【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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戦闘シーン尺のアンケート結果、大多数が本編同様なのは予想通りだけど……次点がまるっと1話潰しと言うのは……
私を殺す気ですかっ?!


仮面の復讐者の前へと堕天使は舞い降りる
仮面を捨てた復讐者と、仮面を外した征服者……2人の思惑の渦巻く中で、堕天使は舞い踊る

願わくは、争いのない世界へ……


第12話 蘇りし「錦の御旗」……って誰の事?

『アイン! ……さぁ、好きに使え……俺の体を、お前に明け渡す……!!』

 

 セファーは声が途切れた直後、ヴィダールから禍々しい気配が溢れたのを察知して顔を歪ませる

 同時にヴィダールは奇妙な挙動から全身の力が抜けた様に棒立ちとなり、堕天使はその隙だらけのヴィダールへとテイルブレードで攻撃を仕掛けた

 

「「「……!!」」」

 

 しかし、ヴィダールは直撃寸前に横スライドで避け、堕天使の背後まで移動……堕天使も旋回し正面へと捉え直すが、ヴィダールはそのまま横スライドから更に回転挙動を加え、勢いのまま蹴り技へと繋ぎ、僅かに反応が遅れていた堕天使を吹き飛ばす

 堕天使もここに来て始めての物理的接触攻撃を受けたが、すぐに姿勢を建て直し、壁面に一度着地してから浮遊状態へと移行……テイルブレードを引き戻し、GNソードで反撃に出る

 横薙ぎの一閃をバックステップで避けたヴィダールはそのままの勢いで背後の壁を蹴って上昇し、天井の穴から外へと向かう

 堕天使も飛翔して後を追い、セファーも霊廟を出て施設の外へと走って行く

 マクギリスはそれまでの光景を余裕の笑みで最後まで見届けた後、バエルに乗り込む

 

「300年だ……もう、休暇は十分だろう?」

 

 コクピットシートに座り、マクギリスは1人呟きながらシステムを立ち上げていく……正面のコンソールが点灯し、画面には「ASW-G-01 GUNDAM BAEL」の表示……

 同時に、マクギリスの背中へと阿頼耶識のケーブルが接続され、機体からフィードバックされる情報量に、マクギリスは僅かながら苦悶の表情を浮かべた

 

「グッ……はぁ……っ……さぁ、目覚めの時だ……!」

 

 初期フィードバックの洗礼を通過したマクギリスの声に、バエルの機体が反応したかの様なタイミングでカメラアイが点灯……その機体に魂とも呼べるモノが戻った……

 

──────────

 

 ヴィーンゴールヴの天井に開いた穴から、2機のMS……ガンダム・ヴィダールと堕天使ザドキエルが飛び出す

 ヴィダールは拓けた場所に着地すると穴の方向へ向き直り、追従してきたザドキエルは着地せず同じ場所に高度を下げて滞空する

 

「……重力下で飛行可能とは、やはり既存の機体とは違うな……」

 

 ガエリオは相対する堕天使の性能をじっくりと確認していた

 現存するどのガンダム・フレームとも違う外観……明らかに人が乗る事を前提としていない動き……加えて常人でも難しい3次元機動をいとも容易く行い、なおかつ不自然なまでに死角のない反応速度や攻撃の挙動……機械で制御される無人機がこれほどの複雑かつ精密な動きを制御しているのだとするなら、それは確実に厄災戦時の技術だろう……とガエリオは考えた……

 

 ……だが、実際は違った

 

(思ったより隙がない……さすがは真面目君だね)

 

 実はセファーが近くにいる時のザドキエルは、セファーからの視点とザドキエル自体の視点、そして機体の各種センサー情報は把握しやすく処理され、内蔵されたサイコフレームの恩恵による思考操作直接反映(イメージフィードバック)……つまり、格ゲーやロボットアクション系のゲーム感覚でセファー自身が動かしていた

 複数の視点を確保し、機体の死角を極力少なくできるこの操作方法によってザドキエルは、通常なら死角となる背後や側面からの攻撃にも余裕で対応、かつ広範囲で事態の推移を認識できる為、咄嗟の機転による挙動変化や不意の急襲でさえも事前に察知し、高い危機管理能力をザドキエルに発揮させている

 ちなみに、セファー視点がない超遠距離での遠隔操作の場合は、各種センサー情報を肌感覚とマッチングさせ、機械的な中継を不要とする脳量子波相互リンクによって、同じくゲーム感覚で操作していた(基本的には機体後方から俯瞰できる広域追従視点で、イメージ情報はサイコフレーム経由で本体のOSが誤差を相互補完して視覚情報と挙動に反映させている)

 

 地上へと出て再び睨み合う2機……先制攻撃を仕掛けたのはヴィダールだ

 両手にハンドガンを構えてヴィダールが飛び込む……それを迎撃するべく縦斬りを繰り出した堕天使のGNソードを、ヴィダールは振り下ろされている最中に刀身の腹を左肘で殴る事で回避、同時に右方向へと1ステップしながら右腕で3発、バイタルパートを狙い撃つがそれは予測されており堕天使にガードされる……しかし、ヴィダールも「その程度は想定通りだ」とばかりに更に前へ踏み込んで後ろ回し蹴りを繰り出し、堕天使のバランスを崩させることに成功する

 バランスを失った堕天使だが、スラスターで機体を回転させ蹴られた反動を殺しつつバランスを取り直し……ついでに置き土産だとばかりにテイルブレードを射出して低い弾道からヴィダールの右腕を突き上げて持っていたハンドガンを取り落とさせ、目眩ましにシールド内蔵ビーム砲を散弾モードでバラ撒く

 被弾する寸前にヴィダールは範囲外へと飛び退きながら右手にバーストサーベルを握らせ、低空を飛ぶ堕天使にジャンプからの踵落としを敢行、それを右腕でガードした堕天使にヴィダールはバーストサーベルを突き立て、それはナノラミネートアーマーほど堅牢ではない堕天使の装甲へと突き刺さった

 深々と左腰のアーマーに刺さったサーベルの刀身をすぐさま切り離し、ヴィダールが飛び退く……直後に残された刀身が炸裂し、追撃が堕天使を襲うものの、刺されたアーマーが欠損した程度でダメージは抑えられてしまう

 

 しかし次の瞬間、ガエリオは我が目を疑った

 霊廟を出る前に蹴りを入れて破損させていた堕天使の羽根にあるはずの損傷が無くなってるのだ

 堕天使は左腰のアーマー欠損を確認しながらこちらを警戒しているのか、積極的には攻勢に出ない……僅かな時間だがガエリオは不思議に思っていた

 

 確かにあの時、蹴り込んだ堕天使の羽根は挙動を制限させるまでには届かなかったものの、明らかに装甲は大きく陥没していたはずだ

 

「……冗談だろ、どんな手品だよ……」

 

 堕天使がヴィダールへと向き直り、ガエリオも堕天使を警戒するが、突如響いたスラスターの噴射音に気付き双方がヴィーンゴールヴの建物へと視線を向ける

 

 そこには、もう1機の白きMS……バエルが霊廟から出てきていた

 

「……2対1か……さすがに分が悪いな……」

 

 ガエリオは仕方なしと見切りを付け、ヴィダールのスラスターを全開にして海上へ飛び出し撤退……ザドキエルも追撃しようと翼を広げるが「追う必要はないよ」とマクギリスは止めた

 

──────────

 

『聴け! ギャラルホルンの戦士達よ……今、300年の時を経て……マクギリス・ファリドの元にバエルは甦ったッ!!』

 

 アグニカ・カイエルの魂が宿るとされる機体……ガンダム・バエル

 マクギリスはそのコクピットの中で自らの正当性と真意を語り、仮染めの平和を享受するこの腐った世界を根本から正してみせると謳い上げていた……そしてバエルを持つ自分こそが、唯一絶対の君臨者にして支配者であると語る……慎重に言葉を選んでいるようだが内容は詰まる所完全に独裁政治のソレであった

 

(多少の差違はあれど、ほぼ史実通りの展開ね……さて、この後はガエリオ君が演説に割り込む筈だけど……)

 

──────────

 

 その頃、宙域で艦隊の集結を待っていたラスタルの元へ通信が入る……「待たせてすまない」とヴィダール……ガエリオは仮面を捨てて素顔を晒していた

 

「仮面を捨てたか……ならば、見極められたようだな?」

 

「ああ、俺は戻るよ……あるべき姿に」

 

 その顔は曇りなく一切の容赦もない……己の正義を信じ貫く、勇敢なる戦士の表情をしていた

 後顧の憂いを断ち、迷いを振り切った彼の顔にラスタルもまた、釣られたように表情を変え、部下へと指令を発する……

 

 これから起こる戦争は、300年前とは似て非なる、人と人の覇権と威信を賭けた戦争……しかし、史実(本来の流れ)とは違う、歪な流れと渦によって捻じ曲げられた世界で起こる、不確定要素だらけの(何が起こっても不思議じゃない)一幕だった




本編見直しながら書いてたらこんな内容に……

次回はアリアンロッド艦隊vsマクギリス(MD)艦隊がガチバトル!

……ふと考えたら、この後の流れってガンダム(ウイング)の最終決戦の構図に近いんでね? って思ってしまった私がいる……

そういえば書いてなかったミカ×アトラ……追求の余地は?

  • 書くべき……ってか書け!
  • 振り返り程度で良いから書いて?
  • おまかせします
  • 今更なんで書かなくても良いです

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