IS〜5人の転生者とイレギュラーがいる世界〜(仮)   作:巫女好きの満月

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プロローグ

    

 その人は急に僕らの前に現れた。

 ウサギの耳を模したカチューシャをしたその女性は僕のことをあり得ないものを見たかのような目で見ていた。

 その後の問いかけも、会話も今となっては覚えていない。

 でも、一つだけ覚えていることがある。

 僕が何かを言った後に、その人は泣いて、笑って、そして僕に手を差し伸べて言ってくれたのだ。

 

「私とともに来ないかい?」

 

 

 ☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 神様転生というものをご存知だろうか。

 そう、二次創作なんかでよく見かける『神様が間違えて殺したから転生させるね』や『間違えて殺しちゃったから色々あげて転生させるね』などのそれだ。

 何故いきなりこんな話をしたのか。それは────。

 

「俺が、それを体験してるってことなんだよなぁ」

 

 そう、俺こと『織斑秋一(おりむらしゅういち)』はその神様転生した────転生者だ。

 最も、俺は神様転生ものの二次創作でよくある『特典』といったものを貰ってはいない。

 では、何故俺は自分で神様転生をした転生者だと断言できるかというとそれは前世で死んだ後すぐに会ったからだ。

 神を自称する全身モザイクに。

 ……うん。なんで、全身モザイクなのかは俺も知らない。でも、俺の気のせいじゃなかったらあの神を自称する人何も着ていなかったからな。

 まぁ、その全身モザイクに一言

「お前、転生させるから。転生先は『IS』な。あと、お前の他に4人転生者いるから。あと、お前が最後だからもう転生者は増えないから安心しろ」

 と言われた。

 あれ、これ一言か? まぁ、そんなどうでもいいことは良いや。

 そういう訳で、俺は何がなんだか分からない状態でこの世界『IS』、正式名称『インフィニット・ストラトス』の世界に転生した。

 ……さて、ここまで言えば分かるだろう。

 そう、俺の名前は『()()秋一』。原作主人公である『織斑一夏(おりむらいちか)』の双子の弟として転生した。

 転生した最初は織斑一夏の弟だから原作に巻き込まれる可能性は高いけど原作知識もあるし何とかなるっと思っていた。

 そう、思っていただ。

 今の俺は原作知識というものは枷でしかないと思っている。

 その理由はたくさんあるが、一番の理由はこの世界と原作の違いだ。

 俺たち転生者がいるからか原作とは違うところが多々存在していた。

 それをみた俺は(ああ、原作知識があってもどこまで信用できるか分からない)と思った。

 それ以降、俺は原作知識を思い出すことを止めこの世界は現実だと自分の中で結論づけて精一杯やれることをやった。

 前世では苦手だった勉強を頑張った。スポーツを頑張った。

 その結果、色々と交友関係は広くなった。

 

「さて、現実逃避を止めよ」

 

 俺は今の状況を整理する。俺が今いる場所は公共の施設。俺の周りには大勢の男達。

 そして、前の方には鎧と似た印象を持つものが鎮座していた。

 鎮座しているものを俺は……いや、俺だけでなくこの世界に生きる全ての人たちが知っている。

 

『IS』……正式名称『インフィニット・ストラトス』。宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツ。

 宇宙空間での活動を想定して作られたはずなのに原作でも……この世界でも宇宙進出での利用はなく、『兵器』として使われてしまったものだ。

 そして、この『IS』には一つの致命的な欠点がある。

 それは、男には使えないこと。女以外には使えない。

 では、何故俺たちはその男には使えない『IS』が鎮座しているここにいるのかというと、現れてしまったからだ。

『IS』を扱える『男』が。

 その男の名は『織斑一夏』。そう、原作主人公でありこの世界での俺の双子の兄だ。

 世界は『織斑一夏』という男でも『IS』が使える存在を見つけた。

 それによっておそらく、世界中のすべての人がこう思ったはずだ。

 

「『織斑一夏』が『IS』を動かせるなら、他にも『IS』を動かせる男がいるんじゃね?」

 

 と。

 その結果行われているのが、この『IS適正検査』。世界中の男たちを集めて『IS』への適性を調べている。

 だが、結果はほとんど残念。

 今も「ハーレム王に俺はなる!」と叫んで挑戦し、意気消沈して帰っていく男の後ろ姿が見えた。

 

「次!」

 

 女の人の怒鳴るような声とともに前へと進んでいく列。

 女の人が怒鳴る気持ちも……まぁ、分からなくはないけど怒鳴りたいのは俺たちもなんだよなぁっと少し現実逃避しながら考え、そしてついに俺の出番になった。

 

「ほら、早くそこの光ってる場所に手を当てて」

「はーい」

 

 もう少し優しいお姉さんが良かったなぁと思いながら言われた通りに手を当てる。

 その瞬間、キンッと金属音が頭に響いた。

 

「まさか、本当に?」

 

 女の人が端末を見ながら呆然とする。

 まぁ、俺も驚いてるけどね。一夏の兄弟だから俺にも適正がある可能性が高いとは思ってたけど……。

 手を額に当てて空をいや、天井を仰ぐ。

 

「原作介入決定」

 

 誰にも聞こえないくらいの小さな声で、俺はそう呟いた。

 

 

 

 ☆☆☆☆☆☆

 

 

 それから2日後。

 テレビは2つのニュースと放送で持ちきりだった。

 1つは『適正検査で新たに3人の男性操縦者の発見』。

 もう1つは……。

 

『はろはろー全世界。束さんだよー。いやー、いっくんとしゅーくんだけじゃなくて他にも男で『IS』が使えるなんて束さんもびっくりしたよー! 驚愕だよ! 

 じゃあ、その全世界に便乗して重大な発表をしちゃいまーす。特にちーちゃんは必聴だよ!! 

 数年前から束さんと一緒にいるなおくんも何と何と! 男でありながら『IS』を使えまーす!! 

 な・の・で! なおくんを『IS学園』に入学させまーす!』

 

篠ノ之束(しのののたばね)』。『IS』を作った天災が発表したもう1人の男性操縦者だった。

 ちなみにこの放送を聞いたちーちゃんとやらは手に持ったマグカップの取手を怒りのあまり破壊してしまったことを蛇足として述べておこう。

 

 

 

 ☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「────という訳で、よろしくね。なおくん」

「分かりました」

 

 全世界に放送を終えた束が後ろにいた人影に声をかける。

 目の前で自分が巻き込まれたことに対して何も思っていないのかその顔は眉一つ動かしていない。

 束がタブレットをなおくんと呼んだ少年に渡す。

 少年はタブレットの電源をつけるとその場を後にした。そのタブレットには2つの単語が表示されていた。

『白式』と『黒鉄』という単語が……。

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