忘れ物   作:カラドボルグ

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この度諸々の作業が終わり復活。ちゃんと生きてましたよ~。
因みに此処何話に渡って続く各バンドとの初絡み回の内、何故かこのパスパレ回だけが長くなっています。理由は多分やる気の問題。


追記:8/11、皆様のお陰で日間ランキングにて全体90位、バンドリ二次創作内にて5位にランクインしました。ありがとうございます。



第十三話 パステルカラーと

 カランコロン、とまた死の音が鳴った。音のする方を見ると、今度はえらく可愛らしい集団が……って、あれ? あの人らって……

 

「パスパレじゃん……」

「お、流石の陽一君も知ってたか~」

 

まあ、そりゃあ今をときめくアイドルですからね。てかこれに関しては誠士郎から死ぬほどお話聞いたわけで……

そう、あれは確か半月程前、要は入学して丁度一か月くらいのことだ

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

『なあ、誠士郎よ。お主最近流行りの()()()()()()()を知っておるか?』

 

 俺の中の昼休みには出来るだけ喋りかけて欲しくないランキング第二位に物凄くそっくりな男が声をかけてきたが……うん、知らない人だな。因みに一位は香澄だ。

 

『あの……わたくし、母には常々知らない人には応答するなと言われておりますので……』

『ちっ、ノリわりーな。分かったよ。話し方戻してやるから聞いてくれ』

『あ、ゴメン。お前とは一切口もきくなって母ちゃんに言われてたわ』

『お前の母ちゃん酷すぎない!? 俺会ったこともないからね!?』

 

まあ無論そんなことは言われたことが無い。そりゃあ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『まあいいや。で、このPastel✽Palettesってユニットでさ、これが今来てんのよ! しかもこの内3人はなんとウチの生徒でさ』

『え? ウチの学校、芸能人いたの?』

『あれ? 噂ぐらい聞いたことないか? 仕方ないな~。この俺が一から説明してしんぜよう!』

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 とまあこんな感じだったわけで、寧ろかなり知っている部類に入るんじゃないだろうか。まあ多分話の内の30%も頭に入ってないだろうがそれでもなおだ。

 

「あ! まりなさん、こんにちは! それからキミって……」

「あら、貴方は……」

 

 俺は軽く咳ばらいをして口を開いた。

 

「初めまして、今日からここでスタッフとして働かせて頂く宝田陽一です。今後ともよろしくお願いします」

 

 おっぱいお化けことひまりちゃんは何か言ってたが、やはりシンプルイズベストだ。変な捻りなぞ……おっと後ろからもの凄く見覚えのあるパステルイエローの美人が来ましたね。

 そういえば忘れていた。このグループにも俺の胃が痛む様な存在がいることに。それも今度は対応をしくじったら胃を悼むことになる劇薬だが。

 

「ええ、よろしく。それにしても固い自己紹介ね」

「まあ初対面の人たちにはこのくらいかと」

「あら? 初対面?」

 

そういって美人さんもとい白鷺千聖は目を妖しげに輝かせた。あ、これはあれですね、逃がす気ありませんね。

 

「私、一応ファンの顔は覚えるように心がけているのだけれど。思い違いだったかしら? あの時教室に……」

「オッケーすんませんでした許して下さいそうです初対面じゃないです認めますからどうかあの事だけは」

「うふふ。冗談よ♪ 私、ファンの方々は大切にする主義だから」

 

なるほど、時には脅しの利用しながらファンの方々を()()に従える主義なんですね、分かります。

 

「涙が出るくらい素晴らしい主義だな畜生」

「あら? 何か言ったかしら? 何か言いたいことが……」

「いえ! 滅相もございません!」

「そう、それはよかったわ」

 

 するとふわふわピンクであのアホ(誠士郎)の推しメンが不思議そうに首を傾げた。

 

「千聖ちゃんって……この子とどんな関係なの?」

「そうね……」

 

まあ、この人のことだし上手く流すだろう。……流すよね? ……流してくれますよね? なんで今一瞬、こっち見てちょっとニヤッとしたの? 可愛かったけども。

 

「強いて言うなら主人と飼い犬かしら」

「ほぇ!?」

「おいコラいつからそんな主従関係になった!?」

 

余りに予想の斜め上を行く一手だった。まるで将棋……いやここは藤井聡太と言っておこう。あ、棋聖獲得おめでとうございます。

 

「あら、いいのかしら? その口の利き方は?」

「あ、申し訳ございません。以後気を付けますワン」

「ほらね?」

「うわぁ……」

 

ダメだ。この人と俺の性質(奴隷根性)は相性最悪なようだ。本能的何かが(こうべ)を垂れさせる。……おいそこ、「プー、クスクス」とか言ってないで早く助けて? 大事なあなたの部下(サーバント)が奪われかけてますよ。令呪を以って命じて? 自害しろってでも何でもいいから。あれ? これって俺助けられてないな。

 すると突然、どこかの誰かによく似たアイスグリーンの子がハッとした顔で俺の服従の姿勢を無駄にした。

 

「あ! キミっておねーちゃんの言ってた子だ! 編入早々千聖ちゃんにサインせがみに来たって聞いたよ! 後、いっつもおねーちゃんに絡みに来る……」

「もうやめて! これ以上俺の胃潰瘍にブートジョロキア塗りこまないで!」

 

 そういやこの人は風紀委員長の双子の妹さんだとか何とかって聞いたな。だが、誠士郎曰く推しではないらしい。顔そっくりなんだから推しで良いだろと言ったらフルスイングでどつかれた。

 曰く、アイツは俺とは違って外見だけでは人を判断しないそうだ。失敬な。

 そしてまた曰く、アイツは風紀委員長のちょっとキツめの性格が好みだそうだ。ハッ、なんて性癖だろうか。(6話最終盤を見てもらいたい)

 因みに丸山さんはどうなんだと聞くと顔が氷川さん以上に弩タイプなのだそうだ。外見では云々言っていたのはどの口だっただろうか。

 

 するとその件のふわふわピンクさんも「あ!」とか言い出した。

 

「あ! 思い出した! 陽一君! いっつも紗夜ちゃんに頭下げにきてる子だ!」

「アンタらさっきから何!? どんだけ俺の胃をあの世に送りたいの!? それから丸山さん、語弊のある言い方やめてくれます!?」

「え!? 私のこと知ってるの!? うう……ぐすっ……」

 

えぇ……うそぉ。俺何か悪いことしました? 知ってただけですよ? まさか存在自体が悪なんですか? この世全ての(アンリマユ)なの? 

 

「あはは! よーくんが彩ちゃん泣かしちゃったー。おねーちゃんに言っちゃお!」

「冗談でもそんなこと言うの止めてくれます!?」

「え? 冗談じゃないけど? だってその方が面白いじゃん!」

「尚更止めてね!?」

 

こんなに目をキラキラさせてエグいこと言う人初めてだ。てかあの年増ァ、いつまで笑って見てやがる! 

 

「タカラダさん、ダイジョウブです! アヤさんのこれはきっとウレシナミダというものです!」

 

 この人は確か若宮さんだったな。そりゃあハーフでスタイル抜群でしかもこれまた例に漏れず容姿端麗と来たもんだから、アイドルだったという事実を知る以前から俺でも認知はしていたぐらいだ。多分学年ではあの頭のとち狂ったお嬢に並んで有名だろう。

 いやしかし、この子は見れば分かる。あの白鷺さんとは違って絶対いい子だ。この子は安心……「それにしても」オッケー、若宮さんそこまでにしよう。いい子だから。というかいい子でいて! 

 

「貴方のチサトさんのファンとしてのあの積極的な姿勢! 実に見事……正にブシドーでした!」

「あ”あ”あ”あ”~もうやめてよぉ……」

 

 この子、態とやってなさそうなのが余計に恐怖を煽る。そして武士道ならもっとそういう気持ちは忍ぶべきじゃなかろうか? 

 

「ん? てか見てたの!? あの騒動!?」

「ハイ! 偶然チサトさんに用事があったので!」

「あらあら、同級生にも知れ渡ってしまうわね。貴方の黒歴史♪」

「若宮さ~ん。お願いだからそのことは内密に~」

「あ、もうこのことは同じクラスのタエさんにこの間……」

 

 うぉーい! よりによっておたえ!? いやでも待てよ……アイツらがこの事について突っ込んでこないということは……ふっ、あのアホ忘れてやがるn『ライン!』ん? 香澄からのメッセージか。なぜこのタイミングで……そこまで考えながら、俺は通知を見た。そして即座に画面を閉じた。

 

「あら? どうしたのかしら?」

「いや、通知でしか見てないんで冒頭だけなんですけどね、『さっきおたえから聞いた千聖先輩の』って表示されてたんですよ」

「そう、おめでとう♪」

 

 なんて嬉しくないコングラチュレーションだろうか。もう今の俺の胃の様子を内視鏡で一度見て頂きたい。きっと爛れまくってビオフェルミン如きではどうにもならん状態だろう。

 

 それにしてもこのグループ、余りに爆弾が多過ぎやしないだろうか。いやまあ俺が蒔いた種なんですけどね。

 

「あ、あの~ジブン、大和麻弥って言うッス」

「あ、勿論知ってますよ。友人が演奏技術が凄すぎってべた褒めでしたし」

「ええ!? そんな! フヘへッ、ジブンには恐縮ッスよ!」

 

謙虚な姿勢を見せながらも照れが隠しきれていない……。うん可愛い。なんだかアイドルがしてはいけない笑い方してたような気もするがそれを差し引いてもこの可愛さ。でもどうせこの人も爆弾持ちだろう。

 

「スミマセン。ジブン、皆さんと違って、宝田さんのこと何も知らなくて……。だから、これから」

「いえ! 何も知らないならそれでいいです! そのまま何も知らないままでずっと頑張っていきましょう!」

「え、ええ~! そ、そんな……」

「いえ、今の大和さんのままでいて下さい! もう一生推しますんで!」

「ええ~!? ちょっと~!」

 

そうやって赤面する姿も良いですね。ごめんよ誠士郎、俺は如何やら彩担ではなく、麻弥担になりそうだ。

 

「あら、推し変かしら? 私の目の前で良い度胸ね?」

「俺は子役時代から千聖さんファンでしたけど、只今をもちまして卒業させていただきます」

「貴方、立場が分かってないみたいね。良いわ、あること無いこと香澄ちゃん達に吹き込んであげる。みんな行くわよ」

「ちょっと待てい! いや待って下さい千聖様! 一生推しますんで! なんならもう一生貴女の犬でいますんで!」

 

そう俺が言い放つと、千聖様は俺にそのお美しい御背中をお向けになりながら突然若宮さんに御話をお振りになった。

 

「イヴちゃん、『武士に』何だったかしら?」

「ハイ! ニゴンはありません!」

「だ、そうよ♪ そのまま一生麻弥ちゃん推しという修羅の道を行けば良いわ」

 

あ、お腹の辺りで何かが弾ける音がしたー。アーメン俺の胃袋。明日は教会でお葬式だ。というかその前に俺の葬式かな? 

 

「あ、あの~頑張ってね……」

「宝田さん、シチテンバットウです!」

「あはは! キミってやっぱり面白いね~。うんうん、るんってきた♪」

 

丸山さん以外は碌に励ましもしてくれなかった。若宮さんは態とじゃないから良いとして、氷川妹ァ、アンタだけは許さん。

 

「フフッ。今のところ掴みはバッチリだね!」

「どこ見てそのセリフ吐いてんだこの残念美人は」

「まあ今のは見逃してあげる。美人って入ってたし。でもさっきの『年増ァ』は説明してもらうから」

 

え? それ俺の心の声ですよね? 

 こんな四面楚歌、孤立無援の状況の中、大和さんだけは違った。

 

「あの~宝田さん、別にジブンなんかを推して苦しむくらいなら、全然推し変してもらって構わないッスから!」

 

この瞬間、俺は何があってもこの人を推すと決めた。

 

 

 




ここでの千聖さんが鬼畜以外の何物でも無い笑

久しぶりですし、よかったら感想と評価下さい!凄いモチベ上がりますんで!
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