【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~ 作:睦月透火
まあ、あんな無茶苦茶やってりゃ当然ですわな。(´-ω-`)
さて、今回は短いけど真面目にやるよ?
お題は「禍月専用の新型機、稼働テスト開始!」
主電源、コネクト……サブバッテリー、充電完了
コクピット内気圧、正常値を維持……
各部サーボ、及び姿勢制御システムに問題なし
伝達係数、規定値をクリア……
各部制御システム、全て正常値
サイコミュ伝達系、調整終了
連動システム……問題なし
外部カメラ、作動正常
取得映像データ、合成演算を開始
360度、球体の形状になっており、内壁全てが湾曲したモニターになっている……宇宙世紀のMS技術の1つ「全天周囲モニター」が導入されたMSのコクピットだ。
その中心に鎮座する、機体の操縦用にしては少し大きめのシートに座り……禍月桐谷は、外部から調整を受けている機体の状態と、アナウンスする機械の合成音声に耳を傾けていた。
「……我ながら、ムチャ振りが過ぎたかと思ってたが……本当に完成させやがった……全く、恐ろしい頭してるぜ……アイツは」
そう、この機体は……禍月が己の手足とするべく、様々な要望や設計……導入を希望する技術を担当者に伝え、時には事細かに解説し……ゼロから造らせた、この世界で唯一の彼の専用機だ。
《各部最終チェック、全て終了……》
《視覚化情報処理を開始……主モニター、点灯します》
調整作業が終わり、外部の映像とシステムからの情報が統合された映像が全天周囲モニターに映し出される。
「……ハハッ、あの時と変わらないな……いや、あの時のよりも
かつての宇宙世紀の戦いの最中で、図らずも日常レベルにまで見慣れてしまったコクピットの眺め……それがこの世界でも実現した事に、複雑な想いから思わず笑みが漏れた。
《接続アーム、待避完了……格納庫内、減圧終了》
《了解……第3格納庫ハッチ、オープンします》
調整に使われていた作業アームが全て解除され、機体は格納庫と外を隔てるハッチを潜り、ついに外……宇宙空間へと運び出される。
機体を保持するのは、機体格納保持用のメインアームただ1つ……最大まで伸長したアームの先端には、この世界の機体とは毛色の違う……白い装甲のMSが固定されていた。
《全チェック項目をクリアー、稼働テスト……第一段階》
《各部モニタリングシステム、稼働正常……》
《TPシステム、通常モードに移行》
装甲の表面の空間が一瞬だけ歪曲し、コンマ秒で元に戻る……その反応が全身へと波及していき、全ての装甲を走り終えた後、機体の目に当たるツインアイが輝いた。
《最終ロック、解除……》
《「HHM-03/D105 ヴォールクロス」……Take off!》
『……ッ! 行くぜ、相棒!』
コクピットの操作と、サイコミュによる補助制御……パイロットの意思をMSに伝え、その繊細な違いを操縦に反映させる「インテンション・オートマチック・システム」により、禍月は己の思い通りに
漆黒の宇宙を我が物顔で駆け抜ける、白い装甲の機体……彼の要望をほぼ全て盛り込み、かつ私の持てる技術全てを注ぎ込んで建造した……彼の専用機。
あの機体には、あらゆる敵を想定し……如何なる世界でも戦い抜ける
まだ、サイコミュ系統の微調整は終わってないが……だいたいの目処は付いているし、武装面への影響はほぼ無い。
むしろ、調整次第では更なる性能アップを期待できるかもしれない……
『最っ高ぉ~にご機嫌だなコイツは! 俺の操縦に思い通りの動きをしてくれる……!』
宇宙ゴミや隕石がまばらに浮いている宙域で、白い機体はまるで生き物のように障害物をすり抜け、その速度を維持したまま駆け抜けていく……
その挙動を操作に起こすなら、かの「赤い彗星の再来」と呼ばれた男が披露したマニューバよりも複雑かつ繊細……しかもその速度は
その挙動はさながら、無重力下のパルクール……
ほぼ常にトップスピードを維持したまま駆け抜けているのだ。
本来なら無意識の内に行えるものではないし、サイコミュによる制御は精神に少なくない負担を強いる……が、パイロットスーツ越しに計測している禍月のバイタルや、コントロールのログからは微塵も感じられない……
これ程までにサイコミュの負荷を軽減できたのは予想外ではあるが……基礎設計や部品の製造段階からヴォールクロスに合わせ、プログラムの組み込みにも最新の注意を払い、可能な限り禍月への負担が軽くなる様にと苦心し続けた甲斐があったと言うものだ。
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デブリ帯を尋常じゃない速度で突き抜けたヴォールクロスを待っていたのは、今回のテスト用に新造した2機の無人
これまでの過程で虜獲したグレイズやその他の素材を活用し、私の手で
赤い機体は背の得物を巨大な弓に……青い機体も同じく、背の得物を巨大な剣へと変形させ構える……
『そういうチョイスかよ……!』
一瞬だけ驚く禍月だが、冷静さは欠かさない……肩に装備された2つの柄をそれぞれ両手に持たせ、マウントから取り外し……抜き放つ様に腕を振り抜く。
その挙動に合わせ、虚空から現れた鈍く白銀に輝く刃を確認すると……
『いっくぜぇぇぇ!!』
赤と青、そして白い機体は3つの光の帯となって動き始め……虚空で火花を散らすのだった。
前回のはオフザケ回として見てくだせぇ。
今回は真面目だし久々だし、感想よろしくね♪