救世日記~世界を救うだけの簡単なお仕事です~   作:カペリン

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では戦術機改造計画と、彼の勘違いが始まるよ?


第6話   改造計画始動……新事実発覚~そして絶望へ~

 

 

 

国連総会にて――――

 

 

 

 「……以上が、彼が我々に、魔法技術の提供を行うにあたっての要求となります。また、事後承諾とはなりますが、彼と私との間で魔法使用改修型戦闘用車両、その実験車両はプロミネンス計画の一環として開発することで合意しました」

 

横浜の魔女こと、香月夕呼が述べるのは彼、―――田中太郎―――と三日前の会談の際に取り決めた、彼が魔法という未知の技術を人類に提供するにあたっての条件の説明である。具体的には、

 

1.魔法行使時の専用装置使用 2.専用装置の故障若しくは異常時での魔法使用厳禁 3.人類間戦争での魔法使用の禁止 

 

この三点であるが、ここに香月博士の要望である戦術機は国連軍横浜基地のものを素体として使用することに加え、彼からの提案である戦闘用車両の選定ははプロミネンス計画の一環として行うこと。加えてこの二項目で合意に至ったことを説明し、議会の場で裁決を仰ぐ。

 

「なるほど……香月博士、それ以外に報告はありますか」

 

「いえ、以上です」

 

「わかりました。それでは、日本帝国の提案によるこの議案について採決を行います」

 

 国連事務総長による採決の宣言がなされ、彼から魔法技術を得るための国際条約は加盟国の全会一致で可決され、同時に国連加盟国の全てがこの条約に調印する。これらは既に裏で手回しがなされていることであり、全てが予定調和である。

 

「賛成多数、よって本提案は成立しました。続いて調印に……」

 

 内心では自国の戦術機をその実験機とすることができた帝国に対して思うところはあるはずなのだが、例えその実情が日本帝国からの戦力のみでの形成であっても、名目上は『国連軍横浜基地所属』の機体からの選出である。

 

 

 更に、彼からの提案でプロミネンス計画に追加としてその実験車両の開発計画が持ち上がった。あわよくば自国の車両を採用させたいと考える各国にとって、これを拒否するということは自国の利益という観点からも良い選択だとは言えなかったためだ。それに、彼から提供される魔法という未知の技術は魅力的過ぎた。なぜなら彼はその魔法を用いてたった一週間でハイヴを破壊してしまったのだから。香月博士から齎された情報によれば、人類が扱える魔法はそのごく一部であると言うが、それでもBETAという強大な敵に有効であればそれを求めるのは必然と言えた。

 

 

 

 

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国連軍横浜基地――――

 

 

 

 

 博士の権限で与えられた一室で、俺は戦術機の魔法使用型改修機の設計を始めていた。まずは素体となる戦術機を選定する作業に入る。香月副司令には言っていないが、あの場に物質化を解除させたグロリアを同行させ、駐機場にあった機体をスキャンさせておいた。彼女の協力もあって、あの場にあった戦術機の設計図面等は既にデータとして手に入っている。それを今見ているのだが、これはなんともまあ……という事しかできなかった。

 

 まず第一世代機であるファントム(F-4)のライセンス生産品である擊震(TYPE77)は拡張性という面では余裕があるのだが、第一世代機であるためか運動性能が悪い。確かに重装甲ではあるが、そもそも装甲が役に立たない相手(BETA)と戦うのだ。そのために魔法で防御を行えるように改造するのだから、装甲はさして重要な問題ではない。その点でこれは候補から脱落した。もしこの機体の機動性能が向上すれば、製造コストが安価な点に加え整備性や信頼性も優れており、兵器として重要な点は満たすことになるが、現時点では候補として挙げるには微妙である。

 

 次に目をつけたのは不知火(TYPE94)だが、こちらは運動性能は問題ない。だが、拡張性が無さすぎる。それに加えて連続稼働時間も短い。拡張性が無いせいでコックピットブロックに魔力伝達用の合金管を仕込んだり、封呪素筒(カードリッジ)を保護する機構を組み込もうとすると、その短い稼働時間がさらに削られる。これでハイヴの中に突入してBETAを倒しながら反応炉を破壊する? 無茶にも程がある。この魔法改修型を戦場で使い物になるようにするには根本的な設計変更が必要となりそうだが、そんなことをが出来るほど時間はない。この案も没だな。

 

 近接密集戦闘用ならば武御雷(TYPE00)の近接戦闘特化能力が生きるから、ハイヴ突入用にと考えたが、どうやら俺が馬鹿だったようだ。スキャンさせたら分かったことだが、なにあのギッチギチのパーツ配置。そりゃ整備性も最悪になるはずだし、そんな構成にすればコストが馬鹿高くなるのは当たり前だ。あの無茶苦茶な構成とコストでGOサインを出したやつは頭おかしいんじゃないだろうか。あれを魔法使用改修型に改造するとか、不知火(TYPE94)以上の抜本的な設計変更が必要になる。勘弁してくれ。

 

 ならば、残るのは練習機として紹介された吹雪(TYPE97)か。グロリアにスキャンさせたところ、不知火(TYPE94)と比べれば拡張性に余裕があることが判明した。どうやら不知火(TYPE94)から訓練に使わない装備や機能をオミットしたことで拡張性が生まれているらしい。実戦用の装備を施せばそのまま戦えるはず、というのはグロリアの弁だ。不知火(TYPE94)と同じ生産ラインで作れるので費用対効果(コストパフォーマンス)、生産性共に優れる。ただ、主機出力が低い為にその分、不知火(TYPE94)と比べると多少機動性が劣るが、それは致し方ないだろう。その分稼働時間も伸びているのだし、改造を施すベースとする分には申し分ない。

 

 素体が決まったところで、次に取り掛かるのはこの機体で扱う魔法の選定である。そもそも防御力に難があるのだから、防御魔法の【ディフレイド】を搭載することは確定である。防御魔法には【シェルター】や【シールド】といった術式も存在するが、前者は一度発動させると効果時間が終わるまで使用者本人も身動きが取れないのでBETA戦では逆に命取りとなりかねない。ただし、自分は安全圏を確保できるのだから、多少荒っぽいやり方にはなるが自分の居るエリアごと砲撃で面制圧してもらうという選択肢も取れなくもない。『(やりたいけれど)できない』と『できるけれどやらない』ではその結果は同じであっても戦術的にはそこに雲泥の差が存在する。

 

 後者は【ディフレイド 】と比べ、魔法の発動が早く効果時間が長いという特徴があるが、同じ防御魔法である【ディフレイド】と比較すると衝撃や熱に対する防御力が弱いという欠点がある。どちらが優れているということはなかなか難しいのだが、この世界で最大の脅威である光線(レーザー)属種に対してならば【ディフレイド】に軍配が上がるだろう。だが、【シールド】も使いどころがないわけではない。こちらはその発動の早さと、効果時間の長さを利用して突撃(デストロイヤー)級を一時的に押し止めたり、要塞(フォート)級の衝角付き触手やその足によって踏み潰されるのを防いだり、と様々な場面に応用が利く。

 

 防御用として【ディフレイド】と【シールド】、及び【シェルター】の三種類全ての呪文書式板(スペルタグ)を搭載し、試験結果によって統合・整理することとした。無論のこと全て必要という結果が出れば、そのまま残す。

 

 次に攻撃用の魔法であるが、戦術機部隊は重光線(重レーザー)級や要塞(フォート)級といった防御力に優れたBETAを相手取ることもあると考えれば、【ハック】や【カット】といった術式があると良いだろう。遠くから狙うなら切断用の力場平面を射出する【ハック】で、近づいて長刀のように振るうのならば【カット】が有効だろう。ただ、【カット】は長大な切断用の力場平面を生み出し、『当てることができれば』要塞(フォート)級だろうと真っ二つにできるのではあるが、その有効時間は約1秒。使い物になるかは衛士の錬度次第だろう。

 

 だが、問題はハイヴに突入して、反応炉を破壊する場合である。その場合の反応炉の破壊用として何か効果の大きい術式を積む必要があるのだ。『反応』炉とのことなので、【マグナ・フリーズ(第二の氷)】―――極低温の領域に目標を捕らえ、空気そのものさえ凍結させる温度低下で目標を完全凍結させる。物体そのものの熱を奪って凍結させる魔法である。―――これが都合がいいのだが、ひとつ問題がある。

 

 それは【マグナ・フリーズ(第二の氷)】が基礎級魔法ではなく上級魔法という点だ。上級魔法は基礎級魔法と違い、呪文書式板(スペルタグ)を用いた無音詠唱(ダムキャスト)による発動が出来ない。そのため、どうしても口頭での補助呪文を詠唱が必要となる。あの空間内でBETAと戦いながら、集中力を途切れさせずにかつ敵からの攻撃を受けないように避けつつ詠唱する。恐ろしく高度な技術が必要になるだろうことは想像に難くない。

 

 とするならば、別の魔法で破壊するしかない。基礎級呪文ならば無音詠唱(ダムキャスト)が可能なため、出来うる限りそれが望ましい。そうなると、候補に挙がるのは【ディスポーズ】か。これは【ハック】の上位呪文だが、基礎級呪文に分類されるため口頭での追加詠唱は必要ない。ただ、反応炉に対して効果範囲がやや狭いのがネックだが、複数人で発動するか、複数回発動すれば事足りるだろう。そう考え、戦術機に積み込むべき呪文書式板(スペルタグ)を選択してゆく。

 

 グロリアが戦術機をスキャンしたデータから高密度情報立体映像(ホログラフ)を表示する。それと連動させる形で各部の設計情報を呼び出す。最初にコックピットブロックを中心に魔力伝達用の水銀を封入するための配管を設ける。戦闘機動中に一次拘束術式図版(プライマリ・レストリクト・パターン)と術者の接続が出来うる限りの条件下において途切れないようにする、それを念頭に置いて接続部を決める。その位置はコックピットに常に接触しており、且つ戦闘中にほぼ動かない場所。つまりは臀部及び下腰部が好ましい。

 

 また、一次拘束術式図版(プライマリ・レストリクト・パターン)と配管は直接接触式が最も好ましいが、魔力伝達用の媒体である水銀からの人体の保護という観点から鑑みるに、シート部分に配管を網状にして組み込むこととした。この部分は装置の一番の肝であるから、保護も厳重にしなければならない。そう設計した結果、コックピットブロック、特にシート及びその周辺部位はまるで別物へと変貌した。

 

 さらに、魔力伝達用の配管を両腕へと這わせる。関節部分には伸縮性が求められるため金属を使うわけにいかなかったので、この世界の強化装備に使われる特殊保護皮膜を用いた。強靭で且つ靭やかという素晴らしい素材である。本当はシートの下に埋め込む配管網もこれにしたかったのだが、魔力の伝達性能が低く、仕方なく他の配管と同じく合金製とした。

 

 封呪素筒(カードリッジ)の保護はさらに厳重とした。通常のモールド(鋳型)であれば、拘束度数(デュラビット)をわかりやすくするために、封呪詛筒(カートリッジ)と連動して呪詛が蓄積されると、それと連動して拘束度端子が弾け飛ぶようになっている。戦術機でそんなことをしても分かりにくいだけであるし、通常のモールドより精度も増幅率もかなり悪い作りなのだ。

 

 増幅率が悪いという点は大量の魔力を発生させることでカバーしているわけだが、大量の魔力を使用するということは、裏を返せば呪素がそれだけ大量に発生するということでもある。安全率は念のため8はとりたいが、設計の都合上5が落としどころだろう。これならば【ディフレイド】を5回発動させると丁度拘束度数(デュラビット)を使い切る計算になる。もちろん安全係数が5であるから理論上は25回発動しても大丈夫なのだが、元の世界の『シェル(密造モールド)』のほうがまだ高性能だと言えるような代物だ。下手をすれば15回も発動したら下手をすれば封呪素筒(カートリッジ)の容量オーバーとなる可能性も十分にある。そうなって、もしその呪素が体内に逆流したら……それだけで魔族化する可能性も十分にある。

 

 次に取り掛かったのが、強化装備への二次拘束術式図版(セカンダリ・レストリクト・パターン)の封入である。水銀単体で二次拘束術式図版(セカンダリ・レストリクト・パターン)を描くことはその流動性故に強化装備内に封入する場合、あまりよろしくない。そのため水銀合金(アマルガム)をその素材として使用することにした。

 

 水銀そのものよりも魔力伝達率は下がるが、強化装備内で二次拘束術式図版(セカンダリ・レストリクト・パターン)が崩れて、呪素の回収がうまくいかなくなるという致命的な状態に陥ることに比べればそこは目を瞑るしかないだろう。魔族発生の可能性はできる限り低く抑えるべきである。魔王(ルシフェル)級の魔族が発生などしたら、現実的な意味で大国が一つや二つ壊滅、若しくは滅亡しても何らおかしくはないのだから。魔族とはまさに生ける災害そのものなのだ。

 

 実際に以前いた世界では、魔族と化した人間はその危険性から局地災害とみなされ法的には死亡擬制とされすべての人権を失う。すなわち、魔族災害(ケースS・A)(ソーサリー・アディクト、魔法中毒者の意味)で本人は死亡したとみなされる。とされていたのだ。そして公爵(デューク)級以上の上級魔族が発生したと確認された場合、その場の民間人の避難未完了等、全てに対する超法規的措置としてその魔族が存在する都市区画ごと、核若しくは燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)の集中投入による抹消を行うとされていたのだ。いかに上級魔族が驚異なのかがよくわかる事例である。

 

 さて、これで戦術機の設計は一先ず終了である。戦闘用車両の設計にも取り掛かりたいが、使用する車両は香月博士に任せることになっている。共通化できるものはモジュールとしてパッケージングしたい。例えば戦術機のシート部分を戦闘用車両で魔法士の座席として転用できるなら設計の容易さ以上に、信頼性の向上という面で大きいだろう。

 

 しかし俺の中に疑問がひとつだけ残っている。つまり、『誰』をBETAに対するネゴシエイターとするかということである。彼女は元々機械の身体に人間の人格をダウンロードすることで非炭素生命を誕生させようとしていた。では、その『元』となる人格はどこから持ってくるのだろうか。

 

 もし故人の記憶や思考パターン等をデーターとして残してあり、それをインストールするのであるのならば、そこに本人の魂を宿らせることは不可能に近い。死者の魂は時間が経つと、現界から死後の世界へと旅立つ。これは避けられない現象であり、摂理である。

 

 そうなってしまえば魂を呼び戻すことは極めて難しい。なぜならば天国や地獄へのチャンネルを開き死者の霊魂を呼び寄せると言うことは、天国や地獄との道を作ることに他ならない。大した媒介もなしに天国や地獄といった別の世界へのチャンネルを繋げることは無理である。いかに無限に等しい魔力があるとはいえ出来ないことは出来ないのだ。確かにこの世界ではBETAとの戦いで無数の死者が出ている。その霊魂を『生贄』として使用すれば一人程度の霊魂ならば喚ぶこともできなくはないが……。

 

 問題は、その人物の魂が既に転生してしまっている場合である。そうなってしまえばもうどうしようもない。死者の魂を呼び戻すことは叶わない。なぜならばその魂は既に浄化されている、言い換えれば魂という根本情報を書き込む媒体に対するフォーマットが為され、そこに新しい魂の情報をインストールした状態であると言える。つまり転生した先の生命の殺害まで行って喚び戻したとしてもそれは既に故人の魂ではないのだ。さて、彼女はどう考えているのか。こればかりは本人に聞いてみるしかないだろう。

 

 

 

 

 

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 三日後、同基地に香月博士が戻ってきた。情報秘匿の観点から、彼女との通信は今まで行えなかったが、この基地の彼女の研究室であるのなら問題はない。まずは俺の提示した条件について尋ねる。

 

「お疲れ様でした、香月博士。いきなり本題で悪いのですが、首尾はいかがでしたか」

 

「少しは休ませてくれてもいいんじゃないかしら。そうね、あんたの言っていた条件は承認されたわ。帝国の戦術機を実験機として使用することについては、そのテストパイロットの選出を国連に任せるという条件付きだけれどね。

欧州連合(EU)が裏で自分達の国々出身のパイロットを推しているようだったけれど、恐らくはパイロットは米国、戦車やMLRSといった地上火器は実績のあるソ連、といったところが落としどころになるんじゃないかしらね。ただ、欧州連合(EU)としてもどこかに食い込みたいはずだけれど、彼らに以前ほどの政治力はないから苦しいでしょうね」

 

 なるほど、俺の予想以上の成果を彼女はもたらしてくれたようだ。ならば俺も彼女に結果を見せなければなるまい。

 

「そこまで好条件を引き出せるとは。これでかなりやりやすくなりました。お礼と言ってはあれですが、戦術機の魔法使用型改修機の設計が完了しました」

 

「ちょっと待ってもらえる? 概念実証機の設計がもう終わっているなんて想定の範囲外よ」

 

 おや、彼女は誤解しているようだ。俺が設計したのは概念実証機ではなく実験機である。

 

「いえ、違いますよ。概念実証機ではなく実験機です。部品さえ生産できればすぐにでも改造にとりかかれるように設計してあります」

 

「はぁ!? いくらなんでも早すぎでしょう、それは。あんたね、撃震(TYPE77)から瑞鶴(TYPE82)を造るのにどれだけかかったか分かって言ってるの。五年よ五年!」

 

 早すぎと言われても、出来たものは出来たのだから仕方がないだろうに。俺の場合、グロリアという優秀なサポート要員がいたことも大きいのではあるが。それにしても五年か……なんかやけに遅い気がするが、一から技術の吸収を行なったと考えれば早い部類に入るのだろう。

 

「しかし現実に出来たのですから仕方がないでしょう。余計なことは置いてこれを見て頂けませんか」

 

そうして 早速スクリーンに設計図や、改造点等を映し出す。

 

「これは、不知火(TYPE94)……いいえ違うわね。吹雪(TYPE97)かしら」

 

「はい、そのとおりです。撃震(TYPE77)は製造コストが安価な点に加え整備性や信頼性も優れており、兵器として重要な点は満たしていますし、加えて拡張性の余裕という観点から候補として挙がりましたが、いかんせん第一世代機であるためか運動性能が悪い。擊震(TYPE77)は、確かに重装甲でそこから来る頑強さは評価できますが、そもそも装甲が役に立たない相手(BETA)と戦うことを前提として、そのために魔法で防御を行えるように改造するのだから、装甲はさして重要な問題ではありません。その点から撃震(TYPE77)の改修は廃案としました。

不知火(TYPE94)は第三世代機で運動性能は問題なかったのですが、拡張性が無さすぎました。それに加えて連続稼働時間も短いので、これを改修するとその短い稼働時間がさらに削られます。その問題を解決した魔法改修型を製造するには根本的な設計変更が必要と判断し廃案としました。

吹雪(TYPE97)不知火(TYPE94)から訓練に使わない装備や機能をオミットした機体ですので、その分不知火(TYPE94)と比べれば拡張性に余裕があります。これ(吹雪)に実戦用の装備を施せばそのまま戦えるんじゃないでしょうか。不知火(TYPE94)と共通している部品やユニットも多々見受けられましたので、おそらくは同じ生産ラインで作れるのではないかと推察しました。そうであれば費用対効果(コストパフォーマンス)、生産性、整備性共に優れた機体です。ただし、主機出力が低い為にその分、不知火(TYPE94)と比べると多少機動性が劣りますが、それは致し方ないでしょう。その分稼働時間も伸びていますし、その拡張性を使用しての改修が容易であると判断し、この機体を選定しました。

また、ハイヴ突入専用機として近接密集戦闘に特化した機体である武御雷(TYPE00)をと考えていましたが、あれ(武御雷)を魔法改修型とするには、不知火以上に抜本的な設計変更が必要と判断し廃案としました」

 

「なるほど、その結果として吹雪(TYPE97)が選定されたわけね。それで、どういった改造を施すのかしら。それに必要となる材料を教えてもらえないかしら。水銀を使うということは聞いているけれど、その他の材料を教えてもらえないと素材の手配さえできないもの」

 

「そうでしたね。まず必要となるのは、先ほど仰って頂いた水銀とそれを封入するための合金管ですね。本来は呪素回収と魔力伝達を阻害しないアルミ(軽銀)や銀で作りたいのですが、伝達媒体として使うのが水銀ですからね。アルミ(軽銀)や銀なんぞで作ればあっという間に腐食してボロボロです。仕方がないので水銀で腐食せず、量産が効くもので、呪素改修と魔力伝達の阻害が一番少ない素材。鉄・クロム・ニッケルの合金、つまりステンレスで作ろうと考えています。関節などの可動部については、強化装備の特殊保護皮膜を流用します。

さらに、戦闘機動中であっても呪素回収・魔力伝達の為に一次拘束術式図版(プライマリ・レストリクト・パターン)と術者の接続が出来うる限りの条件下において途切れないようにすることが必要です。つまりコックピットに常に接触しており、且つ戦闘中にほぼ動かない場所。つまりは臀部及び下腰部が好ましい。これにより接続部を決定しました。出来れば呪素回収の補助のために、強化装備にも水銀による回路を仕込みたいところです。

本来であれば二次拘束術式図版(セカンダリ・レストリクト・パターン)と呼ばれる呪詛回収用の図版を肌に直接書き込むことが望ましいのですが、水銀の持つ有毒性を考えるとそれは却下せざるを得ません。その代替案が強化装備における二次拘束術式図版(セカンダリ・レストリクト・パターン)の封入です。ただし、水銀単体では水銀が持つ流動性が仇となって封入された二次拘束術式図版(セカンダリ・レストリクト・パターン)が崩れてしまい呪詛の回収に支障をきたす可能性が十分にあります。そのため水銀そのものよりも魔力伝達率は劣りますが、水銀合金(アマルガム)をその素材として使用することにした。これならば封入した二次拘束術式図版(セカンダリ・レストリクト・パターン)が崩れることはないでしょう。

使用する水銀合金は銀-水銀の水銀合金(アマルガム)としますが、産出量の関係上その使用が難しいようであれば水銀-アルミニウムの水銀合金(アマルガム)で代用します。ただし、こちらは銀-水銀合金よりもさらに呪素回収率・魔力伝達率共に劣ります。この改修型強化装備の着用は戦闘用車両に搭乗する魔法士も共通のものを着用するものとして、使用する呪素回収機構をできるだけ同じプラットフォームで使用することにより機械的な信頼性の確保を行う狙いもあります」

 

「水銀とステンレスと特殊保護皮膜と、あとは銀かアルミニウムね。今日にでも発注しておくわ」

 

「ありがとうございます。改造についてですが大きく三点を予定しています。強化装備の件も含めるとすれば四点ですがね。

まず一点目は魔力伝達媒体となる水銀を封入するための合金(ステンレス)管のコックビットブロック及び両腕への埋設、並びに呪素回収の為に呪素回収と魔力伝達を兼ねた合金(ステンレス)管を配管することによるシート部位の大幅な造り変え。また、コックピットブロック及び座面で一時拘束術式図版(プライマリ・レストリクト・パターン)と呼ばれる機構を形成します。車両でもほぼ同じ構造としますが、専有面積の関係上レイアウトが変更となります。共通させるのはシート部位ぐらいでしょうか。ですが両者とも重要な部位となりますので、保護を厳重とすることには変更はありません」

 

「二点目は、回収した呪素を封印処理するための封呪素筒(カートリッジ)の設置です。これも先程同様に厳重に保護しなければならないのですが、同時に配管と連動しなければならない。そのため、コックピットブロックの周囲にこれを配置します。実験用車両では車両内部に配管を設け、封呪素筒(カートリッジ)は車両外装部への設置する構想としています。また、整備性を考慮し、戦術機に格納する封呪素筒(カートリッジ)はその取り出しと据え付けを外部から行えるようにしました」

 

「三点目が、呪文書式が書き込まれた呪文書式板(スペルタグ)の内蔵です。これは『スタッフ』と呼ばれる機器、わかりやすく言えば、機械で構成された『魔法使いの杖』です。残念ながらそれそのものは必要な資源(賢者石)がこの世界で産出しない為生産することはできませんが、その機能の一部ならば再現可能です。そこに、この呪文書式板(スペルタグ)を格納します。これは頻繁に取り替える必要がある封呪素筒(カートリッジ)と違い、一度設定すれば変更する必要性が薄いので、外部からアクセスを考慮していません。呪文書式板(スペルタグ)を取り替えるには、分解整備が必要となります」

 

「また、戦術機に搭載する呪文書式板(スペルタグ)ですが、通常は防御用魔法の【ディフレイド】、【シールド】、【シェルター】と、攻撃用魔法【ハック】及び【カット】を搭載します。但し、ハイヴに突入する機体には、反応炉破壊用として【ハック】の上位呪文である【ディスポーズ】の呪文書式板(スペルタグ)を追加搭載します」

 

「なるほど。それで、その魔法の効果はどういったものなのかしら」

 

「はい。【ハック】【カット】【ディスポーズ】は、共に切断用力場平面による対象の切断を行う魔法です。ただし、【カット】は長大な切断用の力場平面を生み出します。当てることができれば要塞(フォート)級だろうと真っ二つにできます。ただし一つ難点がありまして、その有効時間が約1秒と短いことです。使い物になるかは衛士の錬度次第だと考えます。

【ハック】は切断用力場平面を生み出し、それを射出して目標を叩き切る魔法です。こちらは有効範囲という面では【カット】に劣りますが、遠距離から攻撃できるというメリットがありますし、効果時間も長めです。【ディスポーズ】は【ハック】の上位呪文にあたり、切断用力場平面を網目状に発生させバラバラに切り裂きます。その分呪素の発生も多くなりますので対反応炉用として位置づけてあります。ただし効果範囲が反応炉に対してやや狭いので破壊には複数人での発動か、複数回発動する必要があります。

【ディフレイド】は防御用の力場平面を展開する魔法です。圧力や熱、衝撃といった物体以外の攻撃も、遮蔽・拡散することができます。この魔法は発動中は当然と言えな当然なのですが、敵の攻撃を遮蔽するだけでなく発動中は自分側からの攻撃も遮蔽してしまうので注意が必要です。また防御力場面に触れる物に自動的に反応しますので、移動中や跳躍中に使用すると風圧に反応してしまい効果の消滅が遅れます。

ただその性質を利用して、噴射跳躍(ブースト・ジャンプ)中等に光線(レーザー)属種から初期照射を受けた段階でこの魔法(ディフレイド)を発動させれば、その後のレーザーの最大出力照射から身を守ることができます。いくら光線(レーザー)属種であってもその照射中に別の目標へ照射することはできないでしょう。最大出力照射中というのは、見方を変えれば相手にとっても最も無防備な状態ですので、データリンクを受けた味方機が最大出力照射中のBETAを何らかの方法で撃破することもできます。

今までは初期照射段階の数秒しか光線(レーザー)属種に対応する時間がありませんでしたが、この魔法(ディフレイド)を展開することで最大出力照射中であっても、それを攻撃可能な時間として組み入れることができるようになります。その有用性は説明するまでもありませんね 」

 

 俺の説明に、博士がゴクリと喉を鳴らす。最大の脅威に対して有効な対策が一つ立ち上がったに等しいからだろう。

 

(彼の説明が真実であるとするなら、今まで初期照射段階で撃破するか、他のBETAを盾にする、若しくはAL弾とそれによる重金属雲でしかその対策ができなかった光線(レーザー)属種のレーザー照射を防ぐことができる。しかもデータリンクが使用出来れば、精鋭部隊でなくとも光線(レーザー)属種の駆除ができる……これだけでも恐ろしい程に価値があるわね)

 

「次に【シールド】ですが、こちらも【ディフレイド】と同様に防御用力場平面を展開します。ただし、【シールド】は【ディフレイド】と対比すると圧力や熱、衝撃といった物体以外の攻撃に対する防御力は劣ります。ただし、物体を遮るという機能に関してはこちらのほうに分があります。

それに、【シールド】は簡単な魔法といいますか、単純な呪文書式であるが故に効果の発動が【ディフレイド】に比べて早く、効果時間も長いという特徴を持ちます。この特性を利用して突撃(デストロイヤー)級を一時的に押し止めたり、要塞(フォート)級の衝角付き触手やその足によって踏み潰されるのを防いだり、と様々な場面に応用が利きます。

最後に【シェルター】ですが、これはその名の通りいわば一時的な避難所です。一度発動させると効果時間が終わるまで使用者本人も身動きが取ません。これだけ聞くと使いどころのない魔法と思われるでしょうが、逆に捉えれば、使用者本人は安全圏を確保できるのですから、使用者の居るエリアごと砲撃で面制圧するという選択肢も取れるようになります。『やりたくてもできない』と『できるけれどやらない』では戦術的に採れる方策が大きく違うことは博士も重々ご承知のはず」

 

「なるほど、ね。よく分かったわ。それがもし実戦配備されることになったら、人類の戦術も大きく変わるでしょうね」

 

「ご理解いただけて何よりです。ところで博士、オルタネイティヴ4について疑問点があるのですが、『誰』をBETAに対するネゴシエイターとするのでしょうか。機械の身体に人間の人格をダウンロードすることで非炭素生命を誕生させるとして、その『元』となる人格はどこから持ってくるのですか。

もし故人の記憶や思考パターン等をデーターとして残してあり、それをインストールするということですと、天国や地獄への道を作り死者の霊魂を呼び寄せるという作業が必要となります。BETAとの戦いで死んでいった人々の霊魂を『生贄』として使用すれば一人程度の霊魂ならば喚ぶこともできなくはないのですが、もしその魂が転生しているとなると既に魂は浄化されています。つまり、生前の魂を機械の身体に宿らせることはできないということになります。

生きている人間ならば、魂を移動させ、その肉体を保存しておき、任務完了後に元に戻すという手段が取れるのですが……」

 

 俺の言葉に、香月博士は何かを考えるように否定に指を当てる。数秒の後、彼女はこう言った。「付いてきなさい」と。

 

「霞、入るわよ」

 

 彼女に案内され、とある部屋の中へと入る。その部屋の中には、いつぞやのウサミミ少女が居た。そして、俺にとって見たことのある光景、それに酷似したものがその部屋にはあった。

 

「紹介するわ。彼女が、対BETAネゴシエイターになる『鑑 純夏』よ。ちゃんと『生きている』人間よ」

 

 そこに鎮座していたのは、淡い光を放つ円筒形の物体。そしてその中には、人の脳髄と思われる組織が浮かんでいた。博士は生きていると言った。つまりあの中にいる人物は、あの状態で『生かされている』と言った方が正しいか。しかし、これは……

 

「彼女に機械の身体を与えて、BETAとの交渉役にするということですか。しかし……」

 

俺は、これは拙いかもしれないと悟った。もし俺の想定が正しいとするのならば、先日博士に述べた仮説を遥かに上回る最悪の想定となりうる。俺が提供すると考えていた程度の魔法技術では『彼ら』が本腰を入れてきたらまず太刀打ちできないだろうことは明らかだ。

 

「博士、先日述べさせていただいた仮説ですが、あれを修正しなければならないかもしれません。もし、俺の懸念が正しいとするのならば、BETAに対して俺が提供する予定である魔法技術で対抗することは長期的には極めて難しいと言わざるを得ない。

『彼ら』がBETAを造ったのだとすれば、BETAに言語が存在しないことは問題なく説明が付きますし、一定以上の規模のハイヴから宇宙へと何かを打ち上げているということに関しても説明が付きます。そして本当に彼らだったとしたら、現在の人類では絶対に対抗できない」

 

なんということだ、まさかBETAの創造者がアレであったなど、悪夢としか言いようがない。

 

「ええっ! あんたBETAの創造者に心当たりがあるっているの!?」

 

「はい……最悪の可能性ですが、心当たりがあります。その名は『ミ=ゴ』、またの名を『ユゴス(冥王星)よりのもの』と呼ばれる種族です。ユゴス(冥王星)よりのものと呼ばれてはいますが、ユゴス(冥王星)はあくまで彼らの活動拠点のひとつに過ぎません。

彼らの本拠地もしくは母星は遥か彼方の外宇宙、あるいは異次元にあると推察されています。彼らはその体が既知の物質で構成されているわけではないので、直接見たり触れたりすることはできますが、写真などに写らないとされています。 そうですね、地球でいうならば性質としては菌類・菌糸類に近いでしょうね」

 

「BETAの創造主が菌類ね……それに勝てない私達は情けなくなってくるわ」

 

 遥か昔、未だ地球に人類が『古のもの』により生み出されていなかった(誕生していなかった)頃、忌まわしき菌類生物(ミ=ゴ)は地球へと飛来した。そして、旧き時代の地球でその繁栄を謳歌していた、『古のもの』を北方の地より駆逐したとされる。『古のもの』は現生地球人類を遥かに超えた極めて高度な水準の科学技術を持っている生命体であるが、ミ=ゴは、それに匹敵若しくは上回る技術力を保持している。とてもではないが、現生地球人類の技術力ではどう転んでも彼らに勝てる訳がない。

 

 大人と子供の喧嘩どころの騒ぎではない。宇宙空間を自由に移動し、時にはその次元すら容易く越えてしまえる彼らと、未だ母星の衛星である月にまでしか到達できておらず、その航法も化学燃料ロケットしか持ち得ない地球人類では、その技術力に大人と生まれたての赤ん坊ほどの差があると言ってもよいのだ。

 

彼ら(ミ=ゴ)の特性として、あのような特殊な円筒に生きたまま脳髄を取り出し、それを生きたまま運ぶことが知られています。あの円筒も解析不能なのでしょうね。あれは地球外の金属によって作られていますから。だが、彼ら(ミ=ゴ)がその処置を行なったのならその体がどこかに存在するはずなのですが、それは見つかっていないのでしょうか?」

 

「ええ、この横浜ハイヴが攻略された時の生存者は彼女ただ一人だけだったそうよ。この基地では他に生存者は見つかっていないわ」

 

「なるほど…………彼らの技術によって彼女があの状態に為されたのならば、特殊なコード類を接続することにより、脳髄に視覚情報などを与えることができると聞き及んでいます。 つまりあの円筒に収められた脳は、生きたまま、見聞きができ、設備次第ではあの状態で会話をすることも可能とされています。それほどの技術力を彼ら(ミ=ゴ)は有しています。

彼ら(ミ=ゴ)の目的は地球に存在する特殊な鉱物資源です。恐らく宇宙空間へと打ち上げているものは地球で採掘した鉱物資源でしょうね。それを彼ら(ミーゴ)の母星若しくは活動拠点(ユゴス)へと輸送していると考えれば辻褄が合います。しかし、彼ら(ミ=ゴ)は本来であれば人目につくことを避ける傾向にあるのですが、この世界では違うと考えたほうが良いのか、或いは資源需要が逼迫しそういったことに形振り構うことができなくなったのか……どちらにせよ、俺が知るミ=ゴとはかなり違うようです。

彼らは確かに必要以上に人類と接触をしませんが、時には彼ら(ミ=ゴ)独自の基準で特別に選定した人間を雇ったり、相談者として置くことで、より円滑に作業を進めるようにしていましたから。しかし、この世界の彼ら(ミ=ゴ)はBETAという効率の良い作業機械を作成し、様々な惑星に送り込んでいるとも考えられます。もしかすると彼ら自身ももう既に地球へとやってきている可能性があります」

 

 彼らは必要とあらば人間に擬態というより人間の中へと入り込み、それを乗っ取り人間そのものに化生しますので。という、最後の言葉だけは呑み込んだ。もしも俺が言わずに呑み込んだ最後の言葉が世界に発表されてしまったら、中世の魔女狩りが現代に復活してしまうだろうことは想像するに難くない。つまり『怪しい奴は殺せ、あとは神が見分けたもう』と。そして疑心暗鬼に駆られた人類の連携は現状よりさらに悪化し、人類は種として滅ぶ。最悪の未来だ。

 

 この仮説 が正しいとすればG弾を作り出した人物や、それをユーラシア大陸全土で使おうとしている人間はミ=ゴの手先なのではないかと疑ってしまう。ああもう、なんでこんな奴らが地球に来てるんだよ。これ俺が処理できる範疇じゃないだろう。タイタス・クロウ(怪奇探偵)やらハーバート・ウェスト(死体蘇生者)魔道士エイボン(ムー・トゥーランの魔道士)でも呼んで来い。ヘンリー・アーミティッジ(ミスカトニック大学図書館館長)フランシス・モーガンとウォーラン・ライス(その助手たち)のミスカトニック大学図書館三人組も頼むから来てくれ。かなり真剣(マジ)に地球がピンチだ。

 

 しかし、円筒の中にその脳髄のみが浮かぶ彼女を中心として展開されている術式、これは一体何だ。ひどく大雑把で、しかしただ一つのことだけを願うかのごとく、ある意味純粋な術式だ…………駄目だ、発動前であるからなのか魔力が流れていない術式の詳細を知ることはできなかった。

 恐らくはヴェリザの方陣、その類型であるとは思うのだが、ここまで大規模な術式が必要なものとなると一体何がある。あの術式が発動すれば一体どういったものであるのか、魔力の流れた痕跡からトレースすることができるし、その詳細まで知ることができる。仕方がない、あの術式の解明は後にして、今は目の前に降って湧いた新たな驚異の可能性への対抗措置を考えるとしよう。

 

 

 

 

 




というわけで第6話でした。知識を持ちすぎているということは、ある意味こういった勘違いを引き起こすものです。
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