Fate/Avenge   作:ネコ七夜

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嘘17話

 

 

金属同士がぶつかり合う、かん高い音が公園で鳴り響く。

 

 

赤い魔槍から連続して繰り出される刺突は、正面から見れば宛ら絨毯爆撃ならぬ絨毯刺突ともいえる、機関銃さながらの手数であり、その全てが確たる重みを持った必殺の杭だ。

 

また一歩、更に一歩と、青い槍兵は前に踏み込み狂戦士に赤い雨をぶつける。

 

 

しかし、狂戦士は無数の刺突の餌食となりハチの巣になるどころか、その全てを余すことなく金属音を付加させ弾き捌く。

 

獅子の洒落頭を被った、その奥に潜む紅き狂気の瞳は、最早点から閃光にしか捉えることが出来ぬ深紅の輝きを月明かりの下、火花を持ってギリギリの態勢を持って己が武装で受け止める。

 

 

「おいおい、テメェのその動き―――」

 

 

槍兵も顔を引きつらせる。

 

そう

 

槍兵は最速の英霊だ。

 

そこに最速の突きを繰り出しながら紙一重とはいえ、その全てを防ぐこの英霊は一体何なのか。

 

 

経った一本の剣を持って

 

 

 

「セイバーじゃねぇのにその技量……っ!!」

 

 

 

バーサーカーは殆どの英霊に適性の有無にかかわらず、該当資格がある。

 

 

 

だが、これほどまでに鋭く重く打ち出される、洗練された剣技を狂戦士が繰り出すことが可能なのか?

 

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

 

攻撃が甘く入った一瞬を狂戦士は見逃さず一気に攻撃に転じてくる。

 

撓るように振るわれる長い腕が、体が、まるで舞うように剣を矛先に滑らせるようにして業物を封じ間合いを詰めてくる。

 

「なめんなっ!!」

 

即座に後ろに下がり、地面から砂埃を巻き上げる勢いで槍を地面すれすれの位置から突き上げる。

 

 

またしても響く金属が擦れる音

 

剣の腹を槍の柄に乗せ、そこから大道芸のように逆立ちする狂戦士の姿がある。

 

 

ありえない、

 

 

ランサーでなくても万人が口をそろえてそう言うであろう。

 

このような、しなやかな動き、理性を失った戦士が果たしてできるであろうか?

 

狂気の檻に囚われしモノがこのような静かな、繊細な動きができるであろうか?

 

 

 

そして一瞬の思考と驚愕と―――――それらが僅かの隙を生み出した瞬間

 

 

眼前にいた筈の狂戦士の姿が消える

 

 

 

 

槍の上で逆立ちでいた漆黒の戦士は、そのままの態勢で跳躍し自身の背後を獲ったのだ。

 

 

我武者羅に槍を旋回させ後ろに叩きつけるように振り下ろすと、ギンと鳴り響く防御の音叉。

 

 

何故だろうか

 

 

たった今、この刹那。

 

 

相手がどこにいるか、槍兵は気配が読めなかった。

 

 

それは狂戦士を相手取るにおいてありえない事象。

 

 

押さえきれないほどの殺意をまき散らす狂乱の気配は、こと白兵戦において己が位置を相手に教えるような、それでもなお破壊と破滅の一手を躊躇いなく繰り出す筈の英霊だ。

 

 

即座に振り返りかぶりを直すと同時に迫る剣戟の嵐。

 

長槍の間合いを殺し鍔迫るその姿は最優の器に相応しく映るほどだ。

 

 

 

 

 

「上等だ狂戦士!やっぱ俺は最高についてるぜっ!!」

 

 

そうだろう、彼が望むものは自身をギリギリの死の淵にまで追い込むような苛烈な戦い。

 

 

漆黒の外套を肩に引っ掛け剣を構える屈強な肉体の戦士は正に彼が望んだ相手と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

   *  *  

 

 

 

 

 

 

「『水門は閉じ   汚泥は身の内に』―――」

 

 

――――ゴッ!!!

 

 

バゼットは相手マスターの腹をを容赦なく硬化のルーンを刻んだグローブを身につけ時速80kmを超えるパンチを抉り込ませる。

 

 

 

それは只の人間、少年であれば内臓は軒並みつぶれ、背骨を砕き、肉を突き破りかねない威力だ。

 

 

敵マスターである少年の体がまるでゴムまりのように空中へ打ち上げられ5メートル近く弾き飛ばされる。

 

 

「…がぐぅ…っ……あ……あ゛……」

 

 

しかし少年はうめきながらも、涎を吐きながらも、ずるずると体を起こす。

 

内臓に多少ダメージはいったかもしれないが少なくとも背骨は無事と見える。

 

 

察するところによれば、攻撃が当たる瞬間に行った詠唱は身体強化か防御の魔術とみる。

 

 

「舐めやがって………魔術師は、魔術で戦うんじゃないのかよ?」

 

「ええ、ですからルーンで硬化したグローブを使用しています。」

 

「この野郎…―――『止まる断なかれ  素は流転を繰り返す』」

 

 

相対する二人からすぐ脇にあった公園の水道蛇口が破裂し、噴水をまき散らす。

 

 

水を呼び寄せ操る魔術師の少年。

 

 

水?

 

まさか

 

 

「貴方は間桐の魔術師か?」

 

「その通りだ、この僕が、間桐の、頭首。正統な後継者だ!!」

 

 

まき散らされる飛沫が虚空に留まり散弾銃のように硬度を持ってバゼットに襲いかかる。

 

 

「拙いっ!!」

 

 

とっさに転がるように横へ回避し、躱しきれない飛沫は内払うように裏拳で叩き落とす。

 

 

「『内海を満たせ  流れは我に委ねる』」

 

 

水浸しとなっている地面がウゾウゾと、まるで意志を持っているかのように、砂を巻き込み汚泥と化してバゼットに津波のごとく押し寄せる。

 

バックステップをとり、体制を立て直そうとするが。

 

 

「させるかよ!!」

 

 

その叫びと共に汚泥は随所で小さな螺旋を作り

 

 

いきなり地面から螺子のような棘が突き出される。

 

 

溜まらず大きく後方に跳躍し、間桐の少年を睨む。

 

 

間桐の魔術とはここまで優れた精度を誇っているのか?

 

否、いくら彼が天才的な魔術師だったとしても、違和感が拭えない。

 

 

彼から魔術回路を通して魔術を発動している様子がいまいちつかめない。

 

詠唱…しかもセカンドアクションまで唱えて発動するにしても、いきなり何の礼装処理もしていない水をここまで操ることができるだろうか?

 

 

 

まて、ここは冬木。ここで暮らすのは御三家の遠坂と間桐………!!?

 

 

「この『公園自体』に仕掛けを!?」

 

「なんだ、結構いけるかと思ったけど、やっぱり魔術師はすごいな。こうも短時間で見抜かれちゃうなんて、ちょっとショックだぜ?」

 

 

恐らく彼は予めこの公園に魔術的な仕掛けを施し、夜になるのを待ってここで他のマスターを待ち伏せしていたのだ。

 

 

 

「くっ…そう言うことならここでの戦いは貴方に分があり過ぎると言う訳ですね。」

 

「そう悲観するなよ魔術師。さっきのパンチ……後少し詠唱が遅れてたらマジでヤバかったよ。」

 

 

「おほめに与かり――――恐縮です!!」

 

 

バゼットは一気に駆け出し、肩に背負っていたいた筒状のバッグから一つの球体を取り出すと、最強の手札を静かに口ずさむ。

 

 

 

 

 

 

 

「後より出でて先に断つもの(アンサラー)」

 

 

 





バトル回頑張りました。
これが今の私の全力前回orz
慎二君マジかっこよすww
……バーサーカー強くし過ぎたかも。

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