【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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本編見直しつつの執筆、ある意味で言えば正解だけど
時々胸クソ悪くなってきますね……

人死シーンとか、絶望させられるシーンとかね。
「革命」という事象に「犠牲」は付き物……それは変えられない事実。
それでも……私は明日が欲しいから。


第10話 嵐の前の静けさ、そういう雰囲気は嫌いじゃないけど……

 昨日はなんか妙な雰囲気で別れちゃったから、禍月に会うのが何か気まずい……

 気晴らしにシミュレーターで憂さ晴らししてると、昭弘兄が付き合ってくれた。

 

「あんた等のお陰で昌弘を取り戻せたし、守る為の力も得た……これは俺なりの感謝って奴だ……最も、お前さんに勝てるとは思わなかったがな?」

 

 私は、技量的に言えばそれほど強くない……前世はバカみたいに強い機体の性能とそこそこの身体スペック、そして原作その他の知識というチートで今まで上手く戦えていた……それだけなのだ。

 逆を言えば、そのチートが通用しない今の環境なら……私の実力は中の下止まりである。

 

 なので、シミュレーターでの私の戦績は……実を言うとボロボロ。

 ライド君にもたまに負ける……ぶっちゃけ言うと、昭弘兄には全敗であった。

 

「……ほら、私は一応『整備員』って括りな訳だし……」

 

「最初にやり合った時も、ブルワーズの時も普通に出撃して……無傷だったよな」

 

「ゔっ……」

 

 そう……鉄華団と最初にやり合った時も、ブルワーズの時も……私はしっかりと出撃して無傷で帰って来ている……だが、シミュレーターだと私は何故か普通に被弾する。

 

 この差は一体何なのだろうか……今更ながら気になるなぁ……

 

──────────

 

 憂さ晴らしは奇妙な疑問を残して終了……気は晴れたが、禍月に一応謝っておこうと彼を探す。

 

 すると、厨房の方からいい匂いがしてくるのに気付いた……

 覗いてみると、あの禍月がアトラちゃんとクーデリアさんに料理を披露しているではないか。

 

 こっそり覗いていたが当然、禍月にはモロバレであり目ざとく見つけられ手招きされる……

 昨日の事もあるので少し気が引けてしまったが、表情を見る限り仕方なく……といった感じじゃなさそうだ。

 

 着席すると同時に、ドンといい匂いの正体を突き付けられる……器に入っていたのは、材料こそこの世界の代物だが、間違いなく『肉じゃが』と呼ばれる食べ物だった。

 

(肉じゃがなんて、何年ぶりだろ……転生前も合わせると10年以上食べてないや……)

 

 記憶の片隅に残されていた味……最初の一口でその欠片を思い出し、気が付けば無心になって食べ続けていた。

 

(……美味しい……! そういや器用だって言ってたし、結構いろんな経験してたんだ……)

 

 転生前は私自身も自炊歴はけっこう長かったのだが、得意なレシピはほとんどが洋風。

 和風は少し苦手なのだ……そして、こういう繊細な和風調理をマスターしている人間は基本、他のジャンルを作ってもしっかり美味しいポイントは外さないらしい。

 

(もしかしたら、隠れ優良物件……っとと、思考が脱線しちゃう!)

 

 ……この時、懐かしさから無意識の内に涙していたのか。

 食べ終わって食堂から離れた後……左の頬に一筋、涙の跡が残っていたのに気が付いた。

 

 

 それからしばらくして、私は再び禍月の部屋へ向かっている。

 理由は勿論、昨日の件に対する謝罪だ……場合によっては頼んだ件の進捗も聞くつもりで。

 

 で、部屋が開けっ放しな上に何かの演奏が響いてきた……今度は正当な理由もあるため、堂々と禍月の姿を探す……するとそこには、買ったばかりであろう包みを広げ、取り出した新品の管楽器……フルートを演奏している彼の姿だった。

 

(この曲……まさかの妖怪○ォッチ!? しかもマニアック過ぎる!!)

 

 彼が吹いていた曲に思わず驚愕……しばらく聞いた後、思わず「フルート吹けるんだ……」と感心していた。

 

 達人ではないが、それなりにデキるらしい……曲も、つい懐かしくて選んだらしい。

 聞けば他の楽器もそれなりに出来るらしく、思わず「一人バンドでもやる気?」と言ってしまった。

 

「やらないし、俺は病んでない……そしてボッチじゃねぇ!」

 

 と、何故かキレそうになる禍月……いや、ボッチとか言ってないしw

 

 話題を強引に切り替えるために「もう一曲やって!」とねだる……待て私、謝罪はどうしたw

 

 すると彼が演奏し始めた曲に、私はすぐに気付く……そして曲に惹かれるように、私も歌詞を口ずさんでいた。

 

Can't you see that you are sweet?

oh Let me love you so...

 

見上げる空は遠いけど 抱えきれない夢がある

そうよ

創られた世界の中を

抜け出して 自由になりたい

 

走り続けて 空に届けば

風になれると そう信じてるから

 

I never give up forever

 

 

 

 

 演奏中の禍月は、複雑な表情を浮かべていた。

 もしかしたら、前世でもこうやって仲間に曲を聞かせたりしていたのを思い出したのかも知れない……

 

 やがて演奏も終わり、私は小さめの拍手で演奏が上手かった事を使えた。

 演奏しきった彼の顔は、先ほどまでとうって変わり……いつぞやの懐かしさを噛み締めている顔だった。

 

──────────

 

 それから3日後、ついに見えてきたドルトコロニー……

 

 この数日間、ろくな睡眠時間は取れなかったものの……その甲斐あって、グシオン改め「グシオンリベイク」と「流星号」は完璧に仕上げる事ができた。

 

 基本的には原作通りの性能と外観……私は主に阿頼耶識の方に手を加えたのだ。

 

 原作のままなら早くても地球への降下を終え、蒔苗氏の助力を得た後くらいに仕上がる流れだったが……今回は色々な協力(禍月の指示で初期から記録させていた2人の蓄積戦闘データ)まで貰えたし、睡眠時間くらいどうって事はない。

 

「……ふぁすがに……3徹は、正直言うとキツかったけどねぇ……ふぁ……」

 

 2人きりの食堂で大欠伸を隠す事もなく、私は朝食の乗ったトレーをテーブルに置いて彼の右向いに座る。

 

「……3徹もかよ……ったく、こっちにもアレコレ押し付けて来くるから、次会ったら文句言ってやろうかと思ったが……言う気が失せたぞ、全く……」

 

 私の右向いに座る彼……禍月から、ため息混じりの恨み節が飛んできた。

 

 事実、私は彼に『Gビット』の作成を任せ、昭弘兄とシノ兄の戦闘データをねだり、団長さんへ「自由往来」の許可取りを頼むわ、暇な時に調整の手伝いさせるわと頼りまくっていた。

 

「それは……悪かったわ……でも、こうして間に合ったんだし、作戦も立てた……私もイサリビに残るし、君は()()を持ってクーデリアさん達にくっついて行ければ……」

 

「分かってる……ったく、人使いまで荒いぜ……」

 

「……んもぅ、分かったわよぉ! エドモントンまでの目処が付いたら、新型機造ってあげるから!!」

 

 ココでバラすのはちょっと予定外(?)だったが、今後もずっとアベンジャーに乗せる訳には行かない……なので、()()()()()()()()()()()()()という約束をして、ここは大人しく引き下がって貰おう。

 

 

 艦橋でクーデリアさんが()()()()()()()としっかりフラグを立ててくれたので、原作通り鉄華団から護衛を出す事が決定……しかし、禍月は団長の指示で船を任されてしまい、原作通りミカ兄とビスケット兄の2人だけしか付いて行けない事に……

Σ(゚д゚lll)?!

 

 苦肉の策として、ミカ兄とビスケット兄に「もし、ピンチになったらコレを使って」と、程よいサイズで意味深な形をした水色のリュック(?)を持たせる事に……詳細はまだ秘密w

 

 後は、団長さんの方だけど……今取れる手段では打てる手が無いので、原作通りに動いて貰って、こっちでサポートしよう。




また歌いました。
ガンダムソングは感情が揺さぶられるので好きですが、哀しくもなります。

これからも時々透火は歌うので、リクエストでもやりましょうかねぇ?
曲とシチュが合うなら採用しますよ。
ガンダムソング以外でも、シーンに合いそうな曲なら歓迎します♪

さて、次回はいよいよドルトコロニー入港後の顛末……
ガンプラ大活躍のヨカーンw
そしてフミタンの運命や如何に? あと、ビスケットの兄サヴァラン君も……

セファー(透火)の脳内再生ボイス担当アンケート決勝戦!(※ 今回の1位が設定上の声優さんとなります)

  • 雨宮 天(アセイラム姫/アルドノア・ゼロ
  • 水樹奈々(フェイト/リリカルなのは)
  • 悠木 碧(ターニャ/幼女戦記)
  • 種田梨紗(マシュ・キリエライト/FGO
  • 林原めぐみ(綾波レイ/エヴァンゲリオン

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