【本編完結済み】寝落ちしたらモビルアーマーになってた件 ~鉄華団に「厄災の天使」が味方したようです~   作:睦月透火

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1期ラストの答え、そろそろ出しとかないとね。
(死亡フラグ建築という事からは目を背けながら)

なお、ガンダムらしさとは無縁の回なので
ガンダムらしさを求める場合はブラウザバック推奨です……
この回読んで引かないで下さい。
登録解除とかも勘弁してぇぇぇ……(⁠-̩̩̩⁠-̩̩̩⁠-̩̩̩⁠_⁠_⁠_⁠-̩̩̩⁠-̩̩̩⁠-̩̩̩⁠)



第30話 秘めたる想い

 ……鉄華団の次の仕事が決まった。

 

 先の採掘場襲撃を企てた、宇宙海賊「夜明けの地平線団」の討伐……

 

 原作ではギャラルホルンからの依頼としてマクギリス・ファリドの部下、石動・カミーチェとの共同作戦であった。

 だが今回はギャラルホルンからの依頼を待たず、鉄華団単独で奴等と戦う……勿論、降り掛かる火の粉を払う為の戦いだ。

 

 ま、アイツ等実際にいろんな所に迷惑掛けてるし、世間的にもギャラルホルンは役立たずだし……実を言うと、個人で輸送業を営む何人かの連名で依頼も来てたしね。

 

 しかし何故、単独での討伐に至ったのかというと……

 

――――――――――

 

「オルガ……これ以上、アイツ等(ギャラルホルン)に関わるのは止めておけ。お前の目標は真っ当に生きる事だろ? 奴等は俺達を食い物にするだけだ、早いとこ手を打っとかねぇと何をさせられるか分からねぇ……テイワズの直系である時点で、目標の路線には結構近づけてるんだ。ギャラルホルンとの関係は、早い内に何とかしておいた方が良い」

 

 禍月からオルガへのアドバイス……夜明けの地平線団を壊滅させると同時に、ギャラルホルンとズブズブになってしまう原作を鑑みて、だ。

 

 現実的には厳しい選択だが、原作通りこのままマクギリス側に付いてしまうとそのまま反逆者エンド一直線だし、対抗勢力であるアリアンロッドのラスタル・エリオン側に近づいても、ロクな事にはならないだろう。

 

 そもそも今の時点でオルガ兄の目標……マトモな仕事で生きていく為の環境は整いつつあるし、このままテイワズ直系として鉄華団を盤石なモノにし、後々独立したりする方がずっと建設的だからね。

 基本的に原作通りの我武者羅最短ルートだと、普通にバッドエンドは免れないもん……

 

 ああ、そうそう……私と禍月は戦力的に地球支部扱いなので、作戦前には大和に同乗し、数日遅れながら地球へ戻る事になっている。

 

 もしもの時の為に、とアリス(ザドキエル)が自主的に残ってくれるらしいし、バルバトスルプスにグシオンリベイクフルシティ、魔改造済みの3代目流星号に獅電が3機と揃い踏みな上、前々から大いにお世話になっているシミュレーターリアルコントロール版アーケード 機動戦士ガンダム・エクストリームバーサス筐体も最新バージョンにアップデート済みだ。

 

 地球の件から戻った後、戦闘レベルを細かく調整可能にしたゼロシステムを使ってNPCを動かす仕様に変えてあるので、修行から腕試しに特訓など多様な使い方が可能……以前から時間の空いた団員はこぞって筐体に集まってたし、主要戦闘メンバーやラフタ姉達もやってたの見てるから、実力はメキメキと付いている筈だ。

 

 ……戦力的にもう安泰じゃね?

 

――――――――――

 

 ……そんな折、禍月からデートに誘われた。

 

 地球支部に戻れば仕事に忙殺されるのは分かりきっているし、原作の様に現地の人達との折り合いが悪くなる事態は避けたい。

 

 そうでなくとも、ラスタル・エリオンの策略……

 ……団員達の仲違いは必ず阻止したいから。

 

 

「……私が開き直ってんのに、誘ったアンタが縮こまってどーすんのよ……」

 

 そんでもってデート当日。禍月は何故か終始挙動不審……あの時、自分からあれだけ熱烈なアプローチした癖に。

 

 ……でもまぁ、本当は私の平常心も既に遠い地平の彼方。

 

 何とかポーカーチェイスで騙し切ってはいるが、それも何時まで保つか……とりあえずクリュセにある小綺麗な店舗が立ち並ぶエリアを歩き回って時間を潰し、そこそこ高級なカフェで昼食にする。

 

「……あの」

「……なぁ」

 

 ヤバい、第一声から見事に被った。沈黙を続けるのもさすがに限界……

 

「……先に言って良いぞ?」

 

「そっちこそ、私に遠慮しなくて良いから……」

 

(ヤバい……ドキドキが止まんない)

 

 頭が上手く回らない……禍月の方も、テンパり具合は最初ほどではないものの、収まる気配はないみたい。

 

 転生前は自他共に認める恋愛弱者だったし、そもそもこんなシチュエーションに憧れてはいても実際にやる事はついぞ今まで無かった。今この時が初挑戦なのだから攻略法なんて分からないし、何が正解なのかも検討が付かない。アレ? 今のシチュってリアルの自分の人生だっけ? 散々プレイしてきた乙女ゲーのワンシーンに似てない? ほら、こんなに天気の良い日に男女揃ってお出掛けとかさ……カフェで休憩して甘々な雰囲気を周囲に撒き散らしてね。

 

《……透火はさ。彼の事……気になってるんだよね?》

 

 唐突なアリスの脳量子波……私の表層的な思考はアリスに半ば筒抜けなので嘘は吐けない。

 

 勿論、禍月の事は仲間としても、協力者としても大切だ。

 

 でも彼が私に“あの”告白したあの日から……私は彼の事を普通に見れなくなっていった。

 その後、目標に沿う形で地球支部の開設が決まり、揃って地球支部行きとなったのも、互いの思惑に合致するから単純に嬉しい……でもその中に、最初の頃の目的意識とは明らかに違う嬉しさがある事に気が付いた。

 

 幼い頃の記憶。浮浪者や犯罪者の巣窟たるあの場所で、誰にも頼れず、恐怖と孤独に耐えながら過ごした日々……

 名瀬・タービン(父さん)の手でそこから救い出されても……こびり付いた恐怖は拭えなかった。

 

 でもそのトラウマが再発したあの時……彼はそっと私を抱きしめ「もう大丈夫だ、俺が側に居る……俺が守ってやる」と宥めてくれた。

 

 あの後、恥ずかしさが勝って結局、有耶無耶にしてしまったが……

 

 その言葉がキッカケで、徐々に……私は暗闇の恐怖(トラウマ)に打ち勝てる様になっている。

 

 そりゃ最初の出会いはまぁまぁ最悪だったし、その気もない内から彼の言葉に過剰反応するとか、後から考えれば“こんなんで反応するとかちょろすぎじゃん私……”と後悔もした。

 それから顔を合わせれば、目的の話をして、協力し、同じ時を過ごす度に理解し、僅かずつだけど心に触れ……知らぬ間に確実に惹かれていたのだろう……

 

 そんな彼が、今後も側に居る……目の届く範囲、手の届く場所に居てくれる……傍から見れば“ただそれだけ”の事なのに、私はその事実に心が踊っている。

 

 ハッキリとそれを自覚してしまった……

 

 コレが人を好きになるって事なのかな……?

 

 アレから少しずつ、彼の事を考える時間が増えている。

 

 当初は私の目的に賛同し、協力してくれている……

 

 言わば同じ目的を持つ者同士という感じだった。

 

 でもあのエドモントンの時を考えると、今の彼は純粋に目的とは違う感情を持って私を見ている。

 そうだと気付いてしまった……それからずっと胸が苦しい。

 

 彼が私から離れていったら? そうなったら多分、私は何もする気力さえ起きなくなるだろう……

 

 このモヤモヤはどうすれば解消できるのか……

 

 仮にこの想いを封印し、二度と開かない様に蓋をして、彼から離れたとしても……それからの私には、いったい何が出来るだろう……普通に生きては行けるだろうが、その世界に“色”は付いてないと思う……

 

 もうそれ程までに、彼の存在は私の中で大きな支えになっている……自覚してしまった以上もう歯止めは効かず、目を背けていた私の心の弱さが、その弱さ故に彼を貪欲に求めている……

 

 家族だから……同志だから……仲間だから……

 

 そんな括りじゃもう納得出来ない。

 

 彼との仲は、特別なものである筈だ……ただの同志とか、旅仲間的な関係とか……そんなちっぽけな結び付きでは、私の中の欲望が収まらない。

 

 頭の中は、もう抱え切れない程……彼の事でいっぱいになっている。

 

 そしてついに私の欲望が、表面を取り繕う恥ずかしさに勝り、言葉を紡ぐ……

 

「じ、じゃあ……私から。あ……アレ、こ……告白……だよね……。エドモントンの時……叫んだヤツ……」

 

「……あぁ、俺はお前が……お前の事が、好きだ」

 

 そこで一旦彼は、カフェの店員が出してくれていた水を一口で飲み干して一息つく。

 

「だが、一応先に言うと俺はその……もう既に添い遂げる人もいた奴が、新しい女を口説いているような奴だぞ? はっきり言ってスケベ爺を超えて不貞爺だぜ、俺は……」

 

 禍月はそう言って私の顔を、いや私の目を見て語り掛けてくる……その真剣な眼差しは、普段に見るどこか抜けてそうな感じなど欠片もない。

 

「今更何を、って思うだろうけどさ……本当は透火と会って、深く知るまでは“妻を裏切るまい”と、恋愛なんて考えてもなかったさ。けど……まさか惚れるとは思わなかったよ。彼女に対して感じていた想いとは同じだけど、自分からそれを自覚するなんて初めてだからさ………」

 

 そんな事を話した後「あー、言ってる間に恥ずかしくなってきた」と彼は額を抑えて顔を下に向ける……

 街の喧騒のお陰か、この会話が周囲に届いていないのは、彼にとっては幸いだろう。

 

 改めて聞かされた、禍月の胸に秘めていた想い……

 

 エドモントンの時と違い、周囲は日常の喧騒の中……戦場の様に邪魔をする敵も居なければ、野次馬の如く屯す仲間も居ない。

 

 誰も居ないのに、私の気分は四面楚歌……逃げられるシチュなのに逃げられない……いや……

 

 逃げたくないんだ……私は。

 こうやって彼の秘めたる想いを聞いて、こんな私を受け入れてくれると……そう確信したから……

 

「……私は……」

 

 単なる好奇心でもなければ、憧れとか羨ましさだとか……そんな陳腐な感情とは違う。

 

「わ、私は……」

 

 もうこの想いは「嘘」じゃない。一時の気の迷いなんかじゃない……

 

「……私も……禍月の事、好きになっちゃってる……」

 

 ついに口にする……私の秘めていた感情。

 

 今の私を支配する、巨大すぎる欲望……

 

 しかしこの瞬間、アレほどモヤモヤしていた邪魔な感覚がすぅっと消えてなくなっていた。

 

 頭の中の霧が晴れていく……

 

 恥ずかしさだけはまだ残っているけど、初めてストレートに出せた、私自身の気持ちだから……

 

「だ、だから……よ、よろしく……お願いします……」

 

 最後に俯座き加減のまま絞り出した私の声は、周囲の喧騒に掻き消される事なく彼の耳に届いた筈だ。

 

 そんな大きな音は立ってなかったしね……

 

「…………」

 

 たっぷりと長い沈黙……

 

 アリスと脳量子波でコミニュケーションを取れるとしても、私はイノベイターではないし、彼の心の中を読むなんて芸当など出来ない。

 

 ……でも、何故か……

 

「お……おぅ……そうか……(良かった……本当に良かった……)」

 

 この日、この瞬間だけ……この時だけは、間違いなく彼の心を読めた気がしたのだった。




……スミマセン。
書いてて自分が混乱しながら砂糖も吐きました……(自爆)

なお、禍月と透火のデートから続くこのやり取りは全てアリスによって録画され、アトラとクーデリアには筒抜けだった為、間を置かず団長を初めとする鉄華団全員に知れ渡る事となる……
つまり2人の邪魔が入らなかった事自体、全てアリスの計画通りである。
ついでに鉄華団は原作以上に張り切り(?)、夜明けの地平線団は呆気なく壊滅させられたのでありました……

ちなみに……
夜明けの地平線団に所属していたヒューマンデブリの子供達は、アリスと三日月の奮戦や、今回の改変で生き残っているビスケット等の働きのお陰で原作よりも多く生き残っており、全員が鉄華団への移籍を経て、晴れて自由を手に入れた事も併せて明記しておく。

夜明けの地平線団との戦闘……見る?

  • はい
  • いいえ
  • 大盛り濃いめ硬めでオナシャス!

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