【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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お待たせ♪ ようやく島から出れるよ!

なお、主要メンバーの精神的成長は死亡フラグ以外でちゃんとフォローされているのでご心配なく!
例を挙げれば、オルガ団長はメリビットさんや禍月から各方面の教養含めてしっかりと叩き上げられており、ヤマギくんやタカキ達整備班はエーコ姉や透火から直々に指導され、三日月や昭弘、シノ達も例のシミュレーター(エクストリーム・バーサス)でラフタ姉たちにシゴかれています。

そして前回、ビスケットくんの死亡回避に成功した事で、原作のような船内お通夜状態も見事に回避されました。
今回はそんな船内での一幕……と、その前に。

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「な・ん・で、また足をダメにするかなッ!?」(スパァン!!)

 孤島からの脱出戦闘終了後、禍月のアベンジャーの脚部が異様な破損状態だった事に気が付き、ラフタ姉達に聞いてみたら……なんと禍月が援護に来てくれた際に、複数のグレイズの頭などを何度も踏み台にしながら撃墜していたのだという。
 当時の様子を事細かに語られた私は、そのガン◯ム無双の如き現実無視の戦術を敢行した禍月本人を睨み付けながら、彼を船の甲板に正座させハリセン片手に小一時間ほど説教(ジャッジメント)タ~イム!

「ナノラミネートとガンダリウムじゃ強度差でアベンジャーの方が凹むのは当然でしょうが!! そもそもMSの足裏はバーニアやら関節やらの都合で強度的にも繊細なんだから敵の頭なんぞ踏むなッ!! いい加減ノリで機体を破損させるの止めてよね?! ガンダリウムの素材確保すんの意外と大変なんだから!! エドモントンに着くまで資材も節約しなきゃいけないのにぃ~!!」

 それでは本編ど~ぞ。


第20話 明日への旅路

 オセアニア連邦の計らいで隠れていた島にギャラルホルンが押し寄せてきたけど、しっかり対策して出し抜いておきましたw

 今頃禍月や三日月にボコられた恐怖でカルタ様は発狂寸前かもしれません。

 

 んで、ビスケットくんの死亡フラグ回避にも成功し、晴れてちゃんと脱退か否かの話し合いの場を持つ事ができました。

 

「……オレは馬鹿だからな、ビスケットに色々苦労をかけちまうかも知れねぇ……いや、実際今まで色々面倒掛けちまってたからな……」

 

「オルガ……」

 

 訳有り集団を今まで引っ張ってきた手前、弱い面など他人に見せる事が無かった反動か……強気で押していくしか頭に無かったオルガと、慎重に事を運び、自分なりに頭を駆使して解決策を練っていたビスケット……時々意見を対立させる2人だが、どちらが欠けても鉄華団には不利益にしかならない。

 

 それだけお互いの存在が、()()()()()()()()()()になっているのだから。

 

「……俺から言わせてもらうとな、お前らはまだ知らない事が多いだけだ。

 俺はここに来るまでの経験から助言をしてきたが、お前らも経験を積めばそれこそ俺よりも上手く立ち回れるくらい頭は回るハズだ……だから今を絶望するより、未来に投資するつもりで何事にも立ち向かえ。

 

 結果が良くも悪くも、それ自体がお前達の経験になる……糧になる、俺もお前達を出来るだけフォローする……だから諦める事だけはするな……それだけだ」

 

 さっすが(精神的)年長者は言う事が違うねぇ~……中身は爺まで経験した禍月の発破もあって、ビスケットは鉄華団に残留……同行していた兄のサヴァランくんも、ドルトでの会社勤め経験を買われて入団という事になった。

 

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『……そうか、大変だったな……』

 

 フラッグのコクピット内、私は改装中の船からならギャラルホルンに察知されず直通の(アリアドネを使わない量子)通信を使える事を鉄華団経由でタービンズに伝えて貰い、名瀬さんと話をしている……

 経過報告と、義父義娘(おやこ)団欒(だんらん)という奴だ。

 

「皆、強かったよ~……名瀬(とう)さんや姉さん達ほどじゃ無いけどね?」

 

 今の家族ほどじゃないけど……と、注釈を加えて苦笑混じりに近況を伝える私を、いつもの表情で聞き入っている名瀬(とう)さん……だが、私の言葉が途切れた所で想定外の言葉が彼の口から飛び出した。

 

『……なぁ、透火……いや、セファー……お前はやっぱり俺達(タービンズ)より、アイツ等の所(鉄華団)の方が良いのか……いや、それが最適なんだろ?』

 

「ぇ……?」

 

 想定外も想定外……今まで秘めて隠していた心の内を暴かれる。

 表情こそいつも通りを装うが内心、思考が停止していた。

 

『お前が鉄華団と関わってから、急に性格も変わったしな……いや、元の性格に戻ったという方が正しいか?』

 

 なぁんだ、上手く隠せてたと思ってたのに……とっくの昔にバレバレだったとか立つ瀬無いじゃん……まぁ、いずれは伝えるつもりだったけど。

 

『実はな……今回の地球行きも、お前の今後を見極める為だった……まぁ、結果は火を見るより明らかだったがな?』

 

 そもそも、バレバレだった上に色々と算段まで整えられてるとか……演技力、自信あったのに。

 

『これでも俺はお前をずっと心配してたんだぜ……形だけの父娘とはいえ、俺はお前の過去も知っちまったし、お前の抱えるヤツもまとめてどうにかしようって考えもした。

 

 結局はお前が1人で解決しなきゃいけねぇ部分が邪魔してたがな……

 

 だから、お前が自分で歩み始めた事に対して、俺は正直言って嬉しいんだ……

 

 まだ全ての問題に対して、お前が解決するには足りねぇモンも山ほどあるだろう……そして、俺はソイツと関われる立場じゃねぇし、関わろうとも思わねぇ。

 だが、泣いて縋り、逃げるしか無かった昔のお前とは違う……あるべきものを取り戻し、困難に立ち向かえる今のお前なら、必ず乗り越えられる。

 

 マクマード(オヤジ)には俺から言っておくし、離れてもお前は家族だ……何処に居ようが、それは変わらねぇ……そっちでも、無茶しない程度に頑張れよ?』

 

 自分が照れ臭かったのか、それとも義娘の別れの涙を見ない為か……言いたい事だけ言って通信は切られた。

 鉄華団への電撃移籍という事態に、私の頭はしばらく思考が止まったままであったが、名瀬さん(養父)からの激励の言葉を反芻する度に、だんだんと涙が溢れて止められなくなっていた。

 

 

 この日を境に、私は親元(タービンズ)を離れ……予定よりだいぶ早い形で鉄華団に加わる事になった。

 

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 鉄華団への電撃移籍の件は後日、正式にオルガ団長にも伝えられ……数少ない女性団員として、アトラちゃんから髪を纏める用のリボンをプレゼントされた。

 今まではほぼ宇宙での作業だったし、降りた直後はそのままでもあまり作業に支障無かったが、これからを考えると物凄く有り難かった。

 

「私、実は透火さんにずっと言いたかった事があるんです……」

 

 早速プレゼントされたリボンを身に付けている所に、アトラちゃんからの思わぬ一言……それは。

 

「お、お姉ちゃんって呼んでも良いですか!?」

 

 憧れ、(こいねが)う少女が発した……ささやかな願い。

 たった1人……存命する血縁もなく、孤独を生きた少女(わたし)にとって、目の前の少女(アトラちゃん)の願いは……斯くして己と同じ飢餓を背負うが故、と感じた。

 

「……うん、良いかも知れない……アトラちゃんが義妹(いもうと)……妹かぁ……」

 

 ポツリと口にした現象は現実味を帯びる……その瞬間から想像は広がり、かつて家族の暖かみに餓えていた少女(じぶん)が過去に満たされた瞬間を再び想起させ、思わず「悪くないわ」と漏らす。

 

「……!!」

 

 呟かれた肯定と思しき解釈の言を了承と受け取り、淡色の少女は飛び跳ねて歓喜する……歳は少し離れてるし、似ても似つかない2人だが、今までの境遇とか考えると、結構お似合いなのかも……?

 

──────────

 

「……んでな、こっちが……」

 

 またある日、禍月と共に私は設計図とにらめっこをしている……その設計図は勿論、禍月の新型MS(専用機)となる図面だ。

 

 設計段階で問題だったダウンサイジングとサイコミュ兵器の搭載は、意外にも()()()()()()()()()()()()()()のお陰であっさりと解決……現在は機体バランスの調整と重量配分に関わる駆動系の設定と、挙動・武装の配置に関する意見の擦り合せ……要はパイロットの要望に合わせての機能を司る部位なんかを設定・配分する為の事前の打ち合わせだ。

 これは専属パイロットを前提とする場合には必須であり、この擦り合せが十分でないと機体は十全な機能の発揮が出来なくなる。

 オーダーメイドで機体を造るのだから、最も大事な工程でもあり……既にこの打ち合わせは数日に及んでいた。

 

「うーん……この辺りなら、まだ設計上の余裕もあるね……可能な限り配置はするけど、あんまり変わらないよ?」

 

「それでも、火力で負けちまったら元も子もねぇ……最終的な数は任せるが、可能な限り確保してくれ」

 

「りょ~かい……あ、そうだ……()()()()()()()()()構造図が仕上がったから見ていく?」

 

「お、さすがビルダーは仕事が早いな……!」

 

 依頼主の要望と立ち塞がる問題を擦り合せ、可能な限り形にするのが設計者の仕事だ……最終的なバランスは依頼人……使えるかどうかの感覚も合わせパイロット次第ではあるが、その前段階として技術者はまず現実的な数字で以て判断する。

 そして専用機の設計は非常に多くの難題が降り掛かるが、完成した時の達成感は何者にも代え難い。

 

「どう? キッチリ現行クラスの体格で、それでしっかり()()()()()()も維持……しかも制御補助に兼用できる位()()の密度にも出来たんだよ!」

 

「……こりゃスゲェな……!」

 

「で、おまけに()()も積む予定……制御システムも、一応の目処が立ったし」

 

 今も宇宙で各種実験やらシミュレーションテストを不眠不休の体制で行っている『船のシステム』から送られてきた設計図達を眺め、期待に胸を膨らませる2人。

 

「……完成まで、どれくらい掛かる?」

 

「そこは……正直言うとギリギリかもしれない、もしかしたら間に合わない可能性も……」

 

「その辺りはしょうがないか……不眠不休で作業が出来ても、解決できない問題はゴマンとあるしな」

 

 時間が掛かるのは一番の悩みだが、それは誰にも解決できない問題……だが、コレとアレ(2人の専用機)が完成すれば、あらゆる理不尽を悉くひっくり返せる。

 設計者と依頼主は揃って不敵な笑みを浮かべる……2人が見ているホロモニターに映し出された設計図。

 

 その隅には「HHM-03/X105 W-LX」というコードが表示されていた。




MSの脚部……特に足裏は関節と、バーニア・スラスター類との位置関係が非常に近く、その上細かいパーツやランディングギアも搭載している場合もある為、意外に脆いのです。

特に万能・高機動型をコンセプトとしたガンダムタイプは、この特徴が顕著だったりするので徒手空拳での戦闘は殆ど行われません。
まぁ、同じ素材強度的な相手なら大丈夫だろうけど……ナノラミネートはPS装甲並に硬いしね?

逆シャアとかユニコーンは例外……Gガンは……(目を逸らす)

次回、カルタ様死亡フラグ?



最近、感想が来ないのでモチベ低下なう……(´・ω・)ショボーン

カルタ様を始め、ギャラルホルン勢はどう動かそうか……?

  • ほぼ原作通り、時々主人公その他で妨害
  • 時々オリジナルの要素を含めて行こう
  • 原作/オリジナルの半々くらいで
  • もう崩壊(意味深)させても良いんじゃ……

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