好きなひとがロリコンだった~そうだ、幼女になろう~ 作:模擬戦で2000勝
突然だが、一般に受け入れ難い趣味嗜好についてどう思うだろうか。
気にする必要はないと恥ずかし気もなく趣味を公言する人もいるだろう。世間体を気にして趣味をひた隠して生活している人もいるだろう。
俺は他人に迷惑の掛からない範囲でのことであれば、一般に受け入れ難いと言われている趣味嗜好についても寛容だと自分で思っていた。
これは俺が中学生だった時の話だ。
普段から人当りも良くて、それでいて真面目な山田君という友達がいた。
彼は陸上部に入っていて女子からの人気もかなりのものだ。
今では大きな大会などでも結果を残し、時折新聞の一面を飾ったりもしている。俺も友達として誇らしい限りだ。
まあそんな彼だったが、二年の時に好きな人ができた。
名前が、なんだったかな。
確か白鷺さんだった気がする。当時子役として有名だった人だ。
それで、だ。山田君が何をしたというか、しでかしてしまったというか。
とある日、俺たちのクラスで水泳の授業があった。
気が付いてくれただろうか。
.....。
そう。
山田君は、あろうことかやってしまったんだ。
あの山田君が、好きな人の使用済み水着を盗むというとんでもないことを!
このことは俺しか知らない。
いちおう山田君の名誉のためにも言っておくが、彼は普段からこんなことをするような超弩級の変態ではない。あの時は思春期だった彼の中で昂ってしまったナニかが抑えきれなかっただけなんだ。
あ。
でも山田君。
君は知らないだろうけど君の大好きな白鷺さん、君の水着の匂いを嗅いで悦に浸ってたよ。
そんなことがあったりもしたけど今でも俺と山田君は友達だ。
こんなこともあった。
同じく俺の友達の話で、しかも弦巻家と並ぶほどの大きな企業であるところの御曹司でもある刹那君の話なんだ。
曰く天才ってやつで、刹那君は一を聞いたら十を知ってさらに百まで考えが至るような凄い奴だ。
多少人のことを見下してる感じはあるけど、それさえ気にしなければ基本的にいい奴だよ。ノブレスオブリージュとか言って結局は皆に優しかったし。
そんな彼には許嫁がいた。
さっき少しだけ話題に出てきた弦巻家の一人娘である弦巻こころさんだ。
彼は弦巻さんのことを溺愛していて、彼女のことを語りだすと遊戯王GXを二周できるぐらいには話が長い。
で、だ。
そんな刹那君がある時、俺や山田君をペットショップに買い物に行かないかと誘ってきた。
犬用の首輪を買いたいんだそうだ。
確か彼の家は犬を飼っていなかったはずだと思っていたら、山田君が「犬でも飼うのかい?」と質問してくれた。
刹那君は首を横に振ると、いや違うと言った。
じゃあどうしてと聞き返すと、彼はとんでもないことを言い放つ。
許嫁につけさせて家で飼う。
.....。
空いた口が塞がらなかった。
富豪の考えることはスケールが大きすぎて理解できない、そう思うことにしておいた。
あ、でも刹那君。
弦巻さんもたしか君と二人だけしか入れない島が欲しいとか誕生日で言ってたよ。
やったね両想いだ。
因みにだけど山田君のまさに必死の説得により、刹那君はチョーカーを買うにとどまった。
まあいろいろあったけど、俺は今でも刹那君とはよく連絡を取り合う仲だ。
他にも様々な人達に会って来たけど、俺は特別好きになれない人とかはいなかったはずだ。
だから俺はそういった趣味でも受け入れられると、そう思っていたんだ。
輝かしい青春を送っていた俺だったが、一つだけ大きな悩みがあった。
なんというか、とても言葉にはし難いんだけど、そう。
俺の聖槍は一度も白いビームを放ったことがなかったのだ。
高校三年になる今までで、一度もだ。
これはもう性欲云々ではなくて、身体に異常があるんじゃあないかと思って病院に行ったりもしてみた。
しかし俺の体はいたって健康だった。
医師が間違っていたのかもしれないと刹那君に腕利きの医師を紹介してもらったが、結果は変わらなかった。
流石に俺も焦った。
カストリ物の本を買ってみたりもしたが、結果はどれも惨敗。
俺の聖槍が奮い立つことは一度もなく、終いには妹に見つかって一週間口も聞いてもらえなくなる始末だ。
やることなすこと全て失敗に終わってしまった俺は絶望の淵を覗いている気分だった。
気力を失い、妹の幼馴染にパンを餌付けして生きるだけの無意味な日々を過ごしていたある時。
雨の日だ。
土砂降りの大雨で、場所によっては警報も出るほどの大雨だった日。
それでもとパン屋にやって来た俺は、運命と出会った。
一人の女の子が走って店内に入ってきた。
彼女の名前は山吹紗南。
かわいい(心からの本音)。
.....ッハ!?
俺は一体何を言って.....。
兎に角、彼女が雨に濡れて家に帰ってきたわけだ。
ひどい雨のせいだろう。
全身が水浸しだった。それに走って帰って来たからだろうか。少しだけ頬に朱が差していた。
エロい。
服が濡れて体に張り付いているせいで幼女特有の少しふっくらとした体形が露わになり、未成熟な肢体が熱を帯びているのがわかる。
エロい(二回目)。
おそらくお気に入りの服だったのだろう。
濡れてしまって涙目になっている紗南ちゃんを見ると、なんだか込み上げてくるものがある。とてもとても庇護欲に駆られるんだ。
あと食べたい。というか舐めたい。
その時、俺は自覚した。
自分はロリコンなんだと。
あまりの衝撃に三日間も学校を休んだ。
どうやら俺は他人の特殊性癖に対しては寛容でも、自分にはそうではなかったらしい。
悩んだ。
自分が不能だと思っていた時よりも激しく悩んだ。
悩みに悩んだ結果、人に相談することにした。
あの変態たちにではない。
話をしたところで、的外れな言葉が返って来るのは目に見えていたからだ。
妹に相談しようかとも思ったが即座に思い直した。
あの娘はそういったことに耐性がない。
父に話すことも考えたけど、あの人は寡黙そうに見えて実は親バカだからきっと大事になる。
自分の性癖がご近所さんに知れ渡るとかちょっとどころじゃなく嫌すぎる。
最終的には、高校に入ってから関わることの多かった氷川さんに相談することにした。
彼女は真面目だから、きっと大丈夫だろうと思って。
*******
相談があると言ったはいいものの、突然「俺ロリコンなんだけど」と言い出すわけにもいかず、ダラダラと中身のない会話をすること数十分。
俺は未だに勇気を出せずにいた。
氷川さんは真面目だけど、少し規則とかに五月蠅い所も多い。
俺がこんなところで性癖をカミングアウトしたりなんかしたら、それはもう白い目で見られそうな気がした。
「自分でもどうかしてると思ってるし、これまでの俺のイメージを尽く崩すような酷い話なんだ。しかも本来は女性に話すことじゃあ断じてないし俺もできれば話したくはなかったんだけど、どうしても自分一人では片づけられる問題じゃなかった」
「いつになく不穏なうえに長い前置きですね。でも心大丈夫です。私はすこしのことで態度を変えるほど、あなたのことを知らないわけではありませんから。私とあなたは、友人ですから」
「そうか.....。そうだな。ありがとう紗夜、少し気分が楽になった」
確かにそうだった。
俺の友達も数々の変態的思考を持っていたが、それだけで見る目が変わったことはない。
考えてみれば簡単なことだったのかもしれない。
思えば。
性癖の一つぐらいで態度が変わるなら、そもそも最初からその人とは友達ではないだろうから。
「本当に何を言ってるんだってことだから、できれば引かないでほしいんだ。馬鹿だと思うかもしれないが俺にとっては本気で悩んでいることなんだ」
生唾を飲み込む。
「実は.....俺、ロリコンみたいなんだ」