【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
実は初期のシナリオには無かった展開です。
ただ、今話のタイトルのように『幕を引くのは……』という
無事、ハッピーエンドは訪れるのでしょうか……
採掘場に突如として現れた異形の機体……アリアンロッド艦隊のMS達を悉く破壊すると思えば時折、何かを探す様に急に静かになる……恐怖に怯えた誰かが、そこへ攻撃を加える事で敵は再び猛攻を再開するが、しばらくするとまた落ち着きを取り戻して何かを探し始める……その挙動はもはや意味不明であった……
「チャド、堕天使は?」
『取り敢えず施設外まで退避させてある、今おやっさん達が点検作業に入った所だ』
「昭弘、こっちの被害状況は?」
『取り敢えずこっちの被害はねぇが……アリアンロッドの方はヤバいな、ほぼ壊滅なんじゃねぇか?』
この混乱極まる状況を正確に把握すべく、実働隊に問うオルガ……アリアンロッドのMS部隊は壊滅に近いが、団員達にはほとんど被害は無いようだ……一頻り唸った後、オルガは三日月に件の機体の事を聞いた。
「ミカ……あの化物みてぇな奴だが、どう思う?」
「……うーん、よく分かんない……でも、あのままにはして置けない……物凄くヤバい気配だけはプンプンしてる」
「……だろうな、遠巻きに見てた俺でも判る……アレは
巨大な山の如く聳え立つMAらしき機体……アリアンロッドのMSがほぼ居なくなり、邪魔立てする相手が居なくなったかの様に「捜し物」に集中している
だが、一向に探り当てられない苛立たしさを表現するかの如く、時折触手が無意味な場所を攻撃していた……未だ鉄華団は奴の探す「存在」に気付いていないのだが、鍵となる堕天使を施設の外まで移動させていた事はかなりのファインプレーであった。
「しかし、奴が何を企んでるのかは分からねぇ……MS隊を壊滅させた事は、アリアンロッドも黙っちゃ居ないだろうが……」
『どうすんだオルガ?』
「奴の目的が判らない以上、下手に手は出せねぇ……堕天使の状況が分かり次第、俺らは此処から引き上げるぞ! 手透きの奴は整備班の手伝いに回れ! 2番隊は周囲の警戒とあの化物の監視だ、何かあったらすぐに報せてくれ!」
『了解だ……ライド、ダンテ、一緒に来い!』
『『了解!』』
未だ事態は緊迫しているが、余り積極的な動きの無い奴への対応を一度アリアンロッドへ丸投げし……取り敢えず鉄華団は、確保した堕天使の状況把握に勤めるのであった。
「……おやっさん、堕天使の様子はどう?」
しばらく黙って雪之丞の様子を見ていた三日月……一息吐いたのを見計らって声を掛けたのだが、彼の顔は困惑したままだった。
「……駄目だ、何がどうなってるのかサッパリ判らん……辛うじて、機体のシステムが何らかのロックを掛けられてる事だけは分かったが……操作が判らん事にゃ手は出せねぇ……」
速攻のお手上げ宣言……それもその筈、堕天使のコクピット周りは鉄血世界の標準ではなく……GN兵器や太陽炉、そして操作系である脳量子波に対応する為の「西暦仕様」……簡単に言えばOO系列のシステムだ。
コンパクトに纏まったコンソールに全天周囲モニターとホロモニター、シート後部にある巨大なターミナルユニット、見た目的に最も近いのはダブルオークアンタのコクピットだ……システム周りからまるで別物である為、判らなくて当然である。
コクピットから出た三日月と雪之丞……そこへオルガが合流してきた。
「おやっさん、堕天使は……」
「お手上げだ……システム周りから嬢ちゃん専用の仕様なんだ、俺じゃ手も足も出せねぇよ」
溜め息と共に雪之丞は首を横に振った……原因が判らない上、再起動も掛けられない。
堕天使が無人でも動く事は最初からセファーに聞かされていた為、セファーが乗ってなかった事に驚きはしなかったものの、戦力として使えない事は痛手だった……オルガは堕天使を確保した時、『もし、まだ動かせるなら戦力として数えたい……あの化物、アリアンロッドの次は俺達を狙う筈だ……そうでなくとも、奴をこのままにはして置けないからな』と伝えていた……
直接的な原因は不明だが、覚醒の瞬間を見たオルガは「奴を放置できない」と悟っていた……機械でありながらあの異常な能力と、自律的に活動する様を見せ付けられ、言い知れぬ恐怖を覚えたオルガ……手に負えないかもしれない、だからと言って放置など出来ない……こう思ったのも、少なからずセファーの影響であった。
「……お前さんも成長したな、オルガ……これも嬢ちゃんの影響かねぇ」
「おやっさん?」
「いや、何でもない……それよりもオルガ、さっき三日月がな……」
セファーの影響……自ら口にしたその言葉に、何かヒントを得たのだろう……雪之丞はオルガの問いに何でもないと返し、ある仮説を語りだした
はい、絶賛打つ手皆無状態のセファーちゃんです。
逆ハックの負荷からはそろそろ立ち直れそうですが……私の精神の方がまだ立ち直れてません……いやホントに……あの時は沢山のMSやMA(自分の好み全開のラインナップ)に囲まれてテンションMAXになりはしたけど……その時やった事を振り返って激しく後悔した。
簡単に説明すると、今……私は自分に対して脳量子波遮断を掛けてます。
しかもあのテンションMAXの上に深く考えず、焦ってやったから双方向での完全遮断……つまり現状、身体は気絶したまま無反応状態……堕天使も活動こそ停止してないものの、センサー系のみ解放状態のまま絶賛フリーズ中です。
脳量子波とは完全に別系統のサイコフレームが勝手に周囲の状況を伝播してくれてるので、外の状況だけでも判るのは幸いかな……操作系に反映させてた擬似思考コントロール機能は死んでるけど。
自分の身体は気絶、そして堕天使は脳死判定された様な状態……頼みの綱は、状況を一方的に送り付けてくるサイコフレームだ……打開策は既に見えているけど、それを伝える手段は皆無……全ては兄さん達の動きに全てが掛かっていた。
(そういえば、私の身体ってどうなってるのかな……アルミリアちゃん心配してないかな?)
一抹の不安……気絶とはいえ何の反応も返せない私とマクギリスしか居ないから、アルミリアちゃんは不安で一杯だと思う……許してクレメンス(´-ω-`)
「……そんな事が出来るのか?」
オルガの第一声は疑問だった。
三日月の直感は凄まじく鋭い……それは阿頼耶識を介して、接触してきた機体のパイロットが誰なのかを見抜く程だ。
そして堕天使を拘束した時、奇妙な感覚を感じ取っていた……
「よく分からないけど、堕天使を抑えてた時……セファーが何を考えてるかが、何となく判ったんだ……何となくだけど」
それは、堕天使に内蔵されたサイコフレームが持つオカルト能力の影響だった。
サイコフレームを持つ機体は例外無く
堕天使と呼ばれるザドキエルも、主に胴体と両腕全体、そして各部関節の一部にサイコフレームを採用している……セファーがそこまで理解した上で採用を決めたのかは疑わしいが、打開策の鍵となるならばコレ以外にはあり得なかった。
「よく分からんが……その、サイコフレーム? とやらを使えば、セファーの事が判るのか」
「三日月が言うには……だがな?」
雪之丞も最初に三日月から聞いた時には半信半疑だったが、いつになく真剣な表情……そして嘘など吐いた事の無い三日月の言……加えて、その直感で起こした行動には幾度となく助けられてきた。
「嬢ちゃんから前に貰った整備マニュアルだ……サイコフレームは主に堕天使の胴体と腕に使われてるらしい、三日月は阿頼耶識の外部感覚を通して感じたから何となくだった……なら、直接触れたら強く感じられるんじゃないかと思ってな?」
概要的にはこうだ……フリーズ状態とはいえ、スライド解放された堕天使の装甲から見えるサイコフレームに、それぞれ団員達が触れてセファーの事を考える……上手く行けば、サイコフレームを介してセファーに、俺達の思いを受け取って貰える……といった具合だ。
確たる物証もアテもなく、突拍子もないグダグタな方法だが……オルガには不思議と上手く行く、そんな感じがしていた。
(出来の良いあの義妹が作り、名瀬の兄貴達を助けて、俺達に希望を持たせてくれた堕天使だ……奇跡の1つや2つ、起こせない訳がねぇだろ!)
斯くして、前代未聞のオカルト的な方法による堕天使の復活作戦が開始されようとしていた。
現在の堕天使の状態は、サイコフレームが未発光で装甲は解放状態のまま
カメラアイは点灯してはいるものの、何となく無表情な感じがする……といった状態です。
そして『探し物は何ですか?見つけにくいモノですか?』状態のデビルガンダムくん
捜索のあまり地形を破壊し出したら手が付けられなくなりそう……
何か(書いてないから)反応無いけど、ジュリエッタは無事なんでしょうか?
筆が暴走しています、他に暴走させるとしたら?
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デビルガンダム
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バルバトスルプスレクス
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オルガ
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ジュリエッタ
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ザドキエル(セファー)