IS〜5人の転生者とイレギュラーがいる世界〜(仮) 作:巫女好きの満月
謎のIS(正式にはモドキ)が襲撃してきた翌日。
稲穂はIS学園の整備室で自身の専用機スレイプニルの修理をしていた。
「各種装甲……いや、こっちはフレームから変えないと駄目か」
目の前に展開されたスレイプニルの機体状況を確認しながら稲穂は6月の外出予定を組み立てていく。
装甲だけならともかく、スレイプニルの内部フレーム、センサーなども総替えしなければならないほど損傷している。
「ごめん、しばらくは飛べない」
必要になるパーツなどをまとめ終えた稲穂はスレイプニルを待機状態に戻して、整備室から出ようと扉を開いた。
「あ……っ」
稲穂が扉を開くとちょうど中に入ろうとしていた1人の少女がいた。
水色の髪の少女だ。髪をセミロングにした眼鏡をかけたその少女の名前を稲穂は知っている。
インパルスのOSの一部製作の依頼をするときに初めて会い、それから友人……よりは協力者と言える関係を築いたその少女の名は────。
「更織簪」
────
「用件は?」
稲穂が簪に聞く。
簪は稲穂が世間話などをする性格ではないことをこれまでの付き合いから察していたため、不快に思うことはない。
深呼吸をする。そして、稲穂の目をまっすぐに見て簪は言った。
「……姉さんを倒したい。だから、力を貸してほしい」
普段の簪を知っている稲穂はその言葉を聞くと、整備室に戻っていく。
「分かった」
☆☆☆☆☆☆
side 秋一
「……身体が痛えぇ」
「同感だ……」
先日の謎のISの襲撃。その最後にあった爆発であの時アリーナにいた全員が何かしらのダメージを受けた。
俺とシン、一夏は全身が筋肉痛みたいな痛みに襲われ、セシリアと鈴は爆風と衝撃による気絶。
稲穂は頭部に少しの傷があった事は知っているが、他は知らない。
ただ、頭に包帯を巻いていたのに驚いたが、本人はなんとも思っていないようだった。
「なぁ、シン」
「なんだ、秋一?」
「……これからもこういうのがあるのかな?」
「あるだろうな……」
シンと2人で話しながら寮の廊下を歩いていく。そして、次の角を曲がろうとしてきた時、それは聞こえてきた。
「ら、来月の学年別個別トーナメント……」
声の感じからしてこれは箒か? それにしても大きいな声。これぐらいの音量だと近くの部屋にも聞こえてるんじゃないのか?
それにしても、6月にある学年別個別トーナメントか。たしか、クラス対抗戦とは違って完全な自主参加の個人戦だったはずだ。
それがどうかしたのか?
「もし……っ、私が優勝したら────付き合ってもらいたい!!」
シンとともに角から顔を出してその現場を見る。顔全体を真っ赤にした箒がそう大声で宣言した。
えっ? これってもしかして────。
「なぁ、秋一。これってもしかして……」
「間違いない。これは、告白だ」
────告白なのではないのだろうか。
☆☆☆☆☆
秋一たちがそれを聞いていた頃、反対側の方でもそれを聞いていた少女たちがいた。
「ねぇねぇ〜、あれって〜、もしかして〜?」
「これは、もしかしなくても…………」
「告白……ですね」
「篠ノ之さん、大胆です」
そして、これを聞いていたのは彼女たちだけではない。その近くの部屋の少女たちもだ。
ここIS学園は今でこそ男子が数人いるが、その大半が……いや、9割が女性だ。そして、生徒は当然ながら女子高生。
色恋の大好きな年頃だ。
数分ともかからず、情報端末を用いてIS学園中に広まっていくこの告白騒ぎ。
この時は誰も知らない。
その告白騒ぎの残酷な結末を。後に『