【更新休止中】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

36 / 76
31話の顛末の補足として、31話(裏)を書きましたが
深く考えずに読んでる方は飛ばしても無問題です。

それでは時間です……覚悟しろ、デビルガンダム!!


第32話 砕けぬ鉄の華、折れぬ正義の志

 音を立てて落着した、巨大な片腕……その持ち主は微動だにできず、ただ呆然と削ぎ落とされた腕を眺めている

 

〔……な、何が起こったと言うのだ……?〕

 

 それを行ったのは、腕の主よりも小さな体躯……しかし、纏う雰囲気は正しく悪魔と化したMS……

 

『アンタは……確実に潰す……!』

 

 深紅となった両眼が尾を引き、不規則な線を虚空に描く

 乗り手の意志と、機体の能力……最初は歪な形から、堕天使の叡智によって組み直され……史実とは違う状態とはいえ、完全にその機能を発揮している「阿頼耶識」……

 機械でありながら、生物のそれと遜色無い挙動と、常軌を逸した速度で動く機体……ガンダムバルバトスルプスレクス。

 セファーの手によって生まれ変わった阿頼耶識システムは、当初の歪な状態のままリミッター解除すると必然的に後遺症を患う程のリスキーな物から……限りなく精密かつ繊細な挙動と、後遺症を患う事もなく、乗り手の技量に合わせてシステムをコントロールするという、史実とは正反対な程パイロットを補助するシステムへと変貌している

 それもまた、()()()()によって構築された……最早別物と呼んでも良いモノとなっていた。

 

 バイオコンピュータ……宇宙世紀後期に開発されたモノで、登場した原作「劇場版 機動戦士ガンダムF91」において、主役機であるガンダム「F91」に使われており、機体の機能をパイロットの技量に合わせて調整し、サポートを行うマンマシン・インターフェースシステムだ。

 バイオコンピュータを導入されたF91の性能変化は驚愕の一言で、初期は学生であった「シーブック・アノー」の才能を読み取って開花を促しつつ操縦をサポートし、物語後半……敵の巨大モビルアーマー「ラフレシア」との死闘の最中、彼が機体の全力稼働を使いこなせると判断すると全リミッターを解除……その際の機体の強制冷却で起きる「金属剥離現象」があたかも分身しているかの様に敵のセンサーを狂わせ、直後に取った起死回生の肉薄攻撃によって片足を失うも、分身現象が敵の自爆攻撃を誘発し、ラフレシアを撃破したのである。

 

 セファーはガンダム達の調整を手掛けた時間その全てを使い、阿頼耶識とパイロットの仲介システムとして、バイオコンピュータを導入していたのだ。

 基本的な接続や構造部分こそ阿頼耶識そのままではあるが、施術の時点から様々なリスクを抱え、問題も多い阿頼耶識のみとは違い、パイロットの技量に応じて機体のシステムを管理・調整し、脳に送られる負荷を軽減するバイオコンピュータの仲介……奇しくもキマリスヴィダールの「擬似阿頼耶識」と同じ構想となるが、抱えるリスクを回避しつつ理想に最も近いパフォーマンスを発揮させる事を可能としたのである。

 

 その上で、三日月達はセファー謹製のシミュレーターによって相当な時間の訓練を経ている……

 つまり、現在の三日月達は……原作よりもかーなーり強くなっているのだ。

 

『三日月、単独じゃ危険だ! 昭弘、連携行くぞ!!』

 

『分かってる……オラ化け物! 呆けてんじゃねえ!!』

 

 シノのフラウロスと昭弘のグシオンリベイクも加わり、3体でデビルガンダムに猛攻撃を加え始める……ようやくデビルガンダムも状況に対応し始めた。

 

〔えぇい、煩いゴミ共め……また私の邪魔をするか!?〕

 

 声と共に装甲に覆われてない巨大な触手の表面が波打ち初め、大量の塊が排出された……

 その塊達はそれぞれに蠢き始め、やがて人の形を取り……立ち上がる

 

〔さぁ、我が手足達よ……邪魔なゴミ掃除の時間だ〕

 

 デビルガンダムから生み出されたのは、原作でも己が手足として大量に生み出し、また取り込む事でエネルギーの担保としていた機体……デスアーミーの大軍団だ。

 だが戦闘経験値は乏しいらしく、組織だった行動など取らず……数に任せた力押しの攻撃しかして来なかった……状況の推移を見守っていたアリアンロッドも、敵の凄まじい増援に対応する為再び参戦し、やがてデビルガンダムの周囲は乱戦模様となってしまう

 

 なお、堕天使の周囲は最初に鉄華団と行動を共にした老兵達がバリケードの如く立ち塞がり、デスアーミー達を熟練の技量で押し退けて、堕天使の側には一機とて近付かせていなかった……

 

 

 未だに動揺が収まらないセファー、周囲の喧騒に包まれたまま、思考は過去の猛執に惑わされ、普段の冷静な思考すらマトモに出来ていない……だがその時、堕天使の側にバルバトスが降り立ち、三日月からの通信が彼女を現実へと引き戻した。

 

『セファー、お前は今を生きてる……忘れてた過去なんかに負けるな。

 お前は、オルガや俺達に未来を見せたいんだろ? なら、こんな所で負けちゃダメだ……!』

 

 三日月の言葉に、セファーの引きつっていた顔が少しずつ緩んでいく……

 

『アトラが、オルガが……皆が帰りを待ってる……コイツ等を片付けて、帰るぞ』

 

「……ミカ、兄……私、私は……」

 

『昔のお前の事なんて、俺や皆は知らない……それに今は……俺達の知ってるお前は、セファー……セファー・イツカだろ?』

 

 そっか……過去なんてアイツ以外、誰も知らないんだから……怖がる必要なんて無いんだ……それに今の私に、今を生きる私に必要なのは過去じゃなくて、()()()だよね……ゴメン、ミカ兄……私がバカだったわ。

 

『皆が待ってる、仕事を片付けるぞ……セファー・イツカ』

 

 三日月の指示に応える様に、堕天使はくず折れた姿勢から立ち直り、サイコフレームに輝きが戻る

 

(そうだ、皆には過去の私なんて関係ない! 今の私はセファー……鉄華団団長、オルガ・イツカの妹なんだから!)

 

 三日月の檄に応え、自分を取り戻すセファー……堕天使のサイコフレームの輝きはいつもの青から緑色へと変わり、更に溢れ出た光は機体全体を覆っている

 

 バルバトスと堕天使はその場から一度別れ、デスアーミー軍団に地上と空中からそれぞれ斬り込み、有象無象を蹴散らすが如く薙ぎ払う……サイコフレームの共振反応によって、堕天使の挙動は今までよりも更に自然に、生物のそれらしい動きへと変わっていた。

 

〔えぇい、2度までも私の邪魔をするか?! 人形の分際で!!〕

 

「アンタ、いちいち煩いよ?」

 

 シングがセファーを罵倒するが、それに三日月の方が過剰反応してデスアーミーの群れから飛び出し、手に持った超大型メイスがまたもやデビルガンダムの肩を襲う

 全リミッターが解除されたバルバトスの膂力で振るわれるメイスが、デビルガンダムの肩とぶつかり合い……巨大な赤い装甲を盛大に凹ませるも、自らも打撃部分を歪ませ、破片を飛び散らせた

 これまで潜った度重なる戦闘によるダメージの蓄積が、此処に来て一気に吹き出した形だ……

 

 だが、三日月は構わず再度振るう……使う打撃面を破損していない部分になる様に持ち直して。

 

 即座に肩の凹みを修復するデビルガンダムだが、三日月の追撃で脇腹……蛇腹になっている胴体と下半身の接続部を狙われ、咄嗟にガンダムヘッドで視角外からの奇襲によってカバーする

 横槍を入れられたバルバトスだが、獣の様な超反応でガンダムヘッドを避けて宙返りし、そのままスラスターを噴かして離れた

 

 無防備な引き際に追撃をしようとガンダムヘッドが殺到するが、先頭の頭が凄まじい衝撃音と共に巨大な杭に貫かれた

 あまりの衝撃に周囲のガンダムヘッドまで纏めて弾かれ、デビルガンダムは貫いてきた杭の弾道を辿る……其処には、身の丈ほどもある槍を真っ直ぐに此方に向けた、紫の装甲を持つMSが立っていた

 

 人に仇為す異形、人智を越えた悪魔、デビルガンダムをのさばらせてはならない……

 

『貴様はこの時代にあってはならないモノだ! 潔く此処で消えろォ!!』

 

 我々ギャラルホルンの総力を以て、過去の惨劇を生み出した元凶たる異形の悪魔を狩るのだ!!

 

 アリアンロッド総司令、ラスタル・エリオンの演説を背に……ギャラルホルンの最大戦力、ガエリオ・ボードウィンは愛機であるキマリスヴィダールのコクピットで吠えた

 

〔我が理想を理解できぬ凡夫共め! この力が有れば世界が変わるのだ! 私が変えるのだ! 腐った果実など、未来には必要ないのだ! それを何故理解せん……?!〕

 

『最早人ですらない貴様が言う事か!? 悪魔の戯れ言など!!』

 

 デビルガンダムを見て、未来を見据えられる人間など誰一人として居ない

 あるのは底知れない恐怖と、全てを悉く滅ぼされる未来……既に力に溺れ、人の理性を失っている彼の戯言など、誰一人として耳を貸す事など無いだろう……いや、彼はその前から狂っていたのだろうが。

 

『世界の為に、貴様は此処で倒す……行くぞ、アインッ!!』

 

 ガエリオの座るシートの一部……ヘッドレストの両脇が展開し、現れる2つの赤いレンズ……

 阿頼耶識type-Eが起動し、ガエリオはデビルガンダム撃滅の意志を伝え、以後の全てを()に委ねた

 意志に応えるかの様にキマリスは刀を抜き放ち、バルバトスと入れ替わる様にデビルガンダムの前へ躍り出る

 

 その無防備な状態に対し、デビルガンダムはデスアーミーとガンダムヘッドを繰り出すが、そのほとんどを周囲からの横槍で阻まれ、残りは返り討ちに逢い、キマリスの振るった刀がデビルガンダムの……先程バルバトスが凹ませ、修復中だった肩へ深々と突き刺さった

 

〔……ぐ……ッ、おのれぇ~!!〕

 

 再生中で脆くなっていた部分に直撃した刀が、装甲の下……内部機構まで破壊し、損傷度を引き上げる

 

〔鬱陶しい奴め……ンガッ?!〕

 

『オラオラァ!! よそ見してると痛い目見るぜぇ!!』

『隙だらけだな……コレなら簡単に当たるぜ!!』

 

 反対の腕でキマリスを追い払ったデビルガンダムだが、今度は遠距離からフラウロスとグシオンリベイクの砲撃を受け、またしても損傷した肩へ着弾してしまう……

 

〔ぬぅぅぅ……忌々しいモビルスーツ共め! 死ねぇいっ!!〕

 

『仲間は殺らせない!!』

(……させません!!)

 

『やはり素人ですね……後ろがガラ空きですッ!!』

 

〔ぐぅぅぅ……おのれぇ……!!〕

 

 ガンダムヘッドを差し向けるも堕天使とバルバトスに阻まれ、その間に今度は無防備な蛇腹状の間接をレギンレイズ・ジュリアに斬り付けられる始末……いくら無数にあるガンダムヘッドやデスアーミー軍団を操ろうと、戦闘に関してはズブの素人であるシングは、急造とはいえ鉄華団とアリアンロッドの共闘による波状攻撃に対応など出来ず、折角の超再生能力すら満足に発揮できなくされていた

 

『敵の勢いは見かけ倒しだ! 我々ギャラルホルンの正義を知らしめよ!!』

 

『数こそ多いが、所詮は雑魚だ! 少しずつで良い、確実に数を減らせ!』

 

『奴等の動きは鈍いぞ、焦るな! 我々の日々の訓練に比べれば……この程度、恐れるに足りん!!』

 

 しかも、シングの意識が彼等に向いたままのため……周辺のデスアーミー軍団も徐々にアリアンロッドによって数を減らされ、じわじわと追い詰められているのだった。

 

『此処で引導を渡してやる!!』

『アンタは俺等の邪魔だ……消えろ!!』

 

 バルバトスルプスレクスとキマリスヴィダール、2機のガンダムがデビルガンダムの両脇を掠めるように交差し、バルバトスの爪とキマリスの刀がそれぞれデビルガンダムの片腕を再度斬り飛ばす……2機が離れると同時に、変形したフラウロスとグシオンリベイクの全力砲撃が残った胴体を襲い、再生を阻みつつダメージを上塗りしていく……

 

〔き、貴様等は……キサマ等わぁぁぁぁぁ?!?!〕

 

『……今こそ、過去から蘇りし亡霊に裁きをッ!!』

 

 断末魔の様なシングの叫び……

 そこへラスタルの声が響き、衛星軌道上から降り注ぐ鉄槌が幾つも飛来……数瞬の後にデビルガンダムは周囲の地形ごと土煙と爆音で塗り潰されたのであった。




少し駆け足気味ですが、デビルガンダムに対する総攻撃の一幕……
漸く、今まで広げた伏線やネタ要素の回収を始められます。

日々、じわじわと伸びる閲覧数とお気に入り……
こんな私の妄想に付き合って下さる皆様に改めて感謝を。

そして★9評価が地味に1つ増えてました……ありがとう……そしてありがとう。

次回、死闘の決着と後片付け……そして終演の時が始まる。

正直な所……デビルガンダム(シング博士)の噛ませ犬度はどれくらい?

  • 0%……かもしれない
  • 25%くらいかな?
  • だいたい50%程度だな
  • 100%噛ませ犬感……
  • ……ヤムチャしやがってw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。