暇つぶしにでも見て頂ければ嬉しいです。
「なんだここは?」
気がつけば俺は見知らぬ土地に、着の身着のままで立ちつくしていた。
見渡すと幾本もの高い木々が辺りを囲み、地面には落ち葉がつもり、所々から見える岩肌にはコケが茂っている。
太陽は未だ高く、降り注ぐ木漏れ日が美しい。どうやらここはどこかの森のようだ。
戸惑いながらも何をすべきなのか考えてみる。いやそもそも、まず俺は誰なのか?
名前・・・佐藤一郎
年齢・・・28歳
職業・・・
「うっ!」
そこで酷い眩暈を感じた。少し遅れて渇きと飢えも襲ってくる。
「何か食べ物、いや水だ」
辺りを見回すが足しになりそうなものは見当たらない。飢えはまだしもこの渇きはとても我慢できそうにない。
俺は仕方なくこの森を彷徨うことにした。
どこをどう彷徨ったか微かではあるが音が聞こえだした。
「この音は!」
わき目もふらず必死に駆け出す。
するとそこには大きな湖があった。無我夢中で駆け出し、動物のように頭を
突っ込み水を飲む。
「ぷはぁ~なんとか生き返ったか。しかし次は食べ物か・・・この湖に
魚でもいないかな。いたとしてもどうやって獲るか・・・」
ようやく一息ついた後、あーでもない、こーでもないと悩む俺にふいに後から声がかけられた。
「何者だ!!?」
「よかった、ようやく人がいた。実はですね・・・」
人がいたことに安心し振り向きながら答えようとした俺だったが、
瞬間、全身が硬直した。
なんと声をかけてきたそいつは、緑色の鱗で体をおおい、水かきのある手には
短剣?らしきものを持ち、見上げるような巨体であったのだ。
ありていに言ってモンスターである。
「あ、あ、あ」
「何者だと聞いている。お前はここに何をしに来た。人間。」
「わ、私は怪しいものでは、あ、ありません。この辺りで迷ってしまいまして。」
「迷っただと!?近くの村の人間か!?」
「あ~いえ。ちかくではありませんね。」
とりあえず、問答無用で襲ってこないことに安堵しながら嘘にならない程度にぼかしながら答えてみる。
モンスターは少し考えたようだったが、すぐに話し出した。
「では、遠くにあるという人間の街からきたのだな?さてはお前冒険者か?」
なるほど、少なくとも人間の村や街があり、冒険者という職業?があるらしい。
「冒険者がこんなことろに何しに来たんだ!?」
「えーと、現地調査です。」
「現地調査?では我々に害を及ぼしに来たのではないのだな?」
「もちろんです。その途中で迷ってしまいました。」
勝手に冒険者にされてしまったがややこしくなるため否定はしない。
出来るだけ警戒心を持たれないようにふるまわなければならない。
「人間の村はあっちの方角だ!わかったらここにはもう近づくな!」
「わかりました。ありがとうございます。あと、この辺りで食べる
ものがあったりしませんか?」
モンスターは太陽のある方角を指さしながら教えてくれた。
思ったより親切なモンスターだったので、少し調子にのって聞いてみる。
「何?人間が何を食べるのかは知らんが、魚はやれんぞ!」
「いえいえ、魚も食べますが、木の実や果物などがある場所を教えて頂ければと。」
「だったらたしか向こうに木の実の群生地があったような・・・」
「本当ですか?ありがとうございます!」
なんと親切な!!
人は、いやモンスターは見かけによらないな~と感謝しながら別れを告げたのであった。
週2か週3くらいでの更新を予定しています。