【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
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……さて皆さん、いよいよあのデビルガンダムが本格的に活動を始めました。
対するは100機を超えるMSを擁するアリアンロッド艦隊と、渋々共同作戦を張る鉄華団。
宇宙からも頼もしい味方が合流してくれるようです。
ですが今のデビルガンダムには、かつて無い能力が目覚めている事に……未だ誰も気付いては居なかったのです。
それではッ!
『……ガッ……ガガッ……ピー……ガガッ』(マイクが拾った音)
失礼……コレが、終わりの始まりなるのでしょうか……
共同作戦に先立ち、件の巨大な異形型兵器は「デビルガンダム」という呼称に統一された
情報提供者はもちろんセファーなのだが、ラスタル・エリオンの目を眩ます為、先立って破壊されたハシュマルから引き出されたデータにあった物とした。
もちろんラスタル・エリオンは疑ったが、突貫でセファーがデータをでっち上げてくれた為……一応、信用された。
そして現在、アリアンロッド艦隊と鉄華団は、デビルガンダムに対して二面作戦を展開している
……作戦の流れとしてはこうだ。
『まずは第1~第4師団を使い、左側面を奇襲……同時に第5~8師団で挟撃を仕掛け、奴の出方を見る……そのまま抑えられれば、軌道上からダインスレイヴ隊による遠距離狙撃を行い、奴が消耗した所で包囲し、総当たりで奴を撃滅する……鉄華団には奴の前方に布陣し、敵の注意を引いて奇襲ポイントに誘導して貰いたい……無論、手段と引き際のタイミングは任せる』
……最も過酷な役回りだが、やってくれるかね?
嫌味のようなイントネーションで聞こえてきそうなラスタルの要望に、オルガは渋々了承する……実はグレイズではマトモに囮すら務まらず、何度も攻撃を仕掛けるもデビルガンダムは一歩たりとも動かず敢えなく断念した経緯があった
ラスタルは自前で囮部隊を編成し、(七星勲章も欲しくなったので)アリアンロッドだけで挑みたかったのだが、デビルガンダムの恐るべきパワーで瞬く間に殲滅されるグレイズを前に影で悔し涙を流していた……最も、オルガはこの展開を予期していたし、デビルガンダムの想定スペックはまだセファーの予測を超えてない……正に知識量の差が明暗を分けた結果だった。
『……オルガ』
三日月からの通信……そろそろ時間だと言うことだろう
いつになく真剣な三日月の表情……これから始まる戦いは、今までとは比較にならない程の激戦となる……例え堕天使やアリアンロッドが味方だろうと、被害は免れない……
……だが、このままでは恐らく火星そのものが無くなる危険すらある
退くに退けぬ戦い……でも、俺らは前に進む……
そうでなければ、今までに散った仲間に逢わせる顔が無いから……
「……作戦開始だ、誰も死ぬんじゃねぇぞ……!」
足止めと陽動を任された鉄華団だが、ラスタルの指示かそれとも独断か……アリアンロッドの一部隊が付いて来た。
『君達はまだ若い……此処で散らすには惜しい命だ、儂らの屍で良ければ喜んで盾となろう!』
その言葉に三日月達は戸惑ったが、オルガが了承し同行する事になった
老骨の兵らしく、機体には何度も改修の跡や細かい傷が至る所にあるが、動きはさすが経験豊富なベテランである……散発的に伸ばされる触手「ガンダムヘッド」を危なげなく避け続け、隙あらば剣で反撃をお見舞いしていた。
だが、その反撃は普通なら塵も積もれば……的な働きになっただろうが、コイツに対しては徒労でしかない
老兵のグレイズの剣も、パワー自慢のグシオンリベイクのハルバードも……斬撃に対する耐性が前よりも明らかに高い……
デビルガンダムは自身の持つ3大理論により、無限に進化する機体……当然グレイズをあれだけ蹂躙していて、進化しない筈はない
装甲は既にナノラミネートアーマーと同等の強度を、動力であるエイハブ・リアクターも無しに獲得していた……
『クソッ、硬ぇ……ナノラミネートアーマーかよ!?』
『コイツは再生能力あんだろ?! この程度じゃ完全に徒労じゃねーか!』
『……文句あるなら止めれば?』
『ア"ァ?! ふざけんな!! 誰が尻尾巻いて逃げるかよ?!』
付き合う老兵達には悪いが、この状況でも軽口を言い合う……コレが鉄華団の戦闘であった。
戦闘そのものは至って緊迫した様相だが……軽口を叩きながらもお互いフォローはキッチリとこなし、自身も危なげなく避け、時には打ち合わせ済みかの様な連携を見せる……
シミュレーター導入の成果は、遺憾無く発揮されていた
『ヌグッ、小癪な……!』
『オラァ! 此処まで近けりゃ……って気色悪ぃんだよ!!』
老兵のグレイズを襲うガンダムヘッド……だが、老兵は肩の装甲を少し抉られるも大事には至らず、受け流して動きを鈍らせた所に、シノの砲撃が先端の頭を捉え装甲を抉る
しかし、抉られた部分で瞬く間に再生活動が始まり、1分もせず跡形すら消え失せる……
本体の……動力システムを止めなければ、延々と繰り返される……まさに徒労であった
『チックショー、予定地点まで……あと40!? まだ終わらねぇのかよ?!』
以前よりも減ったとはいえ、間断無く遅い来るガンダムヘッドを避けながら、挟撃と軌道上からの砲撃予定地点まで本体を誘き出す……距離からすればそう遠くないものの、デビルガンダムの移動速度が遅い為に長く感じる……
未だ脱落者が無いのが救いだが、疲れを知らない相手はその攻勢を緩めない……
『……ん? 上空に反応?!』
昭弘のグシオンリベイクが、反応を検知してパイロットに伝える……だが、昭弘を始め鉄華団の3人には、それが何なのか判り切っていた
「……遅ぇぞチビ嬢!!」
「フン、珍しく遅刻とはな……」
「……何気に初めてだよね、アレと一緒に実戦するの」
上空から滑る様に移動してくる反応……前面で閉じ合わせた翼を展開し、同時に右腕の獲物から刀身を伸ばして、すれ違い様に2つのガンダムヘッドの先端を斬り落とす……状況次第ではナノラミネートアーマーすら瞬断する大剣が、その紛い物の
(まだ「ただいま」とは言えないけど、戻ってきたよ……みんなの所に……セファー・イツカ、これより戦線に参加しますっ!)
オレンジ色の光の粒子を散らし、2対の翼を羽ばたかせ、白の堕天使は化物に相対する……見据えた機体は
いた……居た、居た! 奴こそ生け贄……彼奴こそ鍵!
アレさえ取り込めば、我は完全に復活できる!!
喰らう、喰らう、喰らう、喰らう!!
損失など……奴さえ手に入るならば、他などどうでも良い!!
今こそ、アレを喰らって我は完全に復活するのだ!!
堕天使が空を舞い、3体の悪魔が地を駆け追従する……通り道の触手は残らず、斬り飛ばされ、撃ち抜かれ、叩き潰されていく……堕天使、またはデビルガンダムの存在が、バルバトス達のリミッターを解除したのか……3機のMSは先程よりもキレのある動きと、溢れんばかりのパワーを発揮してガンダム頭の触手を跳ね退け始めた
悪魔の名を冠する3機と、天使の名を冠する機体は駆け廻る……
まるで光に誘引される蛾の様に、デビルガンダムとガンダムヘッドは堕天使に群がっていく……だが、それを歯牙にも掛けぬという風に、堕天使は次々とガンダムヘッドを斬り飛ばし、再生しにくくなる様にビームで焼きながら乱立する触手の森の間を飛び回る
バルバトス、グシオンリベイク、フラウロスの3機も負けじとガンダムヘッドの間を走り抜け、デビルガンダムを惹き付ける様に4機は戦場を舞い踊っていた。
そしてジリジリとデビルガンダムも移動を続け……ついに予定地点までの誘導を完了する
『デビルガンダム……悪魔そのものとなった厄災戦の負の遺産よ、今こそ我らの正義を以て……奴を殲滅する!』
ラスタル・エリオンの号令が下され、伏せていた100機近いMSの大部隊が左右からデビルガンダムの本体目掛けて砲撃を開始……砲撃音を合図に鉄華団と堕天使は触手の森から離脱、ガンダムヘッドの森は本体もろとも飽和攻撃の海に落ちた
『何だか呆気ないな……さすがに100対1じゃ、しょうがねーか?』
シノの言葉が、砲撃の乱れ飛ぶ最中に聞こえてくる……
昭弘と三日月は、黙って攻撃されるデビルガンダムを睨んでいた……ふと、三日月は違和感を覚える
『……アイツ、壊れてない……!』
三日月の言葉に驚く昭弘とシノ、三日月は乱れ飛び着弾する砲撃が巻き起こす土煙の隙間に、破壊対象の存在を感じ取っていた
バルバトス達のシステムも、肯定するかの様に機体のリアクターを唸らせ続けていた……
そしてしばらく続いた砲撃も止み、立ち込めた土煙が着弾現場から消え始め……ゆっくりと晴れていく土煙の中から現れたのは、巨大なピンク色のドーム状に展開されたバリアーに護られたデビルガンダムだった
バルバトス達のリミッター解除による後遺症は、加入当初からセファーちゃんの尽力によって低リスク化しており、シノと昭弘もシミュレーターを使った訓練によって十全に扱える位上手くなりました。
……さすがシミュレーター、さすシミュ()
んで、飽和攻撃を凌いだ噂のデビルガンダム君……
ラスタルは思わず、某海賊アニメばりの驚愕顔を披露したのでしたw
ガエリオ君達の出番は……?
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ボッシュートで
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雑魚掃討くらいなら……
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しょうがない、少しの見せ場くらいなら
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ある程度は暴れさせるべき
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某・同盟的な大活躍に期待