【更新休止中】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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鉄華団との邂逅で、透火は……イレギュラーのグレイズと戦う。
機体の性能差をものともしない相手の技量の前に、転生人生で初の敗北を喫する透火……

だが、この戦いの後に……彼女の人生を左右する大きな出会いが待っている事を、今は誰も知らないでいた。



第2話 2つの特異点

『……悪りぃな、祭りは終わりだ……』

 

 グレイズから放り込まれたシールドに妨害され、進路を狂わせられたフラッグの体勢を必死に立て直す透火……そこに聴こえてきたのは、タービンズの頭である名瀬からの「戦闘終了」の宣言であった。

 

「…………何なのよ、あのグレイズは……!」

 

 あの動き、こっちの意図を先読みされているかの様な超反応……

 どう考えてもイレギュラーでしかない……グレイズに阿頼耶識は搭載できるけど、あの反応は阿頼耶識ではない……明らかに知ってて反応した動き方だった。

 

 ……まるで本物のニュータイプを相手にしている様な。

 

「……馬鹿馬鹿しい……ここはガンダム世界だけど、ポスト・ディザスター……宇宙世紀とは違うんだから……!」

 

 頭に浮かんだ仮説を振り払い、私はフラッグをハンマーヘッドに帰投させる……

 だが、僅かに感じた違和感は……むしろ少しずつ大きくなっていくのだった。

 

──────────

 

「「わぁぁぁ……♪」」

 

 鉄華団との邂逅から10日後……テイワズの頭、マクマード・バリストンと会う為、タービンズの案内で鉄華団は歳星へと向かっている道中……何やら難しい顔をし続けていたクーデリアを心配したアトラは、ハンマーヘッドへ行こうと誘い……現在、名瀬の子供達が暮らす部屋に来ていた。

 案内として、名瀬の第1夫人であるアミダと、同じく癒やしを求めたラフタも来ている。

 

 アトラの考えが功を奏して、クーデリアの表情は心から癒やされていた。

 

「……あの……ここの子たちは全員……名瀬さんの……」

 

「そうだよ~、元気でしょ? ウチのダーリンは♪」

 

 その答えに、若干引き気味のアトラ……

 

「ここには、1人を除いて小さい子達しかいないんだけどね」

 

 アミダの言葉がアトラに引っかかった

 

「1人を除いてって?」

 

「あぁ、透火ね……あの子だけ、養子っていう扱いなのよ……小さい頃に拾われて、そのまま……ね」

 

 タービンズに所属する女性は、全員が名瀬の関係者……たった1人を除いて、外部からは名瀬の奥さんという認識をされている。

 

「あの子の意思なのよ……『私にはやるべき事があるんです、それが終わらないと……逆にみんなを不幸にしてしまう……』ってね……最初はアタシ達も不思議に思ったさ、だけどあの子の腕と……アレを見せられちゃ……ね」

 

 遠い目をして、経緯を語るアミダ……その表情は、純粋に子供を心配する親の表情だった。

 

──────────

 

 その頃、オルガとビスケットもハンマーヘッドに来ており……窮地に立たされた資金事情を何とかすべく、名瀬に相談に来ていた……その会話の中で、オルガは自身の決意を口にするが……自分の死に場所も、と言った直後に名瀬から強烈なデコピンを喰らわされた。

 

「お、オルガ?!」

 

「バカヤロー、テメェが死んだら……それこそ鉄華団はバラバラになるだろうが!」

 

 

 その頃、オルガ達が名瀬と話し込んでいる部屋の外には……名瀬に()()()()を求めて来ていた透火が、部屋の中の様子を察して待っていた……勿論、中の様子は筒抜け……それからしばらくして、名瀬が部屋から出て来る。

 

「……まぁ、話は分かった……悪ぃ様にはしねぇから……って、おっと……どうした?」

 

「とう……じゃない、名瀬さん……コレなんだけど」

 

 おずおずと見せる幾つかのファイル、ざっと目を通した名瀬は特に言う事も無かったらしく……

 

「ほぅ、悪くはねぇな……このまま進めて良いぜ、後でアミダにも見せとけよ?」

 

 そう言って私の頭を撫でた……直後に何か閃いたようで。

 

「なぁ、お前……パーツが欲しいってたな?」

 

「へ? あ……うん、後々考えると色々と入用になるかもだし、補修用のパーツとか量産しておきたいなって……」

 

「コイツら、売り物は持ってるが金が無ぇんだとさ……どうだ?」

 

 そう言って、持っていたファイルを私に渡す……

 

「いつもみたいに、お前が窓口で買っても良いぞ~」

 

 そう言い残しながら名瀬は去って行ってしまう……あとに残されたオルガとビスケット、そして私は何が何だか分からないまま、しばらくボーッと突っ立っているしか無かった……

 

「……いつものように……窓口?」

 

「へっ? あぁ、それは……」

 

 いち早く思考が戻ったビスケットの言葉に私も思考を引き戻され、丁寧に説明する。

 テイワズの輸送部門を仕切るタービンズ……その利点をフル活用して、通常では扱えない代物や厄介な物……破損して使い物にならないパーツなどを引き取ったり、真っ先に手に入れる為に作った窓口。

 勿論、発生した利益はタービンズやテイワズにも潤いをもたらし、私自身は不足しがちな自分用のパーツやアレコレを補充できる……Win-Winの関係を作っていた。

 さらに私が廃棄品を再生し、製造したパーツなどをテイワズに提供したり、タービンズのMS用補修部品としていたりもしている……

 

「……じゃあ、貴女が買い取ってくれるって事ですか?」

 

「敬語はナシでいいよ……まぁ、そういう事になるわね……っと、自己紹介まだだったよね?

 私は睦月透火、この船で唯一のハーレム外の乗員だよ」

 

 ハーレム外……という単語に、再び奇妙な笑顔を貼り付けたビスケットだったが、透火の握手に応えて手を出した。

 

「……で、久しぶりだね……兄さん」

 

「……? 何か言ったか?」

 

「ん~? なんにも? 取り敢えず、リストはじっくり見せて貰うわ……金額についてはまた後でね?」

 

 気付かれない様に小声でオルガを兄さん呼びし……追求を誤魔化してから、商談の続きを約束して私も去る。

 後ろから「よろしくおねがいします!」と声を揃えて言われたのに手を振って返事しながら……ドキドキする心を抑えて角を曲がった。

 

(……また会えた♪ 前よりもずっと過去だから、あの時より若いけど……やっぱり嬉しいな♪)

 

 かつての義兄……オルガ・イツカに再会し、先程まで沈み気味だった気分は最高潮に達する。

 名瀬に許可を貰った……後は一刻も早くアミダにも見せて、合意を取れれば計画がまた進む……

 

 鉄華団の強化計画……タービンズルートなら、早い段階でMS関連の技術を浸透させられるし、雪之丞さん達とも連携しやすい……あのイレギュラーのグレイズに関しても、何か分かるかもしれない……

 

「早く話題を作って、何とか渡りを付けなきゃ……!」

 

 そう思って透火は廊下を足早にアミダの元へと急ぐのだった……

 

 ちなみに、透火が去った後……ビスケットとオルガの(交渉についての)反省会も無事、原作通りに行われました。

 

──────────

 

 ……えー、道中でMSシミュレーターの話題とテイワズとの直接交渉……その他諸々はすっ飛ばします!

 だって基本は鉄華団の動向だし、透火(わたし)からしたら介入とかそれ以前の問題だもん。

 

 そういう場面は相方(鉄華団側担当)の方が書いてくれると思うから……そっちに期待してね?

 

 ……あ、シミュレーターの話題は私、ちょっとだけ絡んでたわ……

 

 原作ではテイワズ製MS「百錬」のコクピットを利用したシミュレーターだったけど、このお話ではT.M.ブランド……つまり、私が手掛けるブランドの高性能据え置き対戦ゲーム筐体型シミュレーター「EXVS.」シリーズの最新機種を使わせて頂きましたw

 前の転生を見ている人は、もうお分かりですよね?

 

 ま、それだけなんだけど……

 

──────────

 

 時は流れ、晴れて兄弟分の盃を交わす事になった鉄華団とタービンズ……

 

 鉄華団が売りたかった資材に原作以上の値が付けられ、鉄華団の懐を大きくふくらませる事となった……本来ならば、タービンズ経由のルートのみで()()()()だった……と言われるのだが、その()の部分に私が本来よりも高い値を付けたからである。

 

 他人が見れば、使い物にならない鉄クズだとしても……私とAGEビルダーがあれば……それらを含め、全て『部品の材料』だから。

 

 

 そして盃を交わす前日の午後……私は夕暮れ迫る歳星の公園区画で1人、あのグレイズの事を思い出していた。

 

「あの動き……普通じゃ出来ない、やっぱり……私以外の誰か……もしかしたら転生者が関わってる……」

 

 そう、あのグレイズは……この世界の人間とは違う誰かが操っていた……そうでなければ説明が付かない事が多過ぎたのだ。

 まるで先を読まれているかの様な対応……弾丸の軌道すら()()()()()とばかりに剣で弾き、初挑戦のぶっつけ本番で成功させたあのマニューバー(グラハム・スペシャル)ですらも読み切って進路妨害してきた……

 

「……あの存在は、私の改変を無効化する為の対抗存在(カウンター)かも……」

 

 だが……考えても考えても推論ばかりで、明確な答えには一向に辿り着かない……

 

 そしてふと、私は小さい頃から気分を晴らす為……歌っていた事を思い出す。

 転生時に植え付けられた記憶だが、幼い頃から母親と歌を歌い……上手だと褒められていた……

 

 そして、この公園には時間の関係なのか……何故か誰一人として近付かない。

 

「……ふぅ……」

 

 大きな溜息……一旦、頭の中をサッパリさせ、全てカラッポにしてから考え直そうと……私は()()()を歌う事にした。

 

 

まるで悲しみの欠片だわ 街をとざすガラス色の雪

明日(あした)を探す瞳さえも 曇らせてゆくの闇の彼方

 

見知らぬ力に流されて 心が何処かへ(はぐ)れてく

張り裂けそうな胸の奥で 鼓動だけが確かに生きている……

 

光る風の中 聞こえてくる あなたの声

 

Play Don't break a piece forever

 

その輝きを信じてる……

 

 地面から少し高い場所に立って、一節を歌い終えた私の耳に……公園の入口付近から人の足音が聞こえた……

 

「……?! 誰ッ?!」

 

 歌詞を思い出すのに集中し過ぎて周囲の警戒が疎かになっていた……が、歌が上手いのは別に悪い事じゃないし、聞かれても普通の人にはどこの歌? という感じで聞かれる程度だ……

 公園の入口付近から、男の人が1人……こっちを見ている。

 

 偶然居合わせた通行人だと思い、気恥ずかしさがこみ上げてそそくさと帰ろうと走り出そうとした次の瞬間……

 

「……この歌、F91の……まさかお前も!?」

 

 まさかの台詞に私は耳を疑った……驚愕する表情を浮かべる、この男はこの曲を知っている……そして『お前()』という反応……

 

「……そんな……事って……!?」

 

 知ってしまった……そして知り合ってしまった……

 

 私の目の前に立つ、この男は……間違いなく私と同じ、異世界からの『転生者』だと。

 




ぶっちゃけ長くなるので、次回に続きます……

転生者セファーに声優さんを宛ててみたいと思いますが……

  • 是非やって!
  • 別にいらない
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