IS〜5人の転生者とイレギュラーがいる世界〜(仮)   作:巫女好きの満月

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自己紹介と最初の授業

    

「全員揃ってますねー。それじゃあ、SHR(ショートホームルーム)をはじめますよー」

 

 目の前で微笑む副担任こと山田真耶(やまだまや)先生。

 原作でも知っていたが本当に幼く見えて、同年代かと勘違いしてしまいそうになる。

 それにしても原作で見ていたけど────本当に胸がでかい。

 ついつい目線がそちらにいきそうになるが、それを何とか堪える。

 

「それでは皆さん、1年間よろしくお願いしますね」

「…………」

 

 山田先生の声に、誰も反応しない。

 そう、俺も。

 いや、俺だって「こちらこそお願いします」とか言いたいよ? でもね、そんな余裕はない。

 それは何故か、簡単だよ。俺とあと2人を除いてクラスメイトが全員女だからだよ!! 

 原作を知っているからここ、『IS学園』が実質女子高みたいなもんだって知ってた。原作で一夏はきつそうにしててそれを画面から見ていた前世の俺は少し、羨ましいって思ってた。

 けど、実際に体験して分かった。たしかに、これは辛い。

 前世ではアニメのキャラ、今世では兄として存在している一夏にこれからは少しだけ優しくしようと思った。

 

(それにしても、やっぱりアイツも転生者か?)

 

 俺は自分の席から少し離れた席に座っている俺と一夏以外の男子操縦者の姿を見る。

 黒髪赤目の男……いや、もうボカすのは無理だ。だって前世で見たことあるよアニメで! 

 どこからどう見てもシン・アスカですね。いや、落ち着け、アニメのキャラクターに似ているからと言っても転生者とは限らないじゃないか。もしかしたら、俺たち転生者のせいで生まれたイレギュラーな存在かもしれない。

 

(転生者なら、話が合うかもしれない。転生者じゃなかったらシン・アスカと友達になれるかもしれない。

 よし、こう考えたらあのシン・アスカの事をウダウダと考えなくても良くなった)

 

 とりあえず、適当なことを考えたら落ち着いた。

 視線を前に戻すといつのまにか自己紹介が始まっていて、丁度一夏の自己紹介になったところだった。

 だが、その当本人は今だにこの状況を整理できていないのか幼馴染み()()を見ていた。

 一夏の視線を俺も追う。一夏の視線の先には窓際の席に座っている2人の少女がいた。

 1人はポニーテールの髪の少女。名を篠ノ之箒(しのののほうき)と言う。俺と一夏の幼馴染みだ。一夏から助けてくれと視線で求められているが────忘れたのか一夏。箒はあまり人との関わりが上手くないぞ。

 もう1人はショートカットの少女。名を篠ノ之瑠璃(しのののるり)と言う。此方も俺と一夏の幼馴染みで、箒の妹で、そして────俺と同じ転生者でもある。

 何で俺が瑠璃が転生者だと知っているかと言うと、一夏と箒が出会ってすぐに瑠璃の方から接触してきたのだ。

「貴方、転生者だよね?」って。

 何で分かったのか聞くと、瑠璃は転生者が分かる能力とやらを自称神から与えられていたからだ。

 えっ、何で俺は貰ってないのに瑠璃は貰っているんだよと訊ねるとなんでも自称神曰く「女の子だからせめて転生者と非転生者が分かる能力はあげる」だそうだ。

 性別差別だと思った俺は間違いじゃないと思う。

 そして、その瑠璃は一夏からの視線を苦笑いして手を振る。うん、目立ちたくないから見捨てたな。

 

「…………くん。織斑一夏くんっ!」

「はっ、はい!?」

 

 裏返った一夏の声に思わず、吹き出してしまう。それに気づいた一夏は俺の方を恨めしそうに見るがそれよりも前を見たほうがいいんじゃないか? 

 

「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。おっ、怒ってる? 怒ってるかな?」

 

 あーあ、一夏のやつ先生泣かせた〜。

 そう心の中でふざけながら山田先生から目を逸らす。

 ……いや、だって巨乳の女教師が上目遣いでこっち(一夏)を見てるんだぜ。俺はそれに少し……ごめんなさい。見栄張りました。めっちゃドキッとしました。

 そんなことを考えていると一夏が席を立った。自己紹介をするようだ。

 クラスメイトも一夏の自己紹介が気になるのか文字通り目を光らせて注目する。うわ、当人でもないのに無茶苦茶視線の圧が……。

 

「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

 そう言って頭を下げる一夏だが、周りはそれに納得しない。『もっと、喋ってよ』『これで終わりじゃないよね?』的な空気が場を支配する。うわぁ、これ後で俺も同じ空気を味わうのかよ。嫌だなぁ。

 それに応えようとしているのか一夏は大きく息を吸う。そして────。

 

「────以上です!」

 

 刹那、ガタガタガタァっとかなりの人数のクラスメイトがずっこけた。勿論、俺もそのうちの1人だ。

 少しは期待した俺がバカだったか? と思いながら体勢を戻すと、何故かラスボスが現れた時のBGMが頭の中に流れてきた。

 はっ、この気配、まさか────! 

 ガバッと顔を上げる。その瞬間、パパァンッ! という音ともに俺と一夏が沈んだ。

 痛い────いや、痛いどころではない。これは痛いを超えた何かだ。

 原作でよく一夏はこの威力で叩かれまくって生きてるな。俺なら死んでるぞ。

 痛みを堪えながら顔を上げる。黒のスーツにタイトスカート。すらりとした長身に鍛えられているはずなのにそう見えないボディライン。そして、狼を連想させる鋭い吊り目。

 そう、その人物の名は────。

 

「げぇっ、関羽!?」

 

 パァンッ! 再び一夏の頭を衝撃が襲う。今気づいたけど一夏の頭から煙が出てるぞ。どんだけ凄い威力だよアレ。

 

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」

 

 低いトーンの声。その主を俺は……いや、俺と一夏は知っている。

 織斑千冬(おりむらちふゆ)。苗字から分かる通り、俺と一夏の姉にしてこの世界唯一のブリュンヒルデという称号を持つ女性。

 ……俺は原作で知っているが、まさか本当にこの『IS学園』の教師をしていたのか。

 

「あっ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

「あぁ、山田先生。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」

 

 ……山田先生、貴女今なんとおっしゃいましたか? 

 確かに原作でもそうだったけど、まさか、この世界でも担任は────。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物になる操縦者にするのが仕事だ。私の言うことをよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は若干15歳を16歳までに鍛えなくことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。良いな」

 

 そう、俺と一夏の血の繋がった姉だ。

 わー、凄い暴論。姉さんじゃなかったら、ブーイングが来そう。

 その証拠に教室は困惑によるざわめきではなく黄色い歓声が響いた。

 

「キャ────! 千冬様、本物の千冬様!!」

「ずっとファンでした!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

「私は愛知から!」

「私は北海道から!」

「あの千冬様に指導してもらえる……もう、死んでも良いかも」

「私、お姉さまのためなら命だって惜しくありません!!」

 

 凄い凄い。耳を塞いでも聴こえてくる。

 流石は、姉さん。幼馴染みの姉から男よりも男らしく男よりも女にモテる星の下に産まれた人。

 

「……毎年らよくもこれだけの馬鹿者が集まるものだ。違う意味で感心させられる。それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」

 

 いいえ、姉さん。姉さんが担任である限りどこのクラスを受け持とうが姉さんのクラスはこうなると思うよ? 

 あと、人気は買えないんだから少しは優しくしない? 

 まぁ、そう思った俺は友人の食堂にある甘すぎるカボチャの煮物よりも甘かった。

 

「きゃあああああっ! お姉様! もっと叱って! 罵って!」

「でも時には優しくして!」

「そしてつけ上がらないように躾をしてー!!」

 

 クラスメイト、元気ですなぁ。

 しかし、お陰で落ち着いた。自分よりもハイテンションな人がいると落ち着くの法則は本当らしい。

 

「で? 挨拶も満足にできないのか、お前は」

 

 辛辣〜。でも、それでこそ姉さんだよなぁ。

 

「いや、千冬姉、俺は────」

 

 パァンッ! 本日3回目の一夏への攻撃。三度一夏は沈んだ。

 

「織斑先生と呼べ」

「……はい、織斑先生」

 

 あらあらぁー、クラスメイトに姉弟だってバレたー。

 

「え……? 織斑くんって、あの千冬様の弟?」

「それじゃあ、『IS』が動かせるのもそれが関係して……?」

 

 いやぁ、それは関係ないんじゃないかなぁ? 

 俺はチラッと後ろの席にいる3人目を見る。3人目は俺のそんな視線に気づいているらしく首を横に振っている。

 

「はぁ、余計な時間を食ったな。時間もない、織斑弟と黒崎、あとはもう1人に自己紹介させて、残りは自由時間にしろ。さぁ、時間もないんだ織斑弟、自己紹介をしろ」

「はっ、はい!」

 

 姉さんに言われて慌てて立ち上がる。うっ、めっちゃ注目される。

 

「織斑秋一です。一夏とは双子の兄弟で俺が弟です。身体を動かすことが好きです。これからよろしくお願いします」

「……まぁ、良いだろう。次! 黒崎!」

 

 姉さんに言われて席に座る。その時、ようやくあの転生者(候補)の苗字が黒崎なんだと思いながら俺は自分の後ろにある謎の空席に目を向ける。

 姉さんの口ぶりからして、ここには誰かが触るのだろうか? と思いながら転生者(候補)の方を見る。

 やっぱり、見れば見るほどシン・アスカだよなぁ。でも、名前がそうだとまだ決まったわけじゃ────。

 

黒崎シン(くろさきしん)です。『IS』が動かせることが分かってここに入学することになりました。趣味特技は特にありません。これから1年間、よろしくお願いします」

 

 綺麗なお辞儀とともに拍手と歓声。

 それを確認した姉さんは「静かに」と言うと、ピタッとそれは止まった。……ここは、軍隊ですか? 

 

「では、最後に……入ってこい貝塚」

 

 えっ、まさかの初期位置廊下かよ! せめて、中に入れさせてあげようぜ姉さん!! 

 ガラッと教室の扉が開き、そいつは中に入ってきた。

 黒く短いくせっ気の少年だ。顔立ちは見ようによっては女子にも見えるほどの中性的……いや、童顔か? 

 

貝塚稲穂(かいづかいなほ)です。篠ノ之束博士からここに入るように言われて来ました。趣味も特技も特にありません。皆さんより歳は1つ下ですが、これからよろしくお願いします」

 

 シンッと教室が静かになった。

 いや、俺も反応はしたいんだけど……目の前にいる貝塚稲穂は緊張した様子もなく無表情。

 さらには、篠ノ之束という姉さんの親友で現在世界中の人が躍起になって探している人と繋がっていることをサラッと言った彼にどう反応すれば良いのですか? 

 しかも、声に抑揚がない。これは、流石にみんな反応しづらいだろ。

 この空気を作った張本人は何事もなかったかのように姉さんと一言二言会話をすると俺の席の後ろに座った。誰か助けてー。

 だが、この静かな空気もすぐに霧散した。

 

「さぁ、SHR(ショートホームルーム)は終わりだ。諸君らにはこれから『IS』の基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で身体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。良くなくとも返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」

 

 鬼教官の言葉がその空気を霧散させたのだ。ありがとうございます。今だけは鬼ではなく神様に見えます。

 

 

 

 1時間目のIS基礎理論授業が終わって今は休み時間。けれど、俺たち男子には平穏というものは訪れなかった。

 授業中はクラスメイトだけだったのに、休み時間になると他クラスの女子や上級生が、一目でも良いから『ISを使える男』を見に来て休み時間のはずなのに一時も休まる気がしない。

 俺と同じことを思っているのか黒崎や一夏はさっきから居心地悪そうにしてる。……貝塚? あいつは周りの視線なんてどうでも良いのかノートを開けて何かを書いてるよ。

 誰か助けてー。

 

「……ちょっといいか?」

「「え?」」

 

 まさか、助けが!? そう思って顔を上げると6年ぶりに顔を見た幼馴染みがいた。

 あー、確かにこれは助けだな。俺じゃなくて一夏の……。

 

「一夏、行ってこい」

「えっ、おお?」

 

 俺は一夏の背を軽く押す。箒はそれに少しだけ俺に目を伏せると一夏を連れて何処かへ行った。

 本当は俺も一夏と箒とともにここから逃げたかったが、流石に恋する少女の邪魔をするのは気が引けた。

 そう、この世界の箒は原作と変わらず一夏に恋をしている。キッカケは……なんだっけ? 

 箒が一夏に恋したのはなんでだっけなぁ? と頑張って思い出そうと頑張っていると突然肩を叩かれた。

 

「よっ、織斑弟」

「黒崎?」

 

 俺の肩を叩いたのは黒崎だった。黒崎はそのまま後ろにいる貝塚にも声をかける。

 

「稲穂、少し良いか?」

「問題ないよ」

 

 自己紹介の時と同じ抑揚のない声で黒崎に答える貝塚。アレ? 黒崎今貝塚のことを稲穂って? 

 純粋に疑問に思ったからとりあえず聞いてみることにする。

 

「黒崎、貝塚のことを知ってたのか?」

「ああ。俺はお前たちと違って2週間前から寮に入れられてるんだよ。稲穂はルームメイトだったんだよ」

「へぇーそうなのか」

 

 俺と一夏はホテルに保護というなの監禁を受けていたのだが、どうやら貝塚と黒崎は先に寮に入っていたらしい。

 

「てか、黒崎って呼ばなくて良いぜ? 普通にシンで良い」

「そうなのか。じゃあ、俺も秋一で良いよ」

「了解。稲穂は?」

「僕は貝塚でも稲穂でもどちらでも構わないよ黒崎シン。織斑秋一も」

「おっ、おう」

 

 まさか、フルネームで呼ばれると思わなくてついどもってしまう。

 それを笑うシンと無表情のままこちらを見つめる貝塚……じゃなかった稲穂。

 何か話題を振るべきかな? と思ったその時。

 キーンカーンカーンコーン。

 2時間目を告げるチャイムが流れた。それを聞いたシンは慌てた様子で自分の席に戻っていく。

 稲穂と俺は自分の席にいたから移動しなくて済んだけど……って考えると少しシンに申し訳なく思った。

 ちなみに一夏と箒は2人揃って姉さんの指導の餌食となった。

 

 

 

「────であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ────」

 

 すらすらと教科書を読んでいく山田先生だが、俺は冷や汗が止まらなかった。

 やばい、授業の内容が少ししか分からない。

 一夏の方を見る。原作とは違い、一夏は参考書を捨てていない。ということは、分かっているのでは? 

 そう思っていた時が、俺にもあった。

 アカン、一夏も全然理解できてない。

 後ろの席にいるシンを見る。シンは何とか必死にノートを取ってはあの電話帳並みのサイズの参考書を開けて授業についていってる。

 そうか、その手段があったか! 

 最後の1人、稲穂は……っと思って後ろを見ようとしたその時、山田先生が俺と一夏の様子に気づいたのか声をかけてきた。

 

「織斑くんたちは何か分からないところがありますか?」

「あ、えっと……」

 

 俺と一夏はほぼ同時に開いている教科書にもう一度視線を落とす。────うん、ちょっとしか分かんない。

 

「分からないところがあったら訊いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

 

 そう言って胸を張る山田先生。可愛い。って、違う! でも、これはチャンスかもしれない。

 一夏とアイコンタクト。よし、訊こう。

 

「先生!」

「はい、織斑……秋一くん!」

 

 あっ、今絶対に織斑くんと呼ぼうとして織斑が2人いることに気付いて言い直した。

 でも、今はそんなことは無視だ無視! 

 

「ほとんど全部分かりません!」

「え……。ぜ、全部、ですか……?」

 

 山田先生の顔が引きつった。アレ? これ原作でもあったような? 

 

「え、えっと……織斑……秋一くん以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」

 

 挙手を促す山田先生。しかし、現実は無情だ。

 手を挙げたのは俺、一夏、シンの3人だけ。他の人は誰も手をあげない。

 

「……織斑兄弟、黒崎、入学前の参考書は読んだか?」

「読んだんですけど、参考書の途中から専門用語が知っていること前提で書かれていて途中で諦めました」

「……秋一と同じくです」

「俺は頑張って専門用語とか教えてもらいながらやりましたけど、まだ分からないところが……」

 

 俺たちの言葉に姉さんは「まぁ、まだマシか」と呟くと俺を……いや、正確には俺の後ろの席を見た。

 

「貝塚、織斑たちに教えられるか?」

「大丈夫です」

「よし、なら織斑たちに教えろ」

 

 おお、叩かれなかった。良かったぁ。

 でも、稲穂は俺たちより1つ下。歳下に教えてもらうのは少し抵抗が……。

 

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしないための基礎知識と訓練だ。理解ができなくとも最低限覚えて守れ。規則とはそういうものだ」

 

 正論ですねー。

 でも、一夏は少しだけ顔をしかめる。多分、俺は望んでここにいるわけではないって思ったんだろうなぁ。

 

「……織斑兄、貴様、『自分はここに望んでいるわけではない』と思っているな?」

 

 一夏の肩が震える。おうおう、分かりやすいなぁ。

 

「望む望まないにかかわらず、人は集団の中で生きなければならない。それすら放棄するなら、まず人であることを辞めることだな」

 

 辛辣。まぁ、要約すれば現実と直面しろって言ってるんだけどな。姉さんは現実主義だし、一夏も理由は察しているだろう。

 現に一夏は覚悟を決めたように息を吸う。

 

「え、えっと、織斑くんたち。分からないところは放課後、先生も教えますから、頑張って? ね? ねっ?」

 

 山田先生のそれに俺はこれまでの苦痛が癒される気がした。

 

「……なるほど、集団の中で生きることを放棄したから天災か」

 

 後ろからそんな稲穂の声が聞こえてきた。

 ……いや、稲穂、多分それは間違いだぞ。

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