忘れ物   作:カラドボルグ

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生きてましたよ。
何だかんだで記念すべき?十話目


第十話 胃のもたれ

 どうも、DV野郎です。

 結局、朝の誠士郎のまさかのカウンターパンチ以降、この名前で呼ばれ続けるという中々の生き地獄を味合わされた。終礼が終わり、一先ずこの地獄を抜け出せたと思ったら、

 

「陽く……DV野郎くん! バイト行くよ!」

 

ねえ、何で今言い直したの? 必要あった? 

 

「そっか、DV野郎は今日からCircleでバイトか。あ、私らには着いてくんなよー」

「まあいいじゃん有咲。もうDV野郎も反省してるしさ」

 

キミらは何の迷いも無く言ってくるね。そして沙綾、それは反省した咎人に言うことじゃないよ? 

 

「も、もう止めて上げよう!? デ、ディ、D……宝田君が流石に可哀そうだよ……」

 

あ、キミは言わないのね。

 

「香澄、有咲、沙綾、りみ、早く行くよ」

 

教室の扉が開いたかとと思うと香澄たちのバンドメンバーの花園がいた。そして四人に呼び掛けた後、何故か俺をじっと見つめてきた。

 

「なんだ? ……花園さん、でいいよな。俺の顔に何か……」

「あ、思い出した。DV君だ。後、花園じゃなくて『おたえ』」

 

DV君はやめろ! 何で『野郎』が付くか否かでここまで印象変わんの!? 

 

「あ、あのさ花園さ「おたえ」……。その前に俺の呼び名変えない?」

「分かった。えっとー、DV?」

「君付けしなけりゃ親密になるってわけじゃないよ!?」

 

ていうか『DV』ってもう人としてすら扱ってもらえてないじゃん。一普通名詞じゃん。

 俺が花園さん改めおたえとあーだこーだ言ってるとまた香澄がむくれ始めた。昨日のことからも察するに、如何やら彼女は俺が他の女性と会話を成すだけでセクハラ認定されるようだ。これが自分の友達ともなると怒るのもまあ当然か。一応また彼女の両頬をプシュ~とつぶしておいた。

 

「陽一……ホントある意味尊敬する」

「は? どういう……って今ちゃんと呼んでくれた!?」

「あ、ゴメン。キミのおバカっぷりに圧倒されてつい間違えちゃった」

「間違えてないよ!?」

 

え? 俺の本当の名前って何だっけ? 宝田DV? ヨウイチ=D.V.=タカラダ? もういいや奴隷だし(投げやり)

 

「ほらこんなのほっといて行くぞー」

「あ! 待ってよ~、有咲~! ほら、陽くんもボサっとしてないで!」

「ん? 陽一? あ、俺か」

 

という訳で、奴隷としてやるべきことをしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなででやって参りましたCircle。てか何で香澄は走っちゃうのかね。もう息も絶え絶えですよ。主に有咲が。

 

「まりなさん! こんにちはー!」

「お、ポピパが一番乗りかー」

「いやー、今日はホントに楽しみだったんで〜」

 

香澄、お前は多分Everyday楽しみだろ。年がら年中頭の中お花畑だろ·····って、分かった分かった。分かったからそんなに睨むな。そして足踏むな! 

 

「陽一くんは相変わらずだね〜。取り敢えず、昨日言った通りに着替えてからコッチに来て。今日は君に大事な仕事を任せたいから」

「大事な仕事って·····そんなもんバイト初日の人間に任せて良いんですか?」

「まあ、何事も経験経験!」

 

軽いなー。まあ任せられる以上は出来ない仕事でも無いのだろう。

 

「じゃあ、香澄ちゃん達は先に入ってて。もう準備してあるから」

「はい! よーし、皆行こう! 陽くんも頑張ってね!」

 

そう俺にエールを送ってから、彼女は走って行ってしまった。

 

「おい待て! 走るなー! あ、宝田は何もやらかすなよー」

 

そう言い残して有咲と他の皆も行ってしまった。にしてももうちょい俺のこと信用してくれたって……あ、無理ですね。あんなことあって信用もクソもないですね。

 

 俺は彼女たちを見送ってから着替えた。そして今回はちゃんとかの鬼上司の下へ直行した。

 

「流石に今回は早かったね~。うん! えらいえらい!」

「いやいや、流石に同じミス二度も繰り返しませんって」

 

そう。なんせ人間は成長する生き物なんで。そうやって人類は……って何クスクス笑ってんの? 

 

「いやーそのセリフ、昨日のキミに聞かせてあげたいなーと思って。何度同じミスを繰り返してたのやら」

 

うぐっ。この美人上司、中々痛いところを……

 

「ま、まあ、それも今日からはきっちり改善されているんだから問題ナッシングです!」

「あーそっかそっか。沙綾ちゃんに教育されたもんね」

「ええ、そうですそうです…………え? 何でそれ知ってんすか!?」

「女の子の情報網を舐めるな~」

 

あー、これはあれだ。有咲的に言うなら、

 

「香澄ィ~~~~~!」

 

 ってやつだ。犯人が分かりやす過ぎる。そしてまりなさん、さっき自分のこと女の子とか言ってたけど……

 

「あ、そうそう。同じ失敗っていうのは何も女の子に失礼なことを()()()()()言うことだけじゃないからね」

「はははは。まさかまさか。そんなデリカシー無いことなんてこれっぽっちも、微塵も、毛ほども()()()()()いませんよ」

「だよねー。私もまだまだ女の子だよね~」

「え、あ、は、はい……」

「ん? 歯切れが悪いぞー」

「イエス! マム!」

 

ダメだ、この人怖すぎる! 何!? 学園都市第5位なの!? 怖すぎてイエス、マムの使い方すらおかしくなっちゃったよ。

 

「さーてお遊びは此処までにして……」

 

お遊び? 拷問の間違いでは? 

 

「今日からキミにはある企画のサポート役になってもらいたいと思います!」

「なるほど、ある企画の……」

 

おっとー? 何か想像を悠に上回ってくるであろう重そうな仕事が来たぞー。あっれれー、おっかしーぞー? 

 

「して、どういう企画で?」

「良くぞ聞いてくれました! その名も~……」

 

ドラムロール! ってヤツだろうか? いや俺はやらんぞ。絶対に……あ、まりなさんが勝手にやってるわ。そしてクソ長いドラムロールが終わり……

 

「ダダン! 第三回ガールズバンドパーティーです!」

 

そう彼女は発表した。

 

「はあ。で、何すかそれ?」

「え!? も、もしかして知らない!?」

 

彼女としては衝撃の事実であったようで、あーめっちゃ恥ずかしそうですね。分かりますよ、相手が知ってる前提で喋って噛み合わない時ありますよね。

 

「あ~うぬぼれてた。昨今のガールズバンドブームの火付け役なんて言われてるからてっきり知ってるもんだと……」

 

 そういえば、誠士郎が言ってたな。最近は『大ガールズバンド時代』だとか何とか。なんかその話してた時にアイツがそのことを言ってた気がしなくも無い。まあアイツの話、普段から八割聞き流してるから相当あやふやだけど。

 

「ま、まあ気を取り直して! 一から説明するね!」

 

 それから俺はそのガールズバンドパーティーについて聞かされた。

 曰く、始まりは去年、ここのオーナーさんが企画したもので、そこからまりなさんが目を付けた五つのガールズバンドを招集して開催したものだそうで。これがえらく評判が良かったらしく、現在のガールズバンドブームのきっかけの一つと言われているとかいないとか。

 ここまで聞いて一つ気付いたことがある。…………やっぱアイツから聞いてましたー。テヘペロ☆

 

「それにしても聞いてる限りじゃ結構大きなイベントだったんですね」

「そうなんだよね~。しかも5バンド合同ともなると余計に……。いや~今思えばあの時ポピパの皆が、特に香澄ちゃんいなかったら成功はおろか、開催すらできなかっただろうね」

「アイツが……何かしたんですか?」

 

 何かも何もー、と言って彼女は続けた。

 それによると彼女たちが他の4つのバンドに出演依頼をしたそうで。まあその時点ですでに躓きかけていたことには驚きだが。全バンド出演が決まったら決まったで、クセも我も強いメンツが大勢集まったもんだから演奏の順番一つ決めるのにも苦労したそうで。

 

「そんな時、香澄ちゃん達が皆を纏めようと必死に動いてくれてね。最終的には皆が心を一つにして本番に臨めたの!」

 

 ああ、別に彼女とはそれほど長い付き合いでもないが容易に想像がつく。アイツが必死こいて皆を繋げようとする姿が。そしてどんなに面倒な連中でも絆してしまう姿が。

 ……それにしても、まりなさん今の所あんまり何もして無くね? いや、全くとは言わんが。

 

「……減給かな?」

「清々しいまでの越権行為!?」

 

 畜生! もう労働基準監督署に訴えてやる! 何? 奴隷にそんな権利は無い? ああ、そうでしたね(納得)

 

「まあ減給は置いといて……」

 

待って、置かないで。冗談って言って!? 

 

「それが好評を博したということで、ついこの間に第2回が開催されたの!」

 

おーい。給料は? 話進めてるけど給料は? 

 

「で、それが切っ掛けでバンド始めたって子達がいてね」

 

よーし分かった。減給確定なんですね。

 

「今回はいつもの5バンドに加えて、その子たちを迎えた6バンドで開催することになったの! はい、拍手!」

 

 わー、おめでたい。俺の給料が減るのを尻目に、バンドは増えるんですね。

 ここまで聞いて一つ気になったことがある。

 

「一ついいですか?」

「うん。何でも聞いて」

「そんな濃いメンツのサポート役を俺がやれと」

「そうだけど?」

 

何が気になったか。そりゃそのメンバーのキャラの濃さだ。勿論皆がみんなそうではないだろうが、聞いてたら香澄ですら相当苦労したという話だ。何ならその香澄もその濃いメンツの一人だ。こっちとら普段からその香澄だけでお腹いっぱいだというのに、あんなもんが仮に各バンドに一人ずつでもいると考えただけで……

 

「あの……何か話聞いてたら胃がもたれてきたんで帰りますね」

 

 そんな天下一品よりこってりしたもん味わいたくない。という訳で退却~「どこ行くのかな?」

 

「あの……その手離してもらえます?」

「キミはそんな所にか弱い私一人で行けと?」

「一応聞きますけど、俺に選択肢は?」

「無いけど?」

 

即答しやがったよ。とりあえず俺のビオフェルミン常備は確定した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 




取り敢えずここまでこれたのは読んで下さっていた皆さんのおかげです。ありがとうございます。
そしてこれからもよろしくお願いします。

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