今回のガチャは爆死しました。
それは兎も角第三話です。
因みに今回は香澄視点です。
時間は流れ昼休み、私は普段のようにPoppin'Partyの皆と昼食をとるため中庭に来ていた。
全員集まったところで、さっそく有咲が切り出した。
「香澄、ここまで漕ぎ着けんのにどんだけかかってんだ?」
「ん? ここまでって?」
「だから! 宝田をCircleのバイトに誘うのにってことだよ!」
「ひえ~、ごめんなさ~い! だいたい二週間ぐらいかかりました~」
有咲は、何でコッチの方面はこんなにチキンなんだって呆れているけれどこう言うのも無理はないよね。実は陽くんにライブハウスCircleのバイトを持ち掛けようというのはかなり前から出ていた話だったから。因みにこの案は私じゃなくて皆が考えてくれたものだ。
今度は沙綾が話し始めた。
「でも、香澄が陽一のこと好きって打ち明けてきたときはほんとびっくりしたよ。あの時何て言ってたっけ? 確か……『私、陽くん見てると何だか胸のあたりがキラキラドキドキするんだ!』だっけ?」
「やめて~、さーや! 恥ずかしい~!」
「お前に羞恥の概念あったのな」
今考えたら結構なことを言ってるなあと思った。
さらにおたえが続けた。
「そういえば、香澄は何がきっかけでその陽くんのことが好きになったの?」
この質問にはみんなが食いついた。
「あ! それ私もめっちゃ気になってた!」
「確かに。今まで香澄、そのことについては言ってくれなかったもんね~」
「で、実際どうなんだ? 香澄」
私は答えようか迷った。こういうのを正直にいうのはやっぱり恥ずかしい。なので
「ま、まあ、それは乙女の秘密ってことで!」
これで誤魔化しておこう。
「なにが乙女の秘密だ! ここまで協力させといてそれはないだろ! 答えろ、香澄!」
やっぱ無理だった。でもこればっかりは……
「だって恥ずかしいんだも~ん。こればっかりはご勘弁を~」
「普段もっと恥ずかしい言動連発してるくせに何が恥ずかしいだ!」
「む! 有咲! 私はそんな恥ずかしいこと連発してないですぅー」
「どの口が言ってんだ! どの口が!」
そう言って有咲は私のほっぺたを引っ張ってきた。痛い痛い。
するとおたえは首を傾げながらこう言ってきた。
「香澄がそんなに恥ずかしがる理由って何だろう? あ、一目惚れとか?」
「あーなるほどねー。確かに陽一って顔はかっこいいしね~」
「香澄、意外と面食い?」
これは私としては陽くんの名誉のためにも訂正しなければならなかった。
「そんなんじゃありません~。だいたい沙綾! 陽くんは顔『は』かっこいいんじゃなくて、顔『も』かっこいいの! 文句言いながらもなんだかんだ助けてくれるとことか、勉強も結構できるんだよ! 運動の方はあんまりやってるとこ見たことないからしらないけど、多分結構できると思う! それから……」
ここまで言って、自分の発言が一生ネタにされるくらい恥ずかしいものであるのに今更ながら気付き、羞恥で耳まで赤くなっていくのが自分でも分かった。
すると何やら有咲がニヤリとしながらスマホを操作しているのが見えた。嫌な予感がする。
「あ、有咲、何やってるの?」
「ん? 何って、お前の今のこっぱずかしい発言を録音してただけだけど」
何やら有咲がとんでもないことを言い出した。
「有咲がひどいよ~! それどうするつもりなの!?」
「いや、香澄がそのきっかけを教えてくれねーから、代わりにこれをガールズバンドパーティーの皆に聞いてもらおうかと」
「うわ~ん。有咲がいつもより鬼だ~。りみりん、助けて~」
現状一番味方してくれそうなりみりんに頼んだ。しかし、
「ごめんね、香澄ちゃん。私も香澄ちゃんが宝田君のこと好きになったきっかけ聞きたいな」
「りみり~ん」
私は落胆に肩を落としながら、沙綾達にも助けを求める視線を送ったが
「諦めな、香澄。もう逃げられないよ」
「うん。人生諦めが肝心」
バッサリ切り捨てられた。
「やだー! だって恥ずかしいんだもん!」
「それさっきも聞いた。つーかなんで恋愛ごとになるとこんなシャイになるんだよ。……よし分かった。今ここで皆に送るわ。えっとグループラインはっと……」
いつもならブラフだと考えられるけど、今日の有咲はそれを実行に移しかねないと思い、恐ろしくなった。
ここはいつもの手で行かせてもらうことにした。
「ま、待って有咲! そんなことしたら、もう有咲と友達やめる!」
自分でもちょっと卑怯だと思った。でも仕方ない。乙女の秘密を守るためだ、うん仕方ない。これで有咲も……
「え? 別に。それなら心置きなく今すぐグループに報告できるわ」
「うわー! ごめん、有咲~。冗談だからそれだけはどうか~」
全く動じてくれなかった。いつもなら今ので照れてくれていたのに。どうやら今の有咲はいつもと違って、いや、いつもに増して鬼であったようだ。
鬼はさらに詰めよって来た。
「言うのか? 言わないのか? どっちだ?」
「言います! 言いますから~」
ついに私は折れた。これで完全に逃げ道が断たれた。有咲は私に背を向けて小さくガッツポーズしているように見えた。うーん、なんかいつもと立場が逆なような気がして悔しい。
そうだ! この昼休みを乗り切ればそのまま有耶無耶にしてしまえるかも! うまく話を逸らせば……
ふっふっふー。どうやら今日は冴えているのは有咲だけじゃないようだ。そもそも! 今日の私はあの陽くんですら嵌めたのだ。私にできないことは無い!
「そ、そー言えば有咲のお弁当の卵焼き、今日もおいしそうだねー。私のハンバーグと交換しよ! みんなもなんかおかず交換しようよ!」
「「「…………」」」
「うん、いいよ。レタスと交換なら」
「おたえ……流石にレタスと交換できるものはないかな~」
うんうん、いい感じ。このまま押し切ってしまおう。
「ほらー。みんなも早く何か交換を……」
そう言っておたえ以外の三人を見ると苦笑いやら呆れ顔やら、兎に角思ったのと違う反応だった。あっれれー、おっかしいぞー。
「み、皆どうしたのかな? 何でそんな顔してるのかな?」
「香澄、流石にその話の逸らし方は……ちょっと無理があるかなー」
「え? な、何のことかな~? も、もうやだなー沙綾ったら」
「やめとけ香澄。もうお前が話逸らして有耶無耶にしようとしてんのバレバレだから。おたえ以外には」
「え? そうだったの? 香澄、策士?」
「もー! ちょっとぐらい引っかかってよー!」
全然ダメだった。どうやら今日の私はいつも通りのようだ。なら何故陽くんは騙せたんだろうか?
「そりゃあ、あいつがバカなだけだろ」
「違いますぅー。あれは天然って言うの!」
「どっちも一緒じゃないかな?」
「でも、確かに陽一ってそういうとこあるよね」
「うん。でもそこがまたカワイイっていうか……」
「うーん。これは重傷だね」
「べた惚れだー」
また無意識に恥ずかしいことを口走ってしまった。私が再度羞恥に顔を赤くしていると鬼が私に迫った。
「さあ、洗いざらい吐け」
「オエ~」
「ふざけるんだったら……」
「鬼ぃ」
「なんとでも」
観念した私はこの恋の、私の初恋の経緯ゆっくりと語りだした。
私が話し終えると、皆一様に驚いた表情を浮かべた
「な、なあ。そのことについて宝田は」
その有咲の問いかけを遮るように昼休みのおわりを告げるチャイムが鳴った。
「あ! わ、私日直だから先行くね!」
そう言って逃げるようにその場を後にした。
逃げるように去っていった香澄を引き留めることもできず私たち四人は中庭に取り残された。そんな中私の頭の中ではアイツの語ったことがずっと反芻していた。
「香澄ちゃん、行っちゃったね」
「うーん、あれは逃げたね。それより今の話、仮に香澄の勘違いじゃなくて本当のことなんだったら結構ロマンチックだけど……」
確かに沙綾の言う通りこれが真実ならばロマンチックであることは否定しない。だがそれと同時に引っかかることがあった。
「どうしたの? 有咲」
そんな私の様子に気付いたのか沙綾が尋ねてきた。
「いや、まあちょっと。ほんとにこれがロマンチックだけ終わればいいんだけどなーと思って」
「それってどういう……」
「まあこの話自体は香澄自身がどうするかだから、あんま私たちが口出すべきじゃないだろ」
「……うん。そうだね」
沙綾は少し眉尻を下げながら首肯した。こうは言ったものの私も悪い予感がしてならなかった。
もし、このことを宝田が知らないとして、いやきっと知らないだろう。そしてこの先、このことを知ってしまったら……と、ここまで考えて私はこの嫌な思考を振り払い立ち上がった。
「よし、お前らももう行くぞ。授業遅れちまうぞ」
「じゃあ、また放課後」
「うん、おたえちゃん。待って、有咲ちゃん」
「バイバイおたえ。さて、私も有咲姫のお供をするとしますか~」
私は、よきにはからえよーとか言いながら沙綾の言葉を流した。
そんなことを言い合いながら校舎へ戻る時、散った桜の花びらを乗せて吹いた春風は妙に生暖かく感じられた。
いやー前書きでも言いましたけどガチャって当たらんもんですね。
それはそうとここまでで評価ふよしてくださった方々、お気に入り登録して下さった方々、本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願いします。
まだの方も感想、評価のほどよろしくお願いします!
では次話でお会いしましょう。
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