【更新休止中】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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透火がMSに乗れなくなった?!
禍月も過去の未練の脱却から喪失感を味わうが、同時に透火の存在に惹かれ始める……

既にエドモントンは目と鼻の先。
そしてついに、運命の決戦の火蓋が切られる……!


第23話 舞い降りた奇跡

─ ??? ─

 

艦内環境保全システムの全チェック項目をクリア

オートパイロットに問題なし

自律稼働モードを継続中……

 

……警告、マスターの精神(マインド)コンディションにアラート

敵パイロットによる意図的な精神攻撃を確認……

 

現行機体のスペックは、今後の戦力差にも問題ありと判断

予備機体の投入作戦を決行……

 

 

 

……予備機体、選定終了

 

メインシステム、リポーズ解除……

大気圏突入コース、再チェック

 

緊急突入用カーゴポッド、システム問題なし

予備機体、カーゴ内に固定完了

 

座標軸、及び突入軌道の算出終了……

 

……カーゴポッド、切り離し

これより、大気圏突入シークエンスを開始します

 

 

 透火がクルーガーに襲われ、フラッグが破損した後の事……

 衛星軌道上から、ギャラルホルンの監視をすり抜けつつ事態を監視していた()()()から、緊急用のカーゴポッドが射出される。

 

 切り離されたカーゴポッドは、自ら突入コースを辿り……時間的にエドモントンでギャラルホルンと真っ向から戦っている鉄華団の元に落ちるだろう。

 

 その中の納められた()()()を、マスターである彼女の元へと送るために……

 

──────────

 

 エドモントン攻略戦……序盤は終始、鉄華団の優勢であった……

 

 エイハブ・リアクターの影響で、ギャラルホルンは市街地にMSを配備出来ない。

 無論それは鉄華団とて同じである……()()()()以外は。

 

『禍月、左翼が立ち回りに手間取ってる……援護射撃を頼む』

 

「任された……!」

 

 自陣中央の最前線……通常ではあり得ない、MSによる市街地外縁部での戦闘。

 だが、アベンジャーはそれを可能とする唯一(フラッグは修理中のため)の機体だ。

 

 理由はたった1つ……()()()()()()()()()()()使()()()()()()()だから。

 

 アベンジャーの動力源は、宇宙世紀のMSと同じ『核融合炉』……エイハブ・リアクターの持つ()()()()()()()()()を全く発生させない。

 その上、出力面でも並のリアクターよりも遥かに高出力である……さすがにガンダム・フレームの持つ『ツインリアクター・システム』には負けるが。

 

 ともかく、常識では考えられない戦力を市街地外縁部の戦闘に用いる事が出来ている時点で、鉄華団は優勢……ギャラルホルン側はこのあり得ない事態に、終始浮き足立っていた。

 

「さすがにMWを、直接踏み潰すとかはしたくないからな……」

 

 と言いつつも、禍月の操るアベンジャーの砲口はギャラルホルンのMWを狙い、的確に撃ち抜き、戦力差を遺憾なく発揮している……

 このまま行けば楽に市街地へと進入でき、蒔苗氏を議会の会場まで送り届ける事も容易い……

 

 そう考えていた矢先に、それは突然現れた……

 

『……エイハブ・ウェーブの反応? こんな街の近くでかよ?!』

 

 オルガの驚愕した声と共に、エイハブ・ウェーブの反応を示すアラートがアベンジャーのコクピットに響く……禍月はその内容に苦虫を噛み潰した表情をしていた。

 

(……やっぱり来るのかよ!? グレイズ・アイン……!!)

 

 バルバトスとグシオン、そして流星号と連絡を取り合うオルガだが、流星号……シノの返事が来ない。

 

『おいシノ! まさか殺られちまったのか!?』

 

「落ち着けオルガ、流星号の反応はまだ消えてない……!」

 

 流星号は拠点付近の戦場に大破した状態で放置されていた。

 わざといたぶる様な手際で滅多打ちにされていたらしく、機体の損傷も明らかに激しい……シノ自身も複数箇所の負傷に意識不明の重態だったが、原作よりも格段に負傷者が少ないので救命ポッドに余裕があり、既に命の危機は脱した……と、ヤマギからの報告が入って来る。

 

 禍月とオルガは報告にひと安心するが、内心では戦々恐々であった……

 

 グレイズ・アインとは……その名の通り、原作の地球降下の戦いの折に、上司ガエリオの危機を庇い重傷を負ったアイン・ダルトンを再び戦場に戻し、かつての上司クランク・ゼントの敵討ちを果たさせる為の苦渋の決断……

 

 阿頼耶識研究用に開発されていた試作機をベースに組み上げられ、肉体の一部を失っているアインを文字通り()()()()事で稼働する怪物MS……

 だが、禍月の目の前に現れた機体は……グレイズ・アインに似つつも、異なる部分の多い……赤と青にそれぞれ塗装された2機の大型MSだった……

 

『……ようやく見付けたぜぇ? あの時のガンダムさんよぉ……テメェのせいでカラダの大半がボロ雑巾だ! この借と今までの礼も含めて、たっぷりと返してやるよ……この「グレイズ・ファントム」でなぁ!!』

 

『……は、ははっ、マジかよ……冗談キツいぜ』

 

 先の戦い……雪原での決闘において、負けて下がる筈だった透火にルール無用の追撃を仕掛け、その結果禍月が激昂……執拗に滅多打ちされたクルーガーとルーギス。

 救援に来たガエリオはカルタを最優先に助けて去った為、禍月はこの2人を死んだものと思っていた……だがあろうことか、敵討ちの理由も無くなり、ガエリオを庇って瀕死の重傷も負わなかったアインの代わりとして、阿頼耶識搭載型のカスタムグレイズ……このグレイズ・ファントムで現れたのである。

 

『貴様には幾度も煮え湯を飲まされてきた……だが、それも今日ココまでだ!』

 

 青いファントムのルーギスがそう宣言する、そして赤いグレイズのクルーガーは……

 

『なんだぁ? あの女は居ねぇのか……借りを返す前にちょいとテメェの目の前でいたぶって抵抗できなくしてからたっぷり犯してやろうかと思ってたんだがなぁ……居ねぇんじゃしょうがねぇ、テメェから先に殺り合おうや!』

 

 グレイズ・ファントムのボディ内、コクピットの中のクルーガーがどんな状態なのかは不明なのだが……あの時の女というのは間違いなく透火の事であろう。

 そしてクルーガーは禍月の前に彼女をいたぶる予定だったようだ……この発言に、オルガは耳を疑い、通信越しに聞いた三日月と昭弘は何かに気付いた様な「……あっ」と一言……そして、直接聞く事になった禍月は……

 

「……おい、テメェ……誰が誰をいたぶるって? ……ふざけてんじゃねぇッ!!」

 

─ EXAM SYSTEM  ─

Stand-by _

 

 一瞬で理性が蒸発した禍月は、その怒りの感情のままに『EXAMシステム』を起動……同時にシステムが機体のリミッターを解除し、アベンジャーはその名の如く『仇を見付けた復讐鬼』の様にクルーガーの機体へと駆けた。

 

 機体の全長とほぼ同等のバスターソードで迎え撃つクルーガー。

 アベンジャーの持つソニックブレードと真っ向か勝負、激しく火花を散らしながら鍔迫り合いへと移行する……が、怒りで唯一負けている出力差(要素)を忘れたのか……簡単に押し込まれてしまう。

 

『ハハハハッ! なんだぁそのザマは? さしものガンダムでもパワーじゃファントムには敵わねぇッてか? こりゃ傑作だなァ!! その怒りで忘れたか? オメデタイ奴だぜ!!』

 

 出力差に押し負けるアベンジャーを更に押し込むべく、クルーガーはファントムの巨躯を利用して上から圧力をかけ始める……だが、横から来るルーギスの殺気をニュータイプの先読みが捉え、クルーガーの煽りで逆に頭の冷えた禍月は、敢えて押し負ける形でソニックブレードをずらしてルーギスの射線にクルーガーを入れる事で回避……クルーガーは急に圧を抜けたアベンジャーに対して脚部ドリルクローを浴びせようとするがアベンジャーは後方に回り込みながら回避し、サブアームの120㎜キャノンでクルーガーの背中に追撃を放つ……だが、阿頼耶識の超反応でクルーガーも砲撃を避け、ルーギスが逆に肩部内蔵マシンガンをアベンジャーに浴びせる。

 

「チッ、この反応……阿頼耶識なら当然か! 三日月並の奴と2対1、か……やっぱ冗談キツいぜ」

 

 シールドで致命傷を避けながら後退、脚部ホバーの機動力で滑る様に移動するアベンジャーはマシンガンの射程から退避し、禍月は初めて苦言を吐く……

 

 アベンジャーの性能的には1対1(タイマン)であれば……たとえパワーで負けていても禍月の技量とEXAMで勝機も見えるだろう……だが、掴めそうなチャンスを悉く潰そうとしてくる()()()()()()()が邪魔だ。

 ルーギスとクルーガーの連携は、阿頼耶識を介する事でタイムラグがほぼゼロになり『完全なる意志疎通が可能な双子』の連携プレーに迫るほど、恐ろしく精密で隙の無い戦術を使ってくる。

 

「テメェから受けた恨み辛み、倍にして返してやるぜェ!!」

「貴様を我らの正義で裁いてやる……!!」

 

「……だからって、負ける訳にはいかねぇよなァ……アベンジャー!」

 

 禍月はEXAMのリミッターを全解除……機体側の安全装置(セーフティ)をも外す……アベンジャーのカメラアイが深紅に染まり、そして()()()()()()が吠えた。

 

──────────

 

(アベンジャーのプロテクト全解除?! 機体側の制限まで外すなんて……まさか?!)

 

 負傷者の手当ての合間を縫って、整備と事態の推移を見ていた透火……アベンジャーの現状を示すアラート機能に手を止め、廃駅の屋上へと上がり市街地外縁へと目を向ける……するとそこには……

 

「……嘘……まさか、2機も……何で?!」

 

 細部やカスタム具合から、原作と同じグレイズ・アインではない事は一目瞭然だったが……特徴的なカラーリングと連携の挙動に、パイロットを確信する……

 

「ルーギスとクルーガー……あの2人が、阿頼耶識の被験者になったのね……よりにもよって、最悪だわ……!」

 

 アインの負傷回避によって、グレイズ・アインの出現は避けられるかもしれない……禍月の奮闘によって達成されたこの事態に、透火は回避不能な三日月の致命的な問題シナリオ回避を夢見た。

 だが、その結果は却って更なる絶望を招いていたのだ。

 

 グレイズ・アインを越える性能を持つであろう「グレイズ・ファントム」……それが2機、搭乗者の欲望のままに、禍月に対する復讐心を剥き出しにして迫る。

 

「……なんでよ……何でこんな……!」

 

 このままでは今まで描いていたシナリオも、鉄華団の未来も……そして自分の目的すら果たせず、全員が犬死にも同然の未来しかない……しかし、何とかしようものの……フラッグは損傷がまだ直しきれず稼働させられないし、そもそも自分自身がMSのコクピットに座れない……

 

 座ればまたまた()()()()が来るかもしれない……

 

 頭では有り得ないと思っても、身体はそうだと思い込んでいる。

 ……その為もう何日もの間、透火はフラッグのコクピットに入れず……かといって他の整備士ではフラッグの制御系を理解出来ないので、代わって貰う事も出来ないまま……

 

 フラッグの整備は途中放棄されていた。

 

(……もう、禍月に頼るしかない……でも、あの2人が相手で、しかも阿頼耶識のグレイズとなると……勝てる見込みが……!)

 

『……ックソ……だからって……負け……堪るか……ッ!! ようやく……前を向けそうなんだ……俺は……ミユに……未練……でも、こっちじゃ……えな……!』

 

 アベンジャーの左肩装甲がドリルクローで抉られ、バランスを失うも追撃をかわし……尚且つ反撃に出るアベンジャー。

 通信機から、禍月の声が途切れながらも聞こえる……この回線は転生者同士の直接通信にのみ使われるものなので、他の誰にも聞こえない……聞ける者は禍月と透火の2人だけだ。

 

『けど、俺は……なっちまってる……アイツを……アイツが居るから……今、戦えるんだ!』

 

 その時だった。

 

 ……日も傾き掛けたエドモントンの空に、一筋の光が煙の尾を引いて現れる。

 

──────────

 

着陸予想地点付近にマスターの存在を確認……

オペレーション内容を一部変更

 

敵、予想進路を解析……

 

妨害予防の為、落着地点を修正

市街地外縁から、マスター寄りの地点へ……

 

 

スラスター噴射、制動開始

落着まで、残り4……3……2……

 

──────────

 

 凄まじい轟音と共に落着したのは、どことなく見覚えのあるカラーリングのカーゴポッド……サイズはMSが1機入るくらいの大型で、全体に分散配置されたスラスターで自己誘導も可能な奴だ……

 

「……っ、もしかして……!」

 

 見覚えのあるポッドに直感が走った私は、カーゴポッドのコンソールを操作……格納扉が反応し、搭載されたMSが徐々に姿を現していく……

 

「ッ?! この機体は……!」

 

 格納扉が全解放され、完全に姿を現した1機のMS……その勇姿は、この現状を打開出来る正に『切り札』と呼べる機体だった。




原作よりもヤバい展開!!
グレイズ・ファントムが2機……禍月は不利過ぎる戦いを強いられ、透火はコクピットに恐怖で入れない。

そんな最中、宇宙から奇跡のタイミングで落着したのは1機のMS!

その正体は……?!

マスターの為を想い、船のシステムが『予備機体』として用意していたカーゴの中身は何だと思いますか?

  • ナラティブガンダム
  • シャイニングガンダム
  • ストライクガンダム
  • ガンダムエクシア
  • 堕天使ザドキエル
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