【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
時間軸は禍月からの依頼、パーツで持ち込まれた機体の再生
……その最中での一幕。
歳星へと持ち込まれた幾つものパーツ……
マクマード経由で依頼を受けた透火は、依頼主である禍月桐谷と出会い……互いを転生者と認識した。
そして、持ち込まれたこのパーツ……
その正体は『宇宙世紀のMSがバラされた部品の山』という事も。
斯くして、
さて、何でUC世界のMSがここに有るのか……なんて面倒な考察は置いといて、このまま組み上げてたら……多分彼にとっても、鉄華団にとっても期待外れにしかならない……
「……そりゃそうよね、宇宙世紀の機体だもん」
UCの機体には、ほぼ標準的にビーム兵器が搭載されている……だが逆に、PDの機体にビーム兵器は皆無……それは勿論『ナノラミネートアーマー』の存在があるから。
PDでは
つまり、他のガンダム世界では必ずと言って良いほど搭載されるビームサーベルやビームライフル等の武装はただの飾り……いやむしろ邪魔にしかならない。
「……随分と無理難題を吹っ掛けて来たねぇ、
一人愚痴を溢しながらも、代替武装の案を練り始める……ライフルは取り回し等を考慮したサイズを見繕えばそれで事足りるが、近接用武装となるとそうは行かない。
装備によっては重量バランスの見直し、モーションパターンの補正、機体のエネルギー配分の再計算からマウントラッチの構造変更……酷い時にはモーションパターンの新規作成に始まり、マウントラッチまで新規設計……武装そのものが内蔵式ならば搭載すべく、大幅な構造の見直し等も要求されてしまう。
(バランスを損なう程の改装をしちゃうと、彼の戦い方にも悪影響は免れないだろうなぁ……となると手軽なバトルソードか、アックスなんかの手直し品かな……?)
実際に
それを崩さない方向性となると、やはり軽量で取り回しにも優れた武器が良いだろう。
「……ただ、軽量なぶん威力はイマイチになるのよねぇ」
ここでまたしてもナノラミネートアーマーの存在が邪魔をする……ナノラミネートアーマーは物理防御もかなり硬い……さすがにあのフェイズシフト装甲には及ばないが、ガンダニュウム合金をも越える物理防御力と、ビーム射撃ならばほぼ完璧に弾く『ヤタノカガミ』にも劣らない対ビーム性能を併せ持つバケモノ装甲なのだから……
ナノラミネートアーマーの破壊係数を上回る程の威力を、近接武器に求めると……後にバルバトスが装備する事になる『レンチメイス』や『超大型メイス』等、必然的に大型化するのである……故に透火は、禍月の意見を求めに現場から一時離脱するのだった。
禍月桐谷は、鉄華団のMS隊隊長を勤める転生者……過去に宇宙世紀へと転生した経験があり、一応、老人の段階まで長生きして戦死……宇宙世紀の生き字引と呼んでも申し分ない位は、様々な人物と戦い、又は交流したらしい。
故に、転生でいきなり若者へと戻された彼だが、基本的には大人の立場に立って物を言う……それ故か団長のオルガや、三日月……鉄華団のほぼ全員は、彼の言を尊重している……一部の間では“絶対”とまで考えている様だが、それは『転生者故の既知情報』に救われていたからに過ぎない。
なので時折、少々困った事態になる場合もあった……
「桐谷、これからの事なんだが……」
「……なぁ、オルガ……団長はお前だろ? 俺はあくまで部下の1人だ……他の奴に対しての示しも付かんから、いい加減俺に意見を求めるのは止めてくれ……」
おっと、オルガ兄に対して説教している最中だった……さすがにまだ団長としての心構えは完成しきってないせいで、(先の事を知ってるから)落ち着いてる禍月に頼ろうとしている。
確かに“他人を頼る”事は悪くない……だが、今のオルガ兄は自覚なしに頼りきりで自身の成長を止めてしまっていた……禍月は
「っと……あ、お邪魔でした? 男2人で随分と仲が良いですねぇ」
「ん? あぁ、アンタか……大丈夫だ、チョット待っててくれ」
そう言って禍月はオルガに「また後でな」と断りを入れてこっちに来た……私は両手で持っていたファイルを左だけで持ち直し、右で格納庫を指差して合図……禍月は機体の件だと気付いて従ってくれた。
「んで? 俺に何か用かい?」
格納庫で再構築中の機体の前へと連れ出され、禍月は開口一番で聞いてくる……
「そりゃあ、勿論
「……そうだったな……」
あ、今思い出したみたいな顔した……コイツ絶対忘れてたな?
禍月は沈黙し、少しの間考え込む……私は今まで考えてきた代替案を提示する事にした。
「ソードまたはアックスの手直し……新規で武器の作成……それとも、無理は承知で大型装備積む?」
禍月も、自身が今後扱う機体の事だ……その表情は真剣そのもの……長めの沈黙を破り、答えた内容は……
「系統的にはサーベルが良い、そうそう使い所は多くないだろうがな……無いよりかはある方が心強い、フラッグのブレード……アレは使えないか?」
なるほど、彼はやはりシンプルな方が良いのね……
「不可能じゃないよ? 構造を少し見直して、物理的な刀身を伸ばす位は出来そう……それに、プラズマソードならナノラミネートアーマーでも弾かれないだろうし、機体側の出力次第では十全に使えるかもね」
プラズマエネルギーを刀身に見立てたプラズマソードなら、ナノラミネートアーマーでも物理的扱いで弾かれはしないと思う……ならば、機体側の出力次第で十分な威力を持たせる事も不可能ではない
……と、いう訳で……ビームサーベルはソニックブレイドの改良品に換装、ライフルはグレイズの物を元に、取り回しを損ねない様にグレネードを追加した専用ライフルへと改造する事が決まった。
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そして数日後……機体そのものの組み上げも終了し、再起動テストとなったアベンジャー。
バルバトスもオーバーホール作業は残り僅か……
阿頼耶識の再調整とパラメータ更新、そしてパイロットとのフィッティング作業を残すのみ……
三日月やテイワズのクルーが見守る中、アベンジャーがテストエリアへと運ばれてくる。
宇宙世紀の技術である『ミノフスキー・イヨネスコ型核融合炉』により、エイハブ・リアクターの欠点である市街地での電波障害を引き起こす心配もなく、純粋なパワーではガンダム・フレームにこそ劣るものの、一般機が相手ならば侮れない出力を確保できた。
武装も更新され、ビームサーベルの代用としてソニックブレイドを改良した『
なお、内蔵型火器だった腕部ガトリング砲は腕から取り外せる『セパレート式』へと変更、シールド裏にはグレネード弾や予備弾倉を取り付け可能な懸架部を設け、ランドセル左側のサーベルをオミットした代わりに、フレキシブルアームで接続した折り畳み式の120㎜キャノンを追加装備……
脚部ホバーユニットも構造を刷新し、出力も上がったので使い勝手も向上している。
『……待たされただけあって、ご機嫌だな……!』
訓練用標的を次々と撃破しながら虚空を駆ける
稼働テストは良好……残る作業は、各部センサー系の微調整や、機体のOS側(追加武装に合わせた細かいデータ)の更新がまだ残っている。
……だが、イサリビへの補給は間も無く終わり……バルバトス共々、恐らく出航には間に合わない。
「……あんまり時間もないし、残りは
私は気合いを入れ直すべく、大きめの声で宣言しながら作業に戻るのだった。
宇宙世紀生まれのMS、アベンジャーの再構築完了。
詳しい紹介は後日、設定の方に追加します!
次回はお待ちかね、海賊ブルワーズとの遭遇戦……
何やらフラグが立ってるみたいなので、へし折りに往かねば!
ブルワーズ戦、例の兄弟関連のイベントは?
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肝心な部分だけ、まとめてどうぞ~
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とりあえず原作通りに進めてよ
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結果だけ伝えてまるっとカットだ!