Fate/Avenge   作:ネコ七夜

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\お巡りさん私です/
士郎君を悟り開眼させました(笑)


嘘13話

 

 

「それじゃあお兄ちゃん。この魔法陣の上に乗ってちょうだい。」

 

 

キャスターちゃんの言うとおりに土蔵の中の一角に描かれた魔法陣の上に乗り、魔術回路のスイッチを作るために瞑想を始める。

 

 

「こうでいいのか?」

 

 

腰をおろし座禅を組む姿勢になりキャスターちゃんと向き合う形になっているこの状況。

 

密室で形だけとはいえ『お兄ちゃん』と呼んでくれる義妹的な存在と至近距離でいる状況は、後輩の桜と一緒にいるときよりも落ちつかない。

 

 

簡潔に表現するなら一人の少女を意識してしまっているということだ。

 

 

「そう、それでいいわ。次に魔術回路のスイッチをいつも通りの工程で組み上げて。それを基盤に固定するから、何時もより慎重に、お兄ちゃんがより完璧だと思う出来栄えのものにしてちょうだい。」

 

 

「うぅ、簡単に言ってくれるな……」

 

 

キャスターちゃんの教育はスパルタに感じるけど、こんなのは魔術師が、魔術師としての人生において一番初めに行うべき事柄だと言うんだ。

 

つまり、今までの俺は魔術師ですらなかったという訳だ。

 

 

だったら、今からでも遅くない、衛宮士郎は魔術師にならねばならない。

 

黙々と頭の中でトリガーワードの先にある、手の届きそうで届かない、誰も知らない秘密の位置に手を伸ばす。

 

 

体がギリギリと引き伸ばされるような、引き千切られそうな錯覚。

 

 

 

 

背中から液体窒素を流し込まれたかのような感覚。

 

 

 

「来たわね。」

 

 

 

ガチリ、ガチリと歯車が咬み合うように起動スイッチが組みあがっていく。

 

 

と、

 

 

 

キャスターちゃんがオレが座っている魔法陣の中に入ってきて顔を近づけてくる。

 

 

「落ちついて、緊張しなくても大丈夫。」

 

 

大丈夫な訳ない。

 

 

一定のリズムで脈動していた心臓の鼓動が一気に跳ね上がる。

 

ダメだ、落ちつけ、意識が乱れれば起動スイッチは不完全なものとなってしまう。

 

 

沈まれ、沈まれ!!

 

 

「……っん…」

 

 

キャスターちゃんがローブを脱いで紫のワンピース一枚の状態になる。

 

 

か細い腕、白く艶やか肌、幼いながらも膨らみは自己主張をするふくよかな胸、折れそうな腰。

 

 

「いくわよ…」

 

 

キャスターちゃんが俺の首の後ろに手を廻し絡めてくる。

 

 

「キャスター、ちゃん――――」

 

 

少女の匂いが、迫ってくる。

 

汗臭い俺なんかとは違う、幼く、可憐で、甘く、誘惑的で、妖艶で、その全てに存在を奪われるような錯覚に陥りそうで。

 

 

 

「―――んんっ……」

 

 

彼女と二度目のキスは、今度は俺のために。

 

 

 

 

キャスターちゃんの唇と俺の唇が強く重なり合う。

 

 

見れば彼女も相当恥ずかしかったのか、顔を真っ赤に染め上げていた。

 

考えて見れば当然じゃないか。

 

 

出会ってからまだ10数時間程度しか経っていない男と、恋色沙汰でもない状況でキスなんてしているんだ。

 

普通の女の子でも嫌がるだろうし、サーヴァントとはいえ、こんな幼い少女が何の感情もない筈がないじゃないか。

 

 

なのに、未だ背徳感が劣情の波と共に押し寄せている俺のはいきり立ったままだ。

 

 

 

それがどれだけの背徳か知るが故の感慨。

 

花も恥じらうという言葉があるなら、それを摘み取り己が剣山のさしものにして一輪を散らすが如く。

 

 

 

衝動に駆られる。

 

衝撃が迫る。

 

最早猩々か猿(ましら)にでも落ちてしまいたい欲求。

 

 

 

目も前の少女を小――――――

 

 

 

 

「ぐ―――あがぁあっ!!!!――――■■■!!!!」

 

 

体中の、隅々が針か何かでこじ開けれれる様な感覚に襲われる。

 

 

ナニガ起こってる!!?

 

 

落ちつけ、呼吸を乱すな。

 

視界が判別できないほどに点滅を繰り返す。

 

 

白から赤へ、そして暗転、

 

途端に全身を内から焦がすような痺れが襲う。

 

 

「そう、呼吸を整えて!気を抜かないで、丹田に力を込めて。普段使用していた固魔術回路の固定化と同時に、あなたの普段使われていなかった回路が起動し始めたみたい。」

 

 

普段使われていないかった回路?

 

普段は脊髄の一本を通して襲いかかる悪寒や熱気が今は全身を駆け巡っているのはその為か。

 

「……一体、なん……」

 

 

何本あるんだ?俺の魔術回路は?

 

 

「待って、――――27本よ。…一代の資質にしたら破格の総数だわ。」

 

それがすごいことなのかどうなのかは自分ではわからない所だったけど、キャスターちゃんがそう評価するなら凄いことなのだろう。

 

勿論一代に限っての話だろうけど。

 

 

「ぐ、……この痛みと痺れは一体いつまで続くんだ…?」

 

「あわてないで、自分のイメージする起動スイッチを思い浮かべて、ゆっくり、ゆっくり。」

 

 

そう言いながら尚もキャスターちゃんは俺を正面から抱きしめ、まるで飯事で我が子をあやす母役のように優しく頭を撫でてくれる。

 

丁度俺の顔にキャスターちゃんの胸が当たる位置にあり、幼いながらも確かな膨らみは人の体の心地よさにおける史上にして至宝とも感じる張りと柔らかさを一枚の布越しに主張し、僅かに感触の違う頂点に鼻先が触れる興奮に、最早ツナギのホックが壊れてしまうのではないかと心配しなければならないレベルだ。

 

このままじゃ彼女を、彼女のことを襲ってしまう。

 

何の冗談だ衛宮士郎。

 

俺はいつからそんな少女に欲情し、恋愛対象としてみるようになったと言うんだ。

 

か弱く、可憐な少女こそ衛宮士郎が命を賭して守り抜きたい人々の一つなんじゃないか。

 

俺は美少女の笑顔が見れればそれで満足なんだ。そこに喜びはあれど悦びが在っちゃ―――

 

 

 

「想像開始(トレースオン)」

 

 

心頭滅却心頭滅却色即是空色即是空空即是色色即是空色即是空空即是色空即是色煩悩退散煩悩退散煩悩即菩提煩悩即菩提煩悩即菩提!!!!!!

 

頭の中をただひたすら虚無にし、洗い流すが如く清めの言葉を氾濁させる。

 

 

まずはトリガーを構築しろ――――起動トリガーは……撃鉄のように強固な鉄鐘が落ちるようにガキリ、でもゴギリ、でもなくガリチと歯車がかみ合うように

 

 

体の中を駆け巡る魔力、さながら血管の中をサーキットレースが行われているみたいでガリガリ五月蠅い。

 

「ふう、一先ず午前中は体を休めていてちょうだい。……うん、ちゃんとパスも開いたし、やっぱり供給魔力は少ないけど、さっきよりは大分楽になったわ。これなら簡単な魔道具と工房を作成するくらいは可能だわ。」

 

 

「そっ、…か。っう!」

 

「安静にしてて、お兄ちゃん」

 

 

そう言って視界のおぼつかない俺の体をキャスターちゃんは静かに横に倒し、一緒に座りながら俺の頭をその膝に乗せてきた。

 

所謂膝枕という奴だ。

 

 

 

 

…勘弁してくれ、休めそうにない。

 

 

 





セウト!!!
雪さんを嫁にしてキャスターを娘にしよう。

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