【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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原作乖離まったなし!?
二期シーズンのストーリーに殴り込む(可能性がある)奴とは……?



閑話:深淵より蠢くもの

 宇宙には、惑星間の引力の釣り合いが取れた宙域……ラグランジュポイントというものがある。

 このPD世界ではそれ以外にも、厄災戦で破壊された艦船などのエイハブ・リアクターの影響により、似たようなエリアが遍在していた……その為、宇宙の航路は複雑となってしまい、民間レベルではラグランジュポイントや、そのエリアに形成されたデブリ帯を迂回する航路が一般的だった。

 

 ……それ故なのだろう……この存在に、今の今まで気付く事が無かったのは。

 

──────────

 

 地球と月の間……星同士の重力が釣り合う、とあるラグランジュポイント……そこは厄災戦の爪痕である、破壊された艦船や兵器の残骸が漂う……まさに『墓場』の様相であった。

 

 その中でたった1つ……今なお稼働しているエイハブ・リアクターを持ち、己の使命を全うし続けている『天使』が居たのである。

 

 ……その姿は一言で言えば、超巨大なクラゲの如き異形の怪物……大昔のファンタジーなら、水棲系モンスターにカテゴライズされる様な姿。

 触手の様な細長い鞭は100本近くもあり、先端は暗い青色の装甲を持つ作業アームのようなものになっている……全身を覆う装甲の隙間からは虹色の光が常に走っており、深海でぼんやりと光るクラゲに見紛うほど生物的なフォルムだ。

 

 そして偶然か、はたまた運命なのか……該当宙域に迷い混んだギャラルホルンのMSが、天使の知覚領域に入ってしまった。

 

《クソッ、残骸とリアクター反応の影響で母艦と連絡が取れん……》

 

《……油断するなよ、この宙域には「亡霊」が出るって噂だからな?》

 

《……えぇ……?》

 

 隊長らしき男が、部下へ脅しを掛ける様に呟く……部下は半信半疑であったが、彼らは自らの命と引き換えに……その真実を知るのであった。

 

 

 自らの守護する領域に侵入した敵を発見した「天使」はまず、周辺の瓦礫や艦船の残骸を触手で手繰り寄せ、我が身を偽装……巨大な岩の塊に艦船が衝突しそのまま埋もれている様な状態を自ら作り出したのだ……艦船には生きたエイハブ・リアクターが残っていることが多く、何ら不思議には思われない……そうやって、必殺の間合いまで敵が近付くのを待つのだ。

 

 案の定、ギャラルホルン所属の3機のMS……通常仕様の隊長機1機と長距離偵察仕様のグレイズ2機が、触手の届く距離まで接近してきた。

 

《まだ生きてるリアクターがあるな……本部に此所の位置を伝えられれば、俺達もこんな辺鄙な場所で偵察に従事しなくて良くなるかも知れんぞ?》

 

《……隊長、その前に俺達……ちゃんと帰れるんすか?》

 

《だからリアクターのデータも取ってるんだろ? データから固有周波数を設定してフィルター掛ければ、不明瞭な所も少しは改善されて通信も出来る! もう少しだから任せろ、な?》

 

 怯えている部下の1人を隊長は冷静に宥め賺す……エイハブ・リアクターの周波数を解析し、フィルターする事で電波障害を何とかしようと試みており、迂闊にも「天使」が潜む岩塊へと接近……部下が一瞬、隊長の機体から目を逸らしたその瞬間……

 

 バギンッ!!

 

『……ぇ……?』

 

 大きな音に正面を向き直り、隊長機の装甲を避けてコクピットを正確に貫く触手を見てしまった部下……

 

『……ッ……に、逃げ……?!』

 

『……ぃひぃ……ぁ……ッ!!』

 

 ガギシュッ!! グシャアッ!!

 

 時既に遅し……必殺の間合いに入り込んだ哀れな兵士3人は……今なお稼働を続ける「天使」の前に、敢え無くその生涯を閉じてしまった。

 

 グゥオォン……ブゥゥン……シュウゥゥゥ……

 

 やがて「天使」は、仕留めたMSからデータをハッキングし始める……この「天使」の最大の特徴、それはこの「高度な情報収集能力」……

 接触したあらゆる物体を解析、情報的に侵食し、己の目的を果たすべく最大限に活用する……自己学習機能までセットになった、特別に厄介な機能だった。

 

 やがてクラゲ型のMAはグレイズを3機ともバラバラに分解……周囲に漂う機械の残骸(デブリ)と、たった今撃破した機体のパーツを組み合わせ、自らの身体を改造し始めたのである。

 

 

 少しずつ、少しずつその姿を変えていくMA……あれから、どれくらいの時が流れただろうか……やがて完成したそのシルエットは、巨大な円盤を背負った大型機……

 敢えて言うならば、機動戦士ガンダムSEED Destinyに登場した超大型可変MA「GFAS-X1 デストロイ」にも酷似した姿だ。

 

 天使はグレイズの戦闘データと、かつて己を追い詰めたガンダムタイプの戦闘データ……そして捕獲したMSと己の全ての演算領域をフル活用して(MS)に勝つ方法を模索し……姿を変える、という結論に辿り着いたのである……そして己の触手はどんな精密作業も十全にこなし、ハッキングから戦闘まで行える。

 そしてグレイズから得られた情報も活用して()()()()()を立てた天使は、その最初の段階を成功させるべく……己の姿を変貌させたのであった。

 

──────────

 

「……ふむ、連続失踪事件……というヤツか」

 

『左様……このポイントD-913宙域に横たわるデブリ帯の調査に赴いた我々の小隊や、民間組織の輸送船……海賊組織の船も全て、この宙域を通過した船はただの1つも戻ってきていない……そのデブリ帯は【アリアンロッド】の管轄にも拡がっていた筈だ、可能であれば調査を願う』

 

 アリアンロッド艦隊司令、ラスタル・エリオンはこの奇妙な指令を訝しんでいた……ただの失踪ならば態々こんな秘匿任務的な扱いをする事もなければ、前の部隊が失踪した時点で指令を出す筈だ……だが、この指令は部隊失踪の報を受けてから数週間後の事である。

 

『この指令はギャラルホルンの威信に関わる案件だ。心して掛かってくれ……くれぐれも、火星の連中に嗅ぎ付けられぬ様にな?』

 

 火星の連中……この場合、火星で密かに何かを企んでいる獅子身中の虫(マクギリス・ファリド)の事だろう。

 ラスタルはこの時既にマクギリスが何らかの意図を持って暗躍している事を察知していた……尤も、その内容はほとんど分からないのだが。

 だが、警戒するに越した事はない……そう自身の勘が告げていた。

 

「了解した、忠告に従い内密に調査をしよう」




ネタで終わらせるか……それとも正規採用するか……
本編に出たら厄介極まりないよね?

個人的にはネタで終わらせたい……

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