【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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前回のお話からある程度早送りして現状はと言うと……

私は寝落ちから覚醒してないので……ハシュマルくんは暴れております
原作どおり雑魚キャラ(イオク達)をぶっ飛ばし、本来の本能のままに暴れまくっております

団長さん達も必死に事態を収拾すべく奔走してますが、はてさてこの先どうなるやら……あ、バルバトスが降りてきましたね

ってアレ? なんかバルバトスの目が赤く光ってませんか……?


第2話 寝落ちから1乙って……ゲームじゃあるまいし

「……駄目だよ、オルガが出るくらいなら……俺が出る」

 

 渓谷の上から下に居るモビルアーマーと、その進路に立ち塞がるバルバトスルプスを見付けたオルガは、三日月の言葉を思い出していた

 

「……あのバカ野郎!」

 

 本能のままに動くモビルアーマーを前に、バルバトスのコクピット内で三日月は呟いた

 

「……おい、バルバトス……アレはお前の獲物なんだろ? 

 邪魔な鎖は外してやるから……見せてみろよ、お前の力を!」

 

 ヴヴゥン と、緑色だったカメラアイが真紅へと変わり、悪魔の咆哮のような駆動音と共にバルバトスの姿勢も変わっていく

 そして、真紅の残光を引きながらバルバトスはモビルアーマーへと突撃を開始した

 

 そこからはまるで別次元の戦いだった……

 

 迫り来るワイヤーブレードと鉤爪の応酬、その悉くを回避し続け、持っていたソードメイスを投げつけ、壁面から滑るようにビーム攻撃を掻い潜ってモビルアーマーの足元に潜り込み、そのまま脚部の装甲を力業で剥ぎ取って回り込み、迫り来るワイヤーブレードや本体に拳を乱打……しかし、バルバトス自身も今までの度重なる戦闘で蓄積されたダメージによって手指のフレームが歪み始め、遂には右手が手首から失くなってしまう

 だが、バルバトスの攻撃もモビルアーマーからの攻撃も止む気配はない

 

「動きが……読めない……!」

 

 途中から参戦していたジュリエッタ・ジュリスも、バルバトスの予測不能かつ驚異的な運動性能に呆然としている

 

 ふと、バルバトスの背後にワイヤーブレードが迫る

 三日月は本能的にバルバトスでワイヤーブレードを左腕の脇挟みでガードし、破損を忘れて右腕でモビルアーマーの装甲の隙間にパンチを打ち込む

 

 その瞬間、三日月は右腕の感覚が変になったのに気付き、モビルアーマーからは人の悲鳴のような音が響く

 しかし、反撃に出たモビルアーマーの猛攻でバルバトスは右腕全てがクローによって壁に縫い付けられてしまう

 

「あっぶねぇ……なッ!!」

 

 それすら構わず三日月は胴体を無理やり動かして右腕を外し、体当たりから左腕の滑空砲でその場から抜け出すと、大破したヘルムヴィーゲ・リンカーが持っていた巨大な剣「ヴァルキュリアバスターソード」に手を掛け、あろうことか軽々と片手で持ち上げる

 

「……な……っ……?!」

 

「……借りるよ?」

 

 ヘルムヴィーゲ・リンカーに乗っていたマクギリスの腹心、石動・カミーチェは唖然とした表情を隠せぬまま呆然とバルバトスを見るばかりであった

 

 バルバトスにバスターソードを素振りさせ構えると、左腕のリミッターと放熱機構が解除されて青白い炎と白煙が噴出する

 対してモビルアーマーは滑空砲でセンサーが一時的に乱されバルバトスを見失っていたが、復調し再発見したバルバトスに対して威嚇のような鳴き声を上げながらビーム砲をチャージしていた

 

「うん、いい感じ」

 

 バスターソードを固定し、ランスチャージの如く突撃し始めるバルバトス

 

「コレなら確実に……殺しきれる!」

 

 バルバトスとモビルアーマーが交錯した直後、誰もが目に焼き付く光景が見えてきた

 バルバトスが持つバスターソードはモビルアーマーの首部分を穿ち、同時に放たれていたモビルアーマーのワイヤーブレードはバルバトスの胴体右側に深々と突き刺さっている

 そこはコクピットのすぐ右側……三日月は辛うじてその直撃を回避していた

 

 すべてが終わり、ふぅ、と息を吐く三日月の脳裏に、ふと子供のすすり泣く声が聞こえてくる

 

『……うぅ……痛いよぉ……』

 

 三日月は最初、幻聴だろうと思った……しかし、その声は何故か開かれていた接触通信から聞こえてくる

 よく見ると「Sound Only」の表示された接触通信の表示……現在バルバトスと接触している機体……それは目の前にあるモビルアーマーだ

 

 半信半疑ながらも、三日月はすすり泣く声のする通信へと声を掛けるのだった

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 すべてが終わり、破損したモビルスーツ達が倒れる渓谷の一角で、己の駆っていた機体のコクピットから出たマクギリスは、モビルアーマーと相打ちとなって停止したバルバトスを見つめ一人呟いていた

 

「そうか、これが……私の求める、力だったのか……」

 

「……准将……?」

 

 通信でマクギリスの呟きに気付いたい石動は己の上司の心情を慮るように彼を見る

 それに気付いたマクギリスも石動だけに聞こえるよう通信で心情を吐露した

 

「彼は……私の心の靄を、晴らしてくれたのだよ……」

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 一連の騒動から数日が経ち、マクギリス達が宇宙へと戻った後、オルガ達は鉄華団の本部へある物を運び込んでいた

 それは先日、バルバトスと激戦を繰り広げ大破したモビルアーマーだった

 

 鉄華団……その前組織であるCGS時代から長年、モビルワーカーの整備を担当し、現在は団のMS整備班長を務める「ナディ・雪乃丞・カッサパ」は鉄くずと化したモビルアーマーを見聞しながら、親組織となったテイワズ経由で入手したモビルアーマーの資料を見比べていた

 

「ふぅん、コイツ自体は地上専用だが、モビルアーマーってのは宇宙でも猛威を奮ってたみたいだな……」

 

「じゃあ、形の違う奴で宇宙用って言うのもあったんですか?」

 

 すぐ近くで回収したモビルアーマーの部品とにらめっこをしていた整備担当の団員が雪乃丞に聞いてくる

 

「ん? あぁ……当時の資料はほとんど残ってねぇが、厄介な代物だって事は山ほど書いてある。

 この機体よりヤバい代物もわんさかあった様だしな……」

 

「うげぇ……」

 

 答えられた団員は顔を青くした

 鉄華団で随一の戦闘力を持つバルバトスと三日月のコンビであれだけの損害を被りながらやっとの思いで撃破したのに、それ以上が当時はわんさかと存在していたと言われれば当然である

 

 と、そこへ三日月の声……振り向いた雪乃丞の眼には自分の部下であるハッシュ・ミディに自分を担がせて来た三日月の姿だった

 

「おやっさん、ちょっといい?」

 

「おう、三日月? 珍しいな、ちょっと待ってろ」

 

 資料を閉じ、足場にしていたコンテナから降りてくる雪乃丞

 三日月は雪乃丞にくいくいと耳打ちの仕草をする

 

「なんだよ三日月、バルバトスの整備なら歳星に持ってかねぇと……」

 

「アレのあの部分、ちょっと調べてくれない?」

 

 そう言って三日月は搬入作業を終え、固定されていたモビルアーマー……その首の根本にあるユニットを指す

 そこには人間一人が入れそうなサイズの……意味深な雰囲気を持つ球体ユニットが、首元から伸びる装甲に挟まれて守られる様に接続されていた

 

「あぁ? なんだってあんなトコにあんなもんが……」

 

「あの時、アイツが教えてくれたんだ……『私はそこにいるから』って」

 

「……よく分からんが、あそこに何かあるってのか……機体の検分が終わってからになるが良いか?」

 

「うん、頼むよおやっさん」

 

 疑問しか湧かない雪之丞だったが、実際にモビルアーマーと戦った三日月の言には何かあると踏み、従うことにした

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 それから数日後、三日月に頼まれモビルアーマーに接続されていた謎の球体ユニットの調査をしていた雪之丞は、そこからトンデモナイ発見をしてしまう

 

 慌てて周囲の団員に、数少ない女性であるメリビットとアトラを呼びに行かせる雪乃丞

 そのユニットの中に隠されていたのは……鉄華団の未来を左右する「鍵」となる存在だった




モビルアーマー撃破まではもちろん本編どおりの決着でしたが、それからの展開は完全オリジナルとなりました

なお、ミカが雪之丞さんに指示した球体ユニットはアニメ本編や本来の設定には存在しないモノなので、描かれない部分はご想像におまかせします



本当はもう少し変えたかったんですが、これより前から変えちゃうとどうしても禍根が残っちゃうような展開しか浮かばなかったので、「改変の鍵」は秘密裏に鉄華団に回収されたという事に……

さて、次回はいよいよ「改変の鍵」が覚醒します

誤字・脱字報告の方も随時受け付けていますのでお楽しみに♪

4/19追記 各話タイトルに話数を追加しました
4/21修正 この時点で三日月は歩けないのでハッシュ君、出番です!

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