【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
その隙にバルバトスとグシオン、流星号を載せた降下船で降りる……筈だった。
まぁ、思うようには行かないのが世の常よね……
さ、前回からの続きだー!
敵の駐屯衛星に特攻を仕掛け、イサリビは軽い損傷を受けたものの未だに元気な魚の様に宙域から離脱していく……
「ハハッ、最高にイカしてたぜユージン!!」
「……よし、これだけ離れていれば降下に支障は出ないはずだよ」
降下船を操縦するビスケットが状況を確認する。
連携を取る為に通信チャンネルを合わせると、禍月からの提案が聞こえてきた。
『……オルガ、俺と透火の機体は降下船に載せられねえし、このままMSで待機する……どうも胸騒ぎが消えん』
「分かった……突入自体はその『
『あぁ、護衛の方は任せ「ピーピーピー」……っと、やっぱり来やがったか……三日月、昭弘、迎撃するぞ!』
禍月の返事を遮る突然の警告音……どうやら、敵さんは待ってすらくれないらしい。
禍月は素早く三日月と昭弘に指示を出す。
『分かった』
『了解だ!』
『な、なぁ禍月? オレは?』
呼ばれた2人が返事する、ひと呼吸おいて呼ばれなかったシノも声を上げるが……
『シノは透火と降下船の直援だ、奴らも足が速い……撃ち漏らした奴は任せるからな!』
『任されて! 禍月以外は高度と重力にも注意してよ? そのまま落ちたら全身火傷なんかじゃ済まないんだからね?!』
乗機の性能を考慮した上での役割分担……私は即答で了解する。
フラッグは機動力に秀でているし、何かあったとしても自力で何とか出来る……それ位は信頼されてる禍月に、私はシャトルの直援を任され、シノ兄もサポートに残る事になった。
鉄華団では初の大気圏ギリギリとなる高高度戦闘……前世で何度も経験した禍月はさすがに落ち着き払っているが、私を含めた4人は初体験……特にシノ兄はまだ1度しかMSでの実戦経験はない。
その事を考慮しての配置だったが、シノ兄としては前線に出たかったようだ……
『……チックショー、わーったよぉ!!』
渋々、了解の返事と共にド派手なピンク色のグレイズ……流星号と白いフラッグがシャトルの側面へと回り込む。
アベンジャーとバルバトス、グシオンも敵機の反応が向かってくる先を睨む……だが、現れた方向は少し角度が違っていた。
ガギィンッ!!
「……ッく……、前より速い……!!」
『フッ、よく見つけたアイン!!』
『ネズミの行動パターンは、火星から見てきましたので……!』
やはりそう上手くは事が運ばない……ガエリオとアインのコンビに見つかった……(逃◯中)
更に、アインを追うように赤と青のカスタムグレイズまでもが迫る。
『おーおー、こんな所でコソコソと……ネズミにしちゃあ詰めが甘かったなぁ!!』
『お前達の行動など読めている、地球に降下などさせんぞ?』
『……チッ、コレだから地球降下は……ッ、散開しろ!!』
禍月の指示を受け、全機が散開……長引くとカルタの部隊から増援が送られてくる筈だ。
ここであまり時間を掛ける訳には行かない……!
『オルガ! 俺達に構わず降下準備を続けろ、ここは俺等で何とかする!!』
『……っ! やらせると思ったか!!』
『やるしかないから言ってんだろーがッ!!』
青いグレイズが禍月と撃ち合いになり、互いの牽制射を避けながら宙域を移動していく……
三日月は三日月でガエリオから容赦ない突撃を避け続けているので他に目が向けられない。
アインはシノと真っ向勝負中……アイン達を追って来た雑魚連中数機をまとめて相手してた昭弘君だったけど、幸いにも途中でラフタ姉達が合流してきたので一応ひと安心ではある……が。
『……見慣れねぇ機体だな、どんなオモチャか知らねぇが……!』
身の丈程もあるバスターソードを構えた赤いカスタムグレイズが、油断ならない速度で
何となく、
『コイツ、変形を……?! チィッ!!』
白い機体が鳥のような形へと変わり、弾幕を囮に加速……見失ったと思わせて背後へ回り奇襲を仕掛ける、赤いグレイズのパイロットはギリギリで奇襲に気付き、ソニックブレイドとバスターソードが鍔迫り合いで火花を散らす。
『クソッ、速ぇ! ……やるじゃねえかネズミ野郎!』
「誰が野郎よ!! 誰が!! アンタ馬鹿ぁ?!」(# ゜Д゜)
事情を知らない相手とはいえ、
……うん、台詞のチョイスに後悔はしてない。
『ハハァ、テメー女か!? よくもまぁこんな地獄に飛び込めるなぁ~、命知らずがッ!!』
「必要に迫られりゃ、誰だって戦うわよ!」
『ハッ! ソイツは真理だな……だが、テメーじゃ俺には勝てねぇ!!』
鍔迫り合いを強引に捌き、反動を利用して追撃をしてくる赤いグレイズ……だが、至近弾接近の警告に飛び退き、その隙に私も距離を取れた。
『オイ、邪魔すんじゃねぇぞルーギス!』
『目の前の敵に集中しすぎだクルーガー、今のはお前が悪い』
『んだとコラァ!!』(# ゜Д゜)
は? この2人仲間かと思ったら口喧嘩なんかしてる……共闘意識薄すぎじゃない?
「……って、危なっ?!」
青いグレイズからの流れ弾……というか、クルーガーという男が操る赤いグレイズを狙ったであろう弾がフラッグの至近距離を掠める。
狙ったのか偶然かは分からないけど、あの青いグレイズのパイロット……ルーギス、だっけ? 尋常じゃない射撃能力ね……
あの禍月を相手に互角を演じ、それでいてコッチを狙って援護射撃する位の余裕……そしてこっちのクルーガーという男もまた、ルーギスと口喧嘩をしながら私の攻撃を重いバスターソードで捌き、いなし、加えて反撃もしてくる……2人とも厄介過ぎる相手だ。
『あぁもぅ~! 手が足りなさ過ぎぃ~!!』(。>д<)
ガガガッ! ガキュガキュン!!
『何だぁ?! まだ邪魔する奴が居んのかよ!!』
唐突に響いたのは弾丸が装甲に当たる音……音の出処は赤いグレイズだった。
そして、視界の奥から迫るマゼンタ色の見慣れない機体……いや、見慣れないだけで機体そのものは知っている。
『済まない、遅くなってしまったかな?』
聞き覚えのある声……やっぱり彼だったか。
グリムゲルデ……厄祭戦末期に開発された9機のうちの1機で、ガンダム・フレームに勝るとも劣らない性能を有する「ヴァルキュリア・フレーム」を用いた機体だ。
ヴァルキュリア・フレームは軽量でエネルギー効率が良く、発揮される性能はガンダム・フレームにも匹敵する……が、その軽さが逆に災いし、近接攻撃の威力低下や稼働時における重心の推移などを正確に把握・掌握してなければマトモに動かせないという欠点を抱えた「超・上級者向け」の機体である。
そんな機体をまるで手足の様に操る
そんな強いのに何でバエル馬……(ry
『チッ、邪魔が入り過ぎだ!! 限界高度も近い……下んぞ、ルーギス!!』
『お前に言われるまでもない……!』
グリムゲルデの乱入を機に、さっさと戦いを止めて離脱する赤と青のグレイズ……グリムゲルデのモンタークも、こっちの援護はもう必要ないと察して三日月の方へと行っていた。
(あの2人組、次も来そうな気がする……何とか対抗作を考えないと……!)
他の推移はほぼ原作通り……
三日月はガエリオくんの突撃をおやっさん(と私)が考案したリアクティブアーマーで受け止め、前みたいに掴まえて反撃を開始。
だが、危険を察知したアイン君に庇われてアインくんは重症、ガエリオくんと共に撤退した。
そんで戻ろうとした所にカルタの部隊からの増援が来たんだけど、それも原作通りグリムゲルデの乱入で呆気なく処理されていき……
『昭弘! 機体を固定しろ!! 放り出されたら終わりだぞ!?』
『けどよ! 三日月がまだ……っ!!』
焦りの滲む顔で上を見上げる昭弘兄……その視線の先ではバルバトスと、増援で来たグレイズリッターの1機がまだ戦っている。
原作通りとはいえ、あのまま戦闘を続けるのはさすがにヤバい……私と禍月は示し合ったかの様に援護に入り、ついに三日月がグレイズリッターに止めを刺す。
『……地球の重力って、凄いんだな……!』
「呑気な事言ってないで! コレに乗んなさい!!」
バルバトスに至近距離まで接近した私は、足元にあるフライングアーマーのシステムにある操作権利をバルバトスに譲渡、すぐさまフラッグをMA形態に変形させて高熱の渦の中へと自ら飛び込む。
権利を譲渡されたフライングアーマーは
……だが、私のフラッグには
『だ……大丈夫?』
三日月の……前世含めて初めての、焦りの感情に支配された声が通信から聞こえてくる……あはは、なぁんだ……そういう顔もできるんじゃん。
「大丈夫だって、フラッグの推力なら十分離脱も……」
バシュンッ!!
「……あれ?」
フラッグを支えていた推力の反動が突然消え、スラスターが言うことを効かなくなる。
慌てて機体コンディションをコンソールに映すと、メインスラスターにエネルギーを供給する動力分配システムがエラーを吐いてしまい、スラスターの制御システムが完全にダウンしていた。
「ゴメン……やっぱヤバいかも……」
ガクンとフラッグの姿勢が急激に変わり、一切の姿勢制御が不可能になってしまう……当然、皆は口々に言いたい放題言ってくるけど、残念ながらスラスター類が全部システムダウンしてるので着艦でもしないと直せないし、このままじゃあと数分後には機体がバラバラになっちゃう。
(……コレ、マジヤバじゃん……一緒に乗ってれば良かったなぁ……)
なんて事を考えてる間に限界高度まであと1分を切っていた……が、突然の衝撃と音で思考が中断され、びっくりして外部状況をチェック……すると。
『……ったく、なんて馬鹿な事やってんだよお前は!』(# ゜Д゜)
うっわ、激おこの禍月じゃん……自分のフライングアーマーに押し付ける様にフラッグを挟み込み、その上から自分も張り付く形で互いを固定していた。
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それから、延々と接触回線から飛んでくる禍月の文句を聞き流しながらも無事に大気圏を抜けた私達は……夜の海に映る月と、先に降下したシャトルの影に気付いて、復旧していた通信でみんなへと無事を報告。
『あれが……三日月……』
その通信から漏れ聞こえてきたミカ兄の呟きを聞いて「やっと帰って来たんだ」という実感が湧いてくるのだった。
はい、無事に大気圏突入に成功しました!
え? あの2人は何処所属だって……?
一応彼らは「月外縁軌道統合艦隊アリアンロッド」なのですが、その任務内容の特殊性から、ギャラルホルンでは指揮権の独立した遊撃部隊的な扱いを受けています。
要は、シミュレーションゲームで突然マップに登場し、好き勝手に暴れるNPC部隊……という奴ですね。
……俗に、経験値泥棒とも言う。
さて次回はたぶんのんびり回かな?
あの爺ちゃんも出るし、海だから水着もある……の?
次回、多分水着回……?
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やるのだ!
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普通にしよう