【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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物語の確信……存在しないはずの存在(デビルガンダム)……
……そして、セファーが封印されていた理由。

全ての答えは……この戦いの先に在るのだろうか……


第29話 塗り重ねられた面倒事は実に厄介である……

 堕天使ザドキエル……

 

 セファー・イツカが造り上げた原典に無い存在(イレギュラーのMS)

 主天使の長、正義と慈悲(じひ)……そして()()を司る天使

 

 PD世界における2つ目の特異点……では、残るもう1つは……?

 

──────────

 

「……どういう事だ?」

 

『言葉通りの意味だ、それ以上でも以下でもない……我々アリアンロッド艦隊の作戦に君達「鉄華団」も参加して貰いたいのだよ。

 私はギャラルホルンでも、少しばかり良い立場だがね……君達はかつて厄災戦で猛威を振るったとされるMAを、単機で仕留める程の戦力を保有する噂に名高い民間組織……是非とも協力を求めたい、と思うのは当然じゃないかね?』

 

「……そりゃ確かに、協力して貰いたいとは考えるさ。

 だがそれは、俺らがアンタ等の側から見てた場合に考える事だ……今の俺達は、逆に要請されてる側なんだぜ? 同情はするが今の俺らにはアンタ等に協力する事で得られるメリットが……」

 

『地球圏への輸送航路の安全確約……我々ギャラルホルンの管理する正式な交易ルートも、併せて利用できる様に計らおう』

 

 何がなんでも堕天使と鉄華団との関係を掴みたいラスタルは、己が行使できるであろう最大限の報酬を条件に提示してきた……最も、確約は出来ないのだが

 

「……なっ……!?」

 

 オルガはポーカーフェイスを貫けず、内心で動揺している……風を装いながら深慮遠望を巡らせた

 

(何だって俺らにこんな厚遇で自分達に引き入れようとする?)

 

 以前からセファーに実践現場訓練をこれでもかと積まされ、否応にも実力を磨かされたオルガ……叩き上げに耐えきった彼の眼は、最早ただの成り上がりではない

 常識破りの方法で、一流の眼を持たされているのだ

 

(……やはり、コイツは俺らと堕天使の関係を知ってる……或いは探ってるのか?)

 

 そして事前に受け取っていた断片情報、それもキナ臭い奴の多いアリアンロッド関連の情報を匿名の人物から入手していたオルガ……自身の勘はそれをセファーの優しさだと考えた

 もちろんそれは正解で、ラスタル・エリオンと相対する際の判断材料や迫られた時の回避手段として送ったものである

 

「……分かった……だが、幾つか条件がある」

 

 観念したかのようなオルガの声……もちろん演技ではあるが、この先何をやらされるか分からない為、予防線を張る為に交換条件を提示するのだった

 

 そして未来を決める……最後の戦いがいよいよ始まる

 

 

 アリアンロッドの大部隊……対デビルガンダムに向けて用意した部隊は、総勢100機近い

 対して鉄華団は3人……鉄華団の最大戦力を誇る三日月のバルバトスルプスレクスと昭弘のグシオンリベイクフルシティ、そしてシノのフラウロスだ

 オルガも参戦しようと手を挙げたが、団員全員に止められた……団長の仕事はソレではない、と

 

──────────

 

 事前にアリアンロッドの接近を予測したザドキエルは、目眩ましを兼ねてセファー本人を迎えに宇宙へと上がっていた……

 目指すは、軌道上で待つ小型シャトル……それ自体は光学迷彩被膜で隠されているが、セファーの脳量子波を辿り、況してやそこに居る本人が操るザドキエルには全く関係ない

 

 間もなくランデブーポイント……ザドキエルは普段あまり開かないコクピットカバーを展開し、虚空に漂い始める

 すると、すぐ側の空間から突然ノーマルスーツ姿の少女が現れる……光学迷彩被膜を解かないままシャトルの気密ドアが開けられたからだ

 ノーマルスーツの少女だけが、ザドキエルのコクピットへ滑り込み……カバーが閉じられる

 すると少女が現れた辺りの空間にシャトルが出現……先ほど開いた気密ドアを閉じたソレは相対速度を合わせたまま、ザドキエルと一緒に虚空を漂っていた

 

『……やはり、直に出向くのかね?』

 

 マクギリスの声が通信から響く……ノーマルスーツを脱いでシート下に収納、普段着に戻ったセファーは黙ったままシートに座っている

 並々ならぬ決意をその寡黙から感じたマクギリスは、一言だけ続けた……

 

『……堕天使(キミ)の歩む未来(明日)に幸多からん事を』

 

『セファーちゃん、また会おうね……絶対だよ?!』

 

 小さく開いていた通信ウィンドウに映る涙目のアルミリア……マクギリスの手が肩に置かれ、一瞬見上げる……そんな様子を微笑ましく思いながら、セファーは通信を終了してシャトルから離れる

 

 ツインアイに緑の光を灯し、純白の天使が虚空に羽ばたく……可動翼を前面で閉じ合わせ、大気圏突入形態を始める堕天使を、一組の男女はただ黙して見送るのだった

 

──────────

 

『全部隊、準備整いました……』

 

「……そうか、鉄華団の方は?」

 

『目標からおよそ200で待機中、偵察に出した2機が攻撃された様ですが……2機共無事に合流しています。

 作戦行動開始の時間は此方に合わせる、との事です』

 

 未だ嘗てない総数の軍勢を用いた、大規模な地上戦……厄災戦の再演とも言えそうなこの戦いに勝利するのは、果たしてどちらになるのか……そして、自身の思惑通りに事は運ぶのか……

 ラスタル・エリオンは指揮官の顔の裏で策謀を張り進める……

 

 同じ頃、鉄華団でも参加メンバー達が真剣な表情をしていた

 

「まさか……こんだけ大規模な戦いになるとは思わなかったぜ……」

 

「……だが、あの化け物を相手にするなら、これでも足りないかもな?」

 

「……何であろうと、俺達の邪魔になるのなら潰す……でないとオルガや皆に迷惑が掛かるからね」

 

「けどよ、今回ばかりは分が悪すぎねぇか?

 ……あのアリアンロッドが味方してくれるとはいえ、アイツの強さがなぁ……」

 

 偵察から戻った昭弘達は、離脱直前に撃たれた砲撃で損傷こそしなかったものの……あの瞬間を思い出す

 

 

 デビルガンダムから放たれた無数のビームは昭弘達とは全く関係のない、デビルガンダムの頭上に向かって放たれた……しかし、砲撃が止んだ直後にグシオンのセンサーは頭上からの砲撃警報を鳴らす

 どんなカラクリだよ?! と疑いたくもなるが、現実に先ほどデビルガンダムが頭上へと放っていた砲撃が昭弘とダンテの機体の上空から襲って来たのだ

 

『チクショウ! 真上に撃った弾がこっちに来るとか反則だろ!?』

 

『戻るぞダンテ! 正真正銘の化け物だな……コイツはッ!!』

 

 回避に焦るダンテの悲鳴……昭弘も驚愕するが、現実は非情……落ち着いて考察する暇など与えてはくれない

 辛うじてビームの雨を避けきり、その勢いのまま2人は離脱を図る

 デビルガンダムからの追撃は無く、昭弘達は先行して戻ったライドを追って撤退するのだった

 

──────────

 

 デビルガンダムは、静かにエネルギーを貯めていた……

 

 先程から付近を彷徨く羽虫共は、数こそ多いが自分には敵わない……だが、遠くに自分と近い波動を放つマシンがある……恐らく、それが完全復活の鍵だ……

 

 それと、近くに天敵……ガンダムの存在を感知した

 

 ……ガンダム……我が復活を阻む不倶戴天の怨敵

 我よりも小さく、しかして強い……我を打倒せしめん唯一の障害……奴等は徒党を組んで我を倒した……が、次はそうさせぬ……その為にも、奴等を模した僕を生み出し露払いをさせよう

 

 今度こそ、この世界と命を喰らい尽くし……()()()()となる為に……

 この世界で()()したデビルガンダムの目的……それは世界そのものを喰らう事だった




世界線的なメタい話はもう置いときましょう!
原作とは掛け離れた別作品として見てください……(白目)

で、デビルガンダムは相変わらず何時もの調子でパワーアップと防衛の為に大量のデスアーミー擬きを繰り出す様ですね(というかその手しか使えないんじゃ……)

でも、原作基準だと簡単に片付けられるデスアーミーですが……グレイズ基準になるとメッチャ面倒臭さ激増の予感(主に装甲のせいで)
……あ、本体も自己進化でナノラミ化してるじゃん確実に……。

……実はもう詰んでるんじゃないかなコレ?(´・ω・)

雑魚の出演はどうしようかな……

  • 原作通りデスアーミー系
  • 周辺のMSを取り込んだグレイズ系
  • 独自の進化としての他世界の量産型MS
  • 黒歴史(他世界)を参照した量産型の亡霊
  • 黒歴史(厄災戦)の再演レベル

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