インフィニット・ストラトス 重力戦線   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

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05.戦いの後

「これより、先日の襲撃についての会議を行う」

 

俺は現在、会議室に呼ばれている。議題は、先日のアプサラス襲撃事件だ。それにより、第三アリーナは全損、復旧のめどがたってないらしい。それもそうだろう、あれだけ強力なメガ粒子砲を撃ち込まれ、地面やら観客席やらが吹き飛ばされてしまったからな。

会議室にいるのは、俺とブリュンヒルデと轡木学園長の三人。一応、軍人と学園最高責任者と教師部隊の指揮権持ちが集まった事から、機密事項として扱われるに違いない。

 

「では、まず交戦した雨田少尉から。あれは一体、何なのだ? 少なくともISには見えないが」

 

どうやらアプサラスの事が気になるらしい。だが、軍の最高機密をそうやすやすと話す訳にはいかない。そう思っている時、

 

『公表してもいいんじゃないのか、少尉』

「ライヤー大佐…………」

『そこには諜報シールドもはられているようだし、漏洩はまずないだろう』

「…………わかりました。ではこの場では公表する形で」

 

そうして通信は切れる。まさか、極東方面軍司令、イーサン・ライヤー大佐から通信が来るとは思いもしなかった。もしかして、通信機能入れっぱなしだったのだろうか?

 

「はい。確かに、あれはISではありません。我々はあれをアプサラス(天の踊子)と呼んでいます」

 

そして、中央のモニターに大まかな図が公開される。

 

「全高18.7m、全幅22.6m、重量不明、主兵装大型メガ粒子砲一門。形状から見てわかるとおり、地上戦には不向きで、上空からの砲撃を行います。そのため、ISのように常時飛行する事も可能です。誰が何のために作ったのかはわかりませんが、その破壊力はアリーナのシールドを突破してもなお減衰はあまりないです」

「そのような兵器が…………PICかISコアでもなければ無理なはずだぞ‼」

 

確かにブリュンヒルデの言ってる事もあながち間違いではない。だが、

 

「確かにアプサラスにはPICと類似したシステムが搭載されていますが、動力源にはISコアは使われていません」

 

俺がアプサラスに搭載された飛行制御システム、クラフトシステムについて話し、ISコアが使われてない事を話した途端、ブリュンヒルデが声を上げてきた。

 

「何⁉ あのような機体にISコアが使われてないだと⁉ なら、何故ビーム兵器なんかが使えるんだ‼」

「織斑先生落ち着いて下さい。雨田少尉、あれの動力源には何が使われているんだ?」

 

学園長は真剣な眼差しで俺に聞いてくる。俺はそれに応じて答えた。

 

「核です。二基の小型常温核融合炉が動力源になっています。爆発による汚染はないので心配いりません」

「だそうだ。学園長、これからどうしていきましょうか。私には、教師部隊ではいささか不安があるのですが…………」

 

ブリュンヒルデがそういうのも無理はない。教師部隊といえども、機体は訓練機、しかも戦闘慣れなどしていない民間人だ。これでは、死に急いでいるようにしか思えてこない。

 

「そうだな…………少尉、君は小隊長だったね?」

「そうでありますが…………その情報リソースは?」

「イーサンだよ」

 

どうやら学園長は大佐と繋がりがあるらしい。ならば、問題はない…………のか?

 

「それで、要件は?」

「君の部隊を学園の護衛に頼みたいのだが、できるかい?」

「無理ーー」

『よかろう、十蔵。08小隊を護衛につけよう』

「…………ライヤー大佐、人の回線を勝手に開かないで下さい」

 

突然の大佐の乱入により、08小隊の護衛投入が決定した。

 

「いいのか、イーサン。そんな、勝手に決めて」

『問題などない。極東方面軍の小隊は08を含め、精鋭揃いだからね。小隊の一つや二つ抜けてもカバーできる』

「本音は?」

『コジマ中佐のストレス解消』

 

ブツっ。俺は大佐の回線を切った。そして、後はもうかかってきませんように、と五回祈った。

 

「…………というわけなので、極東方面軍第08小隊はIS学園の護衛につきます」

「そ、そうか。それでは会議は終了だ。では、私はこれにて」

 

学園長はそう言って会議室を後にした。ただ、広い空間に俺とブリュンヒルデが残された。

 

「それでは、俺も」

「まぁ、待て」

 

俺は退室しようとしたが、それをブリュンヒルデに呼び止められた。一体なんなのだろう。

 

「お前に幾つか聞きたい事がある。答えてくれよ」

「…………誰にも喋らない条件なら」

 

ブリュンヒルデはその条件をのみ、質問してきた。

 

「何故、お前はそんな若い年で尉官に昇格した? 普通なら、士官学校を卒業しなければならないはずだが?」

 

その事に聞いてきたか。俺は大体、その事について聞かれると思っていた。確かに16歳で少尉というのもおかしいものだ。

俺はなんで、ここまでの階級に上り詰めたのかを話し始めた。

 

「あれは、俺の初陣でしたねーー」

 

 

 

 

 

八年前ーー

俺は、所謂孤児というもので、日本で一人路上生活していた。原因は白騎士事件だ。何故か? 撃ち落とし損ねたミサイルが俺の住む地区を吹き飛ばしたんだ。住むとこも、財産も、家族も失った俺は路上生活を送る毎日になったわけだ。そんなある日だった。俺の前に二人の男性が現れたんだ。

 

『しかし、白騎士事件の影響か、孤児が見られますな、中佐』

『全くであります、大佐。ですが、我々にはーー⁉』

『中佐、どうしーー⁉』

『この子供、誰かに似ていませぬか? 私はそう思いますが』

『奇遇だ、私も同じ事を思っていたところだ。この目といい、顔立ちといい、似ているな。思い出せないが』

『大佐、我々でこの子を引き取りませんか?』

『軍人として、それは同感だ。君は私達と来るかいーー』

 

彼らこそ、極東方面軍司令イーサン・ライヤー大佐と大隊長コジマ中佐だった。俺は彼らの後についていく事を決め、日本の地を去った。

 

『何? 国連軍に入りたい? また何故?』

『俺は、義父さんがしている仕事に誇りを持てる。なら、俺にもその仕事をさせてくれ。世界がどうかは知らないが、俺は俺と同じ目に遭う人を一人でも多く減らしたいんだ‼』

『それが、命を落とす結果になってもか?』

『…………俺は、命を落とすよりも、何もできなかった自分の方が怖い。だから、少しでも力になれるんだったら、できる事はしたいんだよ』

『そうか…………イーサンに掛け合ってみよう。話はその後だがな』

 

こうして、俺は軍に入ったんだ。確か、十二歳くらいの時だったな。流石に一般兵と同じ訓練をこなすのは大変という配慮からか、少し軽めのやつが使われた。だが、すぐにこなしていったため、十四歳の時には、08小隊の一員としていた。この時俺の階級は軍曹だった。いつ昇格したのかって? 確か、テロ組織の排除任務を幾つかこなして、全員救助した時、ライヤー大佐から直接辞令で、昇格したんだよな。

 

『本日付でこちらに配属になりました、雨田士郎軍曹であります』

『同じく、テリー・サンダースJr軍曹であります』

『同じく、ミケル・ニノリッチ伍長であります』

『へぇ、また若いのが来たねえ。こんなご時世にも軍人志願はいるんだな』

『まあ、俺たちはそういう堅苦しいのが好きじゃないからな。楽にしていいぜ』

『ですが、まだ隊長への挨拶が済んでいないのですがーー』

『隊長なら後方の病院へ入院。ノイローゼだってさ』

 

俺と同じ時期にサンダースとミケルも入ってきた。俺には今の愛機ーー第二世代機である陸戦型ガンダムが割り当てられた。08小隊に配属されてからは様々な任務をこなした。極端な女性至上主義者達が引き起こしたクーデターの鎮圧や、パワードスーツを保持するゲリラ兵の排除、そしてアプサラスや一つ目のパワードスーツ「ザク」の撃破など。

気がつけば、アプサラスの単騎での撃破数は五を超え、ザクはその倍近い数を撃破していた。そして、二階級特進で少尉にまで上り詰めた。

後に知ったことなのだが、俺らのような男性IS操縦者は士官学校を卒業しなくても、少尉にまでなれるとのことだ。最も、軍規などはコジマ中佐が教えてくれたけどな…………エアコンなしの部屋で。

 

 

 

 

 

「ーーということがあって、現在にいたります」

 

話し終わると、ブリュンヒルデはその表情に僅かな曇りを浮かべた。何があったのだろうか。

 

「…………そうだったのか。それとだ、お前の機体は何故あんな重火器を使える? 戦車砲クラスのマシンガンなど普通は両手でも無理だと思うぞ」

 

ブリュンヒルデは次に陸戦型ガンダムについて聞いて来た。戦車砲クラスのマシンガン。例えとしては妥当かもしれないな。実際、100mm徹甲弾を撃つからな。ちなみにマガジン装填弾数は48発。

 

「それですか。何と言ったらいいんですかね、国連の地上戦専用ISには浮遊するためのシステムを取っ払って姿勢制御システムのみにし、そのエネルギーを駆動系に回しているだけとしか言いようがないですね。そのおかげで300mmクラスの火砲なら扱えますよ」

 

俺はそうとだけ答えた。実際、それだけで300mmの火砲を扱えるだけのエネルギーは確保できない。だから俺たちにも搭載されている、小型常温核融合炉(………………)が。

 

「そこが調査書になかったからな。どうやら、相当な機密だったようだ。それと、最後に一つ」

 

ブリュンヒルデの声をバックに俺は、出口に向かって歩いていく。

 

「弟を…………一夏を頼む」

 

俺は返事せず、会議室を後にした。一夏頼む、ということは先日のアプサラス襲撃事件のような事から護ってくれということだろう。そんな事、わかっている。俺にかせられた新任務は、『織斑一夏の護衛』なのだから。

 

 

 

 

 

「だ、大隊長‼ そ、それは本当ですか⁉」

「ああ。ライヤー大佐からの命令だ。これより08小隊はIS学園の護衛に向かってもらう。明日までに着任してもらうぞ」

「しかし、我々はどうやって向かえば?」

「ミデアを用意してある。各員、機体とホバー、各種兵装を積んでおけ」

「ですが、IS学園にミデアが着陸できる場所なんて…………」

「ん? 誰が着陸するといった? パラシュートパックでの降下で入ってくれ」

「げげっ…………マジで?」

「早く準備をせんか。0530には出すぞ」

 

その夜、コジマ大隊の基地では慌ただしく動く08小隊の姿があったとか。




えーと、IS並びに08の原作からの変更点。
・白騎士事件でミサイルは全て撃墜できてない。
・コジマ大隊長とライヤー大佐は何故か馬があっている。
・上記の二人はーーー。
・ライヤー大佐の競争意識的なものがない。
・アプサラスが量産されている。
・クラス対抗戦で、ゴーレムではなくアプサラスが乱入。

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