【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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前回の対デビルガンダム戦、意外とあっさり?
……と、感じた人は多いと思います。

まぁ、書きたい事はだいたい終わったし?
そろそろエンディングを向かえさせたいので……


第33話 絶対に間違ってはいけない選択肢……って、え? 世界の命運掛かってんの!?

 ラスタル・エリオンの作戦……それは衛星軌道上からのダインスレイヴによる狙撃。

 

 全員の奮闘によって見事に追い込まれ、直撃を受けたデビルガンダム……

 全身で見ればさほどダメージを負ってない様にも思えるが、本体の一部……コクピットを擁する胴体付近には手酷い損傷が散見された。

 

 放たれた無数の鋼鉄の杭が、デビルガンダムの胴体や足を除く下半身を大地に縫い付け、両腕は2機のガンダムによって削ぎ落とされている……コクピット部分は辛うじて杭の直撃こそ免れたものの、装甲は無数の弾丸や破裂の痕跡によってボロボロ、自慢だったはずの超再生能力もほとんど機能していない……

 その理由はただ1つ……下半身を貫く杭の1つが、大事に抱え込まれていた動力システムを直撃し、その機能を完全に停止させていたからだった。

 如何な無敵の再生能力があれど、エネルギー源が無ければ機械はマトモに機能しない……

 

 背中側の下半身を貫く杭の1つ……その先端に堕天使は降り立ち、右腕の大剣をデビルガンダムの後頭部へと向ける

 

〔……ック……クハハハハ……どうした? 私が憎いのだろう? ならばさっさと止めを刺せば良い……この通り、私には最早抵抗する余裕も余力も無い……どうした? んん?〕

 

 堕天使は大剣を向けたまま、黙ってシングの言葉を聞き流す……

 

 おかしい、コイツがこれ程アッサリと敗けを認める? あり得ない……コイツは何か企んでいる……こんな男ではなかった筈だ

 

 過去に得られた情報、ドゥチャン・シングの性格、そして本来のデビルガンダムの性能……これらを踏まえると、これ程アッサリと決着が付く事など、本来なら絶対にあり得ない……セファーの知識が、この状況はあり得ないと警鐘を鳴らしている

 周囲を囲むアリアンロッドのMS達は軒並み攻撃手段を使いきり、三日月達やガエリオのガンダムも全力稼働からの負荷軽減のための強制冷却中の為、指一本すら動かせない……唯一、動けるのはシステム上全力稼働でも元々が負担の少ないセファーの堕天使と、技量と手段ではまだ動ける余地の多いジュリエッタの駆るレギンレイズ・ジュリアだけであった。

 

〔……さぁ、何を躊躇うのかね? キミは父親を私に奪われた……忘れた訳ではあるまい?〕

 

 最後の足掻きか、僅かずつ再生していくデビルガンダム……しかし、後一撃でも喰らえばその再生活動も完全に止まり、自己崩壊していくだろう

 だが、セファーの手は何故か動かなかった……

 

『何故、止めを刺さないのですか? 奴さえ止めれば、全てに片が付くのでしょう?』

 

 掛けられたジュリエッタの言葉に、セファーは言い様のない違和感を覚えた

 

 コイツが元凶? コレを倒せば片が付く? コレで終わり? いや違う……

 

『……何を、一体何を企んでいるのですか? ドゥチャン・シング』

 

 堪えきれずセファーは呟く、この男がどれ程狡猾で用意周到な奴か……セファーだけは知っている

 それは過去の情報からも明らかだ……

 それに、デビルガンダムにしても想定以下のスペックしか発揮できていない……仮にコレが現状の全力だとしても、デビルガンダムの秘めた恐ろしさはこんなモノでは無い筈だ、奴がそこまで知っているかは別としても……

 

〔……いや、私は最早死に体だよ……自分の事だ、自分が一番よく分かる〕

 

 ……だが、シングの言葉に嘘は無かった。

 辛うじて残ったエネルギーで再生を継続するデビルガンダムだが、主導権を握るシングの意識が敗けを認めているのだ、それもじきに止まるだろう……徐々にだが再生速度が遅くなりつつある

 

〔……ああ、残念だよ……キミという最高傑作を世に送り出し、私の予想を超え、今なお私の向かう先を脇目も降らずに歩く彼に……追い付く事は叶わなかった……〕

 

『……今更何ですか?! 一度ならず、何度も何度も、アナタは他人を蹴落とし、罠に掛け、自身の驚異を悉く屠って歩んだ……そして私や、お父様までも……!』

 

 この世界に目覚めて、初めてセファー自身の口から出た「肉親」が居たという事実……300年前の断片ながら、驚愕すべき情報である

 更にセファーは続けた

 

『貴方の存在……そして貴方が産み出したコレは、人々の驚異でしかない……こんなモノで(デビルガンダム)は救済にはなり得ない!! ……お父様は言っていました』

 

 セファーの次の言葉にシングも気付き、言葉を合わせてきた……

 

(科学とは、人を、世界をより良くするためのツールであり、学問である……と)

〔科学とは、人を、世界をより良くするためのツールであり、学問である……か〕

 

『……貴方はそれを知っていて……!!』

 

〔誰しもが先ずはそう学ぶのだ、そこからどう転ぶかなど……誰にも分からんがね?〕

 

 デビルガンダムの頭部……そして両腕を失った上半身が僅かに動き、堕天使の方を向く

 セファーは構えるが、悪魔の機体はボロボロの身体を引き摺る形で無理矢理堕天使の近くに上半身を寄せた。

 

〔……キミはこの世界を、どう感じるかね?〕

 

 突然の質問にセファーの思考が止まる……鉄血の舞台であるこのPDの世界? かつて「鉄血のオルフェンズ」という1つの物語として外から見ていた頃と、転生して現実となった今の感情がない交ぜになり、その場で返答が出来ない……それを見越してか、シングは言葉を続けた

 

〔私は最早、この世界など腐った果実も同然だと思える……一部の特権階級にだけ許された行為、一般にすら知れ渡らぬ数々の有益な情報や研究成果……市制が厳しく統制されても、海賊行為や暴動すら抑制できず、腐敗した政府の役人や大勢の権力者達……私は奴等を利用して生きてきたが……ただの一度も、奴等の片棒を担いだ事は無い……!〕

 

〔この腐った世界をやり直す、その為に私は自ら悪魔となったのだ……恐れなど知らぬ究極の戦闘兵器、自己進化と再生能力で敗北の壁を超え、増殖し、自ら軍団を造り上げ、己が敵を蹂躙する、完全なる自律兵器を目指した……コレ(デビルガンダム)はその集大成……世界を変える為の力なのだ!〕

 

 経緯はどうあれど、目の前の相手は300年前からの因縁を持つ怨敵……現状は完全に予想外の事態ではあるが、もしもの時の為にセファーは、堕天使に幾つかの()()()()を用意している

 

〔……誰も世界を変えようとしないのであれば、私が自ら変えて見せる! そして……そして……そして……*∥%@※♪?〇!…#%&~***?※@!!〕

 

 シングの言葉が急にバグったラジオの如く狂った音へと変わり、いきなり途切れる……

 

『……?! 下がりなさい!!』

 

 ジュリエッタの叫びに反応して堕天使が杭の上から飛び上がると同時に、それまで立っていた足元の杭が瞬く間に侵食され、デビルガンダムに取り込まれる

 更に飛翔する堕天使と地上のジュリア目掛けてガンダムヘッドを伸ばし、頭部の顎パーツを口の様に変形させて噛み付こうとしてきた

 

 即座に回避行動を取り、そのまま移動し続けて狙いを逸らす2機。

 

〔*※|…♪%&@/~※〇…#!※…!〇?♪&%…*…!!〕

 

『……コレは……!?』

(……まさか、暴走している……!!)

 

 動力システムは破壊されている筈だ……しかし、まるでそれまでの努力は()()()()()()()()()と言わんばかりに暴走を始めたデビルガンダム……

 言葉すらマトモに発せなくなり、彼の意識を塗り潰した悪魔は、その本能とも呼べるシステムの基本プロトコルのまま行動を開始……増殖と進化を利用して周囲のMS、グレイズ等の残骸を全て平らげ……その動力である「エイハブ・リアクター」の解析を完了し、破壊された動力の代わりとして自らに取り込み我が物とする……つまりそれは、デビルガンダムの装甲が完全に「ナノラミネートアーマー」仕様になるという事である。

 

 更にデビルガンダムの形状も変化し、最初の植物系の様な形態へと戻ったが、そのサイズは更に膨れ上がり……上半身の腕だけでMSを握り潰せる位にまで巨大化したのであった。

 

『なんという奴だ……あれだけの損傷を受けてもまだ稼働できるのか?!』

 

 通信越しに驚愕するラスタル・エリオンの声……ジュリアの通信を傍受しているセファーにも、その声が聞こえた

 これ程まで異常進化したデビルガンダムが相手では、たとえリミッターを解除した三日月達と立ち向かったとしても、DG細胞に対する防御も儘ならないこの世界のMSでは……僅かでも触れたが最後、分け隔て無く取り込まれてしまう。

 

 現在のデビルガンダムは、触れた物全てを取り込み、自身の糧とする……核である「DG細胞」の特性が暴走した結果がコレだ。

 

『……っ……!』

 

 セファー擁する堕天使は、眼下で異常に進化したデビルガンダムへ最終手段……「切り札」を使うか、迷っていた。

 上手く事が運べば、恐らくデビルガンダムを消滅させる事は可能……だが、打つ手によっては代償として何が起こるのかは自身にすら分からない

 

 可能な限り起こり得る状況とその対処を実現する為、堕天使はその叡知が許す限りアレコレ詰め込んだが故に、実はかなり無茶苦茶な設計をしている……その上バランスブレイカーの如き強大な戦闘力をこれでもかと上乗せし、尚且つ文字通りの()()()の様な手段をも可能とした奇跡のバランスをしているのだ

 自ら設計し、それを分かっているから素早く判断・実行できる、これ以上無い乗り手としてマッチしているセファーだからこそ、その後迎える状況が予測不可能となるが故に判断に迷う……今までも散々あの手この手を尽くしてきたが、想定外に想定外……しかもこのままでは世界そのものに確実なダメージを与えかねない

 

 仮にこの場にいる誰かが取り込まれれば、その影響は秤知れず……セファーが取り込まれた場合は()()()()()()()()()()である

 デビルガンダムは取り込んだその全てを我が物とする能力を持つため、セファーが取り込まれるとその叡知(セファー)が敵となるのだ……抱え込むその叡知はほぼ全てのガンダム世界を内包する為、対抗以前の問題……原作の末路を知った自身(デビルガンダム)はあらゆる手段で以てその芽を潰すだろう

 

 時既に遅し……()()一歩手前、異常事態が重なった現状を打開するには……最早、最終手段(賭け)に出るしかなかった。




ヤバいよヤバいよ!?(;゜0゜)
やっぱりデビルガンダムが絡むとこうなる運命なのか……

セファーが堕天使に搭載した堕天使の「切り札」、果たしてその能力ともたらす結果は……?

そろそろ(ホントに)ラストです!!
なので今回のアンケートはルート分岐の前フリです。

最初から複数のエンディング分岐は用意してましたが、選択肢はなんとこのタイミング……
なお、途中のプロット紛失だけが予定外ですた。

ちなみに不採用となった選択肢の結末は()()()()()()

この選択がエンディング内容に大きく影響するので、
鉄華団と()()()()()()()の為に、投票をよろしくお願い致します。
m(_ _)m

※【重要】セファーの取った「最終手段」とは?

  • サイコフレームの力を解放する
  • 結果を覚悟の上で「羽根」を開く
  • コード「〇〇〇〇」を入力する

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