【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
中身は企業秘密です……w
私が直々に組み上げたフラッグのセンサーは、エイハブ・ウェーブの影響下でもしっかりと機能を発揮する特別な物だ……勿論、それはフラッグのエンジンが影響しないと言うのもあるが……元々速度に秀で、重力下でも高速飛行を可能とする可変機体などは、基本的に索敵能力も高いのである。
「……見つけた! 距離15000、敵数は3……もう囲まれてる?!」
自機の広域索敵で戦況をいち早く把握した私は、すぐさま情報を3人にも伝える。
『俺、先に行くから……おやっさん、コイツの制御そっちに返すね』
『なっ……お、おい待て三日月?! 俺はコイツの操縦なんて……ッ!?』
言うが早いか、三日月は機体側からロックを外し……強引に長距離輸送用ブースター『クタン参型』の制御を雪之丞さんへと切り替えてさっさと行ってしまった。
『ぬおぉぉぉぉぉぉぉ?!』
途端にあらぬ方向へと行きそうになるクタン参型を必死に操縦する雪之丞さん……このままじゃちょっとマズい事になりそうな予感がした。
「悪いけどココで切り離すよ? あの人を先にイサリビまで送ってくる!」
『スマンな、任せるわ……牽引ワイヤー接続解除、行くぜ相棒!!』
私の提案に即応し、自ら牽引ワイヤーを解除する禍月……アベンジャーは牽引された速度を維持しながら三日月の後を追い、私もすぐにクタン参型の方へと転進した。
未確認機が3機、昭弘とタカキを襲い……隙を狙われピンチになった昭弘達を救ったのは……
『……み、三日月……!』
『……ふぅ……』
装甲の隙間……首の後ろ側を突き刺し、駆動系を制御する重要部分を破損させ行動不能するという高等芸をアッサリと実現して見せた三日月は、動かなくなった敵機を蹴って昭弘から遠ざける。
その間も敵は囲みを解くまいと奮闘するが、それは呆気なく破られた……
『……やるぞ、アベンジャー……!』
禍月の愛機、次元を超えて現れた復讐者……この世界とは違う
残る敵の2機は連携してアベンジャーを囲もうと動き回るが、当の復讐者は油断無く構え……敵からスモークグレネードが投げられたのを合図に右手のライフルと頭部バルカンでスモークグレネードと敵機をそれぞれ狙い撃った。
予定外の位置でスモークを発動させられ、焦る1機が間合いに入る……
「……やれやれ、それは悪手だぞ?」
禍月は言葉と共にミリ単位の隙間だけ残して敵機を避け、すれ違う瞬間に蹴りとライフルをお見舞いした。
『なっ?! この速度差でカウンターを?!』
もう片割れが牽制射撃をしてくるが……当たりそうな弾だけをシールドで受け流す、その弾道が全て見えているかの様に。
『……コイツ、弾が見えてるのか?!』
『落ち着け! 今度はこっちからだ!!』
敵の動きが変わるが、復讐者はその動きにもすぐに対応……牽制を最低限の挙動で避け続け、突撃にはカウンターを合わせていなす。
敵は禍月の乗るアベンジャーの即応性に焦り、じわじわと被弾も増えていく……
『クソッ、なんで当たんないんだよ!? 阿頼耶識使いでもないのに……!!』
焦る敵のパイロット2人は禍月ただ1人に良いように翻弄され、弄ばれている……三日月は昭弘と既に離脱し、イサリビへと戻ろうとしていた……
……が、そこへ新たな接近警報が三日月達のコクピットに響く。
「ちっ、新手か……!」
接近してきたのは、先程の肥り気味のMSが新たに7機……それと、更に肥え太ったイメージをした深緑色のMSだ。
『……敵の数が多い、昭弘は先に行って!』
『分かった……!』
「……アイツら、囮の役目すら満足に出来やしねぇのか? お前らはしっかり仕事しな!」
『『『は、はい』』』
三日月は深緑の敵機へと、背中にマウントしていた滑空砲を展開して射撃……だが、敵は避けもせず、あろう事か直撃なのにびくともしない……三日月がコクピットの中で忌々しく呟く。
「ちっ、さっきのと同じでイヤに硬い……!」
『ふん……このクダル・カデル様と、グシオンを舐めるんじゃないよぉ!!』
バルバトスに装備された300mm滑空砲の直撃すら物ともせず、見た目に似合わぬ機動性でバルバトスに襲いかかるグシオン……三日月は大振りのハンマーを回避するが、代わりに直撃したデブリが砕けて粉塵を盛大に撒き散らす。
『コイツ、邪魔だな……!』
一方、禍月は相手取っていた敵機が撤退したのを見届けた後……すぐさま昭弘達の直掩へと機体を走らせた。
エイハブ・リアクターを持たない機体……とはいえ、宇宙世紀で『ガンダムタイプ』と呼ばれるだけあってその性能は高く、昭弘を追う7つの敵機にみるみる接近する。
『なんで彼処から追いついて来れるんだよ?!』
「元の生まれは違うが、コイツもガンダムなのさ……!」
禍月の接近に気付いた敵機が迎撃体勢を取る寸前……アベンジャーの左背面にあるフレキシブルアームが可動して砲口が前を向く……アームの先端に装備された120mmキャノンは、元々のハイパーバズーカをAGEビルダーで魔改造し、口径を絞る代わりに専用の保持アームと弾頭の選択機能を持たせ……更に折り畳んで携行できる様にして柔軟な可用性の付与に成功した中距離支援用の火器だ。
砲口を向けられた敵機は慌てて回避行動を取るが、120mmの弾頭は背部スラスターの外装や脚部へと直撃し、敵機の挙動に影響を及ぼす。
『ちぃっ、だけどこの程度で!!』
「……悪ぃな、それで十分なんだよ」
アベンジャーは更に加速……脚部の全スラスターを全開にして敵機に接近し、右腕にソニックブレード(フラッグ用から刀身を伸長させた専用モデル)を握らせ、敵機のスラスター噴出口に突き込んだ。
端材から製造したとはいえ、高硬度レアアロイ製のブレードと超振動効果によって驚異的な切断能力を持つこの武器は、実にアッサリと敵機のメインスラスターを破壊……禍月は抜き取りついでに蹴り付けて、周囲に浮かぶ小さめのデブリへと相手を突っ込ませた。
『うわっ!? くっそぉ……』
盛大にデブリへと突っ込んだ敵機……パイロットは少なくない衝撃を受けるが、この程度では死なないだろう。
残る敵機もアベンジャーに向かって思い思いに牽制射撃を行うが、禍月は冷静にシールドで直撃弾を避けつつ隙を見せた敵機に次々と120mmキャノンを当てていき……バランスを崩した所へ超接近してスラスターや四肢をもぎ取っていく。
宇宙世紀を駆け抜けた、元・歴戦のパイロットという圧倒的な技量が成せる妙技……1機、また1機と数を減らし、残るは4機……
『俺らで止める、残りはアイツを!』
2-2で別れ、アベンジャーに相対する2機……そして残りの2機が昭弘達に迫る。
『貰ったぁぁぁぁ!!』
『ちぃぃぃっ?!』
昭弘機に追い縋る敵の1機が、タックルの姿勢に入り加速し、直撃まであと僅かに迫る……と、その時。
『……イ・ナ・○・マ・キィィィック!!』
昭弘の機体の進行方向側から回り込んで来た白い機影……MSにしては化け物じみた加速で昭弘と敵の間に割って入る、その挙動はさながらライ○ーキック……勿論、避ける暇もなく敵機は逆に蹴り飛ばされ、もう1機も白い機体からの牽制射撃に回避せざるを得なかった。
「大丈夫?! 早く船に戻って」
『スミマセン、頼んます!!』
慣れない敬語を使う昭弘兄を見送り、私は目の前の2機を相手取る……確か『マン・ロディ』って名前だっけ……硬いけど、倒せない相手じゃない。
『クソッ、次から次へと……!!』
「……大人しく帰った方が、キミ達の身のためなんだけど?」
一応、相手は阿頼耶識使い……所謂、ヒューマンデブリと呼ばれる孤児達だ。
できれば巻き込んで殺しちゃうなんて事はしたくない……私は左手にソニックブレイドを展開させ、右手のレールガンで牽制を掛けつつ接近……当然敵は距離を保とうと離れるが、片方の背後で突然爆発が起こり、バランスを失う。
『な……何が?! ……ぁっ!?』
予め放っておいたミサイルが死角からヒットした直後の僅か10秒……私は牽制した敵からターゲットを変更してMA形態へと変形……ミサイルを囮に敵を撹乱し、バランスを崩した方へと再び
仲間の異変に気付いたもう片方が、囮のミサイルを掻い潜って此方へ突進……それに合わせて私はAMBACを駆使した馬跳びを披露し、隙だらけの背後へとレールガンを撃ち込む。
5発目がスラスターの噴出口に直撃して機能を喪失した所へ、すかさず接近して腕の関節目掛けてプラズマソードの刃を走らせ、両腕を分断する事で戦闘力を奪う。
『大人しく退きなさい……殺しはしないわ』
ただそれだけを敵に吹き込み、同じく敵を掃討した禍月と合流……三日月に加勢すべく機体を虚空へと走らせた。
あれれ? 禍月の戦闘シーンの方が多いぞ……?
あっちも私を書いてくれるかな……
次回は原作通りに三日月 vs. クダル・カデル
ガンダムファイト、Ready Go!!(違)w
禍月はアベンジャーに乗り換えましたが、透火も乗り換えるべき?
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ぜひとも、今度は準主役級機体で
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その気があるなら量産型でも……
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どうせやるならオリジナルでしょ?
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……ならば主役機だ、異論は認めん!
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もうしばらくはフラッグで良いんじゃ……?