【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

17 / 76
バエル魔改造計画が遂行されました。
今回の投稿を以て、バエル魔改造アンケートは締め切られます。
結果による強化内容は、本編登場をお待ち下さいね♪


第14話 混迷する宇宙(その1)

『チィッ……コイツら、素早い!』

『このタイミングで回避だと?!』

『此方の動きが読まれてるのか?! うわぁぁぁぁ!?』

 

 片や変態機動を繰り返すグレイズの小隊、もう片方の小隊はその機動に翻弄され後続からの援護射撃に一機、また一機と撃墜されていく……

 

「MDを前面に出して相手の陣形を崩せ、そこを狙撃すれば容易く倒せる」

 

 マクギリス派のクーデターにより、圧倒的な戦力を持つアリアンロッド艦隊は全戦力を投入し真っ向勝負を挑んでいたが、マクギリスの採用したモビルドール小隊の変態機動による撹乱は、前線の部隊に対して非常に高い効果を発揮し、戦力差は埋まりつつあった……そして、更に……

 

『嘘だろ……冗談キツいぜ……』

『こ、コイツは……?!』

『何故、此処に奴が……!?』

 

 アリアンロッド艦隊の部隊を蹂躙していく白き堕天使……そのカメラアイは赤く光り、かつてのバルバトスがリミッターを解除した時の様に尾を引いていた

 左腕のシールド先端は割り開かれ、内部から飛び出た水色に光るフレームは超振動効果でぶれて見える……その鉤爪に捕らわれた隊長機のレギンレイズは装甲で耐えていたが、次の瞬間、あり得ない速度でナノラミネートアーマーが崩壊し初め、あっさりと噛み砕かれた

 

『……そんな、馬鹿な……。

 奴には、ナノラミネートアーマーなど関係ないのかっ?!』

 

 隊長機が破壊される一部始終を見たパイロットは驚愕したが、その理由はなんて事無い

 ナノラミネートアーマーとは、MSの動力であるエイハブ・リアクターから発せられるエイハブ粒子と装甲の特殊塗料の2つがあって初めて効果を発揮するもの……そこでセファーは対抗策として、ザドキエルのサイコフレームとGN粒子を利用して、エイハブ粒子を減衰させるジャミング機能を持たせる事でその在り方を崩したのだ

 原理としては、敵から放たれるエイハブ粒子を感知したサイコフレームが私の脳量子波を変質させ、機械的に増幅……そしてジャミング脳量子波を含んだGN粒子がエイハブ粒子に干渉する事で成り立っている

 発動の条件として、脳量子波とサイコフレームをシンクロさせる必要がある為にTRANS-AM中にしか使えず、ジャミング効果は一定距離まで拡張される上、味方にもその効果(被害)が及ぶのだが……現在は単独奮闘中なのでデメリットはTRANS-AM限界時間まではほぼ皆無、エイハブ粒子を減衰させられた敵のナノラミネートアーマーはほぼ元の素材強度へと成り下がり、クローの超振動によってフレームを残して崩壊したのであった

 

(サイコフレーム搭載が前提の能力だけど……【GNサイコ・ジャマー】……凄まじい効果ね)

 

 その機能を盛り込んだセファー自身、驚きを隠せないでいた

 サイコフレームとは、分子レベルのマイクロチップを鋳込んで造られたMS用のフレーム材……元はサイコミュシステムを小型化する為に使われたパーツだ……しかし『逆襲のシャア』ではサイコフレームだけでビームを無効化し、『UC(ユニコーン)』や『NT(ナラティブ)』ではフルサイコフレーム製MS『ユニコーンガンダム』の系列が驚異的な性能や特異な能力を発揮していた……数々の不思議な現象を巻き起こす特異素材として、宇宙世紀では後に封印され、開発も停止させられたという経緯がある

 ただのフレーム材が巻き起こすその特異能力は、正直言ってオカルトじみており、明らかに異質だ

 最も、その効果を期待してザドキエルに採用したのはセファー自身なのだが……

 

──────────

 

『ジュリエッタ、例の堕天使が左翼にいる……ガエリオも手一杯で援護には抜けれそうにない。

 止められるのはお前だけだ……やってくれるな?』

 

 ラスタル・エリオンからの通信に彼女はすぐさま反応、それまで相手にしていた小隊を速攻で壊滅させ、指示の通りに左翼部隊の援護へと機体を走らせる

 戦力差は敵の無人MS部隊によってほぼ互角という状況……右翼はガエリオ・ボードウィンによって戦線は維持されていたが、左翼の味方がジリジリと削られ、そこへ更に堕天使も乱入した為、部隊は総崩れになりつつあったのだ

 

(堕天使……突然現れてイオク様や私の部隊を軽々と蹂躙した謎のMS……今度はマクギリス・ファリドと一緒に現れるなんて……!)

 

 歯噛みするジュリエッタの視界に、戦闘の軌跡が現れては消えていく……それは件の堕天使を相手に、味方の部隊が必至に抵抗している光景だった

 ジュリエッタは機体の両腕に装備された剣を交差させ、味方に振り下ろされる大剣を突撃で中断させ、そのまま堕天使を突き飛ばす

 

 堕天使からすかさず反撃が来る……が、ジュリエッタもそれを既に察知しており、左手の剣を蛇腹剣へと変形させて堕天使の大剣を絡め取り、大剣の軌道を変えつつ回り込みながら機関砲を叩き込み、最後に蹴りを入れて堕天使の頭上へと位置取った

 堕天使は一瞬、頭上に移動したジュリアに気付かず左腕のクローで背後を薙ぎ払うが、その攻撃は空振りとなり、ジュリアに対して大きな隙を生んでしまう

 

 だが、追撃を警戒してかジュリエッタは機体を下がらせ、隙きを突いてのHit&Awayで攻め込む……堕天使も対抗して迎撃に徹する……が、先程までの恐るべき挙動とは打って変わり、安全策を講じている様な動きだった

 

(おかしい……あの時とまるで違う……?)

 

 ジュリエッタも堕天使の挙動の変化にすぐに気が付いた……以前、相対した時は速度で圧倒され、手も足も出なかった……しかし、今の堕天使はその性能こそ此方より秀でているものの、前回の様な圧倒的までの感覚は微塵も感じられなかった

 

(……よりにもよって、時間切れの時に悪食ちゃんが相手なんて……冗談キツいわ)

 

 




……超長くなりそうなので複数話構成になりました。

ほぼ史実通りのシナリオ(登場人物が若干違う事以外)で進んでおりますが、原作と違う点はまず戦力差でしょうね……MDの数はそれほどありませんが、
戦力比がだいたい (MS)3:1(MD) 位という想定ですので……

次回は悪食ジュリエッタとの死闘がメインですが、ガエリオ君も出ます。
スタンバってるバエルくんは……も少し先かな?

本編ではガエリオとジュリエッタが微妙に接近してましたが、こっちではどう扱えば……

  • 本編通りくらいになれば良いと思う
  • もう少し掘り下げても……
  • いっその事カップリングさせる?
  • さっぱり忘れましょう(フェードアウト)
  • 書き込み非推奨(自分で妄想したいw

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。