【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
何とかフミタン生存フラグをもぎ取り成功はしたけど……
アリアンロッドと一戦交える事になってしまった!
相手は地球圏最強を自負する大艦隊……テイワズ、タービンズの支援は受けられない
つまり、私は介入出来ないって事?!Σ( ̄□ ̄;)
報道関係のランチに同乗させて貰い、団長さん達がコロニーを脱出できたのも束の間……
今度はデモの過激派が作業用のMSを奪取して実力行使に移り、それを予見していたアリアンロッド艦隊は迎撃を開始……
本格的な武力衝突に発展するかと思いきや……
『……な……っ、どういう事だ? 撃てねぇ?!』
『何で? 計器は正常なのに……?!』
『き、来やがった! 早く、迎撃を!!』
『撃てないんだよ! どうなってやがる?!』
『……なん……だと?!』
計器の数値やシステムの表示上は正常を示している……だが、出撃時に正常だった火器管制、姿勢制御、スラスターの燃料等は今や一切反応しなくなってしまっている。
表示は正常なのに、スラスターはガス切れ……火器管制は無反応……計器類も敵機識別の他、その一切がマトモに動かないのだ。
そこに、どんどんと距離を縮めてくるアリアンロッドのMS達……
『……く、来るな……来るなぁぁぁぁ!?』
『ぎゃぁぁぁぁあ!!』
無抵抗となった過激派一派のMS達が、次々と破壊されていく……
こんな筈ではなかった……そんな想いが、無慈悲な作戦によって散らされていく……
「……ッ……クソッ……」
端末操作を終え、フラッグの到着をMSハンガーで待つ間……同じくアベンジャーの出撃準備が整うまで待機していた禍月も、外の様子を映したモニターを見て毒づく。
表情は怒りもあるが……嫌悪感や忌諱感の方が近い……
ニュータイプは総じて「人の死」に過剰反応する傾向があった……今までも耐えてはいたようだが、もしかしたら戦闘中は精神的に不安定なのかもしれない。
「……大丈夫?」
そんな表情をされると、さすがに声を掛けたくなる……
死んでいく人の怒りと悲しみを、否応なく受け止めねばならないその超感覚……声にならない最後の聲に苛まれ、狂った強化人間やニュータイプを私は何人も知っている。
「……っ、お……おい?」
「…………っ……」
ほとんど無意識だ、でも不思議とイヤじゃない……
無重力の格納庫で、禍月の頭を後ろから抱え込む様な形で私は浮いている……
よくアミダさんが名瀬さんにやっている事を、私は無意識の内に禍月にやっていた。
一応これでも転生前はアラサー女子だ……相手が元ジジイ経験者だとしても、今は2人ともほぼ同年齢……
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一足先にバルバトスがクタンに搭載されて出撃……続いてアベンジャーがカタパルトへと輸送される。
搭乗前の禍月の顔は、あの胸糞悪いシーンを見た時よりだいぶマシになっていた。
「あ~、その……ありがとな……」
そう言ってアベンジャーのコクピットに滑り込む禍月を見送る。
あの時はなんも考えてなかったけど、今思い起こすと顔から火が出そうだ……
『禍月 桐谷……アベンジャーで出る!』
カタパルトから弾き出され、虚空の戦場へと飛び出す
前の戦闘から空き時間を使ってEXAM対策をやってはいたが……正直、何処まで効果があるかは分からない。
彼の足枷にはならないとは思うが、やはり気になってしょうがない……というか何故私は、こんなに彼を意識し始めたのだろう……?
フラッグの到着を待つ間、私はこの意味不明な思考を処理すべく……明らかにおかしい挙動で右往左往するのだった。
ランチが脱出するのを援護すべく、単身ノーマルスーツで飛び出した三日月……戦闘を掻い潜って雪之丞の操るクタンが合流し、三日月はすぐにバルバトスのコクピットへ滑り込む。
起動と同時にクタンから分離し、クタンは急速離脱……バルバトスも、デモ隊のMSを狙っていたアリアンロッド艦隊のMSの背後を取り、気付かれる間も無く致命傷を与えて行動不能に陥らせる。
『ミカ、イサリビが来るまで頼む! 禍月もこっちに向かってるから、無茶はするなよ?』
『分かった』
原作では単身大立ち回りを演じ、
昭弘兄は急いでいるが、合流までには少し間がある。
三日月は特に気にする事もなく、こっちに気付いたアリアンロッドのMSを相手取り適度に立ち回る……そこに、先行していた禍月が合流してきた。
『三日月、直援に付け! あまり撹乱すると抜かれるぞ?』
『了解、
『下手に手を伸ばせば巻き添えを喰う……今は我慢しろ』
さすがは歴戦の判断力……今手を出して彼らデモ隊を援護しても、ランチを危険に晒すだけでメリットが無い……今は遠巻きに様子を見るだけでも事は運ぶし、状況が変わるまでは仕方がないのだ。
だが、あまり間を置かず来て欲しくない方は現れる……
『こんな所でコソコソと、だがもう逃さん!』
全速のフラッグよりも明らかに最高速度で勝るレベル……バルバトスとアベンジャーがギリギリで回避に成功するが、通り過ぎた光は大きく旋回しながら軌道を変え、再びバルバトスを狙う。
『……チッ、
『フッ、この性能……300年間も眠っていた物とは思えんな……!
だがこうでなくては、わざわざ蔵で眠っていた骨董品を持ち出した意味がないッ!!』
三日月は悪態を吐きながら迎撃するが、常軌を逸した速度で迫る機体になかなか照準が合わない……
禍月も迎撃に加わろうと砲口を向けるが、別方向からの攻撃に気付いて回避する。
禍月を狙った相手……亡き上司の敵討ちを夢見て止まない青年、アインの駆る青紫のシュワルベ・グレイズと……その後方には見慣れない
『……オイオイ、何だありゃあ?!
『……敵ならば殺る、それだけだ……!』
『クランクニ尉を手に掛けた貴様を、俺は赦さない……ッ!』
アベンジャーを相手取る3機……アインのシュワルベ・グレイズ、そしてどす黒さの混じった赤と青……ダークレッドとダークブルーのカスタムグレイズ……それぞれに細部が異なり、ダークレッドの機体は機体の全長に近いバスターソードを両手で構え、所々装甲も強化されており……ダークブルーの機体は両手にロングレンジライフルを保持、肩アーマーにスモールシールドが追加接続され、脚部にも追加スラスターがあってやや大型化している。
『……クソッ、新手か? 見慣れない機体が居やがる……また
『ハッハァ!! 悪魔モドキさんよォ、相手して貰うぜェ!!』
『……墜とさせて貰う!』
アインの攻撃を避ける、だがその挙動を読まれたのか……追撃に来た赤と青のカスタムグレイズがアベンジャーを挟み込んで来た。
「……んなろ……ッ!?」
右腕のガトリング砲を牽制に青いグレイズとの距離を縮め……隙あり、とロングソニックブレードで狙う。
だが敵も一筋縄では行かず、赤いグレイズが割り込んでバスターソードを振り上げてきた。
『なかなかやるじゃねェの、あんま避けられた事無いんだぜェ? 俺の攻撃はよォ!!』
振り抜かれるバスターソードを回避……そのまま逃さず左肩のキャノンを浴びせようと禍月は照準を合わせる……が、別方向からのライフルの牽制射撃で機体がブレ、赤いグレイズに逃げられる。
『……2対1か、ちと本気にならんとダメか……?』
禍月が珍しく判断に鈍る……マジになれば翻弄も出来るが、駆る機体が
「名瀬さん!! どうして……!」
「言ったとおりだ……テイワズとして名の売れてる俺らは動けねぇ、お前だって分かってるだろ?」
そう、ハンマーヘッドへ打診した筈のフラッグがいつまでも来ない……気になって通信を繋いだら、案の定
『兎に角、お前は戦闘が終わってからこっちに戻れ』
そう言い残して名瀬さんは通信を終了する、私は不貞腐れるように外の戦闘映像を見ているしかなかった……心苦しいが、この制限はどう足掻いても踏み越えれそうにない……禍月には悪いが……と思っていた時、ふと見えた映像に、禍月が2機のグレイズと戦っているシーンが見えた。
「コイツら、原作には居なかった……まさか、また
赤と青のグレイズ、それぞれ専用のカスタマイズがされているのであろう……禍月の動きに合わせ、己の得意分野で付かず離れずの攻防を繰り広げている。
禍月はさすがの技量で2機を相手取りながら一歩も引かず……時折、手玉に取る程の切り返しを見せるが、それも長続きさせられない……
「禍月をああも苦戦させるって、相当な技量ね……あっちの歴戦の猛者、かな?」
……何にせよ、またEXAMが暴走しなきゃ良いけど……
また暴走でもしたら、禍月くんまた落ち込みそう……
あと、筋肉仕様グシオンの出番は(尺の都合で)お預けになりました。
期待していた皆様すみません……!(-人-;)
次回はちゃんと書きますから……!
そしてアイン&謎の2人vs禍月の続きは相棒に丸投げしました。
続きは機動戦士ガンダム 宇宙の彼方へで見てね♪
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