。我が子が理解し易い姿として我をとらえている。

 

我に固有の名はない。或る者はアザトースと呼び、また或る者はYHWHと著し、そして或る者は絶対真理と呼んだ」

 

 

 すごく神様です、ありがとうございます。それにしても、全知全能であり無知無能とはまた難儀な。

 

 しかしだ、それよりも気になるのは『我が子』というフレーズだ、少なくとも俺の親ではないことは確かだ。

 

 

「わが子よ、疑問に答えよう。我は始まりに虚空()より生まれた。そして我が誕生により虚空()は揺らぎ世界が生まれた。

 

 我は世界を満たすために我が子らを創った。我が子らは我が孫を創った。されど、我が子らの数は少なく我が子らが庇護出来ぬ世界もあった。

 

 そこに汝らは揺らぎの後のただ塵より生まれた。故に汝らは紛れもなく我が子である。汝らは自らで以て自らを庇護し、自らで以て自らを治めた。

 

 しかし、汝らの庇護者は汝らを救済するために自らを高めている最中(さなか)である。その修行は険しく厳しい故に直に終わるものに(あら)じ。

 彼の庇護者は二度修行期間を延ばし未だ修行の身に在る。故に汝に庇護者が救済するまでの間、その代行補助(手助け)を願いたい。

 

 汝は一であるが一人に非ず、以て汝の力なり。汝はわが子であるが、されどまだ幼くか弱い。故に我は汝に力を与えよう」

 

 

 一部ものすごく分かりにくいけど、つまり目の前の存在は神様じゃなくてそれを創造した存在。

 

 で、なんか人類を救済する存在が現在絶賛修行中なので、その間にちょっとアシスタントしてくれということらしい。

 

 テンプレっぽく力をくれるみたいだけど、それがいまいちよくわからない。

 

 でもまあ、なんか面白そうだしなおかつ修行完了までの間という時間制限付き。いっちょやってみますか。

 

 

「わかりました、その代行補助(手助け)とやらやりましょう!でも、なぜ俺が選ばれたんですか?」

 

 

「我が子ならば如何なる存在であっても救世の力在り。(しか)れば汝を有意に選び出したること無し。

 

 我が子よ。我は感謝する。今このときより汝に時の牙は及ばじ。時は汝に伏し、世界は汝を祝福し、汝は(ことわり)を束ねるだろう」

 

 

 つまり、俺である必要は無くて誰でもよかった、と。それとなんか、時の流れから隔絶されたっぽい? 

 

 これはひょっとして判断間違えたかも……。いや、そんなことはないと自分に言い聞かせよう。あ、そうだ、ひとつ重要なことを聞き忘れていた。

 

 

「その庇護者ってどなたです?」

 

 

「彼の者は弥勒(みろく)と名乗っていた」

 

 

「え゛!?」

 

 

 ちょっと待った、弥勒(みろく)って弥勒菩薩(みろくぼさつ)? だったら救済に来るのって……

 

 

<font size="6">「56億7千万年後じゃないかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」</font>

 

 

 そんな叫び声を残しつつ、俺は底知れぬ穴へと落ちていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 神っぽい存在に穴に落っことされてからしばらく時間が経ちました。具体的には16億7千万年ほど。

 

 神っぽい存在の言う力というのは穴に落っこちたときに俺の思考を読み取って与えられたらしく、D・S(ダーク・シュナイダー)の能力があればいいなと思ってたらそれが具現化したようで、気がついたときにはその能力が備わってた。

 

 とはいってもまさかみ砕かれる前のユダの痛み(完全なジューダス・ペイン)が心臓にあるとか、想定の範囲外でした。なんというか、さすがは全ての始祖たる存在。

 

 本来であれば、常人なら一瞬で塩の柱と成り果てるほどの苦痛が襲い来る、というのがこのユダの痛み(ジューダス・ペイン)の特徴なのだが、どうもその部分はご丁寧に綺麗さっぱり削除されている模様であり、無限に近い量の魔力の生成機関となっている。

 

 なんというチート、でもこれって下手すると、あの世界に行った場合に神と悪魔王達に目を付けられるよね間違いなく……。

 

 どうやら俺にいろんな世界の救済の手伝いをさせたかったみたいで、いくつかの世界を転々としてきた。

 

 でも、世界転移の条件ってその世界を救済したら別の世界へGO! とかではなくてどうやら自分の意志で任意に決められるみたい。これは正直ありがたかった。せっかく友人ができたのに世界を救済したらサヨナラとか悲しすぎるからね。

 

 あと意外だったのは救済=人間の味方をするというわけではなかった。世界をどうするのかは俺の考えで決めるみたいだった。

 

なので人間側(ヒューマン)じゃなく魔族側(マグナス)に立って世界を導いたり、もう手の施しようがない状態(自分では対処のしようが無い世界)だと判断した場合には、そのまま放置して別の世界に転移とかもした。滅ぶこともまた救済の1つと判断されるらしい。

 

 なんか、『死は終焉ではなく、死とは始原である(終末とは始まりである)』という理屈らしい。

 

ちなみに前の世界では、エルフの友人と3000年ぐらいまったり過ごして、友人がぽっくり逝ったのを機に世界転移した。さて、次はどんな世界だろうか。

 

 

「主よ、次の世界への不安を抱えておられるのか」

 

 

 俺に語りかけてくるのはグロリア。かつて訪れた世界で、機能停止寸前であった彼女を時間干渉術によって以前の姿へと復元しようと試みたのだが、困ったことに彼女を作成した文明は魂の理の解明に未だ成功しておらず、機械生命体とも呼べる彼女には魂が存在していなかったのだ。

 

 それが存在していれば魂から彼女という存在情報を読み出して物質的存在としての彼女の復元のみならず記憶や人格の再構築も出来たのだがそれが出来ない。

 

 仕方がないので彼女と同じARFFIシリーズであるゼフィリス(彼女の名前は後から知った)の稼動機構と人格をほぼそのままの形で移植した。記憶についてはどうしようもないのでごく基本的なところ、つまり自分の使命や存在意義などだけを彼女の記憶から抽出して植え付けた。

 

 その結果、自業自得ではあるのだが俺が彼女の新たな竜騎士(御者)と認定されてしまった。

ゼフィリスが言うところでは彼女の性格は明るく楽天的だったというらしいが、

グロリアの人格データが無い現状では彼女の人格データを流用するほか無かったのが実情だ。

 

 その世界を救った後、彼女が建造されたブラウニン機関で調整を受けたようだが、そこにも彼女の人格データは存在せず、おまけに俺がゼフィリスのデータを流用して世界に存在を固定した結果、建造時のデータで調整すると暴走しかねないことが判明。

仕方ないのでゼフィリスの姉妹機という扱いで、彼女と同じ調整を施されることになった。

 

其処まではよかったのだが、俺が世界転移をすることを言い出したら自分も世界転移にもつい行くと言い出し、それに調整を受けた自分はメンテナンスフリーだから何も心配は要らないということだったので、彼女の案を受け入れた。

 

とりあえず俺の世界転移に付いてて来る彼女のおかげで、俺は完全に一人ではなくなった。彼女は自分が助けられ主と仰いだ人間に付いていけるのは無上の幸福と言っているが、俺も彼女の存在にどれだけ助けられたことか。

 

 

「ああ、問題ないよグロリア。次の世界でもサポートを頼んだ」

 

 

「それは愚問だ、我が主よ。我が喜びは主の役に立つことであるが故に、主が我を必要とし続ける限り、我は主の耳目(じもく)であり手足であり続けるだろう」

 

 

 本当にいい子なんだけど、いつもながらこの絶対的忠誠が重い。もう少し砕けてもいいんだけどなぁ。

 

 

 

 

 




 はじめまして、カぺリンと申します。この度皆様方の作品に触発されて、自分でも投稿してみることにしました。まだまだ読みづらいとは思いますが、こんな作品でも目を通していただけたのなら幸いです。
2/25 香月博士の言動を修正。また同時に2話以降の内容を改訂。
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