【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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前回、スラスターの不調に気付かぬまま大気圏離脱を慣行し
システムダウンで大ピンチ!

そこを禍月に何とか助けて貰い、お説教も貰う羽目に……
でも無事に大気圏突入には成功し、無事に地球へと降り立った。

降り立ったのは原作通り、オセアニア連邦のとある島。
なんとココには、クーデリアさんの目的である蒔苗の爺ちゃんがいるらしい……
やったね、怪我の功名だよ!

……でもなんだか怪しい雰囲気、やるだけやるさ17話!!


第17話 母なる大地と海に抱かれて

 三日月のバルバトスにフライングアーマーを譲渡し、離脱を試みたけどスラスターがイカれて大ピンチ!!

 でも、禍月に助けて貰った……

 

 なんだろ……ココん所、禍月に頼り過ぎてる気がする……

 

 私だけでも改変は成せるだろうし、アベンジャー(のEXAM)の件もある……あまり彼に頼るのは止めたいのに。

 

 でも、あの2人組……クルーガーとルーギス、アイツ等と戦うのが避けられないのなら、どうしても禍月の協力は不可欠だ。

 

「……もどかしいなぁ」

 

「……? 何が?」

 

 おっと、ミカ兄に聞こえちゃってる……

 

「あぁ、さっきの赤と青のヤツ等の事……厄介だなって」

 

「アイツ等か……俺は直接やり合って無いけど、赤い方は手強いと思う」

 

 なんとミカ兄もアイツのヤバさが分かったらしい……コレ、逆に危ないんじゃないかな?

 

 

 MSを見張り台代わりに使い、私達はそれぞれで遠方監視……その間に他のメンバーがシャトルから荷物を島へと運ぶ。

 ココでも私が持ち込んだアイテムが活躍している……それは「モーター付きゴムボート」だ。

 今回利用したフライングアーマーには小さめながら格納スペースを設けてあり、そこに地球で役に立つであろうアイテムを可能な限り持ち込んだのである。

 今使っているゴムボートもその一つだ……ちなみに持ち込んだのは禍月のフライングアーマーに入れといた分も合わせて2台……元々南洋の島へと降り立つ事は(原作知識で上陸地点は)事前に分かってたし、突入コースのシミュレーションでもほぼ確定していたしね。

 

 ゴムボートのお陰でさほど時間を掛けずに荷物の移送も終わり、夜明けまて少し時間がある……私はフラッグのコクピットから()()()をするためにコンソールを操作する。

 

(今回、囮にしたブルワーズの船は大破してない……量子通信なら届くはず)

 

 そう、大気圏突入前に仕掛けた陽動……それに利用したブルワーズの船は、原作と違って大破しないでチャフをバラ撒き、さほどダメージを負わないまま戦域離脱もしていた。

 そしてあの船には、イサリビにユージン用の阿頼耶識の調整をする時に『量子通信を用いた遠隔操作』機能を追加していたのだ。

 

 量子とは、物体を構成する原子(人間で言えば細胞1個)よりもはるかに小さい。

 段階で表すなら……

 物体>分子>原子>原子核>陽子または中性子>クォーク(量子)となり、量子の世界では通常の物理学……というか常識が通用せず、独自の奇妙な法則(量子力学)が支配している。

 その為、量子通信は一般的な電波障害や物理現象の影響を受けないのだ。

 

 そして私は、その量子通信でブルワーズの船に遠隔アクセスできる様に改造していたのである……それを今ココで実践稼働テストしているのだ。

 

「……よし、繋がった!」

 

 ブルワーズの船のシステムへとアクセスが成功し、続けてコンソールを操作……ハンマーヘッドから持ち込んだ例のAGEビルダーや、予め量産しておいた小型自律端末「HARO(ハロ)」、そして「カレル」を起動させる。

 ……ここまでやれば、察しの良い人は気付いたと思う……実は大気圏突入の作戦前に、私はあの船を鉄華団から購入した。

 

 禍月にも新型機を約束した訳だし、早い内に作業場を確保しておきたかったからね。

 ちなみに購入費用とリフォーム代金に、貯金の1/3が消えました……(T^T)

 

 そして今から行うのは、ビルダーやHARO達のコントロールを担っている『AGEシステム』をフル活用し、全自動でブルワーズの船を私色に染め上げる(魔改造を施す)事。

 AGEシステムを利用する事で、常に最適化と効率化をしながら作業を進められるし、HAROやカレルによって不眠不休での作業も可能……さらに船の内部をMS製造施設化する事で『外部からの干渉』を最小限に抑えられる様になるのが最も大きかった……宇宙空間に浮かぶ、秘密基地って浪漫(ロマン)じゃない?

 

──────────

 

 一通りの指示と設計図を転送し終え、先に上陸した鉄華団メンバーと合流すると、例の爺ちゃん……『蒔苗東護ノ介』が現れていた。

 

「……んむ? お前さんは……!」

 

 え? 何で私、見られて驚かれてるの? まだなにもしてないよね?

 

「……あ、あの……何か?」

 

「おぉ、済まんのぅ……なぁに、知り合いに良く似た娘さんじゃと思うてな」

 

 知り合いねぇ……私、政治家の爺ちゃんに知り合いは居ないんだけど?

 

()()()()()()か何かだろ……こんな奇抜な髪の女が複数居るとか、偶然にしちゃ出来過ぎだぜ?』

 

 禍月がアベンジャーを動かしながら近くまで来ていた、こっちの会話にスピーカーで混ざるとかまた懐かしいネタを……!

 ゴソゴソとMSから降りてきた禍月は蒔苗の爺ちゃんを改めて確認……爺ちゃんの方も禍月の持つ独特な雰囲気に気付いたのか、一瞬鋭い視線を感じた。

 

「ほほぅ、お前さん……若い者にしては珍しい」

 

「蒔苗東護ノ介……」

 

 本当に一瞬だけだった視線は禍月も感じただろうけど、気負う事なく爺ちゃんの名前を口にする。

 

「博識じゃな、火星から来た子供が儂を知っておるとは……うむ、あのお嬢さんも含めて……楽しくなりそうじゃの♪」

 

 なんか良く分かんないんだけど、妙な期待をされてらっしゃる……この爺ちゃん、言動は可愛いんだけど何か気持ち悪いなぁ。( ̄~ ̄;)

 

──────────

 

 実は地球に降りた時間って明け方だったんだよね……鉄華団の皆が交代で一頻り休んでいる頃、フラッグの整備をする私の所へエーコ姉とラフタ姉、アジー姉が揃ってやってきた。

 

「……透火、ちょっと来なさい」

 

 ん? 何かいつもと違ってチョイ怖な雰囲気……なんだろ?(´・ω・)

 

 フラッグから降りて3人の所に着くと同時にラフタ姉に睨まれた。

 さらにエーコ姉から顔をガッシリ掴まれ、マジマジと調べられる……まるで不備は1つも見逃さないベテランの検品さんみたいな眼で。

 

「……メイクで上手く隠した様だけど、アタシの目は誤魔化せないわよ透火……アンタ、何日寝てないワケ?」

 

「……あぅ……」

 

 私の口から思わず漏れる小さな呻き声、実は大気圏突入前の準備で、また徹夜作業をしていた……しかも今回は突入当日(今現在)も含めて4日目。

 私が漏らした声を聞くなりアジー姉とラフタ姉からは「ヤレヤレ」といった風な溜め息……この時、私はまた姉さん達に迷惑を掛けた事を自覚した。

 

 

『全く……アンタはどんだけ無茶してるか自覚あんの?! アンタはダーリンの義娘(むすめ)で、アタシ達の妹分! 今までずっと他人の目を気にして、何をするにも遠慮してたアンタがこんなに活発になったのは嬉しいけど、それと無茶を通すのは訳が違うのよ!?』

 

『アタシは透火がMSの知識に明るいのは最初驚いたし、アタシの知らない知識やら云われやら……特にガンダムに関するヤツは脱帽モノよ? ……でも、それが元でアンタ自身が潰れちゃダメでしょ! そもそも阿頼耶識の調整なんて芸当、アタシには荷が重過ぎなんだから押し付けないでよね?』

 

『……アンタは間違いなく、ウチ等タービンズの一員なんだ……仲間の心配ぐらい、ちゃんと受け止めな』

 

 あの後3人係りでしこたま怒られた私は、言われた事を思い出しつつ海岸線を1人で歩いく……

 そう、今の私は、タービンズの一員……前世では鉄華団として生きてきたけど、今回はまだ隣人でしかない……入れ込み過ぎなのは自覚してるけど、無茶が過ぎると怒られたのは皆も私を心配してるから……

 

「……やっぱり、変わっちゃったのかな……私って」

 

 前世では確かに身体の出来から違ったので、徹夜も何もあったもんじゃない程のオーバーワークを平然とこなした事もあるし……それが元で兄さん(オルガ団長)達にこんな風に怒られた記憶もある。

 今回の転生では身体機能やら何やらはほぼ生身の人間だ、一応ある程度自制はしていたが……それでも心配を掛けてしまった。

 

「……馬鹿かお前は、お前はもう機械じゃない。

 その身体じゃ前世ほど出来ないのが当たり前……それでもお前、規格外なんだぞ?」

 

 普段着とは違う夏らしい薄着に着替えてきた禍月が、口酸っぱい追撃をしに来た……

 集中し過ぎると他の事……特に自分の事に無頓着になってしまうという、悪い癖のようなモノだと弁解するも……

 

「それなら尚更自覚しろ……お前の立ち位置ってヤツを。

 お前は誰のお陰で生きて来た? 今は誰と一緒に居る? 何でも1人で解決しようとするな……この前も、肝心な所は自分だけで進めて……俺にやらせた事は単なる子供の手伝いじゃねーか」

 

 耳が痛い……顔は何ともない様に装うが、内心考えると心当たりが有りまくりだ……

 

 阿頼耶識搭載MS全機のシステム調整……コレはバルバトスにグシオンリベイク、流星号を始めとして鉄華団のMWは全機が該当する。

 それから担当MS(アベンジャーとフラッグ)や武器の整備に、ハンガースペースにある機材の点検と、作業の効率化を目的とした入れ替え……コレはタービンズの船のヤツ(ハンマーヘッド)も該当。

 この前の停電騒ぎで艦内の制御システムのチェックもするようになったし、ギャラルホルンと事を構える様になってから通信の傍受対策もやり始めた。

 

 ……アレ? 列挙したらセファー時代並のオーバーワークじゃね?

(´・ω・`)?

 

「お前なぁ……」

 

 

 それから姉さん達に謝りに行き、ついでに『静養を兼ねてアンタは今日1日仕事無し!』……と、言い付けられてしまった……なんてこった、フラッグの整備は既に終わってるけどアベンジャーがまだ手付かずだし、他の子達の阿頼耶識も地上戦用のセッティングに直してないんだけど……

 

「……点検や部品交換なら俺でもやれる、()()()()なのを忘れんな」

 

 ……そうでしたね。(・ω<)テヘペロ

 

──────────

 

 まぁ、そんなこんなで手持ち無沙汰となった私……あまりにも暇なので、折角(転生後初の)の海を満喫すべく、コッソリと持ち込んでおいた水着に着替え、浜辺に巨大パラソルも設置……ラフタ姉達の手が空くまで待つ間、一人で海を楽しむ事にした。

 

 まぁ、一人でっていう事実は逆に虚しいんだけどね……

 

 蒔苗の爺ちゃんの話は、明日然るべき場所を用意してからだって言われてる様だし、事前にやっておいた設定や簡単なマニュアルを渡しておいた事で、鉄華団の皆の作業効率もだいぶ上がっている。

 いずれ皆、手が空いた人からこっちが気になって来るだろう……

 

 ふと、最初に現れた人影……おや、アトラちゃんだ。

 海を見るのも初めてな彼女は、波打ち際をおっかなびっくり歩きながらも、波が来る度に「うわぁっ!?」って飛び退いていた。

 そんなビビる必要無いよ……と言いたくなったが、あまりにも可愛いので止めた。

 

 アトラちゃんと別ルートで次に来たのはクーデリアさん……「暑くない?」って聞きたくなるいつもの服装だったけど、すぐに上着を脱いだ……やっぱり暑かったかw

 こっちに気付いたので手招きをすると、砂が熱くなってきた様で小走りにパラソルの影まで走ってきた。

 

「そ、その格好は……?」

 

 今の私の格好はオレンジ色のホルタートップ水着にデニム柄のサーフパンツ、そして胸の下で前裾を結んだ白シャツという組み合わせ……背中には、鍔の広い麦わら帽子もあったりする。

 完全に「真夏の海の少女」という風な格好だw

 

「南国の島だし暑いからね、それに泳げるのも今の内だけだろうし……」

 

「そ、そうですか……そうですよね……というか、貴女も海は初めてなのでは……?」

 

「うん、そうだけど……話には聞いてたし、何度か遠巻きに映像でなら見た事あるから」

 

 嘘は言ってない……前世(セファーより前)なら何度も生で見たし、ビーチバレー位は経験もある。

 ……というか、私がこんな格好してる事に驚いたのかな……?




水着着たけど、短く終わってしまう……
次は例の魚騒動かな?

ちなみに透火の水着は
「PSO2」というゲームの「ホルタートップパンツ」と呼ばれる服と、「前結び白シャツ」というアウターを参照。
このゲームでは「レイヤリングウェア」と呼ばれる服装システムにより、「インナー」「ベース」「アウター」という基本の服(ウェア)と、各種アクセサリーを使ってキャラクターを着飾らせる事が出来ます。

なお、PSO2は6月に『超大型アップデート』も控えてるので
キャラクタークリエイトに興味のある方は是非、プレイしてみて下さい。
ついでに、私はship10 ナウシズにて同名アカウント(睦月透火)としてプレイ中♪

他の娘達にも着せちゃう?(´・ω・)

  • モチのロン!!
  • え……魚は?
  • どうでも良いから続きをはよ!

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