【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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アリアンロッドの大群から浴びせられた飽和攻撃を耐え切り、その威容を遺憾なく示す悪魔……
全員が驚愕する中、躍り出た6機のMS。

軌道上からの切り札はまだ使えない……
戦況を察知したガエリオとジュリエッタが飛び込み
奴の侵攻を絶対に阻止する……三日月たち鉄華団は奮起し
此処で奴を確実に滅ぼさなくてはならない……堕天使は覚悟を決めた。

そして再び、戦場に()()咆哮が響く……


第31話 本能覚醒! 狼王の咆哮

 土煙から現れたのは、ピンク色に空間そのものを染め上げたバリアー……全身をそれで覆う事で弾丸の雨を凌ぎ切ったデビルガンダムであった

 

『まさか……Iフィー……いえ、コレはビームシールド……?!』

 

 デビルガンダムの張ったバリアーを解析したセファーは、その詳細内容に驚愕する……

 『ビームシールド』……それはミノフスキー物理学の産物である……高圧縮状態のミノフスキー粒子で「Iフィールド」を生成、そこに非実体であるビームを閉じ込める事で盾に見立て、外からの攻撃を相殺する……謂わば破損しない無敵の盾だ、破るには出力で上回るか、ビームに耐え切れる素材を利用して強引に突破するしか無い。

 しかし、その根本を成す為のミノフスキー粒子やその制御技術など、このPD世界には無い筈だ……

 

 ……デビルガンダムは厄災戦当時、僅かながら戦闘を経験していたのか?

 

 そこで得た情報と、先程取り込んだグレイズのパーツを流用し、自らのナノマシンそのものをミノフスキー粒子やIフィールドに見立てて放出、それから取り込んだグレイズのリアクターを活用して大電力を確保し、放出したナノマシンでフィールドを形成して大出力ビームを封じ込め「ビームシールド」とした……それも規模や出力がとても凄まじい、アレはもはや「ビームバリアー」だろう……

 

 だからセファーは驚愕した……ミノフスキー物理学は「宇宙世紀」の技術、それをPD世界で実現させるなど普通には無理だ……()()に入れ知恵でもされない限り。

 

 当初はアリアンロッドの飽和攻撃でガンダムヘッドを掃討し、本体を丸裸にさえ出来れば、根幹を成すコアユニットをドミニオンズ・ライザーで消滅させて完全破壊できると思っていた……経年劣化によって、それほど早く自己進化は出来ないと……だが、1つの誤算があった

 

〔……フフフ……フハハ……フハハハハッ!

 ふふふははははははッ!!〕

 

 バリアーを解き、完全にその威容を土煙から晒すデビルガンダムから……合成音声のような人の声が響く

 

 三日月達は驚愕と疑問に足を止め、セファーの全身を寒気が襲った……

 

『……貴方は、まさか……シング……博士……?!』

 

 〔ふむ、誰かと思えばその声……奴の最高傑作か?

 アハハハッ、何という天運!! 私も取り込まれていたのは少々誤算だが……お陰で無限の命を得て時を越え、君と再び出逢えたのだからコレは得したと言えよう!!〕

 

 セファーの記憶……

 というよりは過去の記録にあった超重要危険指定人物、ドゥチャン・シング。

 彼は私の存在を利用し、自らの野望を達成するべく、時の権力者や重要人物と違法な繋がりを持ち、当時から危険指定だった技術などを悪用してデビルガンダム擬きを建造した悪魔の科学者だ。

 しかし、奴は厄災戦以前に逮捕され、重い実刑が課せられ服役中……厄災戦が起きた事で死亡したと記録されていた筈だが……

 

 まさかこのデビルガンダムに取り込まれ、生き延びていたとは……

 

〔フフフ……奴の、アグニカ・カイエルの行動には些か肝を冷やしたが……誤算と言ってもこんなサプライズがあるのなら、棄てたものでもないなぁ?〕

 

 声を認識した私の頭に、厄災戦以前の記憶……彼とのやり取りがいくつも浮かぶ……

 

 ああ、そういう事か……私は今まで、コイツの良い様に踊らされていた……私の過去も、未来も……今の私(転生者)として生きてきた全ても、奴のシナリオ通りだったのか……

 

 過去から積み重ねられた記憶、この身体が覚えている最悪の絶望感……動揺した私の心を抉るに、ソレは十分過ぎた……

 サイコフレームの光が急速に消え失せ、半ば墜落するように降り立つ堕天使

 

『……セファー?!』

『チビ嬢?! 何やってんだ! 逃げろぉ!!』

 

 ガンダムヘッドの1つが、身動き1つ取れない無防備な堕天使へと迫る……その数秒後は、誰もが終わりの始まりだと疑わない瞬間だ……

 

 ……だが、その時は永遠に来なかった。

 

『……おい、お前……』

 

 堕天使の前に立ち、片腕でガンダムヘッドを押さえ込む機体……三日月のバルバトスだ

 コクピット内で、三日月はデビルガンダムを睨み付ける……その眼は静かな怒りに燃えていた

 

「お前のせいで、セファーが泣いてるだろ……!」

 

 ただならぬ雰囲気の中、出力を上げていくエイハブ・リアクターの駆動音が響く……バルバトスルプスレクス、狼の王……その機体のツインアイが深紅に輝き始め、押し留めていたガンダムヘッドを地面に叩き付けた

 

「セファーを泣かせたお前を……俺は、絶対許さない……!」

 

 ヴォォォォォォンッ!! 

 

 咆哮一声……凄まじい威圧感と共にバルバトスが発した()()はまさに()()()()だった

 そして深紅の閃光で尾を引きながら、ゆらりとバルバトスの機体が揺れる……次の瞬間……

 

 ドシュッ……ガシャァン!

 

 音のした直後……バルバトスの機体はデビルガンダムの後方まで移動し終えており、デビルガンダム本体の左腕が肩ごと吹き飛んで、数メートルほど離れた地面に落着していた。




……三日月、キレる。

そりゃあ大事な妹分ですしね……嫁(予定)のアトラちゃんとも仲良いから。
そもそもミカ兄は、身内同然といえる相手が傷付けられたなら絶対キレる(確信)

ドゥチャン・シング博士とセファーは、言わば不倶戴天の仇敵同士。
正確にはセファーを産み出した博士と……ですが。

天才的と評されながらも狡猾で残忍。
私の様に……とか、世界に選ばれた天才が世界を統べるべき、という選民思想を持ち、セファーが産み出された時から、そのデータを不正入手し、自分の野望の為に使い潰す前提でデビルガンダムまで建造したトンでもない奴です……アグニカに嘘吹き込んだのも多分コイツでしょうね。

……ええ、あらゆる世界のヤバい奴よりも上だと思います。
ココでは書ききれませんが、非人道的な実験を嬉々としてやる奴ですし推すし……

さて、次は誰がどうなるかな?

三日月、キレる……で、昭弘とシノは?

  • どっちも平常で
  • 昭弘もやるべき
  • シノはキレて良い
  • 2人もキレて良いよね?
  • むしろガエリオ達も一緒に……

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