【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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前回からの続き……
モンタークと名を変えたバエル仮面(マクギリス)が接触してきました。

フミタンが生存してますからね、クーデリアはさほど悩みませんが躊躇はします。
そりゃフミタンの裏の仕事暴露するわ、ノブリスの裏の顔をぶっちゃける事で人を疑心暗鬼に陥らせるし……
そんな事しながら自分は()()()ぶって支援者(パトロン)を申し出、地球降下のお手伝いと称して降下船を手配……
「挨拶代わり」とたっぷりの補給物資を与えて鉄華団を支援しつつ、そしてちゃっかり「商談」という名目でハーフメタル利権に名を連ねる事を約束させ……
ってあ~、コレが2期でのマクギリスの資金源の1つって訳ね。

でも、元々の理由が理由なので当然、クーデリアは地球行きを諦めません。
ま、この辺は政治的な問題だし……
私達なんてお呼びじゃないので場面スキップです!


そして……遂に地球降下作戦が始まります。(イクゾー!!


第15話 ハッチャケチャッタ♪(テヘペロ)

 うーん地球かぁ……違う世界とはいえ、故郷に帰って来たって実感が湧いてくるのはやっぱり「人類」だからかな? 

 

 しかし、地球に降りるためにはギャラルホルンと間違いなく戦う事になる……

 

 まぁ、ドルトの件でたっぷり恨みを買った訳だし、あんだけ煽ったんだからメンツだって丸潰れ……そりゃ誰だってキレるわw

 って言うか()()()()()()は自分たちの腐敗とか所業がそもそもの原因だし、あっちの自業自得なんだけど~?

 

 そんなこんなで常にガン飛ばされている鉄華団はマトモに地球降下ができません!

 ……で、それなのに裏切りに等しい行為をバエル仮面ことマクギリス君が手伝ってくれます。

 

 そういえば、彼の目的って「ギャラルホルンの腐敗を何とかしたい」……って()()()()()言ってるんだっけ……

 確かに鉄華団の今後の行動如何では十分に考えられる未来だけども、今からもう()()を目的にされてもねぇ……後半はアンタが原因で鉄華団()()すんだから、はよどっか行ってよお願い。

 

 ……もしくは(前みたいに)ロ○ギリス化してくんない?

 

──────────

 

「……透火、お前はどうする?」

 

 突然、藪から棒(ヤブカラボー)に名瀬さんから質問されました。

 この選択肢次第で、私は鉄華団との関係を改めなくてはいけない……と思う。

 

 ぶっちゃけ名瀬さんの目にも、私が()()()()()()()()()()()()事はバレバレだろうし……一介の(普通じゃないけど)整備員がそんな事をし続けるにはどうしても無理があるんだけどさ。

 

 最初は似た境遇の同年代を助けたい一心だと周囲は思ってた様だけど……前回のドルトの件で、私は初めて名瀬さんに食って掛かってしまった……

 

 今じゃ猛省してるし、周囲は親子喧嘩とでも思ってたらしく大事には至っていない……けど、これ以上下手に()()()()()()()()()()()のは内部からも怪しまれる。

 

「……私は……」

 

 いつもと変わらない彼の表情、だからこそ分かる……この返事如何で、私の命運が決まる事が。

 

「私はも……」

「お前さんもアイツ等と一緒に地球へ行くか?」

 

 ……はい? え? 今なんて……?

 

「何呆けてるんだよ、前に言ってたじゃねぇか……機会があれば地球に行ってみたいって。

 ……丁度良いタイミングだろ?」

 

 確かに言ったよ? 心は(異世界だけど)地球出身な訳だし、この世界の地球がどんな風になってるのか自分の目で見たいって好奇心に(そそのか)されて拾われて少し経った頃に言ったのは覚えてるよ? 

 

 でも、この状況で言う普通? 私は彼らに近付き過ぎてるって警告とか受けるもんだとばっかり……

 

「エーコだけにアイツらの機体の整備まで押し付ける訳にも行かねぇし、アイツも『アタシだけじゃ無理だから透火も一緒が良い』って言ってたからな」

 

 マジ? あのエーコ姉までそんな事を……

 

「戦力としてラフタとアジーにも行って貰う……()()()()()()()()()()()し、寂しくはねぇだろ?」

 

「え? あ、うん……ありがと……父さん」

 

 思わず素に戻って()()()()()()が出てしまってる……確かに全員、私の事情(トラウマ)は承知済み。

 これって、最初から仕込まれてた……?

 

 ・

 ・

 ・

 

 若干納得行かない顔ではあったが、一応了承して部屋を退出する透火。

 その後姿が扉で見えなくなったのを確認すると、名瀬は大きなため息を吐いた……

 

「……はぁ……全く、アイツがあんなに肩入れしてるとは思わなかったぜ」

 

「同年代……況してや、境遇や生い立ちなんかが似てる者同士だ、多かれ少なかれ惹かれ合うモンさ」

 

 名瀬とアミダには、透火が肩入れし過ぎている事は百も承知であった……過去に傷を持つ者はこの世界に多い、だが、同年代……況してや同じ組織に属し、目的の為に協力し合う事になった兄弟仲である、心境を始め、色々と思う所や変わる事は少なくない。

 

「……で、本当に良いのかい?」

 

「何がだよ?」

 

「今後もあの娘が鉄華団に世話を焼く事さ……幾ら今回は子供の頃の夢を叶えてやる為とはいえ、最近のあの娘は少しおかしい……鉄華団と関わり始めてから、前より元気にはなってるけど……危うくもなってる」

 

 アミダの指摘は最もだった。

 透火は最近……というか鉄華団との邂逅以来、()()()()()()()()活発化し、外部の人間との接触も躊躇しなくなっていた。

 ……それまではタービンズ以外の人間と話せるのは極僅かだったのに。

 

「アイツ等の頑張りを()の当たりにして奮い立ったか、それとも鉄華団自体が何かの鍵なのか……」

 

 どちらにせよ、傾向としては良いのだが……もしそれが崩れた時、彼女はどうなるのか……

 2人の心配を他所に、透火の足取りは最も上機嫌であったのは言うまでもない。

 

──────────

 

「……と、言う訳で私も一緒に降りる事になったから」

 

 同行する事になった旨を直接言う為、私はイサリビの艦橋に突入……そこでは今まさに降下作戦の最終確認がされている現場だった。

 

「なんだ、拍子抜けだな……俺はてっきり『許可ちょうだいよ~!』って泣き付いてたのかと思ったぞ?」

 

 開口一番で禍月の辛辣な切り返しが帰ってくる。

 失敬な! いくら親だからってそういう真似しても「ダメだと言ったらダメだ!」って言われる事くらい知ってますよ~!! 

 私だって拍子抜けしたんだし、若干疑問に残る部分があるんだけど? 

 

「と・に・か・く! アベンジャーの整備は専任、他のMSも阿頼耶識の調整は私が担当しますからッ!」バスッ!

 

 言い終えると同時に禍月へと振り向きながらの正拳突き!

 ……しかし、徒手空拳は初心者だし当然読まれてたのであっさりと受け止められてしまった。

 ムシャクシャするからいっぺん殴らせろよぉ!(# ゚Д゚)

 

「お、おぅ……それは願ってもない申し出だ、よろしく頼んます」

 

「ほら、オルガ団長だって歓迎してるじゃん?」

 

「そうかぁ? まぁ、そう思ってるならそれで良いか……」

 

 最近、禍月は私に対してヤケに突っ掛かってくる……まぁ、私としてもこういう関係は新鮮だし、バッチコイなんだけども。

 

「……それで、降下作戦の方は?」

 

 禍月の声で全員の表情が切り替わり、緊迫した現状を打開する方法が話し合われた……

 

──────────

 

「我等、地球外縁軌道統制統合艦隊ッ!!」

 

「「「「面壁(めんぺき)九年・堅牢堅固!!」」」」

 

 美男子に囲まれ、掛け声を発する女性が1人……

 特徴的な髪型の銀髪を毛先だけ黒く染めた、若い指揮官服の女性……彼女こそ、この地球外縁軌道統制統合艦隊の指令であり、セブンスターズの一角……イシュー家の長女、カルタ・イシューである。

 

「カルタ様、ボードウィン特務三佐からの通信です……」

 

「……繋ぎなさい」

 

 折角の良い所を邪魔され、少々憤慨しそうな顔のカルタだったが、通信相手の顔が映る前に表情を戻し、不遜な態度アリアリでガエリオと会話し始めた。

 

 

 ほぼ原作通りに会話が進められ、通信を終えたガエリオの表情は少々複雑な心境を物語っている。

 

「特務三佐……」

 

「……アイン、奴らがなんと言おうと、お前の元・上官が火星で生きていようと、今のお前はオレの部下だ。

 俺の部下として、今回の任務を全うする……それさえ済めば、オレは何も言わん。

 ……火星で生きているというその上官を探すなり何なりすれば良い」

 

 数日前、過去にクランクと交わしたやり取りと、アイン自身の思いを打ち明けられていたガエリオは、最低限……目の前の任務を全うすれば、その後は好きにして良いと語る。

 何だかんだで、ガエリオは部下に優しいのだ……アインはその言葉に僅かながら呆けた後「……はい!」と答えるのであった。

 

──────────

 

 ピー ピー ピー ピー

 

「エイハブ・ウェーブを探知、例の強襲装甲艦のものと一致しました!」

 

 索敵員からの報告に、カルタの顔が緩む……

 

「まさか本当に来るとはね……しかし、この歓迎をどう対処するのかしら?」

 

 マニュアルに従い、停船信号が発信される……が、予想通りにスルー

 

「あら、やる気は十分なのね……鉄槌を下してやりなさい!」

 

 カルタは想定通りと言わんばかりに指示を出すのであった。

 

『全艦隊に通達、砲撃よぉ~い……!』

 

「……撃てぃッ!!」

 

 カルタの合図を受け、横一列に並んだ艦船から一斉砲撃が放たれる……射程距離としてはやや遠目だが、外しはしない距離。

 そのほとんどが命中し、砲弾の爆発による爆煙が目標となった船体を覆っていく……

 

 椅子の背凭(せもた)れに身体を預け「呆気ないわね……」と呟くカルタだったが、観測員の声に異変を感じ、再びモニターを見つめた。

 

「……?! エイハブ・ウェーブ増大! 敵艦健在! ち、近付いて来ます!」

 

「何ですって……?」

 

「こ、これは……エイハブ・ウェーブの反応が2つ?!」

 

 続けて届いた観測員の言葉に、カルタは相手が取った想定外の手段に我が目を疑った。

 

「そんな?! 奴等……正気の沙汰か……ッ!?」

 

──────────

 

 地球へと降下する作戦はほぼ原作通り。

 

 戦利品としたブルワーズの船に細工を施しておき、イサリビの盾としながら2艦で突撃……ブルワーズの船を使い潰しながら敵艦隊に「ナノミラーチャフ」によるジャミングを仕掛けて艦隊の目を反らし、阿頼耶識でコントロールするイサリビの機動性を利用しながら陽動。

 その隙にMSを搭載した降下船で地球に降下する……という感じ。

 

 ……だが今回、イサリビやブルワーズの船には()()()()を施してある。

 

「オラ、いっくぜぇぇぇぇぇ!!!」

 

 イサリビを指揮するのは、禍月の推薦もあって()()()「副団長」を任されたユージン・セブンスターク……事前に透火による徹底調整が施された“改良型”の阿頼耶識システムによってコントロールされるイサリビは、まるで水中を自在に泳ぐ()の如き挙動で至近弾を回避……ブルワーズの船を盾にしながらぐんぐん接近する。

 

『えぇい、両翼の船を前へ! 角翼の陣で殲滅なさいッ!』

 

 艦隊も陣形を変えて迎撃の手を強める……だが。

 

「ハッ! もう遅ぇんだよ……推力最大! このまま切り離す!」

 

 改良された阿頼耶識を介し、自動運転されるブルワーズの船がイサリビから切り離され、最大船速で艦隊に突っ込んでいく。

 同時にタイマーが作動し、ブルワーズの船から大量の煙幕と()()が放出される。

 

『……?! これはッ?!』

 

 通信士が最初に異変に気付き、直後に外部を映していたモニターが全てダウンする。

 

『艦隊連動システム、LCS途絶! 光学照準が目標を完全にロスト……これは、ナノミラーチャフです!!』

 

 原作でも使用された「ナノミラーチャフ」……

 その原理は単純、ナノラミネートアーマーに使用される粉末素材を煙幕と共に放出すると、艦船から発するエイハブ・ウェーブによって極小サイズの金属板(チャフ)と化し、この世界で普及しているレーザー通信や光学照準システムを妨害するというものだ。

 艦船が発するエイハブ・ウェーブの効果範囲はかなり広いので、バラ撒くだけで粉末素材は勝手にチャフと化す……ただし、艦船の多くが搭載しているナパーム弾や爆雷なとで簡単に除去できるため、タネが判れば対処は容易なのである。

 

「……えぇい、小癪な真似を……!

 全艦隊に光信号で通達! 全方位にLCSを最大照射、同時に時限信管でミサイル発射! 古臭いチャフなど焼き払いなさいッ!!」

 

 早速指示に従ってLCS電波とミサイルが全艦から放たれ、撒かれたチャフがどんどんと撤去されていく……それを撒いたブルワーズの船は、撤去完了と共に戦闘宙域から離脱しかけていたので無視され、索敵要員は引き続きイサリビを探す……そして、発見した。

 

「エイハブ・ウェーブ確認、光学照準が目標を再捕捉しました!」

 

「すばしっこいのが取り柄のネズミでも、この短時間じゃ何も出来ないわね……それで、奴らは何処に?」

 

「そ、それが……!」

 

 報告内容を再確認し一瞬、我が目を疑う観測員……だが、職務を全うするという意地が上回り、起きた事ありのままを言うしかなかった。

 

「ぐ、グラズヘイムですッ!!」

 

 ユージン・セブンスタークがチャフによる混乱中に取った次なる一手……それは、地球衛星軌道にある自分達の駐屯地「グラズヘイム1」へ手を出す事だった。

 イサリビはナノラミネートアーマーで覆われた強襲装甲艦……同程度、または上回る強度を持つ相手でなければ、その装甲は対してダメージを負わない。

 そして、アレコレ考える事が(現状)苦手なユージンが思い付いた戦術の中身……

 

「ヘヘッ……こんだけ稼げりゃ、十分なんだよォォォ!!」

 

 相手は自衛能力を艦船とMSに頼るただの陣地、そして自分達は守りも硬く動ける存在……そして、限られた時間で敵を大混乱させる為に、この男(ユージン)が思い付いた方法……それは……

 

『総員、対ショック姿勢ッ!!』

 

ガッゴォォォンッ!!!

 

 虚空に響いたのは凄まじく、そして小気味良い金属同士の激突音……

 

 

ガゴガガガガガリガリガリ……

 

 そして続けざまに金属の塊同士が擦れる音が響き、無重力中の慣性に従って()()()()()()()()()()()()()()()()()

 次に起きたのは、相手の金属の塊……駐屯衛星である「グラズヘイム1」の一部が衝撃と損傷に耐えきれず火を吹き、更にその衝撃で衛星軌道から逸脱し始めてしまい……システムが救難信号を発信したのだった。

 

「グラズヘイム1、被害甚大! 衝撃で軌道上から離脱……このままでは、地球に落下しますッ!!」

 

「……!?

 

 ~~~~~~~~ッ!! ……………!! ………………。

 

 MS隊は緊急発進、追撃を指示……出し終わった船から順次、救援に向かいなさい……」

 

 報告を聞いたカルタの顔は、驚きと悔しさと憤怒で百面相のように激変していく……しかし、自らの基地でもある衛星から発する救難信号を無視など出来ず、苦虫を噛み潰す様に指示を出すしかなかった。




「なぁ、俺……カッコ良かったか……?」(鼻血ブー)
「「ゆ、ユージ~~ンッ!?」」(原作より)

まぁ、今回はそうなりませんでしたw

気分は「あばよ、とっつぁ~ん♪」でしょうかね?

ユージン・セブンスタークの初見せ場、大成功に終わる。

オルガ「最ッ高~にイカしてたぜ、ユージン!!」

例の赤と青の奴ら、もう少しネタは濃い方が良い?

  • 可能な限り、そのネタは止そう……
  • ある程度の線引きは大事よね?
  • だいたいの所で楽しければ……
  • よろしい、ならば振り切るのだ!

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