【更新休止中】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
「はぁぁぁぁぁっ!!」
掛け声と共にジュリエッタは機体を操り、堕天使と斬り結ぶ……
ジュリアの猛攻を的確に捌きつつ、堕天使は時間が経つのを待っていた
(クールタイム終了まではもう少し……再チャージ完了は……まだ先かぁ)
セファーはマクギリス派として参戦しているが、彼女には別の目的があった
(できればこの場でラスタルとの繋ぎを持ちたいけど……応じてくれるかなぁ?)
ラスタル・エリオンとは、今後の為に何とか連絡手段を持ちたかった……それは後々の取引にも不可欠な手だ、できれば確保しておきたいし……それに何より……
(戦後の情報操作はほぼ彼が仕組んでいた事だし……彼とは一度会っておく必要がある……!)
思考を止めぬままセファーは、ジュリエッタを相手取りながら再び時を待つ
意図は判らないが、その態度に業を煮やしたのはジュリエッタの方だ
『何故、全力で来ない?! 私を馬鹿にしているのですかっ!?』
隙を縫う様なジュリアの攻撃を的確に捌き、必要以上のダメージを与えぬよう抑えた反撃を繰り返す堕天使……端から見ればそれは教習にも似た雰囲気を醸し出しており、しかしながら普通ではない決闘の様な状況を作り出していた
他の宙域では未だ戦闘が続いているのだが……このエリアだけ、ジュリアと堕天使の戦闘を誰一人動くことなく黙して見ている……まるで次元の違う戦闘を、誰もが固唾を飲んで行く末を注視している……そんな状態だった
『何故です! それほどの力が有るのなら、この混乱を収拾する事も出来るはず! なのに自ら混乱を広げて……アナタは何を求めているのですか!?』
ジュリエッタの叫びが、疑問が、堕天使へとぶつけられる……その時、鍔迫り合いを続ける2機の間に初めて回線が開かれ、堕天使から響く声に、ジュリエッタは驚愕した
『……求めるもの? 私だって、戦いたくないわよ!!』
「……っ?! アナタ……貴女は?!」
ここにきて、ジュリエッタは混乱し、ジュリアの太刀筋が鈍る
しかし、堕天使はその隙を敢えて見逃し、あろう事か堕天使も構えを解いたのだ……戦場で戦う事を止める……そのありえない行動に、ジュリエッタは更に困惑した
「何を?! 死ぬ気ですか!?」
『認識が遅いですね……もうとっくに誰も戦ってませんよ?』
言われて周囲を確認すると、この宙域だけだが、敵味方その全てが戦闘を止めてこちらを見ていた……無人で動くMD部隊は艦隊中央の防御や指揮官護衛に割かれており、この宙域には居ないのがせめてもの救いだ
『戦いなんてしたくない……それは誰もが思ってる事よ、でも、世界は残酷よ……』
セファーは、世界の真理とも呼べるこの理不尽さに憤っていた……
『貴女と私の思いは同じよ、ただ立場が違うだけ……私はあの人達を守りたい』
「戦うだけが守る事ではありませんよ!?」
『知った風な口を聞かないでッ!! ……貴女には
「……ッ……」
『幸い、私は
「貴女は……いつの間に私の事を?!」
『今迄の情報なら、私は何処の誰でも全て知り尽くしてるわ……堕天使には些末な問題よ』
全て知っている、というのは半分ほどハッタリではあるが、セファーは賭けに出た……自分だけが持つ情報という
「……ラスタル・エリオンと話がしたい……繋ぎ役をしてくれない?」
ガエリオは苦戦していた……感情を伴わない攻撃、無慈悲なまでに味方すら巻き込みかねない砲撃の嵐、間髪入れぬ多方面からの包囲攻撃……無人制御されるMD部隊の連携は、確実にガエリオの精神を疲弊させ、かつその怒りを買っていた
『味方すら駒のように扱う……いや、既に駒か……幸いな事は無人機だという事か!』
ガンダム・キマリスヴィダール……
ギャラルホルンを取り仕切るセブンスターズの一角、ボードウィン家の所有するガンダム・キマリス……その本来の姿とも呼べる発展改修機、いや決戦仕様とも言うべきか……
300年前の技術と現代の最新鋭MSの技術が合わさり、更に阿頼耶識Type-Eという戦闘補助システムを獲得したこの機体を駆り、ガエリオは獅子奮迅の活躍をしていた
だが、相手は無人のMD……撃破も難しく、的確に此方の攻撃を避け、あるいは防御し、数でもって此方を圧倒しようと大挙して押し寄せる……いくら一騎当千の性能を持つガンダムを駆るガエリオも、疲労という概念には勝てない
そしてMDには、その概念自体がない……
『この状況で持ちこたえているとは……さすがはガンダム・タイプを駆る者だけはありますね』
ヘルムヴィーゲ・リンカーを駆る石動は、ガエリオの胆力を称賛していた
突撃要員の部隊を除き、艦隊の防衛をMDで構成しているマクギリス側との戦力差は、数こそアリアンロッド艦隊側が1.5倍ほど上回るものの、有人機の3倍強という戦闘能力を見せ付けるMDによってほぼ互角……その上、MDには「疲労」という概念が存在せず、指揮を中継する有人の隊長機か、1機ずつ包囲しての滅多打ちでしか有効な攻略法もない
それなのに、ガエリオはMDを相手に一歩も引かなかった……恐るべき胆力、いや、それを可能にしているのはガンダム・タイプの力か……
『しかし……その勢いを削げば、此方の優位を確固たるものに出来る!』
ヴァルキュリアバスターソードを構え、機体を突撃させる石動
しかし、時を同じくしてアリアンロッドのMS部隊は奮戦から一転して後退、ガエリオも戦線から下がり始め、石動は困惑した
「……確かに、今のお前達は手強い……だが……」
機体を後退させる中、ガエリオは1人呟いていた
アリアンロッド艦隊の前方中央には、20機のある特殊装備を施したMS部隊が展開している
艦橋で部隊の展開と配置の終了を受け取ったラスタルは、不敵な笑みを浮かべる
「……人ならざる力を行使する相手に、人の流儀で合わせる事など毛頭ない……
ダインスレイヴ隊……禁忌の力を以て、敵の人形部隊を圧倒せよ!」
ラスタル・エリオンの号令で虚空に幾つもの光の線が瞬き、敵艦や防衛するMS達を蹂躙するのだった
一言で言えば、被害は甚大……
ダインスレイヴ……厄災戦時代に、旧世代の理論によって構築された実弾兵器
実態はMS用のフレーム材である高硬度レアアロイ製の杭を、超電磁加速によって射出……その質量加速度と弾体の硬度をそのまま破壊力に転化できる……言わば超遠距離まで届く杭打機のようなものだ
その破壊力は厄災戦当時にも遺憾なく発揮され、MAに対しても強力な有効打となり、それをMSと併用した事が、厄災戦終結のキッカケとなった事は想像するに難くない
しかし、戦後の混乱を収拾すべく結成された当時のギャラルホルン時代から、ダインスレイヴの驚異的破壊力を恐れ、安易に使えぬよう「禁止兵器」とし、技術の漏洩や製造・輸送の禁止など、徹底した施策を行っている
ラスタル・エリオンは「
それ故の使用であると、世間体的な言い訳も十分に可能……今回の件において、ダインスレイヴの使用はラスタルにとってデメリットなど皆無だった
「戦況の方はどうなっている?」
「ハッ、此方の損害はMS10機が大破ないしは戦闘不能、5機が未帰還……対する敵の損害は推定でも航行不能の艦艇が3つ、MS20機以上が大破している模様……さらに、撤退中だった部隊の報告から、例の人形部隊のおよそ1/3程度が行動不能状態である、と報告が入っています」
「……ふむ、此方も損害覚悟とはいえ戦果としては痛み分けに近いな」
「致し方ない、と思います……右翼のジュリエッタ隊は、例の堕天使を相手に……加えてボードウィン卿のキマリスも人形部隊に釘付けにされていたのですから……」
部下の参謀の言葉を聞き、ラスタルは次案を練っていた……するとそこへ、味方部隊からの通信が入る
「ジュリエッタ隊から通信が入っています」
「繋げ」
ラスタルはすぐさま了承し、通信士が中継を繋げる……映っているのはジュリエッタ隊の兵の1人だった
『通信にて失礼します……至急、お伝えしたい案件をお持ち致しました』
ダインスレイヴ使用後の不敵な笑みを崩さぬまま「ほぅ? 何事かな?」とラスタルは通信してきた兵士を問い正す
『あの……それが……堕天使のパイロットから……ラスタル様と直に話がしたいとの……申し入れが……』
ラスタルを始めとするこの場の全員がその言葉に我が耳を疑ったのは言うまでもない
この戦いで動いているMSの総数は把握してません、なので数は適当です。
さて、土壇場でラスタルと会談する場をゲットしたセファーちゃん。
次回はラスタルvsセファーの舌戦(?)かな……
次回のラスタルvsセファー……その時、歴史はどう動く?(内容には影響しません、皆さんの予想でどうぞ)
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情報と引き換えに鉄華団から手を引かせる
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敢えて身を晒して逆にラスタルも傀儡化
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ただの正当な取引(内情や情報など)
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ラスタル・エリオン暗殺のため
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早期集結への手引きと火星革命の下準備